古文書を読む
田地拾九ヶ年賣渡證文
【縦】28.0㎝ 【横】39.5㎝
【形状】一紙文書・竪紙 【年代】嘉永4(1851)年
【解説】
土地を年限を決めて売り渡すという証文の売主控えです。これを年季売りといい、年限がきた際には売主(元の持ち主)にもどりました。年限はさまざまですが、この史料のように19年としているものが目立ちます。これは一定の期間を経過することで、その土地が占有者(この場合は買主)のものになるという慣習法(年紀法)があり、その年限が20年となっていたことによるとみられます。つまり、土地を完全には手放したくないという売主の思いがあり、それを反映した結果といえるでしょう。
内容は、売主が年貢が払えなかったので土地を19年間売り、その代金をたしかにもらった、というものです。この内容を保証するための証拠人をたて、さらに念を入れて文書の奥(左端)には「地組頭」という役職の人の奥判をもらっています(この史料は控えのためか、奥判はありません)。この「地組頭」がどういう役職であるのかは不明ですが、この文書の内容を保証したり、承認したりできるような権限をもっていたものとみられます。