よさこい移住プロジェクト「大学訪問企画」第一弾レポート
2023年9月2日(土)、「同志社大学よさこいサークルよさ朗」を訪問し、京都市内で「よさこい移住プロジェクト大学訪問企画第一弾」を開催しました。当日実施した「高知市への移住施策に関するPR」「出張版よさこい概論」「対談企画」の中から、よさこいに関する対談企画の様子をレポートでお届けします。
よさこい移住プロジェクト大学訪問企画第一弾レポート
~よさこい移住応援隊が語る、学生よさこい引退後の可能性~
高知発祥の「よさこい祭り」を移住・定住施策に打ち出した「よさこい移住プロジェクト」。2015年にスタートさせて以来、「よさこい移住応援隊相談出張所」として、高知市は県内外で相談対応を実施してきました。
2023年は「よさこい移住プロジェクト大学訪問企画第一弾」として、京都の「同志社大学よさこいサークルよさ朗」(以下、よさ朗)を訪問。
高知大学で「よさこい概論」を教える川竹大輔さんをファシリテーターにお呼びし、よさ朗のOGでもある、よさこい移住応援隊員(よさこいが好きで高知市に移住をしたメンバー14人で構成)とよさ朗18代目代表・19代目代表で、京都で夢中になったよさこいの魅力と、サークル引退後もよさこいを日常にすることへの魅力について対談しました。
目次
・青春時代を京都で過ごしたよさ朗OB・OG・現役の3人が語る、よさこいとの出会い
・高知は唯一無二!?よさ朗代表たちが感じてきたよさこい祭りの魅力
・高知での練習終わりに夜行バスで大学へ。よさ朗を引退後に選んだ「よさこい留学」の道
・よさこい祭りへの新規参入は難しい?学生ならではの視点でよさこいを解剖
・よさこい留学への興味54%!よさこいが繋いだ新たな関わり
青春時代を京都で過ごしたよさ朗OB・OG・現役の3人が語る、よさこいとの出会い
川竹先生(ファシリテーター):よさこい移住プロジェクト大学訪問企画の第一弾として、前半はよさこいの歴史や、なぜよさこいが全国に広がっていったのかをよさ朗の皆さんに学んでいただきました。後半では、現役のよさ朗19代目代表と、引退されたばかりの18代目代表。そして、よさ朗の3代目代表として活動されており、今現在高知市に移住をし「よさこい移住応援隊」として活動されている芳村さんに、「よさこいの魅力」や「引退後の可能性」について対談していただきたいと思います。ではまず3人それぞれの立場から、よさこいをはじめたきっかけを教えてください。
川竹大輔(Daisuke Kawatake)
高知大学次世代地域創造センター専門員(地域人材育成)/ 高知市出身。朝日新聞記者、三重県津市議会議員を経て、平成12年(2000年)から橋本大二郎高知県知事の特別職秘書、安芸市助役、NPO役員などを務める。平成28年(2016年)から高知大学次世代地域創造センターCOC +推進コーディネータ特任准教授。著書に「よさこいは、なぜ全国に広がったのか―日本最大の交流する祭り」がある。
芳村百里香(以下、芳村):0歳から17歳まで、習い事や部活で水泳をしていました。個人競技の反動で「大学に入ったら団体競技をしたい!」と高校生の頃から思っていたんです。大学のサークル一覧を見る中で「よさこい」という文字を見つけて、「今からダンスをはじめるのはハードルが高いけど、よさこいだったらはじめられるかも!」と、よさ朗に加入しました。
芳村百里香(Yurika Yoshimura)
高知市よさこい移住応援隊。同志社大学よさこいサークルよさ朗3代目代表 / 奈良県出身。大学時代によさこいと出会い、高知市へ移住。現在は高知市のよさこいチーム「十人十彩」で踊りながら、高知市よさこい移住応援隊として「日常によさこいがある生活」をPRしている。
狩野賢二(以下、狩野):実は僕、よさこいが何かわかっていない状態で入部したんですよね。色々サークルを見る中で、よさ朗の雰囲気を気に入ってしまって、気がついたら代表にまでなってしまっていました(笑)。元々野球部だったこともあり、チーム一丸となって何かをつくりあげていくことにも魅力を感じました。
狩野賢二(Kenji Kano)
同志社大学よさこいサークルよさ朗18代目代表 / 愛知県出身。大学を機によさこいの面白さに気づき、2022年に18代目の代表に立候補。2021年に入学し、コロナ禍でのよさこいサークル存続や運用について従事。2023年に開催された第70回高知よさこい祭りで初めての高知を体感する。
森岡祥之(以下、森岡):僕は高知市出身で、元々よさこいに馴染みがありました。母もよさこい祭りで踊っていたので、僕自身も「いつかよさこいを踊ってみたい」と思いながらも機会に恵まれなくて。入学した同志社大学に「高知流」と語るよさこいサークルと出会い、「これは入部するしかない!」と運命を感じて入部しました。
森岡祥之(Yoshiyuki Morioka)
同志社大学よさこいサークルよさ朗19代目代表 / 高知市出身。小さい頃から当たり前にあったよさこいでしたが、進学した大学で「高知流」のよさこいサークルに出会ったことに運命を感じ入部。2022年に初めてよさこい祭りに参加し、代表へ立候補。2023年8月に新体制になり、2024年のよさこい祭り参加を目指す。
高知は唯一無二!?よさ朗代表たちが感じてきたよさこい祭りの魅力
川竹:狩野さんは18代目の代表で、今大学3年生とお聞きしましたが、よさ朗に入部されたのはコロナ真っ只中だったのではないですか?
