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第447回高知市議会定例会市長説明要旨(平成26年12月5日)
第447回高知市議会定例会にご出席をいただき,まことにありがとうございます。
議案の説明に先立ち,当面する市政課題に関連して,ご報告と考え方を申し上げ,ご理解を賜りたいと存じます。
1 国政・経済の動向
まず,国政及び経済の動向について申し上げます。
去る11月17日に内閣府が発表しました本年7月から9月期の国内総生産の成長率は,前期比0.4パーセント減,年率換算では1.6パーセントの減と,民間予想を大きく下回る2四半期連続でのマイナス成長となりました。
また,同25日に発表されました月例経済報告では,「景気は,個人消費などに弱さがみられるが,緩やかな回復基調が続いている」とされており,先行きについては,雇用・所得環境の改善傾向が続く一方で,消費者マインドの低下や海外景気の下振れリスクが懸念されるなど,予断を許さない状況が続くと見込まれています。
本県経済におきましても,四国地域経済研究所の調べでは,7月から9月の前年同期比で,百貨店売上高4.9パーセント減,新車登録台数10.4パーセント減といった個人消費の落ち込みに加えて,住宅建設の新築戸数が16パーセントの大幅な減少となるなど,夏場の天候不順の影響に加え,依然として消費税率引き上げ後の反動減が続いており,景気回復に一服感がみられる状況にあるとされています。
こうした経済状況の中で,安倍総理は,先月21日に「来年10月に予定されていた消費税率の引き上げを1年半延期し,平成29年4月には確実に10パーセントへ引き上げることと併せて,アベノミクスをこのまま進めることについて国民に信を問う」ことを表明し,衆議院が解散され,今月2日に公示,同14日を投開票日とする衆議院議員総選挙が実施されることとなりました。
消費税率10パーセントへの再引き上げを1年半先送りすることにつきましては,その影響も大きく,当初予定では10パーセントへの再引き上げにより増加する税収分を,子ども・子育て支援新制度等への社会保障の拡充に充てることとしておりましたので,平成29年度まで税率引き上げが先送りされたことにより,社会保障財源の今後の見通しが非常に懸念される状況となっています。
人口減少や超高齢化が急速に進む状況の中で,国政の優先すべき政策は,安心して出産・子育てが可能となる社会保障の拡充であり,そのための安定した財源が不可欠ですので,来年度以降の当面の代替財源の確保について全国市長会等を通じ,国に強く求めてまいります。
次に,アベノミクスに関してですが,輸出産業を中心とする大企業や都市部の富裕層には一定の経済効果が発揮されてきておりますが,この効果が地域経済に十分に浸透していくためには,円安による原材料費等の高騰の影響を受けている中小企業や小規模事業者への経営支援策をさらに拡充することや,消費税率引き上げや物価上昇により影響を受ける低所得者を中心とした消費者対策の充実など,地方経済の活性化に向けた,一層の国の支援が必要であると考えます。
先月21日には, 地方創生に向けた「まち・ひと・しごと創生法案」などの重要2法案が臨時国会の最終日に可決成立しました。
この法案では,人口減少の克服や東京に人口が一極集中している現状の是正に向けて,出産や育児しやすい環境整備や,地方における雇用創出を進めることが基本理念とされており,その財源として,普通交付税の歳出特別枠分を見直して「地方創生枠」を設ける案が検討されており,併せて2,000億円程度の新たな交付金を創設することも論議されています。
本市におきましても,積極的な地方創生に向けた取組を進めるため,10月に庁内における検討プロジェクトチームを設置し,精力的に議論を進め,11月末には,「安心した結婚・子育てと充実したセカンドライフを送れる環境整備」をはじめとする6つの柱と20施策を提言骨子案として取りまとめ,国との協議を始めたところです。
今後は,同法の中で策定が謳われている,国における2015年から5か年の人口減少対策の取組方針である「総合戦略」が年内にも策定される予定であり,本市としましても,国の「総合戦略」を踏まえて県と連携しながら,来年度中に高知市版の「総合戦略及び人口ビジョン」を策定し,本市における地方創生の推進に全力で取り組んでまいります。
2 本市の財政見通し 等
