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このページは、高知市広報「あかるいまち」に掲載されている「歴史万華鏡」のコーナーを再掲したものです。
歴史万華鏡
執筆「こうちミュージアムネットワーク」の皆さん
第38回 文化財とは何か
高知市広報「あかるいまち」2015年6月号より
重要文化財に指定されている<br />土佐神社の社殿内部(一宮)
●重要文化財に指定されている
土佐神社の社殿内部(一宮)
 文化財とは、この国の先人が地域の風土や環境から創造してきた有形無形の文化遺産のことである。

 文化財の種類は多岐にわたり、建造物や絵画彫刻などの「有形文化財」、演劇や音楽などの「無形文化財」、衣食住や生業信仰などの「民俗文化財」、城跡・旧宅・庭園・動物・植物・地質などの「記念物」、人々の生活や生業・風土により形成された景観などの「文化的景観」、周囲の環境と一体となった伝統的な建造物群である「伝統的建造物群」、土地に埋蔵されている「埋蔵文化財」などで構成されている。それぞれの文化財は、国・県・市町村によって指定・登録され、市内でも土佐神社や高知城、竹林寺など、いくつかの文化財が国の重要文化財に指定されている。

 現在国内で厳重に保護されている文化財だが、明治維新から太平洋戦争の時代にかけて、存続の危機にさらされてきた。

 明治維新には近代化の流れの中で多くの文化遺産が国外へ流出し、太平洋戦争中には国内各地への空爆によって、歴史的な多くの文化遺産が失われた。また敗戦後も、欧米諸国に多くの文化遺産が流出していった。

 昭和二十五(一九五〇)年、これら日本の文化遺産を保護しようと、『路傍(ろぼう)の石』の著者としても知られる山本有三ら国会議員が中心となり、文化財保護法が制定された。

 この文化財保護法は、昭和二十四年の法隆寺金堂壁画焼損を契機に、それまでの「古社寺保存法(明治三十年)」「史蹟名勝天然記念物保存法(大正八年)」「国宝保存法(昭和四年)」「重要美術品等の保存に関する法律(昭和八年)」などを統合して制定されたもので、数回の改正を経て現在
に至っている。

 文化財保護法の第一章総則第一条に「この法律は文化財を保存し、且つ、その活用を図り、もって国民の文化的向上に資するとともに、世界文化の進歩に貢献することを目的にする」とある。文化財の保護に力を注いできた先人の想いが、この条文には込められている。

 彼らの意志を受け継いでこの国の貴重な文化財を守り、その価値を次世代に伝えていくことが、今生きる者の使命である。

こうちミュージアムネットワーク NPO高知文化財研究所 代表 溝渕博彦
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