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第435回高知市議会定例会市長説明要旨(平成24年9月11日)
第435回高知市議会定例会にご出席をいただき,まことにありがとうございます。
議案の説明に先立ち,当面する市政課題に関連して,ご報告と考え方を申し上げ,ご理解を賜りたいと存じます。
1 国政・経済の動向
まず,我が国の経済状況と国政の動向について申し上げます。
去る8月28日に内閣府が発表した月例経済報告では,「景気は,このところ一部に弱い動きがみられるものの,復興需要等を背景として緩やかに回復しつつある」とされ,昨日公表した本年4月から6月期の実質国内総生産の改定値は4四半期連続のプラスとなっていますが,前期の1.3パーセント増と比べて0.2パーセント増にとどまるなど景気回復の動きが鈍化してきております。
東日本大震災の復興需要は堅調に推移していますが,政府のエコカー補助金による自動車販売の押し上げ効果が頭打ちとなっており,世界経済の減速で輸出の伸びも期待できない中,景気が一時的に停滞する懸念も出ていることから,本格的な景気回復につなげる国の経済対策を強く望むところです。
このような経済状況の中で,通常国会において,先月10日に社会保障制度改革と消費税率引き上げを柱とする社会保障と税の一体改革関連法案が可決され,現行5パーセントの消費税率は平成26年4月からは8パーセントへ,27年10月からは10パーセントへと段階的に引き上げられることとなりました。
厳しさを増す市民生活の中で新たなご負担を求めるものでありますので,国家財政の健全化に向けた確かな道筋をつけていただく必要があるとともに,住民福祉の向上に向けた真の社会保障制度が確立されるよう国に対し強く訴えていかなければなりません。
また,消費税率の引き上げ法案の中に,景気悪化時には税率引き上げを停止できる弾力条項が盛り込まれておりますので,政府は税率を引き上げる前に,経済成長率や物価動向などをチェックし,税率引き上げに踏み切るかどうかを判断する必要があります。
このため,国において,地域経済浮揚に向けた実効性ある景気対策を速やかに実施するとともに,消費税の逆進性を考慮して所得の低い方々の負担を低く抑えるための政策実施を強く望みます。
次に,現在の本市の財政収支見通しですが,平成24年度普通交付税の7月算定では,前年度実績との比較で交付税は約1億8千万円減少しましたが,臨時財政対策債を合わせた実質交付額では約1億5千万円の増加となり,総額では365億5千万円余りを確保することができました。
この内容を分析しますと,通常ベースでは前年度を少し超える交付税額を確保できましたが,固定資産の評価替えによる減額で市税収入が大幅に落ち込む中で,それに見合うだけの交付税が伸びていない現状があり,来年度以降の一般財源の総額確保が重要になってまいります。
混迷する国政の下で,今年度予算の執行に不可欠な特例公債法案が廃案になるなど考えられないような事態となり,予算執行抑制策として,今月の自治体への普通交付税の配分について,道府県分を3分の1に減額して交付されました。
市民生活に重大な支障が生じかねない許しがたい状況にあり,重要法案を政争の具としていることに強い憤りを感じており,一日も早い正常化を望むところです。
2 南海地震対策
次に,本市の南海地震対策の取組について申し上げます。
先月29日に内閣府から公表された「南海トラフの巨大地震による津波高・浸水域等(第二次報告)及び被害想定(第一次報告)」では,高知県をはじめ西日本の広範囲にわたり建物被害,人的被害ともに従前の想定を大きく上回る厳しいものとなっています。
一方で,同時に公表されました防災対策の減災効果を見ますと,迅速な避難や津波避難ビルの活用,建物の耐震化などを実施すれば,確実に被害を減らすことができることも示されておりますので,現在,本市が最優先で取り組んでおります,「地区別津波避難計画の策定」,「津波避難路及び避難場所の整備」,「津波避難ビルの指定」を確実に実施していくことが重要だと考えております。
新たな公表を受けまして,高知県では最新の地形データや河川データを用いて,「堤防が機能する場合」,「堤防が機能しない場合」などの条件を設定して,10メートルメッシュで詳細な推計を行い,今後の高知県の地震・津波対策の基礎資料となる「高知県版第2弾 南海トラフの巨大地震による津波浸水予測図」を年内に策定する予定であります。
