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第390回高知市議会定例会市長説明要旨(平成17年9月21日)

 第390回高知市議会定例会にご出席をいただき,まことにありがとうございます。
 最初に国政の動向ですが,去る9月11日,郵政民営化関連法案の否決を契機とする衆議院解散に伴う衆議院議員総選挙が行われました。今回の選挙は国会解散までの手続や選挙日程など極めて異例な選挙となりましたが,争点となった郵政民営化の是非ととともに,社会保障制度をはじめとする多くの課題が顕在化している中で,今後の日本の政治の在り方や将来ビジョン,進むべき方向などを選択する重要な選挙として高い関心を集め,国民の民意を広く問うものとなりました。
 全国的には小泉内閣の改革路線が広く支持される結果となりましたが,国民の信任を得られました内閣及び与党におかれましては,様々な地域間格差の偏在がこれ以上拡大しないように,真の地方分権のさらなる進展に向けて積極的な取組を深めていただくことを強く願うところであります。
 また,県内のそれぞれの小選挙区の結果を見ますと,将来の社会保障制度や年金等に対する不安感が県民の中に根強くあるのではないかと感じています。
 こうした県民の不安感や厳しい地域経済状況の下で,今回の選挙でそれぞれ選出されました国会議員の皆様方には,高知県の将来を見据えて,県勢浮揚に向けたますますのご活躍を心より願っております。
 一方,この解散・総選挙の間,国におきましては平成18年度国家予算の編成作業が進められており,各省庁からの概算要求が既に提出されております。概算要求の総額につきましては,平成17年度当初予算比で一般会計3.8パーセントの増,一般歳出0.5パーセントの増となっております。
 今回の概算要求基準では,引き続き歳出改革路線が強化され,平成17年度を上回る予算の削減幅の設定や,社会保障関係費における自然増の圧縮を図ることなどの方針が示されており,今後,財務省における査定作業を通じて,平成17年度当初予算以下の予算規模に厳しく抑制されることが見込まれます。
 地方における平成18年度予算は,骨太の方針に基づき平成16年度から進められてきた三位一体改革の最終年度となる節目の予算となることから,地方六団体では義務教育費国庫負担金や生活保護費負担金など,残された問題の解決に向けた協議や,3兆円の税源移譲をさらに確実なものとするための「国庫補助負担金等に関する改革案」を総理に提出するなど積極的な取組を進めております。
 今後も,残されました課題の決着に向けた取組を継続して進めてまいりますとともに,平成19年度以降の第2期三位一体改革など地方分権へのさらなる改革に向けまして,全国市長会をはじめとする地方六団体等との連携の下に,国と地方の協議の場を確保し,地方分権の推進を図ってまいりたいと考えております。

