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第412回高知市議会定例会市長説明要旨(平成21年3月9日)
第412回高知市議会定例会にご出席をいただき,まことにありがとうございます。
議案の説明に先立ち,当面する市政課題に関連して,ご報告と考え方を申し上げ,ご理解を賜りたいと存じます。
まず,国政及び経済の動向について申し上げます。
さる2月19日に内閣府が発表しました月例経済報告では,景気は急速な悪化が続き厳しい状況にあり,輸出産業の急速な落ち込みと減産の動きなどの影響を受けまして雇用の悪化が顕著になってきております。
県内でも高知カシオが正社員257人と臨時社員82人の一時帰休を発表し,派遣社員など96人の3月末での契約終了の方針が決定されるなど,雇用・経済情勢は一段と厳しさを増してきている状況です。
こうした厳しい経済状況の下,国における平成21年度当初予算案は,世界的な経済金融危機にあって,雇用と経済対策に重点を置いた生活防衛のための実行予算として国会で審議中でありますが,地方重視の方針もあり,地方交付税には1兆円の上積みがなされるなど,地方への一定の配慮がみられる国家予算となっています。
しかしながら,急速な景気の悪化に伴い,法人税を中心に,国税,地方税ともに大幅な減収が予想され,平成21年度の地方財政計画では,本市のような交付団体から見ますと,この1兆円の上積みの効果は実質3,600億円程度の増に止まっているものであります。
また,来年度は交付団体に移行してくる団体が多くなるものと想定され,全体で3,600億円の増額があったとはいいましても,7月の交付税の算定結果を見るまでは,あまり期待をもってはならないものと考えています。
次に,本市が直面しております財政危機とその対応について申し上げます。
まず,本市の中期財政収支見通しですが,平成21年度の地方財政計画を考慮しながら今回の当初予算編成を通じて精査を行いましたが,この5年間に300億円前後の財源不足が見込まれる大変厳しい状況となっています。
この財源不足を何の対応もせずにそのまま放置した場合には,平成22年度には財政健全化法における早期健全化団体に,さらに翌23年度には財政再生団体に該当する可能性が非常に高くなってまいります。
仮に,夕張市のような財政再生団体に該当するような事態になりますと,市民負担はさらに増大し,行政サービスは低下することが必至となり,自治は崩壊しますので,財政破綻は絶対に避けなければなりません。
現在の厳しい財政状況に陥った原因には,国の三位一体改革による5兆円を超える交付税の大幅削減や扶助費の増大も大きな要因でありますが,都市計画事業促進プランに基づき取り組んできました都市基盤整備や98豪雨後の浸水対策,ダイオキシン規制強化に伴う清掃工場の建設,国体施設の整備,文化施設建設などのプロジェクト事業によります多額の起債残高に伴う元利償還の増大が特に大きな要因であり,財政見通しが甘かったことにつきまして,真摯に受け止め,深く反省しますとともに,現在の財政危機を招いたことを大変申し訳なく,市民の皆様方や議会の皆様方に改めまして陳謝申し上げます。
平成16年度からの新財政健全化計画,そして,平成19年度からの財政再建推進プランに基づき財源不足に対処するための取組をこれまで進めてまいりましたが,起債の発行や借換え,基金の取崩しなどに頼ってきた結果,抜本的な財政構造の改革ができなかったことを深く反省しております。
一方,これまでの財政再建の取組の効果としまして,議会の皆様方のご協力の下,この間事務事業の見直しやアウトソーシング,定員管理の適正化などの取組によりまして,平成19年度決算によります公債費の支払分を除いた本市の経常収支比率は,中核市39市の中では豊田市,金沢市に次ぐ低さとなっておりまして,都市計画税を徴収していないという歳入面でのハンディがある一方で,人件費や物件費などの歳出改善は,相当に進んできているものと考えます。
また,投資的経費の抑制による起債発行の縮減についても,その効果が現れ始めており,平成18年度以降起債残高は減少に転じておりまして,新年度当初予算ベースでは平成21年度の1年間で起債残高が約110億円程度減少する見込みであり,遅くとも平成27年度ごろまでには起債残高を現在より700億円以上減少させ,現状の中核市平均を下回るレベルにまで低下できるものと見込んでおり,また,懸念しておりました実質公債費比率が25パーセントを超えるという事態は免れることができることとなっております。
しかしながら,もう一つの大きな課題である一般財源が大幅に不足する問題では,平成22年度からは16年度に借換えました起債の元金償還が新たに始まることに加えまして,鏡村・土佐山村との合併に伴います交付税の割増措置が切れることなどにより,特に,平成22年度から25年度の4年間が本市の財政にとりまして,まさに正念場の最も厳しい時期となってまいります。
今議会におきまして,平成21年度から向こう5か年で300億円前後となる財源不足を今後解消していくための3パターンの収支改善策の試算をお示ししたところですが,今後さらなる行財政改革に積極的に取り組んでいくことはもちろんですが,なお,それでも財政収支が整わない非常に厳しい状況に陥っております。
