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第488回高知市議会臨時会市長説明要旨(令和4年1月28日)

第488回高知市議会臨時会市長説明要旨

 

令和4年1月28日

 第488回高知市議会臨時会にご出席をいただき,まことにありがとうございます。

 議案の説明に先立ち,当面する市政課題に関連して,ご報告と考え方を申し上げ,ご理解を賜りたいと存じます。

1 国政の動向

 まず,国政の動向について申し上げます。

 全国的に新型コロナウイルス第6波による感染が急速に広がる中,今月17日から第208回通常国会が始まりました。

 今国会の開会日に行われた施政方針演説におきまして,岸田総理は,新型コロナウイルス「オミクロン株」の感染拡大防止対策に全力を挙げることとし,医療提供体制の構築に万全を期すとともに,3回目のワクチン接種について,本年3月以降,高齢者の方々への接種間隔をさらに前倒しして,6か月に短縮することを表明しています。

 併せて,5歳以上11歳以下の子どもさんへのワクチン接種についても,希望される方ができるだけ早く接種を受けられるように,具体的な手続きを進める方針を述べられました。

 岸田総理には,全国的に急拡大している「オミクロン株」の感染抑え込みに効果的な道筋を早急に示していただくとともに,地方自治体が3回目のワクチン接種などを円滑に進めていけるように,小児等に対する具体的なオペレーションの早期開示や,接種間隔短縮に伴うワクチンの必要量をしっかりと確保していただくように全国市長会からも強く要請しております。

 災害対策の分野では,今月22日午前1時8分に日向灘で発生したマグニチュード6.6,震度5強の地震によりまして,本市でも震度3の揺れがありましたが,喫緊の課題である南海トラフ地震や全国的に被害が激甚化している豪雨災害等に備えるため,令和3年度からの5年間で15兆円規模の「防災・減災,国土強靱化のための5か年加速化対策」に基づく取組を着実に進めることを表明されていますので,浦戸湾三重防護をはじめとする本市の防災対策を積極的に推進するために,重要な財源確保に向けて国に強く働きかけてまいります。

 今通常国会では,過去最大となる107兆円に上る一般会計当初予算案や政府の新型コロナウイルス対応をはじめとする重要課題に関する質疑が活発に行われていますので,今後の国政の動向を十分に注視し,精力的に情報収集を図ってまいります。

 なお,現在,国会で議論されております18歳以下の子どもさんを養育する「離婚ひとり親世帯」の方々に対します10万円相当の給付につきましては,国において全額国費で給付する方向で検討されていますので,国からの正式な通知があり次第,準備作業を進めてまいります。

2 新型コロナウイルス対策

 次に,直近の新型コロナウイルス対策について申し上げます。

 昨年夏に猛威を振るった「デルタ株」よりもさらに感染力が強い「オミクロン株」による感染が主流となり,全国的に新規感染者数が激増しています。

 現在,34都道府県に「まん延防止等重点措置」が適用されており,本市におきましても,年末年始の帰省や旅行等で他県との往来が活発になったことなどにより,今月3日に約50日ぶりに新規感染者が確認されて以降,感染が急拡大しており,医療機関や学校等でのクラスターの発生や,幼児・児童等にも急速に感染が広がるなど,予断を許さない緊迫した状況にあります。

 本市では,さらなる感染拡大を想定した保健所の体制強化を取りながら,全庁的な応援体制整備の下で,高知県や高知市医師会,高知県看護協会などの関係機関の積極的なご協力を得て,保健医療提供体制の構築に全力で取り組んでいます。

 予防策となる本市における3回目のワクチン接種につきましては,原則,2回目接種の完了から8か月以上を経過した18歳以上の方を対象として,昨年12月1日から開始しています。

 国におきましては,全国的な「オミクロン株」による感染急拡大を受けて,3回目接種の「期間前倒しに関する方針」を段階的に示しており,まず,昨年12月の通知文書により,医療従事者等の接種間隔を2か月前倒しして,2回目接種から6か月以上経過した方を対象といたしました。