次に,本市の財政見通しについて申し上げます。
本年度の普通交付税及び臨時財政対策債の算定結果では,当初予算で計上していた額より実質的に12億円余り増額となる財源を確保することができ,現時点では年間の収支均衡を保てる見通しとなっています。
一般会計における平成25年度決算では,普通交付税等が一定確保できたことによる実質収支の黒字を確保するとともに,起債残高を対前年度から約104億円減少させることにより,財政状況の健全度を表す健全化判断比率などの財政指標も改善されてきております。
一方では,他の中核市と比較しますと,起債残高も多く,財政指標についても課題がありますので,さらに起債残高を縮減するなど財政健全化に向けた取組を今後も進めていく必要があります。
こうした中,総務省では,平成27年度予算編成に向けて本年7月に閣議了解された「平成27年度予算の概算要求に当たっての基本的な方針」の中で,地方交付税交付金をはじめとする地方一般財源については,「中期財政計画における国の財政再建目標との整合性に留意しつつ,平成25年度及び26年度の地方財政計画の水準を下回らないよう確保する」としております。
来年10月から予定していた消費税率の引き上げが平成29年4月に先送りされたことなどにより,地方一般財源に関する見通しについては不透明な部分が残りますので,今後の国の動向を十分に注視していく必要があります。
本市の平成27年度当初予算編成につきましては,不確定要素が残る中での作業となりますが,引き続き徹底した行財政改革や財政健全化に向けて取り組むとともに,国の地方創生の動向にも留意しながら,南海トラフ地震対策をはじめとする「安全・安心のまちづくり」を最重点に置き,政策・施策評価を踏まえ作成した第2次実施計画に登載されている施策等の着実な実施を目指します。
3 南海トラフ地震対策
次に,南海トラフ地震対策について申し上げます。
高知市強靭化計画の進捗状況と策定までのスケジュールにつきましては,本年8月の高知市強靭化推進本部の立ち上げ以降,県市で28区分の起きてはならない「最悪の事態」を設定し,これらを回避するための施策等について県市一体で作成に取り組んでいます。
最悪の事態ごとに現状の施策や進捗状況を分析し,脆弱性の評価案を作成し,11月には庁内で脆弱性の評価案に対する意見照会を行い,その結果を基に高知市強靭化推進本部幹事会で議論を進めています。
今後は,国から派遣される有識者の助言に加え,ライフラインを担う事業者の方々からも意見を伺いながら,強靭化に対する脆弱性評価や対応方針を策定するとともに,施策の重点化や各施策の進捗状況を示したアクションプランの作成を進め,市議会の皆様方のご意見を賜りながら,本年度末には高知市強靭化計画として取りまとめてまいります。
次に,津波避難施設の整備状況について申し上げます。
種崎地区に整備を予定しております津波避難センター2か所につきましては施工事業者が決定しましたので,今議会において請負契約締結議案をお諮りし,ご承認をいただけましたら来年1月からの着工予定としております。
津波避難タワー8か所につきましては,着工済みが1か所,設計完了済みが3か所,現在設計中のものが3か所,地質調査など設計に向けて準備を進めているものが1か所となっており,地域の皆様のご協力をいただきながら,平成27年度末までの完成を目指してまいります。
次に,8月の豪雨災害において,山腹崩壊のため8月7日から避難指示を継続しておりました鏡的(まと)渕(ぶち)地区につきましては,高知県が応急対策工事として施工しておりました地滑りの要因である地下水の排水ボーリング工事が先月末に完了したことにより,崩壊の危険性がなくなりましたので,長期の避難生活を余儀なくされておられました的渕地区の皆様に対しまして,昨日説明会を開催し,避難指示を解除いたしました。
残る土佐山菖蒲地区の避難指示につきましては,県と連携しながら可能な限り早期の解除を目指してまいります。
次に,学校耐震化の進捗状況等について申し上げます。
今年度は,夏休みを中心に工事を実施した旭小学校校舎など14校15棟の耐震補強工事が既に完了し,現在,工期分散のため昨年度から導入した秋工事分として,第四小学校体育館など6校7棟の耐震補強工事を実施しており,本年度末の耐震化の進捗率は84.8パーセントとなる見込みです。