基礎的財源が不足する状況の中で,歳出削減だけの手法で財源不足に対応することは,市民サービスの低下を招き,市民の安心安全を確保するために必要な最低限の経費の確保も危ぶまれることとなります。
「市民の生命と財産を守る」という行政の基本的任務を全うしていくためには,排水機場や河川などの改修経費,道路補修や公共施設の改修などに加えまして,学校施設や保育所の耐震化など,市民の安心安全に関わる事業では削ることのできない経費があるものと考えます。
景気が急速に悪化し,市民生活にさらなる厳しさが増している中で大変難しく,かつ,苦しい判断をしなければならない状況となっておりますが,次の世代に負担を先送りせず,安心安全の市民生活を守っていくためには,さらなる人件費などの行政内部経費の徹底した削減と併せまして,一定期間,新たな市民負担をお願いしなければならない事態にまで陥ってきております。
今議会におきまして,議会の皆様方からの様々なご意見やご提言等をお伺いし,それらのご意見等を踏まえまして,本年4月以降,私自身,各地域に出向きまして,直接市民の皆様方に本市が直面している財政危機に対します謝罪と,その窮状を訴えてまいりますとともに,市民の皆様方から多くのご意見等を承りながら,高知市としての最終的な方向性を定めてまいりたいと考えておりますので,今後ともご指導賜りますようお願い申し上げます。
次に,行政改革の取組について申し上げます。
財政再建への道筋を着実に進めながら,地域の活性化に向けた取組や新たな総合計画に基づく施策の展開を図っていくには,行政が担うべき仕事の内容や手法そのものをさらに見直しながら,より効率的な行政運営を実行していく必要があります。
平成20年度のアウトソーシングでは,福寿園や土佐山へき地診療所など,新たに4施設で指定管理者制度を導入しましたが,来年度からは公園管理業務の委託や学校給食調理業務委託の試行に入りますとともに,競輪事業の包括委託,公立保育所の統廃合の検討や地域窓口センターの再編など,さらに具体的な方針をお示ししてまいります。
また,来年度から試行に入ります行政評価制度は説明責任とともに,効率的で質の高い行政の実現と政策形成能力の向上を図り,市民満足度の高い行政運営の実現を目指すものです。
客観的な評価指標によって事務事業の有効性や効率性を検証することで,今後の事務事業の見直しにも活用できるものと考えておりますので,有効な制度となるように検証と検討を重ねてまいります。
また,昨年12月議会にご提案させていただきました市民の皆様の公共施設等の使用に係る使用料や,各種証明書発行等に係る手数料の改定につきましては,現在継続してご審議をいただいているところですが,さらに徹底した行革努力が必要であることなどのご意見を賜っております。
今後,さらなる事務事業の見直しやアウトソーシングの推進を行い,財政再建を進めてまいりますが,施設の維持修繕やサービスの提供を続けていくためには,受益者の方々にも一定のご負担をお願いしなければならない財政状況にありますので,重ねてご理解賜りますようにお願い申し上げます。
次に,平成21年度の機構改革について申し上げます。
今回の機構改革では,本市の最重要課題であります財政再建を強力に推進していくため,歳入確保の徹底や歳入歳出予算及び市有財産を一括して管理する組織として財務部を新設するとともに,各部局を横断する施策の推進強化や施策の実現に向けた体制整備を効率的に行うために企画財政部と総務部を再編することとしております。
また,職員数の削減を図る中で効率的な組織体制を目指して,課の統合や室・所の廃止による組織のスリム化やフラット化を行いました。
今回は第一段階の再編でありましたが,来る平成22年度に向けましては,平成21年度における国の地方分権改革の内容や本市の次期総合計画の方向性も踏まえながら,三区画整理の概成等による都市整備部と建設下水道部の再編,消費者庁の設置等に伴います市民生活部の改組,事業部門を中心とした部局再編と組織のフラット化の推進と併せまして,重点課題である産業振興や農業政策,環境施策等を推進していくためのさらなる機構改革に向けた具体的検討を進めてまいります。
次に,総合計画の策定につきましては,新計画の素案を作成するため,昨年6月に職員による検討組織を設置し,総合計画素案の検討を進めてまいりました。
素案の作成に当たりましては,新計画は旧鏡村,土佐山村,春野町との合併後,新生高知市として初の総合計画となることから,自然環境との共生を基本に据えて,高知市及び県域の発展を見据えたグランドデザインを描き,これを具現化するための施策体系の構築に向けた検討作業を鋭意進めており,今月末に素案が検討委員会から報告される予定であります。
平成22年度末の新総合計画の策定に向けて,平成21年度は庁議メンバーで組織する総合計画策定委員会を設置し,この素案をたたき台にしながら新時代を担う計画原案へと練り上げてまいりたいと考えております。
原案の作成に当たりましては,議会のご意見も賜りながら,将来の高知市の発展の方向性を示してまいりますとともに,財政再建にも留意しつつ登載すべき施策の体系につきまして詳細な検討を行い,選択と集中を明確にしてまいりたいと考えておりますのでよろしくお願いいたします。
次に,定額給付金と子育て応援特別手当について申し上げます。
国民への生活支援と併せて地域の経済対策に資することを目的に創設されました定額給付金につきましては,本市では,本年2月2日に定額給付金等実施本部を,同月13日に定額給付金室を設置し,関係する職員に兼務及び併任発令を行い,支給に向けた準備を進めているところです。