 さらに,今月13日付けの新しい通知文書では,本年3月以降は,高齢者の皆様の接種間隔を2か月短縮し,6か月以上経過した方に対し,3回目接種を実施できることとなりました。

 このため,本市におきましても,高知県におけるワクチン供給量の配分や,接種体制確保等の現況を見極めながら,ご希望される方々に対しまして,できるだけ早期に3回目のワクチン接種が実施できるように,精力的に取り組んでまいります。

 また,5歳以上11歳以下の子どもさんへの新たな専用ワクチンの接種方針につきましては,本日午後から厚生労働省の説明会がありますので,今後の国の動向を注視しながら対応してまいります。

 最近の職場や家庭内感染の急拡大を受けて,高知県では,今月20日に対応ステージを「特別警戒(赤)」に引き上げて,感染防止対策の徹底を呼び掛けていますので,直近の県の判断を注視するとともに,市民の皆様には,「オミクロン株」にも有効なマスク着用や手指消毒の徹底,日常生活における三密の回避や室内の定期的な換気など,基本的な感染防止対策への協力を引き続きお願いいたします。

 また,報道にもありますように,新型コロナウイルスへの感染が公表された施設等に対しまして,誹謗中傷が寄せられており,大変心が痛みます。

 心無い誹謗中傷は決して許されるものではなく,新型コロナウイルスに感染したことにより,苦しい思いをされている患者さんやご家族,関係者の方々を深く傷つけることとなりますので,市民の皆様には人権に配慮した冷静な行動へのご協力を重ねてお願いいたします。

3 補正予算・予算外議案

 次に,議案についてご説明を申し上げます。

 今回の臨時議会に提出しました議案は,予算議案1件,その他議案1件です。

 今回の補正予算は,急を要する案件を考慮し,新型コロナウイルス感染症への対応として,昨年12月20日に成立した国の補正予算に基づき,本市に新たに15億円程度が配分される臨時交付金等の財源を活用し,住民税非課税世帯等に対する臨時特別給付金をはじめ,中小企業等の事業継続を支援するための新たな経費等を中心に予算計上しましたので,主な内容について順次ご説明いたします。

 まず,「住民税非課税世帯等臨時特別給付金」について申し上げます。

 昨年11月19日に閣議決定された「コロナ克服・新時代開拓のための経済対策」において,新型コロナウイルス感染症の影響が長期化する中で,様々な困難に直面する方々が速やかに生活や暮らしの支援を受けられるように,住民税非課税世帯等の方を対象に,1世帯当たり10万円の給付を行うこととなりました。

 本市では,本年1月1日付けで,新たに「非課税世帯等臨時特別給付課」を立ち上げており,今月17日には,コールセンター業務や発送物の印刷,封緘発送業務や各種申請書の審査等を一体的に行う「総合委託方式」により,受託事業者と契約を締結するなど,給付金の早期支給に向けまして,精力的に準備を進めております。

 この給付金の対象者は,基準日となる昨年12月10日時点において,令和3年度住民税均等割が世帯全員非課税である「住民税非課税世帯」に加えまして,新型コロナウイルス感染症の影響を受け,令和3年1月以降の家計が急変し,非課税世帯と同様の経済事情にあると認められる「家計急変世帯」が対象となっています。

 今臨時議会では,「住民税非課税世帯」については6万世帯,「家計急変世帯」としては1万世帯の合計約7万世帯を対象とした臨時特別給付金に係る70億円の補正予算をお諮りしていますので,議案のご承認がいただけましたら,速やかに給付金の支給に向けた準備を進め,本年3月からの支給開始を目指してまいります。

 次に,「保育,幼児教育などの現場で働く方々の処遇改善」について申し上げます。

 昨年11月に閣議決定された国の経済対策では,「保育士等・幼稚園教諭などを対象に,賃上げ効果が継続される取組を行うことを前提として,収入を3パーセント程度引き上げるための措置を前倒しで実施する」こととされました。

 本市におきましても,新型コロナウイルス感染症への対応を余儀なくされている中で,強い責任感と緊張感を持ちながら,最前線で懸命に働いておられます保育士や幼稚園教諭,放課後児童支援員や社会的養護従事者などのエッセンシャルワーカーの皆様の処遇改善に向けて,本年2月からの収入を引き上げるための補正予算を計上しています。

