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伝統の鎌と新たな魅力の鯨ナイフ
土佐打刃物業界に、旋風を巻き起こしたくじらナイフを考案した山下哲さんは、この道40年の鎌職人。鎌づくりは師匠の父親から継いだ手法を守り、全工程を一人で行うため1日20本が限度。こだわりの一つが、裏抜きという方法。これ鎌の裏側を打ち薄くすることだが、砥石が良くなった今は省略される工程だという。かえって、鋼は出しにくく、歪みとりにも時間がかかる。しかし、そうすることで砥ぎやすい鎌になる。また焼き入れも昔ながらの炭を使った方法を貫く。炭を使って焼き入れをすれば、鉄と鋼が引き締まる。伝統手法にこだわるのは、手を抜かずに良い製品を届けたいという思いから。打刃物に関する造詣も深く、今後の発展においても考えを持つ人物である。