本市では給付対象者の方々に対します所得制限を設けないこととし,市内在住の約16万世帯に支給されます定額給付金は,総額約52億円を見込んでおります。
また,併せて支給されます子育て応援特別手当は,厳しい経済情勢のもと,子どもさんの多い世帯の子育てを支援することを目的に支給されるもので,支給要件としては,高校卒業までの子どもさんが2人以上で,かつ,第2子以降の子どもさんが,3歳から5歳のいわゆる保育園の年長・年中・年少の子どもさん一人につき36,000円が世帯主に支給されるものであります。
この制度によります本市の支給対象児童は約4,700人で,定額給付金と同様に,所得制限は設けないこととし,この手当の支給総額は約2億円を見込んでいます。
定額給付金及び子育て応援特別手当につきましては,現在システム開発や各金融機関等との調整を行いながら,詳細な事務処理の手順を構築しているところですが,これまで経験したことのない大量の給付事務になりますので,いかに迅速かつ確実な事務を行ってくかが課題となってまいります。
現在のスケジュールとしましては,今年度末に申請書の発送を行い,4月上旬から受付を開始いたしまして,申請書類の審査や口座照会,決定通知等を行い,本年5月中旬からの支給開始を目指しているところです。
次に,ごみの減量と循環型社会の構築に向けたごみ有料化について申し上げます。
本市では,長い歴史の中で「高知方式」として他都市に誇れる市民の皆様方によります徹底したごみ分別へのご協力をいただいておりまして,日頃から市民の皆様方のごみのリサイクルや資源化の意識は非常に高く,また,他都市に比べましても低額な経費でごみ処理ができておりますことに対しまして心から敬意を表しますとともに,改めまして市民の皆様方に感謝申し上げます。
今後,循環型社会を継続・発展させていくためには,廃棄物の発生抑制,再使用,再生利用という,いわゆる3Rの取組が最も重要であります。
そのための有効な施策として,環境省からもその方針が示されております「ごみの有料化」につきましては,昨年各地域で開催しました廃棄物行政地区説明会においていただきました市民の皆様方からの多くのご意見等を参考に,市民の皆様方との協働によります「高知方式」を堅持しながら,将来に亘る本市のごみ処理システムを構築していくための検討を続けてまいりました。
その結果,ごみの減量化と循環型社会の構築を基本としながら,県内34市町村の中で唯一の無料収集であることや,直面する財政の逼迫等も勘案しますと,ごみ有料化は本市にとって避けられない課題であると考えます。
そのため,平成21年度は,小学校区単位等の地区説明会や出前講座等を積極的に開催することにより,ごみの減量と有料化に関します市民の皆様方からの様々なご意見をさらにお伺いいたしまして,本市にとって大変大きな財産であります,市民の皆様方との協働の「高知方式」を守り続けながら,より望ましいごみの有料化制度を組み立ててまいらなければならないと考えておりますので,議会の皆様方の今後とものご指導をよろしくお願い申し上げます。
次に,平成21年度当初予算について申し上げます。
平成21年度は,先に申し上げました本格的な財政再建に向けた重要な年度となっておりますので,財政再建への道筋を明らかにしながら,「にぎわいとあんしんのまちづくり」を目指して,「都市再生」「産業振興・雇用対策」「安心安全」「教育改革」の4分野に重点的に取り組むこととして,予算を編成いたしました。
以下,重点施策について順次ご説明申し上げます。
最初に重点4分野の一つ目の「都市再生」につきましては,まず,市内3地区で施行中の土地区画整理事業について申し上げます。
3地区におきましては,それぞれ工事完了に向け最後の仕上げを進めており,本年度末までに,潮江西部地区で最後の家屋移転を完了させるとともに,弥右衛門地区におきましては残る街路事業を完了させ,平成21年度には,両地区におきまして公園等の整備を行うこととしております。
高知駅周辺地区では,現在,南口駅前広場や高架側道などの整備を進めておりまして,南口駅前広場につきましては,路面電車の延伸工事が3月末に完成し,広場全体の完成は5月上旬の竣工を目指しており,本年度末の進捗率は約99.1パーセントとなる見込みです。
これら3地区ともに,平成21年度中には換地処分を行いまして,翌22年度から清算事務に入り,平成26年度末には事業を完了させる予定となっています。
なお,高知駅周辺の拠点街区「よさこい咲都」では,駅北側のJR貨物用地で商業施設の建築工事が始まっており,また,国の高知第2地方合同庁舎につきましても,平成23年1月の完成を目指してまもなく建設工事に着工する予定とお聞きしております。
さらに,南側の県有地には大河ドラマ「龍馬伝」のパビリオンと,県内市町村への誘客促進を目指す「情報発信館」の建設が予定されており,これらの整備が進みますと,駅周辺地区の賑わいの創出にも繋がるものと期待しています。
次に,旭地区の整備について申し上げます。
旭駅周辺地区は狭隘な道路が多く,木造住宅も密集しておりまして,近づきつつある南海大震災から命を守るための防災対策上の観点からも密集市街地の解消を図る必要性に迫られており,住環境を改善し,安心・安全のまちづくりを進めていくことが重要な課題であります。
