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第405回高知市議会定例会市長説明要旨(平成19年12月10日)
第405回高知市議会定例会にご出席をいただき,まことにありがとうございます。
二期目の市政を担当させていただきます最初の定例会に当たりまして,お許しをいただき,今後の市政運営に臨む所信を申し上げ,市議会並びに市民の皆様のご理解とご協力を賜りたいと存じます。
去る11月25日の市長選挙におきまして多くの市民の皆様方のご信任を賜り,引き続き市政を担当させていただくこととなりましたことを,心から感謝申し上げますとともに,今,改めましてその責任の重さを痛感しております。
平成20年1月1日にはいよいよ春野町との合併を迎えますが,新しく誕生します35万都市・高知の発展に向けて,身を引き締めて「にぎわいとあんしんのまちづくり」に全力で取り組んでまいる決意でありますので,よろしくお願い申し上げます。
平成15年11月30日に市長に就任させていただきましてから一期4年間,市議会や市民の皆様方のご支援とご協力の下で,職員とともに喫緊の課題であります財政危機への対応を図りながら,都市再生と市街地整備を目的とする3か所の区画整理事業や街路整備の推進,商業施設の誘致など新しいまちづくりに取り組んでまいりました。
少子高齢化への取組では,子育て支援体制の充実や子どもの教育環境の整備とともに,西部健康福祉センターの開設,いきいき百歳体操の展開や地域高齢者支援センターの設置など高齢者保健福祉事業の推進に努めてまいりました。
また,地方分権推進をにらみながら多様で創造性にあふれる住民本位の地域づくりを進めるとともに,南四国をリードする中核都市に相応しい都市機能の集積と交流圏域の拡大が重要であることを踏まえて,平成17年1月1日の鏡村,土佐山村との3市村合併を経まして,来年1月には春野町との円滑な合併を迎えようとしております。
二期目を迎えまして,都市部,中山間地域,田園地域で構成されます35万市民の皆様の生命と財産をお守りしながら,厳しい財政状況の中で,新しいまちづくりに向けて全力で取り組まなければならない,その職責と使命の重大さを改めて痛感し,職員と一丸となって市民の幸せを目指す市政運営を行ってまいりますので,今後とものご指導とご協力を賜りますようお願い申し上げます。
今回の市長選挙では,南四国をリードする35万都市・高知に相応しい「にぎわいとあんしんのまちづくり」を実現するため,3つの政策を市民の皆様に訴えてまいりましたので,その実現に全力を尽くしてまいります。
まず,「自主・自立のまちづくり」としまして,官民の役割分担とワークシェアリングを踏まえたアウトソーシングの推進や事務事業の抜本的な改革など,徹底した行財政改革による健全で持続可能な財政基盤の確立と併せて市政に関する情報発信や説明責任を徹底し,市民の皆様と行政との協働によるまちづくりを進め,コミュニティの活性化と地域力の向上を図り,住民主体の自主的な自治を確立してまいります。
次に,「活力あるまちづくり」としまして,農林水産業や産学官連携による食品加工などの1.5次産業の拡大や新たな産業の振興,雇用の創出と観光振興等による地域経済の活性化を図るとともに,中心市街地の活性化と区画整理事業等の都市基盤整備を推進し,活力あるまちづくりの創造に取り組みます。
そして,「安心・安全のまちづくり」としまして,台風や集中豪雨,さらに来る南海地震を見据えた地域の自主防災組織の充実や学校の耐震化,災害時の医療・福祉・防災拠点としての(仮称)総合あんしんセンター整備など安全なまちづくりに取り組むとともに,少子・高齢化対策を含めた総合的な施策の展開や学校教育における不登校対策と学力の向上,生涯学習活動の充実,人権施策の推進や環境保全など安心して暮らせる環境づくりを進めてまいります。
選挙戦を通じまして各地域で今回掲げました政策をご説明申し上げながら,市民の皆様方からは景気対策や雇用問題のほか,生活の実情や市政に対する様々な思いやご意見を数多くお伺いしてまいりましたが,こうした一人ひとりのご意見を大切な財産として受け止めまして,今後の市政運営にしっかりと活かしてまいります。
以下,当面する市政課題に関連して,順次ご報告と考え方を申し上げ,ご理解を賜りたいと存じます。
まず最初に,市議会や市民の皆様方に多くのご協力を賜りながら精力的に進めてまいりました春野町との合併まで,いよいよ残すところ20日余りとなってまいりました。
