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植物の命を漉き込んで
土佐和紙工芸村の裏山に立つ工房。楮の栽培から乾燥まで、すべての作業を1人で行う田村さん。目の前を流れる清流仁淀川の伏流水をふんだんに使えるとあって、「環境には恵まれていますね」と微笑む。版画や絵画などの美術用の紙から、ちぎり絵や押し花用の紙まで、幅広く注文を受けている。和紙職人になっ て20年。改めて感じるのは、高知の自然を扱う仕事への誇りだという。地元の原料を使い、薬品を使わない昔ながらの工程にこだわる。和紙のことをもっと知ってもらいたいと、名刺やハガキ、和綴じ帳など、一般の人にも手に取ってもらいやすい作品も試作中だ。あたたかな手ざわりには、確かな技術と土佐和紙に対する愛情がにじみでている。
田村 寛さん
使う人が喜ぶものをつくるのが一番ですが、作り手としては、高知の気候風土を活かしたものづくりをしたいと思っています。紙すきは植物の命をもらって初めてできる仕事。その特徴を最大限に活かした商品がつくりたいし、そういう思いを伝えていきたいですね。
連絡先・販売場所 紙工房 田村寛
吾川郡いの町鹿敷1226
ht.thomas626@gmail.com
基本的にはオーダー制。依頼主と意見交換をしながら、
「少しでもいい紙を」と追及している。