本市におきましては,これまでも「自然地形の高台がなく,高層階の建物もない,津波の到達時間が早い」などの津波避難困難地域の対策が重要課題となっており,県の第2弾の詳細予測が示されますと,困難地域への津波避難ビルやタワー,津波避難シェルターの整備などの具体的な対応策に着手することが可能となりますので,地元の皆様方とも協議しながら地域ごとの条件等も踏まえ,詳しく検討を行ってまいります。
平成23年4月に立ち上げました「高知市南海地震対策再検討プロジェクトチーム」では,これまで,高知大学大年(おおとし)教授,群馬大学大学院片田教授をはじめとする5名の南海地震対策再検討推進アドバイザーから,東日本大震災の検証を踏まえた南海地震対策の具体的なアドバイスをいただき,地域防災計画の中で優先的に取り組むべき課題を各部局の協力を得て抽出しております。
現在,災害対策基本法の改正や課題事項を踏まえ,地域防災計画震災対策編の各節毎に基本方針や方策について具体的な検討作業を行っており,その結果について今年度末までに報告を受ける予定となっております。
また,本年3月に立ち上げました「高知市女性の視点による南海地震検討委員会」では,毎月1回の開催を原則として精力的に取組を進めております。
本年4月には,阪神・淡路大震災を体験された料理研究家坂本廣子さんから「被災時における食料の安全を守る知恵と工夫」についてご講演いただくとともに,意見交換を行い,災害時における日常的に台所にある食材の活用策や子どもたちへの食事に対する配慮方法など,女性の視点ならではの貴重なアドバイスをいただいております。
さらに,本年7月下旬から8月上旬にかけて,女性職員3班編成で,被災地である福島県,宮城県の11都市に,避難所運営や被災者支援のあり方,復旧・復興に向けた取組などについて,男女共同参画の視点も含めて現地視察を実施しました。
先般の視察報告会では,視察先の行政担当者や社会福祉協議会,自治会長,ホテル経営者をはじめ多くの方々から直接お聞きした課題や対策について詳細な報告を受けましたので,その内容を踏まえながら,引き続き女性の視点を生かした南海地震対策の検討を全庁的に進めてまいります。
このチームとは別になりますが,来月14日から17日にかけまして,宮城・岩手両県に各部局の職員から選出した1チーム10名編成の2チーム体制で被災地の復興状況の視察を実施する予定です。
この視察では,東日本大震災から1年半を経過した被災地の復旧・復興状況等を検証し,次期南海地震に備えた減災対策や,発災後の復旧・復興を速やかに推進するための計画策定に向けた教訓を得てまいりたいと考えております。
3 新庁舎整備
次に,新庁舎整備の取組について申し上げます。
災害対策の拠点ともなります新庁舎の整備に向けまして,市議会で新庁舎建設基本構想の素案をお示しし,様々なご意見をいただいております。
基本構想では,「市民の安全・安心な暮らしを支える庁舎」,「市民にわかりやすく,利用しやすい庁舎」,「市民に親しまれ愛着を持てる庁舎」,また,「環境に配慮した自然にやさしい庁舎」,「効率性,機能性を重視した経済的な庁舎」を基本理念として,新庁舎の基本的な機能や規模,事業手法などの課題を整理して来月中には取りまとめを行い,広く市民の皆様にも広報してまいります。
さらに,基本構想で掲げた基本理念や必要な機能などを踏まえ,本年度中には窓口や執務空間等のレイアウトの検討や建設計画など,庁舎の活用方法や整備方法をより具体化した「基本計画」の策定に着手することとしておりますので,議会におかれましても引き続きのご検討をいただき,市民の皆様からのご意見も参考にしながら,新庁舎整備計画を進めてまいります。
4 消防署所再編
次に,消防署所再編の取組について申し上げます。
平成23年11月に策定しました消防署所再編構想案において,合併による市域の拡大や鉄道高架などの環境変化に対応するとともに,南海地震発生時を含めた災害対応力の強化を図るために,新耐震基準に適合していない5つの消防署所の再編整備を平成30年度を目標に進めてまいります。
その中で,まず最初に南部地区の拠点消防庁舎として,老朽化が著しく,津波被害が予想される長浜・春野両出張所を統合・移転し,(仮称)南部分署を整備することとしました。
長浜・春野地区の地元町内会等へは消防署所再編構想案をご説明し,一定のご理解をいただき,地権者の方々にも合意を得られましたので,今議会で基本・実施設計費の補正予算をお諮りし,お認めいただきましたら来年度以降,造成工事や施設整備などに順次着手し,平成27年中の開署を目指してまいります。
