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第421回高知市議会定例会市長説明要旨(平成22年6月11日)

第421回高知市議会定例会にご出席をいただき,まことにありがとうございます。

議案の説明に先立ち,当面する市政課題に関連して,ご報告と考え方を申し上げ,ご理解を賜りたいと存じます。

1 不祥事問題

まず最初に,本市元職員によります虚偽公文書作成及び行使並びに公金横領という,あってはならない極めて悪質な事件が発生しましたことにつきまして,市民の皆様や議員の皆様方に深くお詫びを申し上げます。

本市では,平成12年から17年にかけて4件の公金をめぐる不祥事が発生し,市議会における補助金等交付事務調査特別委員会でのご指摘等も踏まえ,公共的団体等の設置・運用マニュアルの策定やリスク管理制度を立ち上げて,不祥事の再発防止に取り組んでまいりました。

厳しい財政状況の中で市民の皆様にも様々なご苦労をお掛けしている最中に,議会や市民の皆様の信頼を著しく損なう事件が起こってしまいましたことは,まさに断腸の思いであります。

今回の事件は内部調査で発覚したものでありますが,内容虚偽の支出関係書類に基づいて公金が資金前渡により支出され,偽造領収書により精算が完了していたという,大変悪質な手口で行われており,これを途中でチェックできなかった内部管理体制が厳しく問われるものであります。

事件を起こした職員につきましては,6月3日付けで懲戒免職処分という厳しい対応をしたところです。

現在,警察当局によります捜査が進行中でありますので,捜査当局への全面的な協力を行いながら,事件発生の原因,背景も含めた解明を図り,市議会にご報告を申し上げてまいります。

今回の事件発生の要因を深く分析し,不祥事根絶に向けて,全庁挙げて市民の皆様の信頼回復に努めてまいりますので,議会の皆様方のこの上とものご指導をお願い申し上げます。

2 国政の動向

次に,国政の動向について申し上げます。

昨年8月の衆議院議員総選挙の圧倒的な勝利を受けて同年9月に発足しました連立政権による鳩山内閣は,沖縄の普天間基地問題に起因する社民党の連立離脱や,政治とカネの問題での混乱の責任を取る形で,鳩山総理が今月2日に退陣表明され,鳩山内閣はわずか8か月半で終焉を迎えました。

国内経済やギリシャ危機に象徴される世界経済が混迷する中で政治的空白は許されないと考えておりましたが,今月4日の民主党衆参両院議員総会において菅直人前副総理が民主党代表に選任され,同日国会で首班指名を受け,8日には菅内閣が発足いたしました。

新たな社会保障制度の確立や景気浮揚対策,また,国の来年度予算編成をはじめとする中期財政フレームの策定など,今非常に重要な時期にありますので,安定した国家運営を望むとともに,新政権に対しては,地域主権に基づく地方財政の拡充強化を強く訴えてまいりたいと考えております。

政府・与党は,去る5月12日の政権公約会議において参議院議員選挙の公約の柱の一つに財政健全化を掲げることを了承し,同月14日の民主党のマニフェスト企画委員会で,来年度予算の新規国債発行額を今年度予算の44兆3,000億円を上回らないことを前提に公約を策定することを決定しており,子ども手当の満額実施の見送りなども検討されているところです。

新政権の下で政府・与党は国の財政再建を強く打ち出してくるものと想定されますので,このような状況下で心配されますのが来年度以降の地方財政対策の動向であり,一括交付金化の議論と併せて,地方交付税を含めた総額での圧縮も懸念されます。

平成21年度及び22年度と,地方財政に対する国の一定の配慮により,交付税の増額等でなんとか財政運営ができている本市の状況を考えますと,地方交付税等の総額圧縮は今後の財政再建に大きな影響を与えることとなりますので,全国市長会等とも連携し,さらなる地方財源の充実強化を強く訴えてまいります。

3 財政再建・行政改革

次に,本市の財政再建に向けた取組について申し上げます。

平成21年度から25年度までの5か年で見込まれる244億円の財源不足の解消に向けて,本年3月議会に新高知市財政再建推進プラン案を提出させていただきました。

この中でゴミ有料化に伴います歳入改善につきましては,関係する条例議案へのご賛同が得られませんでしたので,25年度までで6億円の財源が不足することとなりますが,市議会議員定数の大幅な削減のご英断をいただき,その歳出削減効果として3億円,そして,残りの3億円は時間外手当等のさらなる人件費の削減を図る見直しを行い,再建プランの成案を策定したところです。