 以下,当面する市政課題と提出いたしました議案に関連し,ご報告と考え方を申し上げ,ご理解を賜りたいと存じます。
 まず,本年4月以降に発覚いたしました一連の不祥事への対応について申し上げます。
 本市観光課課長補佐による公共的団体の事業費横領事件と,それに続き判明いたしました未処理金の問題につきまして,高知市議会補助金等交付事務調査特別委員会より,6月議会での中間報告に続き,先ほど最終報告として大変厳しいご指摘とご提言をいただき,大変申し訳なくお詫び申し上げます。
 これまで不祥事等の再発防止策が徹底できておらず,また,問題意識を全庁的に共有することができていなかったことから同様の事件の発生を許してしまったことを深く反省し,ただいまご指摘をいただきました点を踏まえて,今後,徹底した取組による組織の再生を目指してまいらなければなりません。
 具体的に再発を防止する仕組みとしまして,公共的団体等の公金等を取り扱う際の運用基準として,「高知市が関与する公共的団体等設置・運用マニュアル」を策定し,全庁的な統一を図ることとしております。
 マニュアルの内容は,公共的団体等を実行委員会など3つのパターンに分類し,団体への関与等の在り方や規約,補助金交付要綱の例示,団体等の出納事務を職員が実施する場合の具体的な事務の流れ,監査方法などについて詳しく定めております。
 今後,高知市関与団体会計事務等適正化対策本部を中心とした公金等の執行状況の調査確認や四半期ごとの資金取扱状況のチェックに加え,予算編成作業時等においてもこれら団体等の実情を厳しくチェックするなど,組織的な検証を行うことにより,このマニュアルの実効性を担保しながら公金等に関する不祥事の連鎖にここでピリオドを打つ決意であります。
 また,本年6月市議会定例会において設置されました「不適正発注等に関する調査特別委員会」では,不適正な工事発注の問題につきまして,現在も調査が進められており,今後も真摯に調査に協力するとともに,その実態と問題点を明らかにした上で,是正に向けて積極的に取り組んでまいらなければなりません。
 これら一連の事件における私自身の管理監督者としての責任につきましては,組織を預かる者として厳しく受け止めており,不適正発注等の全容が明らかになった時点で私自身の処分等について改めてご提案申し上げたいと思います。
 今回の一連の不祥事や不適正な事務処理は,公務員としての倫理観の欠如,職場における管理監督者としての職責・役割の認識や危機管理意識の低下とともに,業務分担の在り方を含めた組織体制や人事制度の透明性の確保,管理職への登用基準など多岐にわたる組織管理上の問題点が露呈したものとも考えます。
 こうした点を踏まえ,組織の再生と活性化を図るため,本年10月には,外部から公務員の人事制度の専門家や民間企業の人事担当者等をアドバイザーとして招聘し,人事考課を含めた人事制度全般の改革に着手してまいります。
 また,業務の見直しや事務量に応じた人員配置,職場における情報共有や活力のある職場づくりをさらに進めるとともに,高い倫理意識を持ち市民に信頼される職員の育成も重要であることから,部下からみた上司の人事評価制度の導入,公務員倫理や各職階層での役割と職責の明確化,危機管理意識の徹底を図ってまいります。
 公正,公平な公務のあるべき組織の原点にもう一度立ち返り,市政への信頼回復に向けて全力で取り組んでまいります。

 次に,春野町との合併協議について申し上げます。
 春野町との合併協議の推進につきましては,高知市の将来像や県勢発展を担う県都の役割を見据えた場合,まず一点目として春野町には土地利用が可能な平野部が多く,しかも優れた園芸農業のノウハウが蓄積されていること,二点目として四国内での厳しい都市間競争をみた場合に,既に松山市が52万都市となり,高松市が平成18年1月には40万都市となる見込みであり,高知市は今後南四国を代表する都市を目指し,激しい都市間競争を耐え抜き,バランスのとれた県都としてさらに発展していく必要があること,三点目として春野地域を含む県中央部が発展することにより県勢の浮揚に大きく寄与することなど,春野町との合併には多くの意義があり,前向きに進めていくべきものだと考えております。
 これらの点を踏まえ,春野町との法定協議会設置に向けましては,春野町の加入する,ごみ・し尿・消防に係る広域行政への対応と,職員給与など7つの課題事項につきまして,合併事務検討会で積極的な協議を行ってまいりました。
 また,新たに判明いたしました春野町の墓地問題につきましても,先の課題事項と併せて合併事務検討会で協議を進めてまいりました。
 その結果,去る8月24日開催の第6回合併事務検討会におきまして,これらの課題事項の解決へ向けて一定の目処を確認することができましたので,ご報告いたします。
 最初に,広域行政における一部事務組合の課題では,本市と春野町が合併するとした場合には,市民サービスの一元化という観点から,春野町が一部事務組合を脱退するのが望ましいと考えて関係者等に要請してまいりました。
 しかしながら,ごみ及びし尿の各一部事務組合につきましては,春野町が一部事務組合に加入したこれまでの経過や,構成市町村の首長との話し合い,県当局による調整等を踏まえまして,それぞれの施設の起債償還や事業実施体制の整理などの理由により,既に合併した他の市町村でも合併後一定期間の経過措置を設けて既存の一部事務組合に継続加入している事例も多くありますことから,合併時直ちに脱退することは困難であると判断し,本市としましても一部事務組合に継続加入する方向でやむを得ないものとして整理いたしました。
 なお,消防の一部事務組合につきましては,消防行政の性質上,危機管理面から指揮命令系統の一元管理が不可欠であることから,7月28日の仁淀消防組合議員協議会におきまして,合併時には同組合を脱退する方向でご理解を得ることができました。
 次に,職員給与をはじめとする7つの課題事項につきましては,合併時に本市の制度に合わせることを基本としながら,引き続き関係者との協議を深めてまいります。
 旧清掃工場及び最終処分場につきましては,周辺の環境調査を今後も継続して行い,安全性を確認することとしており,また,墓地問題につきましては,違法性のある墓地を合併時に本市が引き継ぐことはできないため,春野町に対して期限を設定し,早急に解決を図るよう強く要請してまいりました。
 春野町からは,8月22日の臨時町議会で春野町墓地問題調査特別委員会が設置されており,今年度末の問題解決に向けて積極的に取組を進めるとの報告をいただいております。
 法定合併協議会の設置につきましては,9月7日に春野町長と協議を行いまして,それぞれが9月議会定例会に法定合併協議会設置議案並びに関連予算をご提案申し上げるという申合せを行いましたことから,今議会に高知市・春野町合併協議会の設置についてお諮りをするものであり,ご理解を賜りたいと思います。
 合併協議会の規約では,先の鏡・土佐山村との合併協議会と同様,会長,副会長には1市1町の首長を充て,1市1町それぞれの議会代表者の方や住民代表者等の方々を基本に,県職員や学識経験者などを加えた住民参加型の委員構成としたいと考えておりまして,合併に関するあらゆる事項につきまして,多方面からのご論議をいただけるものと期待しております。
 今後,それぞれの議会で合併協議会設置議案を可決いただきましたら,来月中にも合併協議会を設置いたしまして,合併に関するあらゆる事項の協議や合併市町村基本計画の策定の検討を積極的に進めてまいりたいと考えております。