今年度は各町内会等で勉強会やワークショップを開催し,まちの将来像を住民の皆様方と一緒に考えてまいりましたが,平成21年度は引き続き,ワークショップなどを開催しながら,事業計画を作成し,事業化に向けた具体的な取組を進め,ブロック別に優先的に整備すべき地区を選定して,平成23年度の事業認可を目指してまいります。
次に,中心市街地活性化に向けた取組についてですが,現在,本年度末を目途にして,コンパクトで環境負荷の少ない街を目指す「まちづくり三法」の趣旨に則った中心市街地活性化基本計画素案の取りまとめ作業に精力的に取り組んでおります。
その内容としては,「街中での回遊性の向上」,「商店街の魅力強化」,「核となる拠点の形成」といったことを柱としながら,城下町としての歴史や伝統を守りながら多くの人々が集い,にぎわう「土佐の風土と文化を継承・創造・発信するまち」を目指していくものとなっています。
今後,基本計画について国の認定を受けるためには,多くの新規事業を5年間という限られた期間内に実施していく必要があり,本市の厳しい財政状況や経済環境の中にあって,事業認定の時期につきましては,まだ一定期間,事業の見極めやそれぞれの課題整理が官民共々に必要であると考えております。
中心商業地のにぎわいは本市の活性化の重要な鍵を握るものでありますので,今国会に提出が予定されている新しい法律の「地域商店街活性化法」による国の支援制度等も活用し,商店街の魅力強化に向けて積極的な取組を進めてまいります。
また,平成25年春に「はりまや橋小学校」へ統合予定の追手前小学校敷地とその周辺の土地利用策につきましては,合併特例債を予定しております市立図書館の移転改築をはじめとしますそれぞれの課題につきまして,多方面からのご意見をいただきながらさらに検討してまいります。
次に,重点4分野の二つ目の「産業振興・雇用対策」につきまして申し上げます。
高知県では,「総論」,「産業成長戦略」,「地域アクションプラン」の3部構成からなる高知県産業振興計画の最終取りまとめ案が,先月の産業振興計画検討委員会で了承され,現在開会中の定例県議会の中で活発な議論がなされているところです。
本県経済の実体を踏まえ,生産から加工,流通,販売に至るまでの各課題を明らかにした上で,販売の強化と産業間の連携を強く意識した総合戦略としてまとめられておりますが,県内7ブロックに区分した地域アクションプランでは全部で220項目を超える取組が示され,高知市ブロックでは37項目の取組をまとめています。
県では,尾崎知事自らが本部長となる産業振興推進本部を設置し,事務局として新しく産業振興推進部を設け,各市町村に対します財政的・人的支援を行っていくこととなっており,本市におきましても,県との連携強化を図りながら,本県経済をリードする県都として積極的に取り組んでまいります。
本年度の具体的施策としましては,地場企業の実態調査を行い,ニーズを把握した上で関係機関とも連携しながら,地場企業の技術向上を図り,地場産業の「ものづくり」を強化する地場産品販路拡大推進事業やビジネスフェアの実施,見本市やセミナーの開催,食材の強みを活かし付加価値を加えて販路を拡大させる農商工連携事業に取り組むほか,カツオのたたきに続く名物料理の開拓や広域観光圏整備計画策定に向けた検討,ウェブマガジンを活用した高知の観光情報を効果的に発信するなどの観光誘客・観光振興に取り組んでまいります。
次に,本年11月27日から29日までの3日間,高知市文化プラザ「かるぽーと」で開催することが決定しました「エンジン01文化戦略会議オープンカレッジin高知」について申し上げます。
さる2月5日には,地元側の開催母体であります「エンジン01オープンカレッジin高知実行委員会」が設立され,開催に向けた準備作業がスタートし,同月9日にはエンジン01文化戦略会議側の実行委員会から,三枝成彰幹事長をはじめ,和田秀樹実行委員長や実行委員の山本一力さん,山本寛斎さんらがプレス発表のため来高され,大会テーマである「高い知,高知。大自慢大会 〜暗い日本を,自慢で明るく元気に。」の発表や,坂本龍馬を題材としたオリジナルミュージカルを公演することなどが報告されました。
また,「全国的に景気が落ち込んでいる今だからこそ,みんなの『自慢』を出し合うことで,高知から日本の明るい未来を切り開きたい」との強い思いが語られました。
このエンジン01の熱い思いを受け止め,今回のオープンカレッジ開催が低迷する本県経済の浮揚のきっかけになるよう,高知の文化・歴史・食・特産品等を全国に発信する絶好の機会として捉え,併せて県外からの観光客拡大につなげるため,県や他の市町村とともにこの大会を盛り上げてまいりますので,ご支援賜りますようお願いいたします。
次に,「龍馬伝」に向けた観光振興の取組について申し上げます。
平成21年度の観光振興の大きな柱である「土佐・龍馬であい博」は,来年1月放送開始のNHK大河ドラマ「龍馬伝」に合わせて開催されることとなります。
土佐・龍馬であい博推進協議会では,JR高知駅前の県有地にパビリオンの設置を予定しており,ドラマ舞台の再現や出演者に関連する展示を行い,「龍馬であい博」のシンボル的施設に位置付けるとともに,併設が予定されている「情報発信館」では,観光情報だけでなく総合案内機能を持たせることにより,市内の龍馬ゆかりの地や県内各地への誘客を図っていくこととなります。