 保育現場や幼児教育などの職場で懸命に働いておられます方々の処遇が改善されることにより,慢性的な人手不足を解消するための人材確保や,働く方々の意欲向上につながることを強く期待しています。

 次に,「団体旅行客誘致促進給付金」について申し上げます。

 新型コロナウイルス感染症の影響による観光需要の減少は,多くの関連産業に多大なる影響を及ぼしており,本市では観光需要の回復に向けて,GoToトラベルキャンペーンをはじめとする国の施策に対応するとともに,県市連携の下,様々な支援策を実施してまいりました。

 昨年9月定例会では,個人旅行に比べて回復の遅い団体旅行に対する誘客支援策として,市内で宿泊を伴う募集型企画旅行を催行する事業者に対し,需要喚起策の事業を実施しております。

 高知市旅館ホテル協同組合が調査した「主要宿泊施設の宿泊者数」は,事業対象期間となった昨年12月において,新型コロナウイルス拡大前の令和元年実績を上回る人数となったことから,誘客に効果があったものと考えます。

 今後,感染状況の一定の収束を条件にして,第6波の「オミクロン株」の感染拡大により急速に冷え込んでいる団体旅行の誘客支援策の第2弾として,需要喚起対策としての補正予算を今議会にお諮りしています。

 事業実施に当たりましては,感染状況を見極めながら柔軟に対応してまいりますが,旅行商品の造成などに一定の期間を要しますので,事業者の皆様に事前準備を行っていただき,事業実施が可能となった際には,速やかに団体旅行を催行いただくことで,切れ目のない旅行需要の喚起につなげてまいりたいと考えております。

 次に,「新規観光周遊ルート開拓事業」について申し上げます。

 長引く新型コロナウイルス感染症の影響に伴い,旅行ニーズも変化してきており,令和2年11月に本市が実施した「高知市観光満足度調査」では,コロナ禍における自然体験志向の高まりなどにより,特に関東圏からの入込割合が,平成30年と令和2年との比較で16.5パーセントから43.7パーセントへと大幅に増加しており,これまでの近県観光に加えて,遠方からの誘客に対する取組への重要度が増しています。

 本市では,昨年11月に国の地域活性化起業人制度を活用して,日本航空株式会社から社員1名の派遣を受けており,航空機を利用した遠方からの誘客に対し,派遣社員の持つ集客ノウハウやネットワークを活かし,同航空会社と連携し,新たな観光ルートの形成を目指しています。

 今議会には,新たな観光ルートの形成に向けた満足度等の調査を目的としたモニターツアーの実施等に関する契約に必要な債務負担行為の設定をお諮りしていますので,議案のご承認がいただけましたら,モニターツアーの結果等を踏まえ,観光客を呼び込む新たな旅行商品の造成につなげ,各航空会社などとの横展開を図りながら,観光需要の創出と周遊促進を目指してまいります。

 次に,「中小企業等生産性向上設備導入支援事業費補助金」について申し上げます。

 令和2年7月に市内事業者を対象に実施した「新型コロナウイルス感染症に関するアンケート」の結果では,行政に求める支援内容として,「売上回復等を目的とした設備投資への補助金」が欲しいとの回答を多くいただきましたことから,令和2年度2月補正予算において「中小企業等生産性向上設備導入支援事業費補助金」を創設しています。

 今議会にお諮りしている補正予算では,当該補助制度の支援メニューを拡充し,多くの事業者の皆様にご利用いただきやすい制度設計としています。

 具体的には,昨年7月に実施した事業者向けのアンケート調査において,「設備投資支援」に次いで「IT化支援」を求める回答が数多くあったことから,在庫管理システムや受発注システム,システムに付随するIT機器の導入など,生産性向上に資する業務のIT化に積極的に取り組むために必要な経費を新たに補助対象に加えるとともに,売上減少の要件については,現行の10パーセント減から5パーセント減に基準を緩和し,使いやすい制度に変更しましたので,多くの事業者の皆様に本制度をご活用いただくことにより,生産性向上と売上増加に向けた支援を目指します。