 次に,公の施設に係る指定管理者制度について申し上げます。
 指定管理者制度の導入に向けましては,市民サービスの向上と施設管理の効率化を図る観点を基本として,各施設の設置目的や管理の状況,運営手法や経営の在り方,利用の状況などを踏まえた適合性等について,7月から8月のサマーレビュー等における庁内論議や,現在の受託団体など関係者との協議を重ねまして,対応案をまとめたところであります。
 対応案では,ヨネッツこうち,勤労者交流館,国民宿舎桂浜荘,鏡文化ステーションRIO,文化プラザ,総合運動場,中央公園地下や県庁前通り地下などの各駐車場等の33施設について平成18年4月から指定管理者制度の導入を予定する施設といたしました。
 この33施設につきましては,指定管理者制度の導入に必要となります各施設の管理基準と業務の範囲を定めます26件の設置条例の改正議案を今議会にお諮りしたところです。議決をいただきますと,直ちに指定管理者の募集,選定の手続を行いまして,本年12月議会で指定管理者としての団体を指定する議案をご審議いただき,来年4月から指定管理者制度へ移行できますように取組を進めてまいります。
 また,その他の公の施設につきましては,現在部分的に管理を委託している施設では,包括的な管理を行うための条件を整えながら,早い時期の指定管理者制度の導入を目指してまいりますとともに,当面直営で管理を行っていく施設につきましても,官民の役割分担の明確化などにより条件の整ったものにつきまして,順次指定管理者制度への移行を進めてまいります。
 次に,財団法人エコサイクル高知が日高村に計画しております産業廃棄物処理施設エコサイクルセンターについて申し上げます。
 先月25日に行われました財団法人の臨時理事会におきまして,エコサイクルセンターの経営収支が可能な限り安定して運営できる施設とするため,抜本的な計画見直しを検討するよう提案したところであります。
 計画見直しの理由としましては,近年立地した公共関与施設では,焼却施設や破砕施設など,いわゆる機械もの施設での維持管理費用が大きく嵩み,安定的な経営に支障が生じている事例などがあり,センターの現計画では経営リスクが高いと判断したものです。
 その他にも,センターへの産業廃棄物の持込見込量調査におきまして,その品目や排出事業者間で大きな偏りがあることから持込量の確保に一定のリスクが予測されること,また,産業廃棄物の県外搬出には現在一定の安定したルートが確保されていることや,産業廃棄物の中間処理についても民間処理業者で行われており,センターが民間施設と競合関係になることも懸念されます。
 そうしたことから,センターが整備する施設としましては,県内に最終処分先がなく設置の必要性が高い管理型最終処分場のみに機能を特化するとともに,その整備に当たりましても,可能な限り前期・後期に工事を分割するなど,一定,今後の産業廃棄物の発生状況や民間の処理動向,リサイクル法の進展等を十分見定めながら順次,整備を図っていくことも検討してはどうかとの提案をしております。
 こうした段階的整備については,イニシャルコストでの過大投資の防止と併せて,過大規模による不必要なランニングコストの削減という考え方に基づくものでありますが,施設の全体整備に係る国庫補助金確保との関係もあり,より詳細な検討が必要であると考えております。今後,経営収支において安定した運営が見込める施設を目指して,県や関係団体とも十分協議し,より良い施設となりますよう取組を進めてまいりたいと考えております。

