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このページは、高知市広報「あかるいまち」に掲載されている「歴史万華鏡」のコーナーを再掲したものです。
歴史万華鏡
執筆「こうちミュージアムネットワーク」の皆さん
第21回 明治維新をめぐる戯(ざ)れ歌(うた)
高知市広報「あかるいまち」2013年11月号より
創造広場アクトランドで展示される戯れ歌の一部
●創造広場アクトランドで展示される戯れ歌の一部
 かつての龍馬歴史館(香南市野市町)が一新される。光や音のハイテク演出に加え、龍馬有縁資料館を新設。さらには、絵金(えきん)の新しい人物像を追い求める絵金派アートギャラリー、世界偉人館、ニーオアフリカンギャラリー、世界モデルカー博物館、世界クラシックカー博物館、ボンネットバス博物館、KUMA,S(クマズ)コンテナギャラリーが併設され、「創造広場アクトランド」としてオープンする。今回は、龍馬有縁資料館が所蔵する数ある史料の中から、「いろはカルタ」を模した戯れ歌を紹介する。

 全長二百十九センチのこの史料は、冒頭の「い」「ろ」部分が「一寸向ハヤミ(闇)ノ夜 御一新御政事」「論語読の論語知らす(ず) 大政官御役人」となっていることからも分かるように、全編にわたって明治新政府のあり方を風刺している。

 「いろはカルタ」は、ことわざや格言、教訓の類いを「いろは歌」の順に採録したもので、「い」が「犬も歩けば棒に当たる」となっているのが江戸系、「一寸先は闇」は京都系、「一を聞いて十を知る」は大阪(あるいは名古屋)系というように、三系統に分類されるのが一般的である。

 だがこの史料は、ことわざ部分の多くが京都系の「いろはカルタ」に一致する一方で、そうでないものも混在している。「蛙の行列 奥羽越(おううえつ)の出兵の人数」もその一例である。「蛙の行列」には「向こう見ずの人々の集まり」という意味があり、旧幕府を支持して戦いを挑んだ奥羽越列藩(れっぱん)同盟の軍勢をそれになぞらえている。いったい、作成者はどこの、どんな人物だったのだろうか。

 また、史料の末尾(写真掲載部分)では、薩長と並んで土佐も「やり玉」にあがっている。長州の「盛心(せいしん)」、薩摩の「悪心(あくしん)」、土州(土佐)の「諂心(てんしん)」と揶揄(やゆ)されているのだ。

 「諂心」とはつまり、「へつらいごころ」である。土佐人のお国自慢に冷水を浴びせるような史料だが、冷静に受け止めれば、歴史は全体的にとらえるべきだとか、多角的な考察が不可欠だと、注意を喚起してくれているような気がする。

 史料は本来、双六(すごろく)に仕立ててあったのか、挿絵(さしえ)入りの木版刷りだったか。その点でも興味が尽きない戯れ歌である。

こうちミュージアムネットワーク 創造広場アクトランド(旧龍馬歴史館) 顧問 大野 充彦
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