平成17年10月11日に1市1町の合併協議会を設置して以来,2年2か月余りの期間を通じまして精力的に合併協議を進めてまいりましたが,この間,多くの委員の皆様方から貴重なご意見やご提言を賜りました。この場をお借りしまして,合併協議会の委員の皆様方並びに市議会の議員の皆様に,これまでのご協力とご支援に対し,心から感謝申し上げます。
来年1月1日には新しい高知市が誕生し,新たにお迎えいたします春野町の住民の皆様方とともに,都市部と中山間地域,そして新たに加わります田園地域,それぞれの地域の特色やすばらしい資源を最大限に活かしながら,南四国をリードする新たなまちづくりに全力で取り組みます。
今月29日には昭和44年の春野町制施行からの長い歴史の幕を閉じることとなります記念の閉町式が春野町文化ホールにおいて開催されることとなっておりますが,町民の皆様方におかれましては,春野町に対する深いお気持ちからその寂しさと合併への不安もあるのではないかと思います。そうしたお気持ちを考えますと,新市の行政を預かる者としまして,地域の皆様方とともに合併して良かったと言われるまちづくりを全力で進めてまいらなければならないと身が引き締まる思いがいたしております。
合併後の来年1月4日には,春野庁舎の開庁式を行いました後,高知市役所本庁舎の正面玄関で関係の皆様方にお集まりいただき,新市誕生の記念式典を開催して35万都市・高知が本格的にスタートいたします。
関係の皆様方には,新市発展のために今後ともご支援とご協力を心からお願い申し上げます。
次に,国政の動向について申し上げます。
現在,検討が進められております地方分権改革に関しましては,去る11月16日,地方分権改革推進委員会により中間的な取りまとめが行われました。
同委員会が本年5月30日に取りまとめた地方分権改革推進に当たっての基本的な考え方を踏まえつつ,来年以降,順次,政府に対して行われる勧告に向けて改革の方向性を示すもので,勧告を受けて政府は地方分権改革推進計画を作成し,平成22年には関係法令をまとめて改正する地方分権一括法案を国会に提出する方針となっております。
今回の中間的な取りまとめでは,地方自治体の自由度や自主性を高めるため,自治事務に対する国の義務付けの原則廃止や,運用等の基準を残す場合においても自治体が条例で法令を「上書き」できる権利の確保,個別の事務事業の権限移譲,国の出先機関の縮減などが盛り込まれています。
また,税財政関係では,全国的な課題であります地域間の財政力格差の是正や国庫補助負担金改革等とともに,国と地方の税源配分について現在の6対4の税収割合を見直し,当面,5対5を念頭に置くとの考え方が示されましたが,具体策は今後検討することとされ,大きな課題が積み残しとなっています。
地方分権改革の動向につきましては,それぞれの権限を所管する各省庁の反発も強く,今後,改革に向けた調整はかなり難航するものと危惧しておりますが,全国市長会など地方六団体と協力して,地方の多様な価値観や地域の個性に根ざした豊かさを実現する住民本位の分権型社会の構築を目指して,国に対して積極的に意見を提言してまいります。
次に,本年6月に成立しました地方公共団体の財政の健全化に関する法律について申し上げます。
この法律は,地方財政再建促進特別措置法に基づくこれまでの財政再建制度を見直し,地方公共団体が財政破綻に至る前段で早期是正を行う仕組みを設けるもので,平成20年度決算から「4つの指標」を用いて地方公共団体を「健全段階,早期健全化段階,再生段階」の3段階に位置づけるものとなっております。
去る12月7日には,総務省から各指標の数値基準が示されましたが,本市が4指標の中で最も危惧しております「実質公債費比率」につきましては,財政再生基準が35パーセント以上,早期健全化基準が25パーセント以上となっております。
このため本市の平成18年度決算における実質公債費比率は20.2パーセントとなっておりますことから,現行の地方債協議・許可制度で起債を発行する際に国の許可が必要となります18パーセントの基準値を超えておりますが,早期健全化基準には至らない状況です。
しかしながら,本市の推計では,実質公債費比率が平成24年度頃には24パーセント程度まで上昇する見込でありますことから,昨年度策定しました公債費負担適正化計画に基づき起債発行の着実な抑制に努めながら,高金利の政府系資金の補償金免除繰上償還にも対応し,実質公債費比率の低減を図っていくことが必要となっています。
普通会計を対象とする「実質赤字比率」につきましては,赤字額の占める割合が,市町村の場合,早期健全化基準は標準財政規模に応じ11.25パーセントから15パーセント以上,財政再生基準については赤字比率20パーセント以上となっております。