また,北消防署の検討と併せまして,潮江地区を管轄する南消防署につきましても建物の老朽化と津波被害が想定されることから,同地区内での移転改築を含めまして建替えの方向性を検討しているところであります。
5 行政改革に向けた取組
次に,行政改革の推進について申し上げます。
財団法人高知市学校建設公社は,昭和50年代の社会経済の発展を背景とした,児童生徒の急激な増加による既設小・中学校の学校規模の増大,教室数の不足,校地の狭あい化の問題を解消するために,昭和56年6月に設立したものであります。
以来,学校校舎の建設及び用地買収等の学校施設の先行整備を行い,教育環境の改善に大きく貢献してまいりましたが,近年は児童生徒数が減少し,当初の急激な学校施設整備の必要性はなくなり,平成15年度を最後に新規整備事業が行われていない状況にあります。
このため,今議会でお諮りしております江陽小学校の普通教室棟買戻し後の当公社が保有する債務残高30億円余りについては,国の補助制度も活用しながら来年11月までに全て本市で買戻しを行い,学校建設公社を解散する方針で取り組んでまいります。
6 県市連携会議
次に,先月31日に行いました県市連携会議についてご報告申し上げます。
今回の会議では,「南海地震対策,産業振興,教育改革,健康長寿県づくり」の4つの議題につきまして尾崎高知県知事と具体的な協議を行い,併せて本市独自の取組などにつきましても提案したところです。
特に,南海地震対策につきましては,先月公表された内閣府の南海トラフ巨大地震による被害想定を踏まえ,県市が連携して想定される被害を減少させるための防災対策を加速化していくことを確認するとともに,「南海トラフ巨大地震対策特別措置法」の議員立法による制定に向けまして,知事会及び市長会,議長会などを通じて強力に国に対して要請していくことを確認しましたので,議会の皆様方におかれましても,ご支援をお願いいたします。
また,発災後の要援護者の方々への対応や福祉避難所の運営,広域的な受入体制のスキームづくりなど,よりきめ細かな災害対策について,県市担当部局の定期的な協議の場で検討することとなりました。
産業振興では,大都市圏の元気な高齢者の方々を本県に呼び込み,都市機能の充実した本市において高齢者の方々に快適な暮らしを提供することにより,活力ある地域づくりを進めることについて県市連携して総合的に研究していくこととしております。
また,本市の企業支援につきまして,防災産業や新エネルギー関連などの新たな産業への支援対策や,さらなる事業拡張等を行う企業に対して,新たな助成金の創設を検討し,県市が一体となって県経済の浮揚を目指すこととしております。
教育改革につきましては,本年度の「全国学力・学習状況調査」の結果につきまして,平成19年度の調査開始以来,小・中学校とも右肩上がりで順調に伸びていることを踏まえ,これまでの成果と併せて詳細に分析し,学力をさらに高いレベルに引き上げていくこととしております。
また,本市が昨年度より実施しております「高知チャレンジ塾」につきまして,生活保護世帯等の中学生の方々が当初の想定より多く参加していることや,生徒自身にも評判がよいこと,昨年度参加した生活保護世帯の中学3年生のほとんどが希望する高校へ進学できたことなどを紹介させていただきました。
県ではこうした本市の取組事例を参考に,県下に同様に事業を広めていきたいとの提案があり,今後は,県市が連携しながら貧困の連鎖を断ち切っていく取組を進めてまいります。
健康長寿県づくりでは,現在,本市が検討を進めています介護支援ボランティア制度について,介護ボランティア活動に限定したポイント付与だけではなく,本市の「いきいき百歳体操・かみかみ百歳体操」などの高齢者の健康づくりに対してもポイントを付与する仕組みを検討している旨を説明し,介護保険運用の制度改正の国への働きかけや県内市町村への制度の拡充について提案させていただき,今後,制度化に向けて県市で連携しながら検討していくこととしております。
7 観光振興
次に,観光振興の取組について申し上げます。
先月開催されました第59回よさこい祭りは,県外59チームを含む史上最多の197チーム,約1万8千人の踊り子が参加し,また,「第14回よさこい全国大会」では,県外46チームと本祭入賞チームの計66チームによる競演が繰り広げられ,多くの県民や観光客の方々に熱気と感動を与えてくれました。