狩野:まさにそうです。僕が入学したのが2021年だったので、対面練習が出来ず、先輩たちからオンラインで振りを教えてもらいました。ようやくリアルで練習ができるようになったのが、同年の7月ぐらい。メンバーとはオンラインでしか会ったことがなかったので、実際会ってみて「この人意外に背が低い!」ということもあったりしましたね(笑)。
川竹:今日登壇されている3人は、よさ朗の歴代代表を務められている方々ですが、代表をするまでどっぷりとよさこいにハマったきっかけや魅力を教えてください。
芳村:実は「よさこいは1年やったら辞めよう」ぐらいの軽いノリで入部していて。まさか自分が、よさこいを理由に高知へ移住するとは思ってもいなかったんです(笑)。でも初めてよさこい祭りに参加して、まちによさこいが溶け込んでいる圧倒的な空気感に感動して、どっぷりハマりましたね。高知には唯一無二の魅力がありますよ。
川竹:森岡さんは高知市出身でよさこいに馴染みがあったと思いますが、踊るのが楽しいと思い始めたのはいつ頃ですか?
森岡:はじめてのよさこいデビューはよさ朗だったんですが、最初の祭りから楽しすぎて!高知出身者としては、県外に学生チームがあることは知ってはいたんですが、ここまで全国的によさこいが広まっていることを県外に出て初めて知りました。
川竹:狩野さんは、よさこいを実際にやってみてどうでしたか?
狩野:さっき野球のお話をしたと思うんですが、みんなでつくりあげていく過程が野球と同じなんですよね。だから何か一つのものをつくりあげていく一体感がすごく楽しかったです。
高知での練習終わりに夜行バスで大学へ。よさ朗を引退後に選んだ「よさこい留学」の道
川竹:ここで、会場のよさ朗のみなさんに質問です。これまで高知に何回来たことがありますか?
川竹:ほとんどの方が高知に来てくれているんですね、嬉しいです!学生サークルのみなさんは3年生で引退される方が多い中で、引退したあとも移住をして、「よさこいを続けよう」と思った理由を、是非芳村さんに伺いたいです。
芳村:私自身も3年生でよさ朗を引退して、それでよさこい人生は終わりだと思っていたんです。でも率直に「自分もまだまだよさこいを踊りたい」という気持ちがあって、次の年に「よさこい留学」をしました。
川竹:よさこい留学ですか。大学4年生のときですね?
芳村:そうです。そのときは将来移住しようと思っていたのではなく、人生の思い出づくりとして、高知市に短期で家を借りて、高知で活動するよさこいチームに参加しました。それをよさこい留学と呼んでいるんですけど、練習終わりに夜行バスに飛び乗って、そのまま京都の大学に通学する。すごく大変でしたが、めちゃくちゃ青春でしたね!
川竹:人生の思い出づくりだったのに、実際移住をしようと思ったのには何か理由があったんですか?
芳村:その後大学院に進んだんですけど、よさこいに出会って以来はじめてよさこい祭りを外から見たんです。それが「なんで私はみんなと一緒に踊っていないんだろう」って寂しくなっちゃって。「あー、よさこいを日常にしたいな」って思ったんですよね。そのあと、京都の龍馬よさこいの実行委員を務める中で、高知の方との繋がりがより一層強固なものになり、2度目のよさこい留学の後、よさこい移住をしました。
川竹:さっき芳村さんから「高知のよさこい祭りは唯一無二」という言葉が出たと思うんですが、それはどんなところから感じましたか?
芳村:よさこい祭りの発祥が高知なので、高知の方からすると当たり前かと思うんですが、まち全体でよさこいをつくりあげているんだという空気感がすごいんですよね。まちによさこいが溶け込んでいるというか、踊る場所も商店街がほとんどで街中を練って踊っていくじゃないですか。あの「あって当たり前の風景」がすごいし、すごく好きなんです。
川竹:狩野さん、森岡さんは関西で踊るお祭りと高知のよさこい祭りの違いをどう感じますか?
狩野:1年生のときはよさこい祭りが中止になり、2年生は特別演舞としての開催でしたが、自身がコロナの濃厚接触者になってしまって結局高知に行けずじまいで…。だから代表でありながら、今年のよさこい祭りが初めての参加でした。でもよさこい祭りは他の祭りと全然違っていて、なんといってもお客さんとの距離が近い!団扇であおいでくれたり、地域全員があたたかい目で見てくれている安心感というか。3年間の想いを、おもいっきりぶつけることができたので、すごく幸せでした。
川竹:高知は流し踊りが主ですが、大変さはなかったですか?