普通会計に公営事業会計を加えた「連結実質赤字比率」の基準は,市町村の場合,早期健全化基準が16.25パーセントから20パーセント以上,財政再生基準が30パーセント以上に設定されておりますが,平成20年度から平成22年度決算までの3か年は,財政再生基準を10パーセントから5パーセントの範囲で上乗せする経過措置が設けられています。
平成18年度決算を基に試算した本市の連結実質赤字比率は8.91パーセントであり,非常に厳しい数値ですが早期健全化基準には該当しない状況にあります。
また,自治体全体の実質的な負債と償還能力を比較し,早期健全化基準を判断するときだけに適用するために新たに導入される「将来負担比率」につきましては,市町村の場合,標準財政規模から基準財政需要額に算入される公債費の元利償還額等を除いた額の350パーセント以上とされております。
本市では,収益事業や国民宿舎運営事業,駐車場事業の特別会計で実質収支が大きな赤字であることに加え,多額の地方債残高を抱えておりますことから,連結実質赤字比率と将来負担比率の今後の推移を特に注意し,対応してまいらなければならないと考えております。
適用が開始されます平成20年度決算では,本市が再生段階に位置づけられることはないと考えております。しかしながら,将来負担比率に関する詳細な計算方法が現在のところ明らかになっていないため,健全段階か早期健全化段階のいずれかに位置づけられるか判別できていませんが,今後も財政再建推進プラン及び行政改革第2次実施計画に基づいて,徹底して財政再建に取り組むことが重要でありますので,今後とものご理解とご協力をお願いいたします。
次に,行財政改革の取組について申し上げます。
アウトソーシングの推進につきましては,行政改革第2次実施計画に基づき,現在,44項目の事務事業についてそれぞれ担当部局において直営方式とのコスト比較やサービス水準の確保,実現に向けた課題とその解決方法など具体の検討を進めております。
このうち,来年度からアウトソーシングいたします自動車管理室での公用車管理業務や移動図書館の運転手業務などは,具体的に委託仕様の条件設定等を行っているところです。
平成21年度を開始目標としている対象業務では,統廃合及び一部民営化を基本方針としている保育所業務について,来年度,民間の方々にご参加いただき公立保育園の今後の在り方等の方針を取りまとめまして,平成21年度以降の取組に反映していくこととしております。
また,学校給食業務については,平成21年度からの民間委託試行開始に向けて,保護者の皆様や学校関係の方々と十分な協議を行い,本年度中に対象校を選定してまいりたいと考えております。
その他の事務事業につきましても,短期に取組を開始するものについては,アウトソーシングの対象範囲や委託方法の具体的な検討を進めているところであり,中長期的な取組となっている事務事業については,主に今後の作業工程や課題整理等を行っております。
アウトソーシングの推進につきましては,本市の雇用環境の改善や市民協働のまちづくりに繋がる効果的な取組となりますよう,市内のNPO団体や関連企業等の情報収集も行いながら,本年度内に推進計画を策定してまいります。
また,400人の職員定数削減を目標とします今後5年間の新定員適正化計画につきましても,早期に素案を作成しまして,アウトソーシング推進計画の取組とともに議会の皆様方にご報告申し上げ,ご意見等を賜りながら,年度内に計画を策定してまいりますのでよろしくお願いいたします。
次に,平成20年度当初予算編成について申し上げます。
国においては,本年6月に閣議決定された「経済財政改革の基本方針2007」や平成20年度予算の概算要求に当たっての基本的な方針の中で,昨年度示されました歳出・歳入一体改革への取組を継続することとしており,地方財政措置についても相当の削減が行われることとなっています。
本市におきましては,厳しい財政環境の下,財政再建推進プランでの平成19年度から3か年の一般財源の収支不足額190億円のうち平成20年度には64億円の収支不足が見込まれておりますので,引き続き徹底した行財政改革に取り組み,可能な限りの歳出削減と歳入の確保に努めなければなりません。
このため,平成20年度当初予算編成では,行財政改革に積極的に取り組みながら事業の概成が近づいております土地区画整理事業などの都市基盤整備,また中心市街地の活性化などの合併後のまちづくりとともに,産業振興や雇用創出,少子高齢化等に対応する社会福祉,教育,環境保全,防災・震災対策など,市民の暮らしを守る施策を基本にしながら予算編成を行うこととしております。
