今日では,数万種類の毒物劇物が流通しているといわれています。毒物劇物には工業薬品や農薬,大学や研究機関で使用される試薬などさまざまな種類があり,科学技術の発達に伴い,その量,種類とも年々増加の一途をたどっています。これらは,私たちの暮らしの身近な場所で,その化学的特長をいかして有用に活用されています。しかし,毒物劇物は吸飲や接触によって中毒になるなどの危険性を併せ持っています。当然,取扱いには細心の注意が必要とされ,扱い方を誤るとその毒劇性によって住民の保健衛生上に極めて重大な危害を及ぼす事態を引き起こす可能性があります。また,昨今の毒物劇物を用いた犯罪の多発は,住民に不安をつのらせ,社会に脅威を与えており,犯罪に悪用されるケースも警戒しなければなりません。毒物劇物犯罪で凶器として使用された多くの毒物劇物は販売業者から購入したり,あるいは盗んだりすることで入手され,犯行に使われています。従って,毒物劇物を取扱う際には,事故や盗難などによって自分が被害者や加害者にならないように,万全の危害防止措置を講じる必要があります。毒物及び劇物取締法は,このような毒物劇物について,保健衛生上の見地から必要な取締りを行うことを目的としております。毒物劇物業務上取扱者は,毒物劇物に関する正しい知識を身につけ,保健衛生上の危害防止の観点から法律を理解し,毒物劇物を安全に管理していただくようお願いします。