本市の「龍馬伝」の放送に合わせた新たな取組としましては,龍馬が生まれた上町をはじめ,市内の龍馬ゆかりの場所を巡る新たな「まち歩きコースづくり」や,龍馬像とともに月の名所としても知られる桂浜の魅力を再評価し,民間の方々との連携による夜の桂浜のミニ・ツアーなどを企画してまいりたいと考えております。
さらに,本県は「地元の人のホスピタリティ」好感度で全国4位という高い評価を観光客の方々からいただいており,「龍馬伝」に合わせてこれまで以上に「おもてなし度」の向上を図るため,4年ぶりに土佐観光大学を開催し,新たな観光ガイドボランティアの養成を図ってまいります。
また,本年9月末から半年間,徳島を舞台とするNHK朝の連続テレビ小説「ウェルかめ」が放送され,「龍馬伝」の放送前となります本年11月から年末までの間,3か年にわたりまして,松山で生まれ育った3人の男たちの生涯を描く,NHKスペシャルドラマ「坂の上の雲」が放送されることとなっています。
この好機を活かして松山や徳島との連携を図りながら,「龍馬伝」の年を中心に四国が一体となった観光振興に取り組み,また,「龍馬伝」の舞台となる長崎や福山,下関など,龍馬の活躍した県外のゆかりの地とも積極的に連携しながら,観光誘致を図ってまいります。
次に,雇用対策について申し上げます。
平成21年1月現在の有効求人倍率は,高知県で0.43倍と平成14年度並の水準にまで悪化してきており,高知市を含む高知公共職業安定所管内では0.55倍,対前年同月比でマイナス0.10ポイントと,非常に厳しい状況となっています。
全国においても0.72倍と,昨秋からの金融危機に伴う急激な景気の低迷と連動して大きく雇用状況が悪化してきており,非正規労働者の方々の状況を見ますと,厚生労働省の調査では,この3月までに全国で約158,000人の方々が失職すると言われており,県内でも,製造業において派遣・期間従業員など180人以上の方が失職するとの予測もあり,今後さらに雇用情勢は悪化するものと考えます。
このような厳しい雇用情勢を受けて,国は1次・2次の補正予算及び新年度予算において様々な雇用施策を打ち出してきており,本市としましても雇用環境の改善に向け,これまでの事業に加えまして県や関係機関等とも連携しながら可能な限りの対応をしてまいりたいと考えております。
具体的には,現在,新パッケージ事業を実施しています高知市雇用創出促進協議会において国の地域雇用創造実現事業を導入し,機械金属系のものづくり産業における受注拡大・販路拡大の事業を実施し,地場企業での雇用の拡大を図ってまいります。
さらには,国の交付金による県基金事業として創設されます3年間の緊急雇用創出事業とふるさと雇用再生特別基金事業を導入して,両事業合計31事業を初年度の21年度に前倒しして実施し,150人の新規雇用の創出を目指すこととしております。
今後とも雇用情勢や国の動向等を注視し,平成21年度で終了する新パッケージ事業の継続などを要望しながら,雇用の創出に積極的に取り組んでまいります。
次に,農林漁業の振興について申し上げます。
まず,農業振興において重要である担い手対策であります。
合併により県下最大の認定農業者約380名を有する本市では,平成20年度に高知市認定農業者連絡協議会を設立するなどの取組を進めており,平成21年度は引き続きその育成・支援を行ってまいります。
また,米価下落の中,燃油や資材など生産コストの高騰が重なり,稲作農家は十分な農業所得が確保できなくなっていることから,高齢化の進む水田地帯においては,農業機械の共同利用による効率化を図ることが求められており,集落営農の前段階である農作業の受委託に向けた組織化を支援してまいります。
このほか,高騰する飼料の自給率を高め畜産経営の安定を目指すとともに,牛糞堆肥の耕地還元による資源循環の促進を図るためには,飼料稲の生産を促進する必要がありますので,本市独自の取組として,再生飼料稲の生産体制の構築を支援してまいります。
「環境維新」に向けた食と環境を軸にした施策展開につきましては,現在,「地産地消」と「ECO農業」の実践者を中心とした委員会を立ち上げまして,専門的見地からご助言等をいただいておりますが,特に,有機農業等の推進については,専門的知識を有し慣行農業にも精通した営農指導員を平成21年度から新たに設置して指導体制を構築してまいりたいと考えております。
中山間地域の有望作目であるユズの栽培は,鏡・土佐山地域だけでなく,その周辺地域も含めた栽培面積の拡大に取り組んでいるところであります。
土佐山地区で平成2年に建設されたユズ搾汁施設は,施設及び搾汁機械の老朽化が著しく,生産量の拡大に対応できないため,JA高知市が行うユズ搾汁施設の拡充に対し,国・県の補助制度を導入し,支援を行うことにより,中山間地域の経済基盤の強化を図ってまいります。
工石山,雪光山,焼野の森の3か所の市民の森では,平成20年度から3か年計画で整備を進めておりますが,平成21年度は,工石山や雪光山の施設改修や作業道の補修等を行います。
また,環境先進企業との協働で森林の整備促進を図る「協働の森」事業は,平成18年度の四国銀行との協定を契機に,本年度には,NTT西日本グループ,オンワード樫山,原宿表参道元氣祭実行委員会,旭食品の4社と協定を結び,合計5社によります協賛を得て鏡川の源流域の森林約200ヘクタールで,継続して間伐や作業道の整備を進めてまいります。