平成19年度当初予算編成から導入しております部局ごとの概算要求基準額につきましては,来年度の市税収入や地方交付税などの財源見通しを基に,法定義務など義務的な事務事業とそれぞれの任意的な事務事業,内部管理事務などの区別ごとに異なるシーリング率を設定しまして,春野町関係経費を除く一般会計の平成20年度概算要求基準額を1,270億円に設定いたしました。
この中には,平成20年度の特殊事情経費として5年満期一括償還の起債の借換えに必要な31億円が含まれますので,実質的な概算要求基準額は1,239億円となり,平成19年度の当初予算に比べ1億円の減となっています。
本年11月に各部局や行政委員会から提出された予算要求額は,既に経常予算が連年の削減により厳しい状況となっていることもあり,概算要求基準額を約52億円超過した約1,322億円となっておりますが,厳しい財政状況の中で,新たな財源の確保が困難な状況でありますことから,新年度予算編成では,国から公表されます平成20年度地方財政対策等も参考にしながら,厳しい査定にならざるを得ないものと考えております。
次に,追手前小学校と新堀小学校の統合問題について申し上げます。
9月定例会におきまして,「追手前小学校と新堀小学校の学校施設は,早期の耐震化のための抜本改修が必要な状況となっており,限られた財源と将来の子どもたちの安全性を考え合わせると,苦渋の選択でありますが,両校を合併統合し,新しい学校として施設整備を行うべきである。両校の合併統合による新校の設置時期としては,現在在学されている子どもさんたちが卒業した後の平成25年4月1日を想定している」旨の基本的な考え方を説明させていただきました。
本議会におきまして,賛否両面からのご意見をたくさんいただいたところでございますが,「追手前小学校の存続を考える会」から提出されておりました追手前小学校の存続を求める陳情につきましては,不採択となったところでございます。
これを受けまして,教育委員会では10月12日に新堀小学校PTA役員の方々との意見交換会を開催し,吉川教育長から関係の皆様方に学校統合の方向性についてご説明をさせていただいたところです。
この意見交換会では,統合そのものに反対する声はほとんどなかったものの,統合により新堀小学校の校名や校歌等が新たなものに変わるかもしれないということについて危惧されるご意見が出された,との報告を受けております。
その後,教育委員会では各特認校の平成20年度の募集人数を公表するとともに,11月4日には保護者の方々を対象とする特認校説明会を開催いたしました。
追手前小学校につきましては,今後も募集を継続してまいりますが,募集人数につきましては,校区外児童数と校区内児童数を同程度とするため,平成20年度の募集人数を大幅に制限しておりますが,教育委員会では応募者数が募集人数を若干上回る程度の応募状況であれば弾力的に受け入れていくという方針を持っております。
来年1月以降には,状況に応じまして私自身も新堀小学校を訪問させていただき,保護者の方々から直接ご意見をお聞きする機会を持たせていただきたいと考えております。
市議会におきましてもご論議をいただきまして,両校を統合するという決定のご判断をいただきましたら,平成24年度までに新堀小学校の既存校舎の耐震化を含め,学校施設全体のリニューアルを目的とする工事を完成させたいと考えているところです。
統合に伴います新しい学校の在り方等につきましては,追手前小学校,新堀小学校両校の保護者の皆様方や地域の方々の代表による検討委員会を設置いたしまして,十分にご意見をお伺いしながら検討を重ねてまいりたいと考えているところでございます。
次に,国民健康保険事業における結核性疾病と精神病に係る特別調整交付金について申し上げます。
この件につきましては,先の9月定例議会でご説明いたしましたように,当該交付金が未申請でありましたことから議会でのご意見も踏まえまして,その説明責任を果たす上でも過年度分の当該交付金の推計が必要だと考えましてサンプル調査を実施したところです。
レセプトが存在する平成14年度から平成17年度までの4か年のそれぞれ1か月分約15万枚の中から対象を抽出し,国保連合会の協力をいただきながら調査を実施した推計結果は,平成14年度約2億2千6百万円,平成15年度約2億2千百万円,平成16年度約3億6千万円,平成17年度約3億6千8百万円となり,4か年合計で約11億7千6百万円の推計となりました。
特別調整交付金が増額になりますと,一方で普通調整交付金が減額されますので,調整交付金全体で推計した金額は,4年間で7億6千万円程度と考えており,その額から申請を行うとした場合の調査等に必要な経費相当額約1億6千万円を差し引いた実質的な額は6億円程度と推計されます。
