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第482回高知市議会臨時会市長説明要旨(令和3年2月12日)
第482回高知市議会定例会市長説明要旨
令和3年2月12日
第482回高知市議会臨時会にご出席をいただき,まことにありがとうございます。
議案の説明に先立ち,当面する市政課題に関連して,ご報告と考え方を申し上げ,ご理解を賜りたいと存じます。
1 国政の動向
まず,国政の動向について申し上げます。
大都市部における新型コロナウイルスの感染拡大に歯止めがかからない中,先月18日から第204回通常国会が始まりました。
本国会の開会日に行われた施政方針演説において,菅総理は,新型コロナウイルス対策を最優先課題にしながら,国土強靱化,デジタル改革,少子化対策,社会保障制度改革などの重点課題に全力で取り組んでいく姿勢を表明いたしました。
まず,喫緊課題である新型コロナウイルス対策については,感染拡大防止への対応を強化するため,先月22日,「新型インフルエンザ等対策特別措置法等の一部を改正する法律案」が本国会に提出され,与野党による精力的な修正協議を経まして,今月3日に成立いたしました。
この改正法では,「緊急事態宣言」が発出される手前の段階で,事業者に対して営業時間の短縮などの命令ができることとされ,この命令に応じない場合には,過料を科すことができる「まん延防止等重点措置」に関する規定が盛り込まれています。
都道府県知事に強い権限を与えることによりまして,感染拡大防止の実効性が高まるとともに,私権の制限にかかわる制度の運用に当たりましては,一定の慎重な判断が求められるものと考えます。
また,先月28日には,新型コロナウイルスワクチンの接種体制の整備や第3次の新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金,防災・減災国土強靱化の推進など,喫緊の感染予防対策と経済対策経費を盛り込んだ総額15兆4,271億円に上る令和2年度第3次補正予算が成立いたしました。
国の第3次補正予算の成立を受けまして,地方創生臨時交付金の本市への第3次配分額として,約15億円が示されましたので,新型コロナウイルスの感染予防対策や,事業者の方々の雇用維持,事業継続を支援する施策の財源として有効に活用してまいります。
さらに,政府におきましては,栃木県を除く10都府県における「緊急事態宣言」が3月7日まで1か月延長されたことにより,社会経済活動の停滞が長期化することを踏まえ,今月9日の閣議において,営業時間の短縮要請に応じた飲食店への協力金に使える地方創生臨時交付金や,飲食店の取引先で売上が減少した中小企業への一時支援金の財源として1兆1,372億円の予備費支出を決定するなど,追加経済対策の動きも出ていますので,今後の国政の動向を十分に注視し,情報収集を図ってまいります。
2 新型コロナウイルス対策
次に,直近の新型コロナウイルス対策について申し上げます。
本市における新型コロナウイルス感染症の第3波の発生状況は,昨年12月に感染者数が急激に増加するとともに,年明けには高等学校等で3件のクラスターの発生があり,緊迫いたしましたが,飲食店等をはじめとする事業者の皆様にも,営業時間短縮要請のご協力をいただいたことなどによりまして,先月21日以降は,1日当たりの感染者数が1桁台で推移しており,今月10日時点での累計感染者数は,県内で864名,市内では605名となっています。
新型コロナウイルスへの感染によりまして,これまで県内でお亡くなりになられました17名の方々に対しまして衷心よりお悔みを申し上げ,ご冥福をお祈りいたしますとともに,罹患されました患者の皆様やご家族に対しまして,心よりお見舞いを申し上げます。
全国的には,先月7日及び13日と続いて,東京都をはじめとする11都府県に緊急事態宣言が発出されましたが,感染防止に向けた飲食店等の協力や国民の皆様の自粛行動などによりまして,全国の新規感染者数は,1月中旬以降,減少傾向となっています。
県内では,感染状況が沈静化していることを踏まえ,濱田高知県知事は「高知県における新型コロナウイルス感染症対応の目安」を,先月22日に「特別警戒(赤)」から「警戒(オレンジ)」レベルに引き下げられたところですが,日本国内では,コロナウイルスの変異株による感染事例が生じるとともに,重症者数や死亡者数は過去最多の水準となっていますので,さらなる感染拡大を防ぐため,引き続き基本的な感染予防対策を進めていく必要があります。
また,新型コロナウイルス感染予防に向けて,期待されているワクチン接種につきましては,国の第3次補正予算において5,736億円が予算措置され,これまでに国が基本合意又は契約の締結をしている海外3社のうち,ファイザー社のワクチンが,厚生労働省において今月15日に薬事承認される予定であり,国内初のワクチンとして流通が開始されることとなります。