今年のよさこい祭りは,本番初日である10日の夜には,激しい雷雨となったために演舞の中断や中止の措置が初めて取られましたが,事故を未然に防ぐためには止むを得ない措置であったと思います。
昨年は,被災地の福島県浪江町の子どもたちを招いて高知市役所チームで一緒に踊りましたが,今年は,浪江町のよさこいチーム「ワンダーなみえ」として参加され,また,東北を代表するチーム「六陸(りく)~RIKU」も2年ぶりに帰ってまいりました。
「ワンダーなみえ」や「六陸 ~RIKU」の踊り子達をはじめ,参加された皆さんから素晴らしい笑顔を見せていただき,よさこいで結ばれる絆が,明日への大きな力になっていることを改めて強く感じました。
来年は,よさこい祭り60周年を迎えますことから,本市では,昭和29年に始まりましたよさこい祭りの歴史や魅力などについて,映像や資料等で紹介する「よさこい情報発信スポット」の整備や,JR高知駅南口の「こうち旅広場」において,よさこい鳴子踊りの披露などを計画しており,よさこい祭りの主催者であるよさこい祭振興会とも連携して,60周年の記念大会を大いに盛り上げてまいりたいと考えています。
さらには,今後のメディアの動きとして,まず,今月8日からNHKテレビ放送において,演技力に定評のある渡辺謙さんが主演します高知にゆかりの深い吉田茂総理大臣を主人公としたテレビドラマ「負けて,勝つ~戦後を創った男・吉田 茂~」がスタートしました。
また,高知県出身で県観光特使でもある作家有川浩(ありかわひろ)さんが高知を舞台に書いた小説「県庁おもてなし課」の映画化が決定し,今月中頃にはクランクインが予定されております。
主演にはアイドルグループ「関ジャニ∞(かんじゃにえいと)」のメンバー錦戸亮(にしきどりょう)さん,そしてヒロイン役をNHK連続テレビ小説「梅ちゃん先生」の堀北真希さんが演じることとなっており,ほとんどが高知県内での豊かな自然を背景としたロケとなっていますので,来年5月予定の公開を大変楽しみにしております。
そして,10月からは,フジテレビ放送において四万十川を舞台とした連続ドラマ「遅咲きのヒマワリ~ボクの人生,リニューアル~」が放送予定となっており,主演には若手人気俳優の生田斗真(いくたとうま)さん,ヒロイン役には「龍馬伝」でお龍さん役を好演された真木よう子さんが演じることとなっています。
このように,映画・ドラマともに豪華なキャスティングとなっておりますので,高知の歴史や自然,祭りや食など,高知の魅力を全国に発信する絶好の機会と捉え,県外からの観光客拡大につなげるため,県や他の市町村等とも連携しながら積極的な情報発信を行ってまいります。
8 学力向上対策 等
次に,本市の学力向上対策について,本年4月に行われた「全国学力・学習状況調査」の結果が去る8月8日に公表されましたので,本市の状況について申し上げます。
まず,平均点で見ますと,小学校は本年度もほぼ全国平均レベルにあるとともに,中学校は本年度も大幅に改善が進み,全国水準域まであと一歩の状況となっています。
また,小・中学校ともに学校の授業以外での学習時間が増加してきており,計画的な学習ができていることなど,学習習慣が身についた子ども達が増えており,学力の向上や学習習慣の定着に伴って,子ども達の自己肯定感や規範意識等が向上しています。
特に,中学校の伸び率は著しいものがありまして,本市が県と連携して取り組んでまいりました学力対策の方向性は間違っていなかったと確信しております。
一方で,さらなる改善を要する課題として,格差を縮めるため学力の二極化を解消し,標準的な学力分布に近づける必要性があること,そして,本年度から調査の対象となりました理科についても,国語や算数・数学と同様に改善への手立てを行う必要があることの2点が挙げられています。
今後の学力の目標として,早い段階で小学校を全国比105レベルに,また,中学校を全国平均に到達させたいと考えており,そのためには,これまでの学力対策を検証し,質的向上を図りながら,長期間にわたって持続可能な安定した学力対策を講じてまいります。
次に,大きな社会問題となっております「いじめ問題」への対応について申し上げます。
いじめに関しては,これまで各学校や教育委員会において,早期発見と早期の対応,未然防止などの取組を進めてまいりましたが,滋賀県大津市での中学生の自殺問題を受けて,先月8日に臨時教育委員会を,24日には臨時校長会を開催し,大津市の問題から提起された課題を本市の取組につなげていくために,いじめに関する状況の把握等について具体的な協議を行いました。