この金額は,各年度それぞれ1か月分の調査から算出した数値ですが,当時,大量のレセプト点検を行うことができる専門知識を有する体制を組織することが困難な状況にある中で,交付額の見込等も不透明であったためやむを得ない点もありますが,十分に精査できていなかったことにつきまして,市民の皆様方や市議会の皆様に対しまして改めまして陳謝申し上げます。
今後,今期定例会の期間内に組織としての責任の在り方を明らかにしてまいりますとともに,こうしたことのないように的確な事務執行をさらに徹底させてまいります。
次に,後期高齢者医療制度について申し上げます。
去る11月27日に開催された高知県後期高齢者医療広域連合議会第2回定例会におきまして,平成20年度及び21年度における保険料率などの条例議案を議決いただきました。
これにより後期高齢者医療制度の一人当たり県内平均保険料は年額6万3,367円となりましたが,本市の約3万7千人を含みます約11万8千人の被保険者のうち半数ほどの方々が7割軽減の対象者に該当するものと考えておりますので,軽減後の保険料は最低額である年額1万4,570円となる見込です。
同制度がスタートいたしますと,県内の各市町村で被保険者証の交付や転入・転出の受付などの資格事務のほか,保険料の賦課事務や高額療養費支給申請などの給付事務,納付相談を含む収納事務などを実施することになります。
今後は,後期高齢者医療広域連合や県下各市町村と連携いたしまして,被保険者となられる皆様に対する制度の仕組みや保険料の周知の徹底など,来年度からの円滑な制度の施行に向け広報活動に努めてまいります。
次に,(仮称)総合あんしんセンターの整備について申し上げます。
この施設は,旧市民病院の跡地に,保健所,消防局及び災害対策本部機能に加え,医師会・歯科医師会等関係団体の施設も含めた保健・医療・防災面の総合的な拠点施設として整備するものです。
昨年度から進めてきました新施設の基本・実施設計がこのたび概成し,免震構造を採用した鉄筋コンクリート造り5階建て,延べ床面積約1万2,200平方メートルの本館及び鉄骨造り2階建ての別棟,さらに約180台を収容できる駐車場などの施設概要となっております。
また,並行して実施してまいりました旧市民病院の解体工事と埋蔵文化財調査も来年1月には完了する予定であり,目標としております平成22年4月のオープンを目指して,平成20年度から2か年の建設工事に着手してまいります。
(仮称)総合あんしんセンターの建設は,市民の皆様の生命と暮らしを守るために必要な施設として,早急に取り組まなければならない本市の重点課題であると考えておりますので,今後とものご理解をお願いいたします。
次に,新清掃工場本体整備工事請負契約に係る損害賠償請求訴訟について申し上げます。
平成10年の当該工事の請負契約に際しましては,入札に参加したプラントメーカー5社が独占禁止法違反の疑いにより公正取引委員会の立入検査を受けましたことから,契約の相手方である三菱重工業株式会社を代表とする建設工事共同企業体との間に,談合等の違反行為があった場合は契約額の6パーセントを最低額として損害賠償を行う旨の協定書を交わし,担保としてまいりました。
その後,公正取引委員会での審判が続いておりましたが,昨年6月に5社の談合を認定する審決が出され,本市の工事は具体的な証拠から審判官が談合と推認した30工事の一つに挙げられております。
この談合事件に係る住民訴訟は,全国で13件起こされており,9件が住民側勝訴の判決であり,そのうち2件については本年4月24日の最高裁判決によりプラントメーカー側の敗訴が確定し,裁判所が認定した損害賠償金がそれぞれの自治体に支払われました。
現在,5社は審決の取消を求めて東京高等裁判所で係争中でありますが,本市といたしましては,本市工事でも談合が行われた可能性が強いと判断し,本年8月1日付けで三菱重工業株式会社に対し将来審決が確定した場合,協定書に従って損害賠償を行うよう求める旨の質問及び要求書を送付いたしました。
これに対します同社からの回答は,仮に審決が確定したとしても,審決が談合の推認に止まっていることから,本市工事を含む個別工事に関しては協定書でいう不公正な行為と認められるものではなく,支払い義務は生じないという返答でありました。
本協定書が相互の信義に基づいて交わされた経過から考えましても,本市工事で談合があり具体的にそのことが立証されなければ損害賠償には応じられないという同社の一辺倒の対応は非常に不誠実であり,強い憤りを感じるものであります。
こうしたことから,本市として最終的に不法行為による損害賠償請求訴訟を三菱重工業本社所在地を管轄する東京地方裁判所に提訴することとしたものです。