本市におきましては,接種を希望される市民の皆様に,円滑にワクチンを接種していただけるよう,2月1日付けでワクチン接種を担当する地域保健課内に「ワクチン接種推進係」を新設するなど,人員体制の強化を図りながら,3月下旬に予定されている高齢者の方々への接種クーポン券の発送や,お問い合わせ等に対応するコールセンターを3月1日から運用するための準備を進めています。
海外からのワクチン輸入量が不透明ではありますが,今後も国からのワクチン接種に関する情報に十分留意しながら,高知市医師会や医療機関等の関係団体との協力体制を構築し,市民の皆様の円滑なワクチン接種に向けまして,接種場所やスタッフ確保などの準備に精力的に取り組んでまいります。
3 補正予算・予算外議案
次に,議案についてご説明を申し上げます。
今回の臨時議会に提出いたしました議案は,予算議案3件,その他議案2件です。
今回の補正予算は,急を要する案件を考慮しながら,新型コロナウイルス感染症へ迅速に対処するため,一般会計では,市民の皆様のワクチン接種や中小企業等の事業継続を支援するための経費などを中心に予算計上いたしました。
以下,「新型コロナウイルス感染症に係る高知市対処方針」に掲げる「5つの柱」に沿いまして,順次ご説明申し上げます。
まず,「市民の感染拡大防止対策」として,すべての市民の皆様の新型コロナウイルスワクチン接種に必要な費用や,医療機関に対する報酬の審査支払い事務などを委託する経費について,債務負担行為を設定いたします。
また,障害がある方々の感染予防対策として,網膜色素変性症等による夜盲で日常生活に支障のある方が,ガイドヘルパーとの密着を回避できる「暗所視支援ゴーグル」を日常生活用具として支給するとともに,社会福祉法人が感染拡大防止対策として実施する「仕切り壁」を設置する経費に対し助成いたします。
次に,「中小企業等の事業継続に向けた支援」として,まず,「中小企業等生産性向上設備導入支援事業費補助金」について申し上げます。
昨年7月に,市内事業者を対象に実施いたしました「新型コロナウイルス感染症に関するアンケート」において,「どのような支援策が必要か」との質問に対して,「追加の給付金支給」との回答が289件と最も多かったのに次いで,「売上回復等を目的とした設備投資への補助金」とのご回答を193件いただいております。
この回答結果等を踏まえ,新型コロナウイルスの影響により,売上が減少している中小事業者や個人事業主を対象として,生産性を向上させる先端設備等を取得する費用の一部を助成し,業績落ち込みに対する一定の支援を図る補正予算を計上いたしました。
次に,「理美容店利用促進事業費補助金」について申し上げます。
新型コロナウイルス感染拡大の影響に伴い,よさこい祭りの中止や結婚披露宴のキャンセル等により,美容業界が大きな打撃を受けています。
加えて,理美容業界では,サービス提供時に顧客であるお客様との接触時間が長いことから,新型コロナウイルス感染を懸念され,お客様が理美容店への来店を控える傾向があり,理美容店の売上にもコロナ感染の影響が出ています。
こうしたことから,新規感染者数の発生が一定落ち着いてきた現況を踏まえ,理美容店の売上回復を目的として,高知県理容生活衛生同業組合及び高知県美容生活衛生同業組合が実施する,感染対策ガイドラインを遵守している店舗で使用できる「理美容クーポン券」を発行する事業を支援し,理美容店における需要喚起を図る経費を計上いたしました。
次に,「農産物集出荷施設等整備事業費補助金」について申し上げます。
今般の新型コロナウイルスの感染拡大を受け,飲食業や観光業をはじめとする幅広い業種において事業活動が縮小し,農産物の需要が減少してきており,中山間地域の基幹作物であるユズにつきましても販売が低迷している状況にありますので,集出荷施設等での選果作業時における接触機会を低減しつつ,市場単価の高い青果用ユズが選別できるシステム導入を支援してまいります。
次に,「子どもの活動及び家庭学習の支援」として高校生に対する「GIGAスクール構想推進事業」について申し上げます。
本市ではICTを活用し,すべての子どもたちの学びを保障できる環境を実現する方針の下,児童生徒1人1台の端末整備を進めており,本年6月末までには,小中学校の全児童生徒に対するタブレット端末の整備が完了する見通しとなっています。
一方,高知商業高等学校におきましては,これまで保護者の方々のご協力によりタブレット端末を生徒に配備しておりましたが,一部の生徒さんが利用できる状況にとどまっておりました。