今後,各学校では,これまでの取組を踏まえながら,「いじめを許さない学校づくり」,「教職員の意識向上と組織的な取組」,「教職員と子どもの信頼関係づくり」,「保護者や地域,関係機関と連携した子どもを見守る体制づくり」など,さらなる取組を進めてまいります。
また,教育委員会と各学校との連携を一層進め,子ども達や保護者向けのリーフレットやいじめ学習教材の作成・配付,研修内容の充実などを行い,学校を支援してまいります。
児童生徒の長期欠席の状況ですが,7月末の欠席調査では,30日以上の欠席者数が小学校では昨年比4人減,中学校では21人減となっております。
中学校の欠席者数は平成16年に本市独自の調査を始めて以来,最も少ない人数となっており,これは不登校だけでなく問題行動や宿題の提出率においても課題のある6月を強調月間として位置づけて,各学校で取り組んだ成果が出ているものと認識しております。
今後も学力向上・いじめなどの問題行動・不登校の対策のポイントは,「集団づくり」という共通した土台にあるものと考えて取組を進めてまいります。
9 下知市民図書館整備
次に,下知市民図書館整備事業について申し上げます。
この施設は,当初3階建てで計画しておりましたが,津波避難機能を強化するため4階建てに変更し,地元の皆様のご理解を得ながら本年1月から建設工事に着手しております。
施設内容は,図書館機能はもとより,地域防災,コミュニティ活動そして生涯学習活動の拠点機能を併せ持つ施設であり,下知地区のコミュニティ機能としても期待が大きいものであります。
施設建設工事と並行して,新施設の管理運営方法等につきまして地域の皆様との協議を重ねており,運営体制につきましては地域でご活動いただいております,各種団体の代表者等で構成する運営組織を設立する方向で協議を進めています。
また,これまでの運営組織設立の協議の中で,地域内の自主防災に関わる連携組織設立に向けた動きなど,コミュニティの再構築事業にもつながる地域団体間の横の連携も生まれてきており,新施設を拠点に様々な地域活動が活発に展開されることを期待しております。
今後のスケジュールですが,本年11月を目途に建設工事を終了させ,その後備品の搬入,開館準備等を行いまして平成25年4月の開館を目指してまいります。
また,運営組織につきましては,本年中の設立を地元にお願いしておりますので,この運営組織とともに,地域の皆様が利用しやすい施設を目指して開館準備を進めてまいりますので,よろしくお願いいたします。
10 中山間地域振興
次に,中山間の地域交通に関して申し上げます。
過疎化や高齢化などにより路線バスの利用者の減少が進む中,廃止路線代替バスを中心に移動手段を維持しております鏡・土佐山地域において,新たな取組として来月1日から,地域住民の方々や交通事業者との連携による地域内でのデマンド型乗合タクシーの実証運行を開始します。
具体的には,両地域をそれぞれ3つのエリアに区分し,各エリア毎に1台のタクシーが予約に応じて,鏡地域であれば県交北部交通の川口出張所まで,土佐山地域であれば土佐山庁舎又は円行寺下バス停まで送迎し,そこからは路線バスを利用していただくものであり,エリアごとに,朝・昼・夕の3便の上下便バスの発着時刻に合わせて運行することとしております。
今後1年間の実証運行を行う中で,利用者の方々のご意見や利用状況等を考慮し,運行内容を見直すなど,地域住民の方々のニーズに対応した持続可能な地域交通の構築を目指してまいります。
11 国際交流
次に,国際交流について申し上げます。
本年はインドネシア共和国スラバヤ市との姉妹都市提携から15周年を迎え,その記念事業として7月6日から11日まで6日間の日程で,24名の親善訪問団を結成し,スラバヤ市を訪問してまいりました。
5年ぶりに訪問しましたスラバヤ市は非常に美しい都市となっており,スラバヤ市長への表敬訪問や祝賀会への参加,第10回の記念大会を迎えた「スラバヤよさこい祭り」などの視察等を通じまして,スラバヤ市の皆様との親交を深めたほか,特に,今回は本市の企業から参加いただいた経済交流訪問団に,スラバヤ市の企業との交流会や国際貿易港タンジュンペラ港の視察活動等を行っていただき,今後経済分野での交流が活性化されることを期待しております。
さらに,11月下旬には,スラバヤ市長をはじめとする親善訪問団を本市にお迎えすることを予定しており,両市の友好関係のさらなる発展を図りたいと考えております。
