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作家が惚れこむ、粋な紙
表具、壁紙、障子紙、美術紙、札など多種多彩な紙に対応できる製紙所。修行時代「障子紙を漉けたら何でも漉ける」と教えられた。取材時は雁皮鳥の子という版画紙を漉いていた。初納品では、希望を聞き材料を調合し試作品を提出してから本紙を漉く。この調合の隠し味こそが職人技で、その仕事ぶりにオファーが絶えない。繊維の特長さえ掴めば方程式でできるというが、 漉き方も紙によって変えている。繊細な紙はゆっくりと漉き、置いては漉きという作業を繰り返し、きめ細やかな紙に仕上げる。「この紙は垢抜けてないといかん、女形の粋な紙を」と表現する。10年以上前から国立民族学博物館にも納品。これも1年待ちというから驚きだ。「土佐の匠」に認定。
石元 健昇さん
自分が思っている以上に、お客さんから紙の利用法を教えてもらっています。1人で全工程を行っていますので、納品もかなり待っていただいています。私の紙を使っていただけることに感謝をしながら、これからも精進したいと思います。
連絡先 石元常正製紙所
土佐市高岡町丁1252
Tel.088-852-0424
販売場所 高知県手すき和紙協同組合
吾川郡いの町波川287-4
Tel.088-892-4170
息をするのを忘れるほどゆっくりと静かに紙を漉き重ねた、
きめ細やかな美しい紙。