祭り男の血が騒ぐ
香川県出身の岡内さんは、学生時代の彼女に誘われ、初めてよさこい祭りを見に高知にやって来た。「帯屋町演舞場、観客は身動きが取れないくらいぎゅうぎゅうになって、踊り子は笑顔で気持ちよさそうに踊っている」。これまで見たことのない踊りのパワーに驚き、翌年は彼女と踊り子として参加した。「もう夜の追手筋なんて最高ですよね。踊りと鳴子のリズム、踊り子も観客も一体になる感覚」。祭り好きが高じて、よさこいにはまった。「やっぱり先頭で踊っている花形さん達はかっこいいですよね。憧れました」。その翌年、幸運にも先頭で旗を振るチャンスに巡り会えた。
高知に移って
就職してからも毎年、よさこい祭りのため高知に通った。結婚してから、高知へ移り住むことを考えるようになった。「彼女の家族もいるし、よさこいもある。転職するのにいい機会」。運よく仕事が決まり、2001年、妻と2人、高知市に移住した。よさこいチームの活動も充実し、県外や海外へ遠征に行ったり、よさこいを通じた仲間も前以上に増えた。
よさこいを踊って16年目の夏、思い切ってよさこい祭りへの参加を休み、観客として楽しんだ。踊っていると見られない色んなチームの応援や花火を楽しみ、自分の中で「踊りたい」という気持ちがまた高まってきた。「仲間や自分が好きな雰囲気、スタイルで、思いっきりよさこいを楽しみたい!」
新チームが誕生
自然と仲間たちとの気持ちが重なった。「誰とはなしにキャラクターを作ったら?こんな曲や振り付けはどう?とアイデアがどんどんと出てきて。本当にすごいパワーとやる気が集まったんです」。徐々に新しい仲間や、応援してもらえる人が増えた。
「高知のよさこいは別格なんです。その高知で、まずは自分たちのスタイルで、思いっきり楽しむこと、それが一番」。大きなスポンサーや賞ありきではなく、楽しく踊ること、応援してくれる人やお客さんに楽しんでもらえることが目標となった。
2012年夏、岡内さんが代表となり、新チームがデビューした。仲間が仲間を呼び、総勢150人。地区競演場連合会奨励賞も受賞した。「よさこいは観客の応援と踊り子の笑顔の相乗効果で盛り上がるお祭りなんです」。よさこい祭りが結んだ縁で、新たなよさこい仲間が広がっている。
よさこい移住のQ&A
Q. 移住する上で大事なことは?
A. 高知に来ても年中よさこいを踊っているわけではありません。まずは基盤になる仕事や家庭が大事で、その上での最高の趣味が「よさこい」であり、更によさこい仲間との色々な活動(ほぼ飲み会)が日々の生活をより豊かで刺激的にしてくれますね。もちろん、奥さんや家族も一緒に楽しめるのが何よりですが。
Q. 県外のよさこいチームとの違いは?
A. 県外はサークル的に年間でよさこいのスケジュールを組んでいることが多いですが、高知は夏が本番ですよね。夏の盛り上がりはどこよりも熱く、シーズンオフはどこよりも冷めているんじゃないですか(笑)。高知らしいですが。
Q. 高知に来て驚いたことは?
A. 酒の席が多いこと、長いこと、魚がとにかく美味いこと、人がおもろいことですね。変わった人も多い(笑)。他の県で働き、その地域の文化にも触れた経験がある人ほど、高知の生活にはハマるかもしれませんね。