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土佐硯(土佐の手づくり工芸品)

53確かな品質 艶やかな墨色
中国の名硯 端渓硯に比肩

 原産地は三原村の下切地区にある伊崎畑山。原料となる石は、約6千万年前の中世代白亜紀層の黒色粘板岩である。青黒く、特殊な銅粉を含んでおり、書家からは「墨の下り具合が素晴らしく、麗しい墨色が得られる」との高評価を受けている。原石からどのような硯をつくるかは、職人の腕とアイデア次第。1つ1つの石は形も堅さも微妙に違う上に、地層のでき方によって縦目、横目があるので、縦目が横向きになるよう見極めて彫らなければならない。販路は学校や寺院、書道教室などの県内が中心だが、最近では書をしない人が、観賞用などに購入するケースも増えているという。アメリカやスイスなど海外からの見学も多く、硯の新しい可能性が広がりつつある。

土佐硯の歴史

 文献によると、土佐硯の歴史は室町時代にまで遡る。応仁の乱(1467年)で京より逃れ、 旧中村市の双海海岸に流れ着き、領主になった一条教房公。能書家であった一条公は、この地で良質の硯石を見つけ、長く愛用したという記録が残っている。その後、昭和41年に書家の新谷健吉氏によって再発見され、以来、三原村の特産品となった。昭和57年、三原硯石加工生産組合が発足、昭和59年に三原硯加工製作所として現在の工場が完成。 多いときは、25、6人の職人が切磋琢磨し、技を磨いてきた。現在は、県外からの研修生のほか、6人の組合員が在籍して いる。

硯工程

三原硯石加工生産組合

石を見極め、魂を入れる

  昭和41年に再発見された後、村の地場産業に育てようという村議らの呼びかけで職人を集めたのが三原硯石加工生産組合のはじまり。現在は、組合長の榎喜章さん、兄の嘉彦さん、発足当時を知る叔父の順(すなお)さん、親戚の中野正秋さん等が中心となって硯づくりを行っている。職人に大切なのは、原石を見て、どういうものをつくろうかと想像する「絵心」なのだそう。実際、工場内に置かれている作品を見てみると、多種多様。天然の模様を活かしたものや、通常全体の3分の1に仕上げる「海」の部分にデザインを施したもの、硯だけでなく、一輪差しや文鎮などもある。研修生が来るまで「自然消滅するしかない」とあきらめていたが、そのチャレンジ精神はまだまだ健在だ。

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原石を、のみとグラインダーで削り、
砥石とヤスリで磨いて仕上げる。
 


54-3榎 喜章さん

 いい物を作っても、使われなくてはさ みしい。現代の生活様式の中ではなかなか難しいかもしれませんが、少しでも硯を使って墨を擦る機会をもっ てほしいですね。今は学校などでもプラスチックの硯が多いと聞きますが、使えばきっと違いがわかりますよ。

連絡先   三原村商工会
        三原村来栖野346番地
        Tel.0880-46-2437 

販売場所 三原村農業構造改善センター
       三原村宮ノ川1130
       Tel.0880-46-2130


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大きさ、厚さ、形などによって値段は様々。             椿の模様を彫り込んだ石蓋付きの硯。
石の個性、職人の個性も表れる。                   細工の入ったものは84歳の榎順さんの熟練の技。