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このページは、高知市広報「あかるいまち」に掲載されている「歴史万華鏡」のコーナーを再掲したものです。 | ||||
執筆「こうちミュージアムネットワーク」の皆さん |
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●条例で捕獲が禁止されている 絶滅危惧種ヒラコベソマイマイ 「陸産貝類」。この言葉を日ごろ見聞きすることはなく、イメージも涌きづらい。では「カタツムリ」はどうだろうか。これなら多くの人がその姿を思い浮かべることができるだろう。実はカタツムリは俗称で、陸産貝類は陸上に生息する貝の正式な総称である。 陸産貝類の形状は多岐にわたり、大きさが一ミリメートル前後の物や細長い物、毛が生えている物、横から見ると上部が平らな物など実にさまざまで、世界中で多くの種類が確認されている。 日本では八百種類近い陸産貝類が確認されており、特に四国は「陸産貝類の宝庫」と呼ばれている。国内でも有数の石灰岩地を有する四国は、冬季も温暖で多湿な環境条件から、陸産貝類の生息に適しているのである。県内では約百六十種が確認されており、昔から注目され研究が進んでいる。そのことは、昭和三(一九二八)年に昭和天皇より依頼を受け、県の陸産貝類約五十種を献上したことや、昭和二十五(一九五〇)年の巡幸の折には、宿舎で八十種の標本を展示し、紹介したという記録が残っていることからも分かる。 陸産貝類の研究が盛んな高知では、多くの研究者を輩出している。そのため、タシママイマイ(佐川町出身・田嶋千景(たしまちかげ))、ジタロウマイマイ(県出身・山崎治太郎(やまさきじたろう))、スギモトギセル(沖ノ島出身・杉本龍勝(すぎもとりゅうしょう))など、種名に県出身の研究者の名前が付いたものや、県の地名が付いているノミゴマガイ(須崎市野見)、クレゴマガイ(中土佐町久礼)、オオノゴマガイ(須崎市多ノ郷)、イノクチギセル(安芸市井ノ口)などのほか、トサやオキノシマが付くものも多くいる。 高知は固有種が多く、陸産貝類の生息に適しているが、その一方で生息地の悪化により絶滅の危機にひんしている種類も少なくない。中でも、ヒラコベソマイマイは、条例により捕獲禁止になるほど絶滅が心配されている。 二年前、徳島県で発見された新種は、アナンムシオイガイと命名された。明治時代より注目されてきた歴史ある高知の陸産貝類研究であるが、もしかしたら、葉の裏や石の陰にまだ見つかっていない種類が隠れているかもしれない。 こうちミュージアムネットワーク わんぱーくこうちアニマルランド 山ア 博継 |
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