平成22年度に見込まれておりました財源不足額約53億円につきましては,当初予算編成を通じて人件費を全会計で約11億4千万円削減するとともに,事務事業の見直しや公共事業の抑制等によりまして財源不足を解消できる見込みとなっておりますが,23年度以降におきましても,厳しい財政運営となりますことから,新政権の下での今後の国の地方財政対策の動向には十分留意していく必要があります。

まずは,今回の収支改善策を着実に実行しながら,一層の行財政の効率化に向けた取組を進めていかなければならないものと考えておりますので,財政再建に向けた今後とものご指導をお願い申し上げます。

次に,行政改革の取組について申し上げます。

本市では,本年3月に平成22年度から24年度までの3か年を計画期間とします行政改革第三次実施計画を策定し,市民の皆様のご協力を得ながら,引き続き,事務事業の抜本的改革,業務プロセス改善の徹底化,業務アウトソーシングの推進の3つの柱を最重点項目とするとともに,外郭団体の見直しや企業会計への移行,公会計制度改革への対応,遊休資産等の売却の推進,既存施設の長寿命化,市税等の徴収率の向上などを重点項目として,全体で58項目の取組を進めております。

特に,外郭団体等につきましては,これまでの財団法人・社団法人という民法上の公益法人を廃止し,登記手続だけで設立できる新たな非営利法人と,第三者機関の認定による公益認定法人の新制度が開始されたため,従来の公益法人,いわゆる特例民法法人は平成25年11月30日までに,統廃合等の整理も含めて新制度に基づく手続を完了する必要があります。

そのため,本市が出資・出捐している外郭団体につきましては,内部組織の外郭団体等見直し検討委員会及び外部の専門家等で構成します経営検討委員会を設置し,外郭団体等が行っています事業の統合整理や組織の見直し,今後の法人形態の在り方等について検討を進めてまいります。

アウトソーシング推進計画につきましては,本年度,新たに競輪事業の包括委託や移動図書館業務の民間委託を開始するとともに,順次,庁内印刷業務や水道局料金課業務の民間委託も行うこととしています。

ごみ収集業務につきましては,本年4月に環境部と総務部が連携して,庁内検討委員会を立ち上げ,ごみ収集業務の今後の方向性や,効率的な業務体制及びコスト削減方策の整理等に向けて具体的な検討と協議を進めているところです。

また,潮江東小学校で試行しております学校給食調理の外部委託につきましては,本年4月にいただきました検証委員会の最終結果報告におきまして,すべての検証項目で良好な評価であり,仕様書に沿った業務が遂行されており,安全で安心できるおいしい給食の安定した提供が行われているとの総合評価をいただいております。

この評価結果を踏まえまして,教育委員会では,平成23年度からの外部委託の本格実施と新たな実施校の拡大に向けて,準備を進めてまいります。

4 総合計画

次に,次期総合計画策定への取組について申し上げます。

次期総合計画につきましては,議会の代表の皆様など60名で構成する審議会を立ち上げまして,去る4月28日に第1回の全体会を開催し,審議会への原案諮問等を行ったところです。

また,この審議会には,ご専門の立場から原案基本計画の政策・施策を具体的にご審議いただくため,それぞれ12名の委員の皆様で構成する5つの部会に分かれまして,第1部会は産業振興,雇用対策の分野を,第2部会は保健・医療・福祉の分野を,第3部会は環境,都市基盤・防災基盤整備の分野を,第4部会は教育,文化,スポーツの分野を,第5部会は市民協働,人権,消費者,行財政の分野を,それぞれご審議いただくことになっております。

基本構想につきましては,6月1日までに5部会すべてで審議を行っていただきましたので,総合部会におきまして,各部会から出されたご意見を集約し整理した上で,本年7月末に予定しております第2回全体会でご審議いただく予定であります。

また,8月からは,基本構想実現の方策を示す10年間の基本計画の審議に移り,「低炭素都市・循環型都市の創造」,「環境と食を軸に据えた産業振興」などをはじめとする6つの方策などについて,各部会,総合部会のご審議を経て,9月上旬には意見集約してまいりたいと考えております。

