ことしは秋に入ってから気候の冷え込みもあり、紅葉も美しく感じます。県庁前や城西公園入り口ではイチョウ並木が素晴らしく、山々に入ると、モミジやハゼなど自然の彩りに心が和みます。
この美しい山野の紅葉や草花で見事にビジネスプランを立て、成功しているのが、徳島県上勝(かみかつ)町の第三セクター「(株)いろどり」です。
今では地域おこしの代表として全国的にも有名な「いろどり」ですが、代表の横石知二さんが昭和五四年に上勝町の農協に二十歳で就職したころは、まったく意見が通らなかったそうです。
転機が訪れたのは、昭和五六年のこと。大寒波に襲われ、当時の町の主力作物のミカンが全滅し、地域も困り果てて、「何とかしなければ」という想いからスタートしたそうです。
横石さんは、料理の「つまもの」用としてのモミジや柿の葉、シダなどに目を付け、地域の人々の説得に入りますが、そのときは「葉っぱが金に化けたら、タヌキと同じじゃ」と人々に大笑いされたそうです。そこで助け舟を出したのが、地域の少数の女性グループでした。
今ではおじいちゃんやおばあちゃんが特注のインターネットを駆使して事業拡大に取り組んでおり、年商二億二千万円の「葉っぱビジネス」として全国にその名をはせています。
上勝町の事例を見ると、苦しい時ほど情報のアンテナを高くして可能性にチャレンジしていくことが、いかに大切かと感じます。
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