 次に,ダイエー高知店の撤退問題について申し上げます。
 株式会社産業再生機構の支援を受け経営再建中の株式会社ダイエーから,本年11月30日をもってショッパーズプラザコーチを閉店することが発表されました。中心商店街の西の核店舗として重要な存在であっただけに,この事態を大変厳しく受け止めております。
 当面の対応として,直営店従業員の雇用対策や各テナントの動向とそれに伴う従業員の雇用問題が緊急の課題となりますことから,高知労働局や県とも協議し,雇用対策について情報交換を行うとともに,連携して支援を進めるため,近日中に連絡会を立ち上げることとしております。
 中心商店街では,今回の撤退も織り込みながら,ダイエー高知店を含む区域の再開発計画を検討する帯屋町二丁目再開発協議会を7月に立ち上げており,本市もアドバイザーとして参加し,協議を進めております。また,土佐経済同友会からも今月7日に,ダイエー撤退を想定した大学施設や図書館,百貨店などの複合施設の整備構想が提言されております。
 今後,こうした動きも踏まえダイエー撤退跡の活用も含めた中心商店街全体の再興に向けた取組を早急に進めなければなりません。
 現時点では,ダイエー撤退後の後継事業等につきましての具体的な情報はありませんが,施設全体が長期にわたり空き店舗とならないように,本市としても積極的に権利者の皆様方のご意向も伺いながら,県や商店街振興組合等と連携を強化し,対応してまいります。

 次に,観光振興の取組について申し上げます。
 まず,第52回となりますよさこい祭りは,好天に恵まれ8月9日の前夜祭を皮切りに,177チーム1万9千人の踊り子が参加し,延べ120万人の観客を迎え盛大に開催されました。前夜祭には,来年放送される大河ドラマ「功名が辻」で山内(やまうち)一豊(かつとよ)公の妻,千代を演じる人気女優の仲間由紀恵さんが応援に駆けつけ,「功名が辻」の前宣伝と「よさこい祭り」の開催に華を添えていただきました。
 また,今年で7回目を迎えました「よさこい全国大会」も定着し,県外参加の35チームと本祭で入賞した21チームによる競演が盛大に繰り広げられました。
 花火大会では,スポンサー協賛による4,500発の花火が夜空を華麗に彩りました。今回から,事前の場所取りを全面的に禁止し,より多くの皆様に花火をお楽しみいただけるように,みどりの広場を共同観覧区域としてシートを敷き,観客の皆様を誘導する方式を行いましたが,大きな混乱もなく無事に開催することができました。警察当局をはじめとします関係機関の皆様方のご協力の賜物であり,関係者の皆様に深く感謝を申し上げます。
 また,今年は,郷土の英傑坂本龍馬が誕生して170年という節目の年に当たります。5月27日には,桂浜の龍馬像建立77年を記念して,司馬遼太郎先生の著書である「竜馬がゆく」を33時間読み継いで行く朗読会が行われ,この10月には,第17回全国龍馬ファンの集いが高知市で開催され,全国45都道府県に112団体ある龍馬会の中から多くの龍馬ファンが高知に結集してまいります。さらに,龍馬の誕生月である11月には,龍馬生誕170年記念事業実行委員会を中心として,龍馬ウォークや恒例の「龍馬まつり」など多彩な行事が予定されており,龍馬のふるさと高知を全国に発信し,県外観光客の誘客に努めてまいります。
 平成18年のNHK大河ドラマ「功名が辻」の放送につきましては,これを観光客増大につながる千載一遇のチャンスととらえ,土佐二十四万石の城下町高知を強力に全国発信してまいります。
 このメイン事業となります博覧会につきましては,大河ドラマ展の開催など事業計画の見直し検討を進めてまいりましたが,平成18年4月から平成19年1月までを開催期間とする丸の内緑地内でのパビリオン建設による大河ドラマ展の開催や高知城懐徳館でのジオラマ展示,追手門内外でのふるさと交流市開催等が決定いたしました。
 博覧会の開催経費は,全体の事業効果を損ねることのないよう大河ドラマ展の連続開催を条件とした上で事業費の圧縮を図りました。しかしながら,入場者数を最も少ない数で見込んだ場合には,約1億9千万円の収支不足が生じることとなりますことから,県・市において応分の負担をすることとなりますが,観光客の誘致等に伴う経済効果は相当あるものと考えております。
 今後,旅館組合等をはじめとする関係業界との協力の下,PRや入場券の販売に全力で取り組み,全国に誇る土佐の歴史や高知城の魅力,国宝高野切をはじめとする山内家宝物の展示と併せまして,観光客誘致の大きな核となる「土佐二十四万石博」を官民一体となって成功させていくよう取り組んでまいります。