10月からは,31の政策,93の施策からなる基本計画の各論につきましてさらに論議を深めていただき,総合部会で意見集約を行った上で,12月下旬に予定しております第3回の全体会で基本計画の審議を終了し,原案全体の答申をいただく予定としているところです。

また,審議会と並行する形となりますが,できるだけ多くの市民の方々のご意見をお聴きするとともに,来年の1月から2月にかけてパブリックコメントを実施しながら,次期総合計画の最終案につきましては,議会の皆様に十分にご説明させていただき,来年の3月定例会には議案としてお諮りしてまいりたいと考えておりますので,今後とものご指導を賜りますようお願いいたします。

5 県市連携(産業振興プラン・東西軸の活性化)

次に,県市連携で進めております産業振興プラン及び東西軸の活性化について申し上げます。

まず,高知市地域アクションプランでは,「春野地区のトマト等の農産物の付加価値向上」や,「高知にぎわい東西軸活性化プランに基づく中心部の活性化」を新たに追加し,全体で38事業の取組を進めています。

昨年11月から県市合同で取組を進めております「はりまや橋周辺から高知城までの東西軸エリア活性化プラン」につきましては,民間の有識者の方々に参加いただいた検討会における議論を経まして,本年3月に議論の中間取りまとめを行ったところです。

その主な内容は,県民・市民に支持される「おまち」の再興と,ポスト龍馬博を見据え観光客を呼べるまちづくりを目指し,高知城,坂本龍馬,日曜市,土佐の食文化など,高知の強みを活かせる地域資源を活用して魅力アップを図っていくこととしております。

この中間取りまとめにおけますプラン案は,出発点・たたき台と位置付けており,関係団体等への説明会やパブリックコメントなどでいただきましたご意見なども反映させ,事業の精査や課題への対策を進めながら,さらに検討を深めてまいります。

また,プラン案の中では,より専門的な観点から重点的に検討を深めていくため,先月末に,「よさこい」,「まんが文化」,「商店街活性化」をテーマに,3つのプロジェクトチームを立ち上げて,議論を進めているところです。

この検討会やプロジェクトチームにおける議論を踏まえながら,本年度末を目処にプランの最終案を策定するとともに,熟度の高まった事業については順次実施に向けた取組を進めてまいります。

6 雇用対策

次に,雇用対策について申し上げます。

本年4月の県内の有効求人倍率は,県全体で0.46倍,高知市を含むハローワーク高知管内では0.48倍となっており,高知管内では前月と比べ0.06ポイント落ち込むなど,県内の雇用環境の実態は引き続き厳しい状況が続いています。

こうした状況の中で,本年8月中にセメント生産が中止されることが明らかとなりました太平洋セメント土佐工場の雇用問題では,会社全体では全国で738名の人員削減が計画され,来月から500名の希望退職者を募集することが既に公表されています。

今なお本社では労使協議中とのことですが,土佐工場では近日中に従業員の方々への個別の意向調査が開始されるとお聞きしております。

また,土佐工場の関連企業につきましては,本年4月下旬から5月中旬までに県市で関連企業30社に対しヒアリング調査を実施いたしました。

その結果,機械設備の維持管理や陸送業務の受託企業を中心に,11社において一定の離職者を出さざるを得ない実情にあることを把握しており,大変厳しい状況にあります。

土佐工場及び関連企業の雇用問題に組織的に対処するため,高知労働局や県などの関係機関とともに,太平洋セメント雇用対策連絡会議を立ち上げまして,4月以降,関連企業の経営者の方々や多くの離職者が想定されている企業の従業員の方々に,それぞれ各種支援制度等の説明会を2回開催しておりますが,今後とも関係機関と緊密に連携しながら,雇用への対応を図ってまいります。

こうした厳しい雇用情勢の中,本年度の雇用対策事業につきましては,緊急雇用創出臨時特例基金事業及びふるさと雇用再生特別基金事業の活用により,当初予算で合計52事業,約4億2,300万円を計上し,合計374名の新規雇用の創出を目標に取り組んでおりますが,なお一層の拡充を図る必要があると考えております。

このため緊急雇用創出臨時特例基金事業につきましては3事業を追加するとともに,ふるさと雇用再生特別基金事業につきましては,新たに民間企業や団体等の方々から企画提案方式で新規事業を募ることとし,両事業で最大70名程度の新規雇用の創出を図るため,今回事業費として1億8,200万余円の補正予算を計上いたしました。