また,本年は韓国木浦(もっぽ)市で孤児3千人を育て,「木浦の母」と慕われた高知市出身の田内千鶴子さんの生誕100周年に当たり,今月7日まで本庁舎1階ロビーで記念の写真パネル展を開催したところですが,10月下旬から11月上旬にかけまして,木浦市と本市の双方で様々な記念事業が計画されております。
本市からは,10月29日から11月1日まで4日間の日程で訪問団を派遣し,木浦市長への表敬訪問のほか,木浦市で開催される記念事業に参加することとなっております。
また,11月8日,9日には本市で記念式典や記念講演会,記念コンサートが開催され,これに合わせて木浦市からも訪問団が来高する予定となっており,竹島問題などで国家間の関係が懸念されている中ではありますが,この時期だからこそ田内千鶴子さんが残された偉大なる功績を共に称えていくことは大きな意義を持つことだと考えており,友好交流の推進を図りたいと思います。
12 補正予算・予算外議案
以下,議案についてご説明を申し上げます。
今回提出いたしました議案は,予算議案7件,条例議案2件,その他議案10件です。
まず,今回の補正予算は,一般会計では,施設整備関連として,国の内示を受けまして小学校8棟の耐震補強工事並びに小・中学校7棟の耐震補強設計の前倒し実施を行うほか,江陽小学校の普通教室棟などの買取りや,小学校2校の老朽化した放課後児童クラブ棟の改築費を補正するとともに,長浜保育園の改築に係る基本・実施設計費等を計上いたしました。
さらに,防災関連では,自主防災組織育成強化のための補助金の増額,災害時に医療救護活動を行う救護病院の追加指定に伴う救護活動用資機材の整備,本年4月と6月の豪雨により崩壊した農業土木施設等の災害復旧費を補正いたしました。
そのほか,国の委託を受けて定住自立圏域4市におけるまんが文化活用状況等の調査や,まんが文化を活用した事業を実施するための経費,平成24年度末で閉校となります新堀小学校と追手前小学校の閉校記念行事に対する助成,学校給食調理業務について平成25年度から委託を開始するための債務負担行為の設定を補正するとともに,農林漁業振興のための経費や市税還付金などについて計上いたしました。
特別会計では,下水道事業において江ノ口雨水貯留管築造事業で継続費の変更を行うとともに,その他の特別会計では,平成23年度の決算確定に伴う収益事業,駐車場事業,国民宿舎運営事業の特別会計における繰上充用金の精算,また,収益事業では平成25年度から競輪開催業務等の包括委託を新たに契約するための債務負担行為の設定,産業立地推進事業では決算剰余金の減債基金への積立てを行うものなどです。
以上,申し上げました内容によりまして,提案いたしております今回の補正規模は,
一般会計 32億1,000万円の増額
特別会計 1億5,342万4千円の減額
であり,補正後の予算規模は全会計の純計で2,399億1,585万円となっております。
なお,この補正財源としては,普通交付税及び繰越金を一般財源として充当いたしました。
次に,予算外議案について申し上げます。
条例議案は,法令の改正に伴うものなど2件です。
市第105号議案は,災害対策基本法において,地方公共団体が設置する災害対策本部の所掌事務が見直され,都道府県と市町村の災害対策本部が個別に規定されたことに伴い,条例の一部を改正するものです。
市第106号議案は,電気自動車用の急速充電設備を設置する際の位置,構造及び管理に関する基準が新たに定められましたので,条例の一部を改正するものです。
その他の議案は,前段申し上げました学校建設公社から江陽小学校普通教室棟などを取得する不動産取得議案,消防ポンプ自動車などの購入契約締結議案,損害賠償の額を定める議案,決算の認定議案など10件です。
このうち,市第113号議案は,平成18年5月に水道局が配水管布設替工事を行った後の仮舗装中の歩道上で,段差に足を取られ重傷を負った事故に伴う損害賠償の額の決定についてお諮りするものであり,今後このような事故がないよう再発の防止を徹底させてまいります。
また,決算の認定議案につきましては,この後,財務部長及び水道事業管理者より概要のご説明を申し上げます。
報告5件につきましては,財政健全化法関連数値の報告や,継続費の精算報告など,いずれも法令所定の手続によりご報告するものです。
以上,提出をいたしました議案について,概要の説明を申し上げましたが,よろしくご審議の上,適切なご決定をお願いいたします。