訴訟における損害賠償請求額は,平成6年4月1日から平成10年9月17日までの間に,談合を認定する審決が出された5社を除く企業が受注した工事の平均落札率と本市工事の実際の落札率との差9.55パーセントを採用し,予定価格301億3,185万円に対する損害額として損害金約28億8千万円を算出しております。この損害金の訴訟に伴う弁護士費用を加えた約30億7千万円と,平成14年4月の工事契約代金支払日から損害賠償金が支払われる日までの年5分の割合による遅延損害金の合計を損害賠償請求額に設定いたしております。
本市としましては,今後,損害の回復に向け断固たる決意で取り組んでまいりますので,ご支援賜りますようお願いいたします。
以下,議案についてご説明を申し上げます。
今回提出いたしました議案は,予算議案10件,条例議案74件,その他の議案6件です。
今回の補正予算は,春野町との合併に伴う予算をはじめ公共事業や健康福祉関係,人件費,政府系資金の補償金免除繰上償還に関わる予算などを中心に編成いたしました。
合併に伴う予算につきましては,春野町から引き継ぎ,継続して実施する事業等の平成20年1月から3か月間の執行予算や,本年12月末での特別会計の打ち切り決算に関連して一般会計など7会計で補正を行うとともに,新たに設置することとしております農業集落排水事業特別会計の予算計上を行うものです。
合併関連以外では,公共事業として(仮称)総合あんしんセンター建設事業及び下知・田渕統合保育園建設事業についての継続費設定や街路事業費,公共下水道事業費,また本年9月に発生した台風11号災害に対する災害復旧費等について補正を行うものです。
健康福祉関係では,更生医療費や介護給付・訓練等給付費に関する給付実績の増加に伴う補正や,県から移管されます生活保護費での春野町対象者分の増額,民間保育所保育委託費の増加などに伴い補正を行うものです。
人件費に関する補正は,職員給与の新陳代謝等による減額及び合併による職員増等に伴い補正するものです。
また,政府系資金の補償金免除繰上償還に伴う補正では,平成19年度から3か年の国の臨時措置として実施されます旧資金運用部資金,旧簡易生命保険資金,公営企業金融公庫資金からの金利5パーセント以上の高金利の起債について,補償金免除により銀行等引受資金への借換えが認められるもので,本年度分として予定されている一般会計,下水道事業特別会計,水道事業会計の合計額約102億円について補正するものです。
その他,国民健康保険事業の制度改正に伴うシステムの構築経費や同事業及び老人医療事業,介護保険事業の3特別会計における国県等負担金の過年度分精算に伴う返還金について補正を行うこととしております。
以上,申し上げました内容によりまして,提案いたしております今回の補正規模は,一般会計で57億700万円,特別会計で87億8,100万円,水道事業会計では31億3,386万9千円のそれぞれ増額であり,これにより補正後の予算規模は,全会計の純計で2,841億890万7千円,繰上償還に伴う起債の借換えを除いた実質的な規模では2,739億58万2千円となります。
この補正財源は,国・県支出金,市債等の特定財源のほか,一般財源として合併に伴い市税等を増額するとともに,普通交付税については減額いたしました。
次に,予算外議案について申し上げます。
条例議案は,合併に伴う春野町の施設や制度を引き継ぐための条例制定及び関係条例の一部改正が71件,合併関連以外の一部改正が3件の合計74件です。
このうち,合併関連として新たに条例制定するものが,農業集落排水処理施設や春野あじさい会館,春野文化ホールピアステージ,春野スポーツ施設などの設置及び団地下水道基金の設置に関するものなど14件,一部改正を行うものが,農業集落排水事業特別会計の設置に伴います特別会計設置条例の一部を改正する条例議案や,学校施設,公民館,保育所等の施設の追加に関するもの,行政処分等に関する経過措置を設けるものなど57件です。
また,合併関連以外の改正条例では,市長等の給料の減額措置を平成21年3月まで1年間延長するものや,平成20年2月に供用開始予定の高知駅東駐輪場設置に伴うものなど3件です。
その他の議案は,合併協議会の廃止に関する議案,龍馬の生まれたまち記念館など3施設の指定管理者の指定に関する議案,新清掃工場本体整備工事に係る損害賠償請求訴訟の提起に関する議案など6件です。
報告3件につきましては,いずれも法令所定の手続によりご報告するものです。
以上,提出をいたしました議案について,概要の説明を申し上げましたが,よろしくご審議の上,適切なご決定をお願いいたします。