また,平成19年度から3か年事業として高知市雇用創出促進協議会において取り組んでまいりました地域雇用創造推進事業,いわゆるパッケージ事業について,再度の採択を目指し国に事業提案を行いまして,先月7日に新たな事業採択の決定をいただきました。

パッケージ事業では,これまでの3年間で,ものづくり産業や商業・観光の分野等での人材育成を図り,280名を超える新規雇用の創出を達成できたところですが,今回の新たな計画では,食品加工や観光,介護分野等を重点分野と位置付け,平成24年度末までに235名の新規雇用の創出を目指すこととしており,来月から事業に着手する準備を進めてまいります。

7 観光振興

次に,観光振興の取組について申し上げます。

今年のゴールデンウィークは,大河ドラマ「龍馬伝」による龍馬ブームを追い風に,「土佐・龍馬であい博」の開催効果,高速道路1,000円効果,また連日の好天にも恵まれ,多くの観光客が高知県を訪れました。

県内主要観光施設の入込客は合計318,690人で,前年のゴールデンウィーク期間中と比較すると約3割増となっておりますが,特に桂浜の県立坂本龍馬記念館が前年比2.8倍,上町の市立龍馬の生まれたまち記念館は3.7倍となるなど,龍馬関連施設を中心に大変な賑わいとなりました。

また,かつてない規模の渋滞が予想されました桂浜周辺では,5月1日から5日までの間,高知県警の全面的なご協力を得まして桂浜入口での一般車両の全面通行規制を実施しますとともに,高知競馬場及び高知新港に設けた3,200台収容可能な特設駐車場から無料のシャトルバスで観光客を送迎し,5日間の合計で一般車両24,679台を受け入れ,66,710人の観光客をバス輸送いたしました。

ピークの5月3日には,昨年の桂浜駐車場の一日最大収容数の約3倍に当たる約7,200台の車両を特設駐車場へ収容することができ,渋滞のストレスなく桂浜観光を楽しんでいただいたことや,シャトルバス内での土佐観光ガイドボランティア協会のまごころの込もった観光案内も大変喜ばれ,好評をいただきました。

この場をお借りしまして,高知県警をはじめ,県や観光コンベンション協会,土佐観光ガイドボランティア協会など,関係者の方々に心から感謝申し上げます。

また,8月のお盆の時期にも多くの観光客の来高が予想されますので,関係機関と連携し,桂浜の渋滞対策に取り組んでまいりたいと考えており,今回関連補正予算を計上したところです。

さて,本年1月16日に開幕いたしました「土佐・龍馬であい博」では,大河ドラマ龍馬伝の好調さや,昨年来から取り組んでおります大都市圏での観光プロモーション活動の効果もあり,「龍馬であい博」のメイン会場である「高知・龍馬ろまん社中」の入場者は,6月2日現在で目標の66パーセントに当たる26万4千人を突破いたしました。

本市の主な龍馬伝関連事業としまして,4月に「龍馬伝」の題字書家である紫舟さんの「龍馬のことば展」を開催し,19日間で6,970人の方にご来場いただきますとともに,「龍馬の言葉を書こう」紫舟ワークショップを帯屋町アーケードで開催いたしました。

また,桂浜の龍馬像隣に特設展望台を設置した「龍馬に大接近」では,4月3日から5月30日までの実施期間中に61,556人が入場いただきました。

これらのほか,昨年10月にスタートしました観光ボランティアガイドと歩く「龍馬の生まれたまち歩き―土佐っ歩―」も大変ご好評をいただいておりまして,龍馬伝を契機として,龍馬のふるさと高知ならではの様々な魅力を発信し,今後の観光客の誘客につなげてまいりたいと考えています。

ポスト「龍馬伝」につきましては,「土佐・龍馬であい博」後の観光振興策を検討するため,県内の観光や宿泊,旅行関係者を中心に「ポスト龍馬博推進委員会」が設置され,5月31日に初会合が行われております。

本市としましても,県と連携して本市のもつ観光資源の磨き上げや情報発信の強化に取り組んでいかなければならないと考えているところです。

「龍馬伝」により,武市半平太をはじめ龍馬を取り巻く偉人が改めて注目され,また長宗我部元親公に対する人気が高まっていることなど,土佐の歴史に関心が深まってきていることから,県内の豊かな歴史に触れていただく魅力づくりを一層進めるとともに,観光客や旅行エージェントからも大変好評の「龍馬の生まれたまち歩き」のさらなる魅力向上や,よさこいや日曜市などの高知独自の文化など,高知の持つ様々な魅力をブラッシュアップし,効果的に情報発信するなど,「龍馬伝」終了後を見据えた取組を進めてまいります。