 次に,(仮称)西部健康福祉センターについて申し上げます。
 現在,国におきましては,少子高齢社会が急速に進展する中で,将来に向けて安心して暮らせる社会を目指した年金・介護・医療・保育などの社会保障制度の全面的な改革が進められようとしています。
 事業施行から6年目を迎えた介護保険制度では,平成17年10月からの施設入所者の食費及び居住費の自己負担の見直しとその低所得者対策や,平成18年4月からの予防重視型のサービスへの移行など制度全般についての見直しがなされ,また,医療保険制度では平成18年の通常国会への改革法案提出を目指した論議が進められるなど,施策・制度の総合化と持続可能性の確保,国と地方の役割分担や少子化への対応など,さまざまな観点を踏まえた見直しが進められる重要な転換期を迎えようとしております。
 本市においては,少子化対策では,次世代育成支援対策推進法に基づく市町村行動計画として,本年3月「高知市子ども未来プラン-すくすくとさっこ21」を策定し,この計画の下に5月には子ども家庭支援センターを開設し,子育てに関する悩みや不安を抱えた家庭の相談を受けるとともに,児童虐待の予防活動など,みんなで支え育ちあう子育て支援のまちづくりを推進しております。また,高齢者対策では平成18年3月に向けた高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画の見直しを進めております。
 こうした中,市西部地区の子育て支援や高齢者対策,併せて,地域のコミュニティ活動の推進を図る拠点として,かねてから施設整備に向けた準備を進めてまいりました(仮称)西部健康福祉センターにつきまして施設建設の工事に着手することといたしました。
 この施設は,1階に子育て支援センター機能,2階にふれあいセンター機能,3階に健康福祉センター機能を配置するもので,工事期間については,平成17年度からの2か年の継続事業とし,平成19年4月の全面開館を予定しております。
 この施設の整備により平成5年に策定されました高齢者保健福祉計画の中で位置付けられた,東西南北の拠点施設の整備が完了することとなりますことから,それぞれの施設に特色を持たせながら本市における少子高齢社会に向けた拠点施設として時代のニーズに対応した施策展開を図ってまいります。

 次に,アスベスト問題について申し上げます。
 建築資材としてのアスベスト(石綿:いしわた)につきましては,耐火,防音効果等に優れていることから,国内の高度成長期を中心に広く使われてきました。しかしながら,昭和62年頃からアスベストの微細な針状結晶を体内に吸入することによる中皮腫等の健康被害が問題となり,吹き付けアスベストの施工中止をはじめ,製品中の石綿含有率や製造,輸入等について規制が強化されてまいりました。
 平成17年7月1日には関係労働者の健康障害防止対策の充実を図るため,石綿障害予防規則が施行されたところです。
 また,現在では使用が禁止されている吹き付けアスベストが経年変化などの劣化により飛散しやすい状況になっている場合があることや,建物そのものの解体時期を迎え,吹き付けや建材中のアスベストが作業時に大気環境中に飛散する恐れがあることなどから,全国的に社会問題化しております。
 このような状況から,国,県におきましては,住民の皆様方にアスベスト問題についての正しい理解をしていただけるよう,製品情報の提供やアスベスト除去に係る労働作業,周辺環境の安全確保,相談窓口の開設など,その対策に取り組んでいるところです。
 本市におきましては,平成17年7月26日に庁内関係各課の連絡会を開き,本市が管理する施設の今後の対応を協議するとともに,平成17年8月4日には高知市アスベスト対策会議を設置し,市民の方々からの相談窓口の一覧表をホームページで公開するなど様々な問い合わせや相談に応じる体制を整えたところです。
 なお,市が管理します施設につきましては,7月に実態調査を実施いたしまして,市民図書館をはじめ,5施設でアスベストの使用が判明しましたが,その後の空気中の浮遊量調査の結果,大気汚染防止法で定められた基準値を大きく下回る数値でありましたので,施設利用を再開しております。
 また,8月8日に開催されました県のアスベスト問題市町村連絡会を受けまして,学校施設をはじめとする市の施設について調査漏れのないよう再度調査を進めております。
 現在,国,県においてアスベスト使用実態調査が行われているところであり,調査結果がまとまり次第発表されてくるものと思われますが,今後の国の法令等の動向を注視しながら,適切に対応してまいりたいと考えております。