次に,漁業の振興について申し上げます。
本市の水産業を取り巻く環境は,産地魚価の低迷や漁業就労者の減少など厳しさを増しておりますが,本年度には第7次高知市漁業基本計画を作成し,今後5か年の本市漁業の振興を図っていくこととしております。
この計画等に基づき,平成21年度におきましては,御畳瀬地区で漁業者や漁協等が中心となり,地区の協議会を設立し,地域の活動づくりや将来ビジョンの作成,地区の活性化につながる意欲ある人材づくりやリーダーの育成を行う事業に対して,基本計画の柱の一つであります漁村モデル事業を活用して助成を行うこととしております。
また,春野漁港では,航路等に堆積した土砂の浚渫を行い,漁港の機能と漁業経営の改善に努めてまいります。
次に,重点4分野の三つ目の「安心安全」について申し上げます。
まず,妊婦健診ですが,近年,出産年齢の上昇等により,健康管理がより重要となります妊婦の方が増加傾向にあるとともに,経済的な理由等により健康診査を受診しない妊婦の方もみられますので,母体や胎児の健康確保を図る上で,妊婦健康診査の重要性・必要性がより一層高まってきています。
平成20年度には妊婦健診の公費助成を2回から5回に拡充し,昨年12月から,助産所での妊婦健診も公費助成の対象としておりますが,国の二次補正予算を受けまして,本年2月1日からこれを14回に拡充するとともに,併せて,県外で受診した妊婦健診・乳児健診の費用を助成することとしております。
平成21年度から新たな3か年の計画期間となります高齢者保健福祉計画及び介護保険事業計画につきましては,高齢者保健福祉計画推進協議会での熱心なご議論を経て,先月24日に答申をいただきました。
高齢者保健福祉計画は,本市における高齢者保健福祉に関する総合的な計画であり,今後,介護予防の推進,介護サービスの質の向上,認知症の方への在宅生活支援,施設からの在宅復帰の支援,療養病床再編への対応の5つを重点施策として,事業を実施していくこととしております。
また,介護保険事業計画では,低所得者の方や独居高齢者の方々が多いという本市の地域特性を踏まえ,特別養護老人ホームの整備を予定しているほか,介護療養病床の廃止を平成23年度末に控え,施設・居住系サービスを前倒しで整備する予定としております。
なお,介護保険料につきましては,運営基金の取り崩しや国からの特例交付金により,基準額を現行の月額4,644円から4,577円と67円引き下げることとしまして,今議会に条例改正をご提案申し上げております。
次に,後期高齢者医療制度について申し上げます。
昨年4月から開始されました本制度は,年度途中の度重なる制度見直しなどにより,高齢者の皆様には大変わかりづらい面もあり,多くの方々からの問い合わせがありましたが,現在では,ほぼ1年を経過したこともありまして,窓口は落ち着きを取り戻しております。
しかしながら,この制度につきましては,舛添厚生労働大臣の発案による高齢者医療制度全体の見直しが有識者により検討されておりますので,今後その動向を注視してまいらなければならないと考えております。
次に,国民健康保険について申し上げます。
国民健康保険法の改正により,本年4月から被保険者資格証明書が交付されている世帯におきましても,中学生以下の子どもさんには資格証を交付せず,6か月の短期被保険者証を交付することとなりましたが,本市としましては,高校進学率が9割を超えていることなどから,当該対象者の子どもさんを18歳に達する最初の3月31日までの方々にまで拡大することといたしました。
また,昭和34年度から50年にわたり運用しております国保料の独自軽減制度につきましては,財源となります基金残高が減少してきておりまして,大変残念でありますが,平成21年度から4年間の激変緩和措置を設け,段階的に見直さざるを得ない状況となっております。
この制度は,世帯主が障害者の方・65歳以上の高齢者の方・寡婦の方のいずれかに該当する方で,所得が100万円以下の世帯に対しまして,法定の軽減に加えて国保料を3割又は4割までさらに減額する制度でありますが,高知県からは平成15年度から法令に則した制度運用に是正するように強く求められているものです。
平成20年度の本市における国保財政は,後期高齢者医療制度の創設をはじめとする制度改正により,前期高齢者交付金などの財源が一定増加してきておりますが,昨今の経済情勢の悪化から国保料の収納率が非常に下がってきている上に,保険料収納率が高い75歳以上の被保険者の方々が後期高齢者医療制度に移行したことなどにより,国保会計では多額の基金の繰り入れが必要になってきています。
今後,本市の独自軽減制度を運用し続けた場合には,財源であります国保運営基金が平成22年度には枯渇し,その軽減財源を他の被保険者の方々の保険料に転嫁することは制度上困難であることから,本制度の見直しが避けられない状況になっております。
現在の厳しい市民生活に鑑みますと,大変に心苦しい提案でありますが,独自軽減の段階的な見直しにつきましてご理解賜りますようお願い申し上げます。
次に,総合あんしんセンターの整備について申し上げます。
平成20年3月に着工して以来,約1年が経過しましたが,本年3月末までの工事の進捗率は約32パーセントとなる見込みで,全59本の基礎杭が完成し,現在は,免震装置の土台となります基礎部分の施工に取り組んでいます。