8 高齢者医療制度改革・国民健康保険制度

次に,高齢者医療制度改革・国民健康保険制度を取り巻く状況について申し上げます。

まず,後期高齢者医療制度につきましては,平成24年度末で現行制度を廃止し,平成25年度から新たな制度を導入することが決まっており,現在,私も委員として参加しております国の高齢者医療制度改革会議において論議が進められています。

これまでに会議が6回開催されており,いくつかの素案が出されておりますが,有力な案とされておりますのは,高齢者の方々が市町村国保に加入し,高齢者の方と若い方々と,保険は一つとしながら,国保財政上は別区分とするもので,その運営については基本的に都道府県をエリアとするものであります。

この案によりますと,一定年齢以上の高齢者の方々に対する医療給付費に公費負担として現行と同じ約5割を負担することとし,高齢者の保険料負担は現在と同額,残りは市町村国保・被用者保険の若人からの保険料で充当し,健康保険などの被用者保険については負担能力に応じた総報酬割に見直すことが前提条件とされています。

これによる財源試算では,市町村国保は約8,000億円の負担増,公費は約9,000億円の負担減になると想定されておりますが,市町村国保の負担増には,この公費の削減額を充てる考え方も示されております。

現況では,公費負担の在り方や,若人支援の前提とされる総報酬割の導入により被用者保険の現役世代の負担が増加することなど,課題も多くあります。

厚生労働省は,この7月下旬にも中間報告案を取りまとめる方針でありますが,制度の見直しに当たっては,国保の保険者として,全国市長会や国保中央会などを通じて,保険者の意見を十分反映させ,国庫負担を引き下げることなく国において十分な財政支援を行うこと,また保険料については都道府県や市町村で著しい差異が生じることがないよう公正・公平な制度とすることなどを強く求めてまいりたいと考えております。

次に,関連する国民健康保険制度の最近の動向について,申し上げます。

5月19日に施行されました国民健康保険法等の一部改正によりまして,我々が強く継続を求めてまいりました高額医療費共同事業や保険財政共同安定化事業,国保財政安定化事業の財政基盤強化策について,平成22年度から平成25年までの4年間継続されることとなりました。

このことにより,国においては,平成22年度予算で国費及び地方財政措置等合わせて1,839億円余りの財源措置がなされ,本市への影響額は国費・県費・地方財政措置等を合わせて10億8千万円余りの財源が確保できるものと見込んでおります。

また,保険料の平準化や国保財政の広域化等の観点から,都道府県において広域化等支援方針を定めることができるようになっており,高知県においても,今後,県下の各市町村に意向調査を行う予定であると伺っています。

新たな高齢者医療制度の導入と併せて,国保制度の広域化の流れはますます加速していくことは間違いありません。

現在の国保制度については,保険料負担の地域間格差の問題や小規模自治体が単独では運営しづらいことなど構造的な問題を抱えており,全国市長会では,後期高齢者医療制度を廃止して新たに創設する医療保険制度については,すべての国民を対象とする医療保険制度の一本化に向けて,国又は都道府県を保険者とする国民健康保険制度の再編・統合を行うよう強く求めておりますので,この方向性で意見を述べてまいりたいと考えます。

9 環境問題

次に,環境問題について申し上げます。

まず,ごみ減量についてですが,資源循環型社会の形成や低炭素社会への転換を図ることが強く求められている中で,本年3月議会にごみの減量化を主な目的とし,リサイクルの推進や環境施策に係る財源確保等を踏まえた家庭ごみの有料化に関する条例改正案をご提案いたしました。

論議の過程におきまして,高知方式が崩壊する恐れがある,有料化しなくてもごみ減量は可能である,また,有料化する前に市として取り組むべきことがあるなどの多くのご意見をいただいております。

