踊るって気持ちいい
地元・香川のお祭りで獅子舞を続けてきた加嶋さん。高知大学に進学して「高知と言えばよさこい祭り」と、大学のよさこいサークルに入った。やっと1曲踊りを覚えた頃、振付を教える先輩と仲良くなり、手伝いをすることになった。
その夏、よさこい祭りを体感をした。「振りと曲がピタッと合うと、すごく気持ちいい。踊ることってすごく楽しくて、自然とテンションがあがっていく」。
本番が終わっても他のチームの踊りをテレビやインターネットで見て、どんどんよさこいにはまっていった。歴代の踊りの練習に打ち込み、県外の遠征や帯屋町アーケードでの「まちなかよさこい」で踊った。
教える楽しさを知って
2年次はインストラクターとしてよさこいに挑んだ。夕方からのチーム練習では、約150人の踊り子の前や隣で振りを教え、時には全体を仕切ったり、場を和ませたり。その後はインストラクターの練習や打合せを深夜まで。少し寝て授業に出る生活だった。「正直きついと思ったこともあるけど、ちゃんと伝わるとうれしい。だんだんと踊り子が上達していく、本番への2か月の過程が最高に楽しいんです」。いよいよ2年目のよさこい祭り本番を迎えた。「追手筋で最後の踊りが終わった瞬間、もう大泣きでした」。
3年次はカメラマンとして、4年次は新チームのインストラクターとしてチームを支えた。大学を卒業して岡山で自動車販売の営業マンとして働き始めても、よさこい祭りには必ず戻ってきて踊ったり応援したりした。
高知で暮らして支えたい
転機は2012年の夏に訪れた。友人が出場するチームの前夜祭のステージの前で、心がざわめいた。「仕事は楽しいし、上司にも恵まれている。でも、もう一度高知に住んで本気でよさこいがしたい」。岡山への帰路、自問自答が始まった。それは2~3週間続き、何度も高知を訪れ友人にも相談した。友人の言葉が背中を押した。「本当にわくわくするのはどっちなのか?」。出した答えは、高知だった。
ダメもとで応募した高知市役所の職員採用試験に見事合格。2013年に高知市に移住した。憧れのチームに入り、「纏」※に抜擢された。翌年からはアシストとしてチームを支えつつ、踊っている。よさこいを通じて知り合った女性と結婚もした。高知に骨を埋めるつもりだ。
※纏(まとい):よさこいでは、主に先頭でさおの頭に提灯等の飾りをつけたものを持ちパフォーマンスをする役割をさす。
よさこい移住のQ&A
Q. 移住までに悩んだことは?
A. 共感できる理念、やりがいもあり、上司や同僚に恵まれていたので、会社を辞めてまで高知に行くのかとても悩みました。もし給料も下がっても、もしよさこいを踊れなくなっても高知に住みたいのか、自分の人生プランを考えました。
Q. 仕事はどうやって決めましたか?
A. 高知に貢献できて、なおかつ、夏季休暇のある仕事を探しました。最終的に高知市役所にねらいを定めて、2~3年は試験を受け続ける覚悟で試験を受けました。
Q. 高知に住む魅力は?
A. 地元香川では自然の中で遊んだことがなかったのですが、高知市は車で30分も走れば山にも海にも行けます。市役所の先輩から鮎のしゃくり漁を教えてもらって、高知の自然の豊かさをさらに実感しています。