今般成立いたしました国の第3次補正予算では,高等学校の生徒が使用する端末整備に対する財政支援が盛り込まれたことから,義務教育段階で1人1台端末の環境下で学んだ児童生徒が,高等学校教育課程におきましても同様の学習環境で学ぶことができるように,高知商業高等学校及び高知特別支援学校高等部のすべての生徒さんにタブレット端末を配備しようとするものです。
併せて,令和3年度から小中高で児童生徒1人1台端末の下での授業等を本格的にスタートさせますが,各学校においてインターネット回線を一斉に使用いたしますと,膨大なデータ通信量になるため,接続遅延などが発生し,学習活動に支障が生じることが懸念されます。
このため,各学校からの回線を集約してインターネットへ接続する現在の方式を改め,学習系ネットワークを各学校から直接インターネットへ接続する方式に変更するための経費を計上いたしました。
次に,「学校施設感染拡大防止対策事業」について申し上げます。
県内での感染状況は,比較的落ち着いた状況にありますが,さらなる感染拡大を防ぐためには,引き続き,学校における感染防止対策を徹底していく必要があります。
本市では,今年度7月補正予算において,国の補助制度を活用して,消毒液や非接触体温計等を購入するための予算を確保したところですが,日々の感染症対策を学校長の判断で迅速かつ柔軟に対応することができるように,衛生用品や換気対策の物品を購入する各学校への配当予算を増額して,感染予防対策に万全を期してまいります。
次に,「特定不妊治療助成事業」について申し上げます。
本市では,妊娠・出産を希望する世帯の皆様を支援するため,国の特定不妊治療助成制度を活用し,高額な医療費がかかる体外受精などの治療に要する費用の一部を助成し,経済的負担の軽減を図ってまいりました。
政府におきましては,全世代型社会保障改革の方針の下,令和4年度当初から不妊治療への公的医療保険の適用を目指しており,保険適用までの間は,移行を見据えた対応を図るために,現行の助成制度を拡充することとしています。
今般の国の第3次補正予算では,本年1月1日以降に終了する特定不妊治療についての助成が拡充され,所得制限の撤廃や事実婚についても助成対象に加わったほか,治療1回当たりの助成額が引き上げられることとなりました。
本市におきましては,従来から国の助成制度に加えまして,独自の上乗せ助成を行い,妊娠・出産を広く支援してまいりましたが,今回の国の助成制度の拡充に合わせ,本市の助成制度をさらに拡充することにより,子どもが欲しいと願われ,治療を続けておられます方々に寄り添い,安心して産み育てられる社会の実現を目指してまいります。
以上,申し上げました内容によりまして,提案しております今回の補正規模は,
一般会計 8億7,800万円の増額
特別会計 260万円の増額
であり,補正後の予算規模は,全会計の純計で3,042億3,558万7千円となり,この補正予算の財源として,特定財源では国庫支出金や市債等を充当し,一般財源では繰越金を充当いたしました。
次に,予算外議案について申し上げます。
その他議案は,一般会計補正予算についての市長専決処分の承認議案及び文化プラザかるぽーとの長寿命化整備事業に係る請負契約締結議案の2件です。
このうち,市第4号令和2年度高知市一般会計補正予算についての市長専決処分の承認議案は,本市での新型コロナウイルスワクチン接種に向けた体制整備を速やかに進めるため,高齢者用の接種クーポン券の印刷発送業務のほか,市民の皆様からのお問い合わせに対応するコールセンターの設置の予算を計上するとともに,債務負担行為を設定する補正予算を1月28日付けで市長専決処分いたしましたので,市議会のご承認を求めるものであります。
市第5号高知市文化プラザ長寿命化整備事業請負契約締結議案については,令和2年9月定例会において,総額40億円の継続費設定についてご承認をいただき,昨年10月9日からの事業者公募に対して,2つの共同企業体から提案があり,本年1月20日に外部委員3名を含む7名で構成する審査委員会を開催いたしました。
当企業体から提出された提案書では,財政負担の軽減を考慮して,事業費の抑制と大幅な工期短縮案が示されるとともに,市内業者への発注予定額を明示するなど,地域経済への配慮が認められたことに加えて,生涯学習課と高知市文化振興事業団の事務室機能の一部を,令和4年4月以降の工事期間中についても現在の場所で使用可能とする施工計画が提示されました。
審査委員会では,ご提案いただいた事業内容を評価し,「大成・荒川電工・エイアンドティ特定事業共同企業体」を契約候補者として選定し,今月4日に仮契約の締結に至りましたことから,施工に向けて十分な準備期間を確保するため,本日の臨時会にお諮りするものですので,ご理解をお願いいたします。
報告5件につきましては,いずれも法令所定の手続によりご報告するものです。
以上,提出をいたしました議案について,概要の説明を申し上げましたが,よろしくご審議の上,適切なご決定をお願いいたします。