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このページは、高知市広報「あかるいまち」に掲載されている「歴史万華鏡」のコーナーを再掲したものです。
歴史万華鏡
執筆「こうちミュージアムネットワーク」の皆さん
本を手渡すということ
高知市広報「あかるいまち」2018年3月号より
新図書館等複合施設「オーテピア」
●新図書館等複合施設「オーテピア」
 新図書館等複合施設「オーテピア」が開館まで数カ月と迫ってきた。毎朝通勤の途中に巨大な建物を見上げては、その日を楽しみにしている。

 全国で初めてとなる県立図書館と市民図書館の合築で、「オーテピア高知図書館」「オーテピア高知声と点字の図書館」「高知みらい科学館」の三施設からなるこの施設は、広く県民市民の読書欲をかき立て、知識欲を満たしてくれるに違いない。

 大都市から遠く、文化的なものには縁が薄いと語られることも多い高知であるが、読書環境の整備については全国に誇れる歴史がある。

 その一つが「文庫」だ。文庫とは、個人が書斎等を開放し、所有の児童書等の貸し出しなどを行ってきたもので、一九五五年に東京都で開設された「土屋児童文庫」などがはしりであるが、一九六〇年には高知でも「せばやし文庫」が開設されている。当時、本山町にお住まいだった瀬林杏子(せばやしきょうこ)さんが開設された高知で初めての文庫だ。その後、一九七〇年から八〇年代にかけて、県内のあちこちに五十近い文庫が開設された。文庫は書籍の流通に恵まれない人たちに本を手渡すとともに、人と人が出会う地域のコミュニティでもあった。

 もう一つは「市民の図書館」だ。高知市民図書館は言わずと知れた高知市立図書館だが、一九四九年開館に当たり、高知「市民」図書館と名付けた。これはそれまでにない画期的な名称であり、設立主体およびサービスの本質を端的に言い表している。「本は読まれることを求めている」と、一九五一年には早くも開架式を採用し、資料の収集と整理、閲覧、さまざまな集会や展示、自動車文庫など、「市民のための図書館」は図書館史の時代を画した館として、高い評価を受けている。

 オーテピアは、県市合築図書館という今までにない図書館であるが、形態が変わろうとも、図書館の使命である、知る自由を持つ人々に、資料と施設を提供することは変わらない。この使命をどのように広げサービスを展開していくのか、大いに期待している。

認定NPO法人 高知こども図書館館長 古川 佳代子
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