古文書を読む
弟酒狂につき、始末
【縦】28.0㎝ 【横】39.5㎝
【形状】一紙文書・竪紙 【年代】文久元(1861)年
【解説】
文久元年9月25日、弘岡下〔ひろおかしも〕ノ村の栄次という者が、東諸木〔ひがしもろぎ〕村の医師である廣井玄清〔ひろいげんせい〕に対して意趣をもち、その自宅へ脇差や棒などをたずさえておもむいたという騒動がありました。この騒動は、のちに弘岡下ノ村の庄屋ら村役人から藩の役所へ正式に届けられることになり、当館にはその一連の文書がのこっています。この文書もそうしたもののひとつです。
差出人は騒動を起こした張本人の栄次の兄である喜之助のほか請人2名、宛所〔あてどころ〕は弘岡下ノ村庄屋・老〔としより〕です。表題に「始末」とあるとおり、内容は騒動を起こしたのちの栄次のことが中心となっています。文書によると、騒動以前も栄次は素行に問題があったようですが、この騒動により遠方への行き来が禁止されます。その後、栄次は取り乱して自害しようとまでしたので、このままにしておけないと思った喜之助がその身柄を預かりたいという願い出ます。そして、その願いが聞き届けられたので、落ち着くまで預かっている、というものです。
なお、喜之助は栄次が落ち着くまで「養生家」というところに入れた、と文書にありますが、これがどのような施設なのかは不明です。