五台山の県立牧野植物園が開設五十周年を迎え、植物園南側の庭園も大幅なリニューアルを行い、素晴らしい景観に生まれ変わりました。
四月一日の五台山花絵巻のオープニングの時に、ひときわ人々の注目を浴びている、鮮やかな紅色の花が満開の桜の大木がありました。
「仙台屋桜」という興味深い名称に心が引かれ、後で調べてみると、牧野富太郎先生がこよなく愛していた桜だそうです。
歴史的には、仙台から旭の中須賀に移住してきた佐伯氏が「仙台屋」という屋号で商売を始め、屋敷にあった桜を「仙台屋桜」と呼び始めたようですが、ソメイヨシノの薄いピンク色とは違い、紅色が濃く色香があります。
牧野先生も大変気に入って、東京の自宅にも苗木を送ったそうです。
五台山でこの桜を見て以来、ずっと気になっていましたが、全国市長会での東京出張の折に、思いがけず再び仙台屋桜に出会いました。皇居の半蔵門近くに日本の伝統文化の拠点である国立劇場があります。その庭園に見事な紅色のしだれ桜があるのを見て、あまりの美しさに吸い寄せられるように近づいてみると、高知の「仙台屋紅枝垂べにしだれ桜」とあったので、その奇遇にびっくり!どういう経路で高知市の仙台屋のしだれ桜が日本を代表する文化の殿堂の入り口に植えられているのか、不思議な縁を感じました。
仙台屋桜のような日本古来の山桜の個性豊かな花を見ますと、自然の中で力強く生き抜いて来たたくましさに強い感動を覚えます。
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