平成21年度は,施設本体の建設を着実に進めるとともに,駐車場,植栽等の外構整備や保健所の検査機器等の備品の整備にも着手し,平成22年2月の完成・引渡し,同年4月の円滑な業務開始に向けて取り組んでまいります。
次に,高知医療センターについて申し上げます。
経営再建が急務の課題となっております高知医療センターは,平成20年度決算で23億円余の純損失を生じ,累積欠損金が81億円余になる見込みで,今年度末には資金ショートを生じる事態となりますことから,構成団体である高知県と高知市が共同して折半で資金ショートを補う長期貸付を行うために,今議会に補正予算をご提案申し上げております。
さる1月20日には,私自身,尾崎知事とともにオリックス本社を訪問し,高知医療ピーエフアイ株式会社に対しまして,高知医療センターの経営改善に向けた協力要請を行いましたが,今後,同社と病院企業団の双方がPFI事業の原点に立ち返って,経営企画協議会等の中で,病院収支全体,また,PFI事業全体の在り方について協議を進めていくこととしております。
現在,企業団において,PFI事業の法的な検証も含めた作業を行っており,さらに来年度には高知医療センターの経営を支援する組織を高知県に設置することとしておりますが,高知医療センターは市民・県民の命を守るためになくてはならない基幹病院であり,県とともに抜本的な経営改善に向けて積極的に取り組んでまいります。
次に,公共施設の耐震化について申し上げます。
まず,市立保育園につきましては,31園のうち昭和56年施行の現行耐震基準以前に建設された鉄筋コンクリート造の10園について,平成15年度から耐震診断調査及び耐震化工事を進めているところです。
平成21年度については,春野弘岡中保育園,春野中央保育園,春野平和保育園,春野弘岡上保育園で耐震診断調査を行うとともに,介良西部保育園で耐震補強工事を行うこととしております。
次に,学校施設の耐震化につきましては,昨年6月の地震防災対策特別措置法の改正を受け,大地震によって倒壊等の危険性が高いとされる学校施設の耐震化対策を最優先で進めているところです。
来年度の取組としましては,国の二次補正予算の地域活性化・生活対策臨時交付金事業を活用し,3月補正に前倒しをして小学校校舎3棟,中学校校舎1棟と体育館1棟の耐震補強設計と小学校体育館1棟の改築設計を行うほか,小学校校舎4棟,中学校校舎3棟の耐震二次診断を実施することといたしました。
このほか,高知商業高校の図書館食堂棟の耐震補強設計,小高坂分団屯所の改築にも取り組み,近い将来発生が予想される南海・東南海地震に対する備えを進めてまいります。
次に,市民との協働によるまちづくりについてですが,鏡・土佐山地区におきましては,平成19年度からコミュニティ計画策定のための準備を進め,昨年には,両地区でコミュニティ計画策定市民会議が設立されたところでありまして,本年7月頃の計画案の策定を目指してまいります。
江ノ口コミュニティセンターにつきましては,合併特例債を財源として図書館機能の充実を図るとともに,市民の皆様のコミュニティ活動や生涯学習の場として,また,災害時における避難場所としての機能を併せ持つ施設として建設を進めており,本年4月に竣工,6月1日の開館を予定しております。
開館後の管理運営につきましては,市民主体の施設運営を目指し,地域の各種公共的団体を中心に設立された住民組織を指定管理者とすることにつきまして今議会に議案をお諮りしているところです。
次に,環境行政の取組につきまして申し上げます。
今年度,「環境維新・高知市」〜土佐から始まる環境民権運動〜を旗印に,市域全体の温室効果ガスの大幅な削減を目標として策定いたします「高知市地球温暖化対策地域推進計画」への取組につきましては,平成21年度のなるべく早い時期に市内の量販店等と「土佐から始める環境民権推進協定」の締結を予定しておりまして,レジ袋等の容器包装廃棄物の排出抑制や食材の地産地消の推進と,環境・リサイクルを考慮した商品の販売等を積極的に進めていくこととしており,これらを契機として,より一層の温室効果ガスの削減に向け,市民・事業者の環境に配慮したライフスタイルへの転換を図ってまいりたいと考えます。
また,鏡川の清流保全につきましては,市民の皆様方や行政が一体となった取組が評価されまして,昨年6月には,環境省の「平成の名水百選」に鏡川が選定されましたので,今後とも,「鏡川の環境と食」をテーマに,鏡川流域全体のブランド化と併せて,中山間地域の農産品,浦戸湾の豊富な水産物を組み合わせた流域エコツアー事業の実証と検証などに取り組んでまいります。
次に,本市における総合的な生活排水処理対策につきましては,平成21年度から2か年の予定で,浄化槽を建築物ごとにデータベース化する浄化槽台帳の整備と一元管理を図るシステムを構築することとしており,このデータに基づき,公共下水道,合併・単独の各浄化槽,し尿汲み取りなどを網羅した現況図を作成し,今後の生活排水処理に関する総合的な施策の展開につなげてまいります。
下水道行政につきましては,昨年12月議会で様々なご論議をいただきまして本年4月1日からの平均改定率20.5パーセントの下水道使用料改定をご承認いただき本当にありがとうございました。
現在,使用料改定の内容につきまして,高知市のホームページや広報紙などを利用して市民の皆様に周知させていただいているところであります。