ごみ有料化へのご賛同は得られませんでしたが,これまで以上に,ごみ減量化に取り組んでいく必要があると考えております。

具体的な取組として,市民の皆様のご意見をお聞きしながら,ティッシュの箱などの「雑がみ」など,これまで焼却ごみとして処理してきたものの分別区分の見直しによる資源化等を検討していくほか,台所ごみの水きりや分別の徹底,生ごみ堆肥化などにつきまして,ごみ処理に関する地域説明会や出前講座,また,広報紙や分別チラシ等様々な手段を通じまして,市民の皆様のご理解とご協力を求めてまいりたいと考えており,今議会において,ごみ有料化関連予算を全額減額するとともに,改めてごみ減量の啓発に係る経費の補正予算を計上したところです。

CO2削減の取組につきましては,本年度から環境政策課に低炭素都市推進室を設置し,地球温暖化対策の推進や改正省エネ法に基づく省エネルギー対策等を実施してまいります。

昨年3月に策定しました高知市地球温暖化対策地域推進計画に基づく「土佐から始まる環境民権運動推進協定」の締結や,市民の方々や事業者にエネルギー使用削減に取り組んでいただく「よさこいECOライフチャレンジ」事業への取組成果として,200万枚以上のレジ袋の削減や,家庭でのエネルギー使用量の削減など一定のCO2削減効果が上がってきております。

こうした取組の内容を広く周知することと併せまして,本年度も,より多くの市民・企業の方々にこうした活動にご参加いただくため,取組の拡大・強化を図るべく,現在市内の企業や関連団体を職員が直接訪問し,各企業の環境に関する取組についての情報収集や協力依頼等を行ってまいります。

また,新たに造成しましたグリーンニューディール基金を活用し,本市公共施設等からCO2排出削減を図るため,高須ふれあいセンターの空調機器の高効率化をはじめ,介良ふれあいセンター,誠和園,東消防署三里出張所において省エネ改修を行うため,今議会に関連する予算を計上しております。

10 教育改革

次に,本市の学力向上の取組等について申し上げます。

平成21年度の中学校学習習慣確立プログラムの実践を通じ,本市における中学生の学習習慣の定着状況が,中学3年生を中心に前年度と比べて大きく改善されてきております。

このことの成果が,今春の高等学校への進学率が過去最高の97.2パーセントとなったことにもつながっているものと考えます。

生徒たちからも「毎日パワーアップシートに取り組んだことが自分にとってとてもプラスになった」という声が聞かれていますので,平成22年度においても本事業を継続実施するとともに,教育長をはじめ,教育委員会の担当職員が,すべての中学校の保護者説明会に出向き,改めて本事業の目的と家庭における協力を要請しているところです。

学力向上や学習習慣を確立していくために,小・中9年間の連携した期間内で,子どもたちの学びや育ちを捉え,支援することを目指して,8中学校区をモデル地域と定めまして,高知市小・中連携推進事業をスタートさせました。

さらに,放課後学習支援員・中学校学力向上補助員・学習チューター等の学力向上のための人的支援のほか,教員補助員・児童生徒支援員など各校の課題に応じた人的支援を充実させております。

特に,本年度は,県教育委員会からの加配教員に加え,53名の学校図書館支援員等を配置することで,すべての小・中学校の図書館に専任できる人的支援体制が整いましたので,子どもたちが本に親しめる機会を増やすことや,学校図書館活動のさらなる充実を目指すこととしています。

こうした各校における学力向上の取組や授業改革をより推進するため,学力向上スーパーバイザー及び学力向上プロジェクトチームを派遣しておりますが,昨年度は年間100回以上各学校を訪問し,各校の詳細なデータに基づいて,実際の授業場面で学力向上のための指導・助言を行うことができました。

本年度におきましても,各校からの要請が相次いでおり,学校が組織として改革に取り組んでいますので,引き続き必要な支援を積極的に行ってまいります。

次に,児童生徒の体力向上に向けた取組について申し上げます。

平成21年度の全国体力・運動能力,運動習慣等調査の結果では,小・中学校ともに平成20年度の記録を上回った種目が多く,また,体力合計点の伸び率では,本市は全国1位の高知県の伸び率をさらに上回ることができました。

これは,全市的に体力向上への取組を推進していくことを校長会で確認したことや,新体力テストの実践に向けた実技研修会を行い,教職員の意識の向上を図ったこと等によるものと考えます。

本年度も各学校におきまして,日々の授業に体力を高める運動を継続的に取り入れたり,新体力テストの実施学年を拡大したりするなど,子どもたちの体力向上を図る取組を進めております。