狩野:関西はステージ踊りが主なので、正直大変でしたね。関西は流し踊りを練習できるような場所が少なくて、すごい遠い場所に出向いて練習したんですけど、みんなで「遠い…」って言いながら(笑)。でも、それもいい思い出になりましたね。
よさこい祭りへの新規参入は難しい?学生ならではの視点でよさこいを解剖
川竹:再び会場のみなさんにお聞きします。よさこい祭りは楽しかったですか?
川竹:すごい!全員一致で満足したという回答ですね!
狩野:これ、楽しくない人がいたら僕自身が責任を感じてしまうところでした(笑)。でも、本当に楽しかったです!
川竹:よさ朗さんたちが100%満足していると知ってとても嬉しいのですが、今全国にある大学の5校中1校に学生よさこいチームがあるというデータもあって、僕個人としては他の学生チームさんにも高知に来てほしいなと思っているんです。狩野さんや森岡さんが感じる、他チームが高知のよさこい祭りに参入しにくい理由ってあったりしますか?
狩野:学生ならではの金銭面での問題もあるとは思うのですが、一つ感じているのが宿の問題なんですよね。僕たちは、芳村さんを筆頭に歴代の先輩たちがずっと使ってこられた宿を利用させてもらっているので「来年もまたお願いします」ということで予約することができるのですが、新規参入するとなると、なかなか難しい。
川竹:たしかに、宿の問題はずっと言われている問題ですね…。あとは、学生さんの風習として合宿をして練習するというのがあると思うんですが、合宿場所として是非高知を推薦したいですね。
森岡:金銭問題はありますが、僕は個人的にありですね。合宿で行って、実際に会場を見て回るとか。事前に雰囲気を知ることで、想いも違ってくるかなって。
川竹:本祭直前になると、高知も練習場所が取りにくい問題があると思いますが、冬や春はいいかもしれませんね!
芳村:ちなみに「よさこい留学」という言葉を、今日初めて知った方が大半だと思うんですけど、実はよさ朗は9代目までよさこい留学の文化があったんです。4年生の時に、各代から多い時で5人ぐらいのよさ朗が高知のチームで踊っていましたね。
川竹:何月ぐらいから高知に住み始めるんですか?
芳村:高知の有名チームだと、5月末ぐらいから練習がはじまるところが多いので、それにあわせて高知で家を借りていました。大学の授業は3年生まで計画的に単位をとっておいて、よさこい留学中はあまり大学に通わなくていいように段取りをしておくみたいな感じですね。
川竹:すごくいい文化ですね。
芳村:よさこい留学を経験した子たちは、今でも高知に縁がある人たちが多くって。わたしのように移住した人もいますし、県外のチームに所属して毎年高知に踊りにきてくれたりしていて、高知のよさこい祭りが同窓会みたいになるんですよ!ちなみに高知市よさこい移住応援隊にはよさ朗のOB・OGが私含めて3人もいます(笑)。
森岡:僕たち今19代目なんですけど、9代目までそんな文化があったっていうのは全然知らなかったです。コロナによる行動規制もだいぶ緩和されているので、もう一回そういう文化が復活すれば面白いなと思います。
よさこい留学への興味54%!よさこいが繋いだ新たな関わり
川竹:では最後に、今日の話を聞いてよさこい留学に興味が湧いたという方の回答をお願いします。
芳村:え!54%!?過半数越えましたね!すごい嬉しいです!
川竹:興味をもっていただいてすごく嬉しいですね。移住するのももちろん一つの選択ですし、せっかく出会ったよさこい。移住に限らず引退後も何らかの形でよさこいに関わってくださる方が増えるといいなと思います。最後にお三方から一言ずつお願いします。
芳村:私はよさこい移住の未来というのは、よさこいを日常にすることだと思っています。今日初めてよさ朗さんたちによさこい移住のお話をさせてもらいましたが、実際のところ「移住」という未来はなかなか想像しにくいとは思っています。
芳村:ですが、私自身よさ朗を引退して15年経った今でも、その時と同じような熱量で日々よさこいを楽しませてもらっていて、私以外も同じような人生を歩んでいるOB・OGがいるのも紛れも無い事実です。よさこい移住という形だけにこだわらず、これからもよさこいで人生を彩る方が増えていってくれることを楽しみにしています。
狩野:今日は本当にありがとうございました。今日のお話を聞いて、改めてよさこいって素晴らしいなと思いましたし、機会があれば僕もよさこいを続けたいなと思いました。
森岡:今日こうやって川竹先生や、高知市の方々、よさ朗のOGさんと繋がりをもてたのは改めてよさこいがあったから。これからもよさこいを通じて繋がれる関わりを、たくさんつくっていきたいです。
川竹:今日はよさ朗さんの練習を見学させてもらったり、改めてみなさんと関わりを持つことができて、更なるよさこいの可能性を感じることができました。今日はお時間をいただき、ありがとうございました。