今後の下水道行政につきましては,昨年12月議会でいただきましたご意見を踏まえ,供用開始区域内での接続率の向上に向けた利子補給制度等の拡充を図るとともに,公共下水道,農業集落排水,合併処理浄化槽との連携と調整に努めてまいります。
また,経営の計画性・透明性を図り,経営の健全化を進めるとともに市民への説明責任を一層果たすために進めています下水道事業の企業会計化につきましては,平成20年度から先進都市の事例調査を行っており,平成21年度は対象事業の選定や適用範囲,移行後の体制,スケジュールの検討など企業会計移行に向けた検討を進めてまいります。
次に,重点4分野の四つ目の「教育改革」について申し上げます。
昨年度及び本年度に実施されました「全国学力・学習状況調査」の結果から,残念ながら全国最下位レベルにある本市の実態が明らかとなり,本市における中学生の基礎学力や家庭学習の定着が不十分であるという状況が明白になりましたので,現在,各中学校におきましては,「授業→宿題→点検→補習学習」という学習習慣サイクルの確立を目指した取組をそれぞれ進められているところです。
平成21年度は,この学校の取組を積極的に支援するために,県市協働で放課後学習支援員や中学校学力向上補助員,学力向上サポーター,学習チューター等の人的配置の大幅な拡充を図るとともに,中学校学習習慣確立プログラム推進事業を実施いたします。
また,学力向上のためには教員の方々の資質・指導力の向上が不可欠でありますので,先生方の自己啓発や意欲の高揚を図り,熱意にあふれる先生を育成していくための「(仮称)高知教師塾」を教員の意識改革研修の第一人者であります原田隆史()先生を講師として年間10回招聘して実施いたします。
この取組により,5年間で約300人程度のミドルリーダーの養成を見込んでおりまして,この研修を修了されました教員の方々には,学校を活性化する人材として活躍されることを期待しています。
また,平成16年度から行ってきた「不登校を生じさせない学校づくり」の取組につきましては,この4年半の取組の中で,不登校数は緩やかな減少をしておりまして,学校教育全般に好ましい様々な変化や成果が出てきております。
来年度は,新たに高知県教育委員会の委託を受け,「不登校・いじめ等対策小中連携事業」を開始し,小学校6年生から中学校1年生のいわゆる中1ギャップの課題に焦点を当て,全小中学校が小中連携に取り組むとともに,2中学校区の研究指定校において人間関係づくりプログラムの研究や不登校児童生徒への学習支援,講師を招いての研修会等を実施してまいります。
以上,重点施策についてご説明を申し上げましたが,平成21年度一般会計の当初予算規模は,対前年度当初比19億円減(1.4パーセント減)の1,312億円,市債の満期一括償還方式による償還額の借換えによる影響額を除いた実質的な予算規模は対前年度当初比0.8パーセント減となりました。
この要因としましては,概成を迎えた土地区画整理事業などの投資的経費で19億6千万円余りの減となったことなどによるものです。
また,全会計の予算規模は,後期高齢者医療制度への移行に伴い,老人医療事業で約70億円の減となったことなどによりまして,純計では2,303億171万余円,対前年度当初比2.9パーセント減となっております。
平成21年度当初予算では,市税や地方交付税等について年間収入見込額を計上しますとともに,財政調整基金や減債基金の取崩し等により財源の確保に努めました。
平成20年度補正予算につきましては,国の経済対策に伴います定額給付金や子育て応援特別手当の給付経費,地域活性化・生活対策臨時交付金関連事業のほか,連続立体交差や港湾等の県営工事負担金,退職手当など,補正総額は全会計純計で103億4,797万余円となっております。
これらの補正財源は国庫補助金等の特定財源のほか,一般財源として地方交付税等を充当いたしました。
次に,予算外議案について申し上げます。
条例議案は,法令の改正等によるものなど12件です。
この中で市第25号議案は,介護保険における地域支援事業の充実を図るための地域高齢者支援員の設置や中山間行政連絡員の廃止など非常勤特別職の設置及び廃止を行うものです。
市第32号議案は,消費者問題の変化や消費者基本法,消費者契約法等の整備に対応するため,高知市民のくらしを守る条例を改正するものです。
市第33号議案は,前段申し上げました国民健康保険料の独自軽減措置を段階的に廃止しようとするほか,政令改正に伴い介護納付金に係る賦課限度額を現行9万円から10万円に引き上げるものです。
このほか,市第27号議案は地域活性化・生活対策臨時交付金のうち平成21年度の事業の財源に充てるための基金,市第31号議案は介護従事者の処遇改善を図るための介護報酬の改定に伴う保険料の急激な上昇を抑制するための基金,市第35号議案は協働の森づくり事業に係る協定に基づく協賛金を間伐や作業道開設等の経費に充てるための基金を設置するものです。
その他議案は,過疎地域自立促進計画の変更,包括外部監査契約締結,指定管理者の指定,市道路線の廃止・認定,不動産の取得,支払督促及び調停の申立てに関するものなど9件です。
報告6件につきましては,いずれも法令所定の手続によりご報告するものです。
以上,提出をいたしました議案について,概要の説明を申し上げましたが,よろしくご審議の上,適切なご決定をお願いいたします。