 次に,「広告活用販売促進支援事業」について申し上げます。

 新型コロナウイルス感染症の影響によりまして,飲食店をはじめとする来店型店舗の売上の低迷が長期化しています。

 このため,事業継続や売上確保を図ることを目的として,感染症対策を行いながら事業を継続していただいている市内中小企業者等が行うテレビやラジオCM,新聞や雑誌広告などの広報に係る経費を支援するための補正予算を,昨年9月定例会においてご承認いただきましたが,募集開始からわずか3日間で予算枠をすべて消化し,早々に募集を締め切る状況となり,事業者の皆様のニーズの高さを実感いたしました。

 こうしたことから,今回の補正予算では,対象事業者数を200者から300者に増やすとともに,事業実施期間を3期に分けて募集を行う事により,年間を通じた支援が可能となる制度設計としておりますので,多くの事業者の皆様に本制度をご活用いただきたいと考えております。

 次に,「ウェディング支援給付金」について申し上げます。

 新型コロナウイルス感染症に対する不安感から,多くのカップルが披露宴や結婚式の開催を見合わせており,本市のウェディング業界は深刻な影響を受けています。

 そのため,厳しい状況に置かれているウェディング関係事業者を支援するとともに,披露宴や結婚式の開催を検討しているカップルを後押しするため,新型コロナウイルス感染拡大防止ガイドラインを遵守した上で,披露宴や結婚式などを行った際の費用に対し,その規模に応じて支援金を給付いたします。

 この制度の実施によりまして,ご結婚されるカップルの皆さんが感染防止対策の整った会場等で披露宴や結婚式の開催に踏み切るきっかけになるとともに,ウェディング関係事業者の事業継続に向けた支援につながることを期待しております。

 次に,「地産地消畜産フェア開催事業」について申し上げます。

 長引く新型コロナウイルス感染症の影響を受け,外食需要の減少等による市場価格の低迷や巣ごもり需要の伸びの鈍化など,畜産関連事業者は厳しい経営状況に置かれています。

 このため,農協や食肉関係団体,中心市街地の商店街等と連携しながら,畜産分野としては本市初となる「地産地消畜産フェア」を開催し,畜産物の需要喚起と消費拡大を図ることによりまして,県内の畜産業を支援してまいります。 

 次に,「春野漁港施設機能強化事業」について申し上げます。

 春野漁港におきましては,台風等による被災の影響に伴い,消波ブロックの飛散等の被害が度々発生していることから,国の補助制度を活用し,平成27年度から機能強化事業に取り組んでいます。

 今般,国土強靱化に係る国の令和3年度補正予算による有利な財源が得られましたので,令和4年度以降に予定している消波ブロックの設置や防波堤の拡幅・補強工事等を前倒して実施し,事業の推進を図ってまいります。

 当該事業につきましては,財源となる国の令和3年度補正予算を繰り越して活用するため,令和4年度中の事業完了が必須となりますので,工期確保のため今議会に補正予算をお諮りするものですので,よろしくお願いいたします。

 以上,申し上げました内容によりまして,提案しております今回の補正規模は,

  一般会計 74億5,500万円の増額

 であり,補正後の予算規模は,全会計の純計で2,899億2,361万9千円となり,この補正予算の財源として,国庫支出金や市債等を充当いたしました。

 次に,予算外議案について申し上げます。

 その他議案は,令和3年度高知市一般会計補正予算についての市長専決処分の承認議案1件です。

 この議案は,今議会に提出しております「住民税非課税世帯等臨時特別給付金」の支給に向けた体制整備を速やかに進めるため,市民の皆様からのお問い合わせに対応するコールセンターの設置等をはじめとする事務費に係る補正予算を今月7日付けで市長専決処分しましたので,市議会のご承認を求めるものであります。

 報告2件につきましては,いずれも法令所定の手続によりご報告するものです。

 以上,提出をいたしました議案について,概要の説明を申し上げましたが,よろしくご審議の上,適切なご決定をお願いいたします。