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恵みの雨
No.7 恵みの雨
ほぼ週刊鏡川 2009年11月11日
高知市では8月9日以降まとまった雨量がなく,川には全然水がありませんでした。せっかく整備したアユの産卵場も干上がる寸前で壊滅的状態でした。
上の写真は2009年11月3日現在のトリム公園前の産卵場整備箇所ですが,水面面積は去年の同時期の半分以下です。
今か今かと雨乞いしていたところ,やっとまとまった雨が降りました。恵みの雨です。
上記と同じ場所の写真です。増水して近づけなかったので,少し遠くから撮影しています。上記渇水時の写真の中ほどに写っている中州は水没しています。
今年はアユの産卵がまだ本格化していません。アユは秋になると下流部に下ってきて産卵します。このアユの降下行動は出水と結びついていることが多いそうです。雨が少なく川の水量が少ないと,アユは下流部に下らずに上流に残ってしまい,産卵がうまくいきません。
この出水でアユの降下行動がかなり進んだのではないでしょうか。これからの産卵に期待が持てます。
たまには出水がないと,産卵の邪魔になる泥や砂が川底に堆積して川底が固く締まってしまいます。
この出水で川底がかくはんされ,ガチガチに固まっていた川底も産卵に適した状態にほぐされたことでしょう。
川底がほぐされ,石の隙間が多くなると,そこに生息する水生昆虫も多くなります。水生昆虫をエサとする魚も増え,その魚をエサとする魚類や鳥類も増えていきます。
生態ピラミッドの底辺が大きくなると,ピラミッドは大きく高くなっていきます。洪水のかくはんによって生物多様性が維持されるのです。
ゴーゴーと流れる出水後の川を見ると,一見川の生物には厳しそうな感じですが,たまには出水がないと川が死んでしまいます。自然のメカニズムとは不思議なものですね。