また,平成21年度に横浜中学校校区において実施し,大きな成果を挙げることができた「子どもの体力向上支援事業」は,本年度は介良中学校校区を指定して取組を行うこととしておりますが,これまでの成果や課題を検証しながら,体力向上と生活習慣改善に向けた取組を充実させるとともに,その成果を他の校区にも広げてまいります。

11 平成21年度決算見込み

次に,平成21年度の決算見込みについてご報告申し上げます。

一般会計におきましては,一昨年秋からの景気悪化に伴い個人市民税収が減少するなど,前年度に引き続き厳しい財政運営となりましたが,普通交付税が増加しましたことや,公共事業等の歳出に不用が生じたことなどにより,収支の均衡を保つことができる見込みとなっています。

特別会計では,収益事業におきまして記念競輪での売上げ減によりまして単年度収支は赤字となりました。

本年度からは包括委託を開始いたしますが,こうした経費削減策をはじめとして,さらなる経営改善に取り組んでまいります。

また,施設建設時の起債償還を行っている駐車場事業や国民宿舎運営事業においては,引き続き累積収支では収支不足が生じる見込みでありますことから,今後とも収入の確保とともに経費の節減に努め,経営収支の改善に一層努力してまいります。

企業会計では,水道事業で収益的収入は給水収益などの減少のため前年度より3.7パーセントの減少となりましたが,収益的支出も支払利息などの減少のため4.5パーセントの減少となったことにより,ほぼ前年度並みの10億4,177万円余りの純利益となっております。

12 補正予算

以下,議案についてご説明を申し上げます。

今回提出いたしました議案は,予算議案3件,条例議案8件,その他議案5件です。

まず,今回の補正予算は,一般会計につきましては,国・県の内示に伴う公共事業や農業振興,教育に関する経費,平成21年度補正予算に伴い造成しましたグリーンニューディール基金を活用した省エネ改修のための経費等を中心に補正するものです。

本年度から県単独での補助が廃止となりました特定不妊治療費助成事業につきましては,医療助成制度等への波及が懸念されておりましたが,去る5月19日に尾崎高知県知事と協議いたしまして,県市連携で実施する基幹的事業や医療助成など中核市としての負担が大きい事業については,これまでどおり配慮するとの確認が得られましたので,今回,他の市町村との格差解消のため,市単独による上乗せ措置を補正することといたしております。

特別会計では,国民健康保険事業特別会計におきまして,特定健康診査の受診率向上に向けた受診勧奨のための経費や後発医薬品利用促進のための経費について補正するものです。

水道事業会計につきましては,国庫補助金の消費税相当額返還に係る補正を行うものであります。

以上,申し上げました内容によりまして,提案いたしております今回の補正規模は,

 一般会計   1億3,700万円

 特別会計     3,790万円

 水道事業会計    642万9千円

のそれぞれ増額であり,補正後の予算規模は全会計の純計で2,276億6,204万9千円となり,この補正予算財源としまして,特定財源では国・県支出金,市債等を充当し,一般財源については普通交付税を減額いたしました。

13 予算外議案

次に,予算外議案について申し上げます。

条例議案は,法令の改正に伴うものなど8件です。

市第63号議案及び市第64号議案は,育児休業等に関する関係法令の改正に伴い,育児期間中の職員の時間外勤務の制限や配偶者が育児休業をしている職員の育児休業等を可能にするなどの改正を行うものです。

市第67号議案は,カラオケボックス等の個室型店舗における避難管理等について,火災予防条例の一部を改正するものです。

市第68号議案及び市第69号議案は,春野地区の漁業振興を図るために基金を創設するとともに,春野漁港における目的外使用に係る使用料の改定を行うものです。

また,市第70号議案は,高知商業高等学校の授業料の無償化に伴い改正を行うものです。

その他の議案は,工事請負契約に関するものなど5件です。

このうち,市第71号議案は,医療保険制度の安定的運営を図るための国民健康保険法等の改正が5月19日になされたことを受けまして,同月25日に市長専決処分により国民健康保険条例の一部改正を行いましたことについて,市議会の承認を求めるものです。

報告7件につきましては,繰越計算書など,いずれも法令所定の手続によりご報告するものです。

以上,提出をいたしました議案について,概要の説明を申し上げましたが,よろしくご審議の上,適切なご決定をお願いいたします。