 以下,議案についてご説明を申し上げます。
 今回提出いたしました議案は,予算議案7件,条例議案30件,その他の議案11件です。
 今回の補正予算は,国の補助内示に伴う公共事業の追加等を中心に編成いたしました。
 まず,公共事業につきましては,総額15億278万8千円を補正するもので,土地区画整理事業では主に弥右衛門土地区画整理事業で建物の移転補償,街路築造等を推進するものです。
 街路事業では,潮新町線,上町2丁目南城山線神田工区,若松町比島線比島工区,鴨部北城山線,旭町福井線第2工区について整備推進や財源の組替を行うとともに,道路事業では,介良92号線,初月2号線,潮江342号線,鏡9号線,土佐山193号線などで設計,道路改良工事等を進めるものです。
 公園事業では,国の内示減に伴い沖田公園と竹島公園間での事業費の調整を行うものです。
 災害復旧事業では,昨年度の台風災害による土佐山地区の河川災害についての復旧工事を行うものです。
 下水道事業では,下知処理区,潮江処理区で継続事業から単年度事業への予算組替と長浜6号・南浦長浜雨水幹線管渠築造事業について平成18年度以降の継続費年割額を増額するものです。
 次に,企業立地助成金では,本市に誘致したそれぞれのコールセンター,みなみ流通団地及び長浜産業団地への立地企業への助成金について補正するものです。
 4コマまんが大賞事業では,横山隆一記念まんが館でまんがの日記念として実施する全国で始めての「4コマまんが大賞」創設に伴う経費を補正するものです。
 農業基盤整備につきましては,花卉園芸農業協同組合内の2組合における蒸気土壌消毒機の導入に対して補助を行うものです。
 介護保険事業では,制度改正に伴う施設給付費や電算システムの整備費について補正するものです。
 このほか,高知市・春野町合併協議会の負担金や母子家庭高等職業訓練促進給付制度の利用希望者急増に伴う給付事業費等についてそれぞれ補正するとともに,平成16年度の決算確定に伴う繰上充用金の精算等についても所要の措置をいたしました。
 以上,申し上げました内容によりまして,提案いたしております今回の補正規模は,
  一般会計 16億円の増額
  特別会計 2億4,035万円の減額
 であり,これにより補正後の予算規模は,全会計の純計で2,600億4,768万9千円となります。この補正財源は,国・県支出金,市債等の特定財源のほか,一般財源として地方交付税を充当いたしました。

 次に,予算外議案について申し上げます。
 条例議案は,法令の改正や指定管理者制度の導入に伴うものなど30件です。
 この中で,市第101号議案は,法改正により一般住宅への火災警報器等の設置が義務付けられることに伴いその設置基準等を定めるものです。
 市第102号議案は法改正に伴い良好な景観の形成や維持を図るための屋外広告業の登録制度や違反広告物の簡易除却制度の創設などについて条例の一部を改正するものです。
 市第103号議案から市第129号議案までは,先に申し上げました指定管理者制度の導入に向け各施設の設置条例の改正等をするものです。

 その他の議案は,高知市・春野町合併協議会の設置に関する議案,9月11日執行の衆議院議員選挙費の専決処分の承認議案,決算の認定議案など11件です。
 決算の認定議案につきましては,この後,水道事業管理者及び企画財政部長より概要のご説明を申し上げます。
 報告7件につきましては,継続費の精算報告など,いずれも法令所定の手続によりご報告するものです。
 以上,提出をいたしました議案について,概要の説明を申し上げましたが,よろしくご審議の上,適切なご決定をお願いいたします。