このほか,9月議会でご承認をいただきました体育館7棟・技術棟3棟・給食棟6棟の耐震補強設計につきましても準備を進めており,校舎については平成27年度末までの完了を目指し,その他の施設につきましても1年でも早い耐震化整備の完了に向けて取り組んでまいります。
4 新庁舎整備
次に,新庁舎整備について申し上げます。
新庁舎の建設に伴い,本庁舎南側の敷地につきましては,埋蔵文化財調査を実施する必要があることから,市議会の皆様方には,先行して本町仮庁舎にお移りいただき,引越しの際には多くのご協力を賜りましたことに御礼を申し上げます。
これから新庁舎完成予定の平成30年度末までの4年以上にわたりまして,何かとご不便をおかけすることになりますが,どうかよろしくお願いいたします。
先月30日には新庁舎建設シンポジウムを開催し,多くの皆様にお集まりいただき,早稲田大学の卯月(うづき)教授による基調講演をはじめ,パネルディスカッションなどを通して,市庁舎が果たす役割や新庁舎建設の方向性など様々な視点からのご意見やご提案をいただきましたので,今後の整備計画や庁舎運営に活かしてまいりたいと考えております。
現在,新庁舎建設の基本設計を行っているところですが,詳細な内容については市議会の皆様方にもご意見等を賜りながら,来年1月中に取りまとめを行い,引き続き実施設計に着手したいと考えております。
また,来年は本庁舎南側付属棟の取り壊しに引き続きまして,秋頃から本庁舎の解体工事に着手する予定となっており,本格的に庁舎整備が進んでいくこととなります。
解体工事前には本庁舎のすべての機能を本町仮庁舎と,来年2月から高知地方裁判所北側の国有地を借地して建設する仮設庁舎に移転する予定となっており,利用される市民の皆様には,新庁舎が完成するまでの長期間にわたりご不便をおかけすることとなりますが,ご理解をお願い申し上げます。
5 全国都市問題会議
次に,全国都市問題会議について申し上げます。
全国の市長や特別区長,市議会議長,議員等の自治体関係者の方々と学識経験者が一堂に会して,都市の課題や地方自治の在り方について論議する全国都市問題会議が,高知で初めて10月9日・10日の2日間開催され,全国各地から約1,900人の皆様のご参加を賜りました。
本会議では,「都市と新たなコミュニティ~地域・住民の多様性を活かしたまちづくり」をテーマに,初日は,作家の山本一力先生による基調講演をはじめ,コミュニティ論を専門とされる法政大学の名和田(なわた)教授やこどもファンド等で親交の深い早稲田大学の卯月(うづき)教授,また,小林八戸市長等から実践的なご提言も交えながら,地域のつながりやまちづくりの在り方についてご講演いただきました。
私からは本市独自の「こどもファンド」や「いきいき百歳体操」など,コミュニティの活性化につながる市独自の取組を紹介しながら,子どもたちから高齢者までの幅広い世代で,まちづくりを進めていることを報告させていただきました。
2日目は,コミュニティデザインを専門とする東北芸術工科大学及び京都造形芸術大学山崎(やまざき)亮(りょう)教授をコーディネーターに迎え,群馬大学の片田教授をはじめとする5人のパネリストの皆様方から,それぞれの活動事例等の紹介を踏まえて活発に議論いただき,地域コミュニティの活性化に向けて,「地域の多様な主体をつなげていく人材の発掘と育成」が非常に大切であることなどが共通認識となりました。
今回の会議では,本格的な人口減少社会の到来や東日本大震災を契機として,改めて地域コミュニティを問い直す機運が高まっている中で,地域の絆を強固にしていく具体策など多くの示唆に富んだ意見交換ができ,全国の参加者の方々からも非常に好評でありました。
また,本市への経済効果も大きく,有意義な大会が開催できたことを感謝しております。
6 観光振興 等
次に,観光振興の取組について申し上げます。
龍馬の誕生日である11月15日には,上町の龍馬誕生地記念碑の前において,龍馬誕生祭が執り行われ,夕方には中央公園で商店街龍馬生誕祭も開催されるとともに,開館10周年を迎えた龍馬の生まれたまち記念館では,全国初となる龍馬の姉,乙女の像を高知鷹(よう)城(じょう)ライオンズクラブ様よりご寄贈いただき,除幕式が執り行われました。
身長が約175センチメートルあったと言われる乙女姉やんのほぼ等身大の像となっており,母親代わりとして龍馬を鍛錬し,良き理解者として龍馬を育てた乙女姉やんの厳しさと優しさが見事に表現されております。
坂本龍馬は,天保6年(1835年)11月15日に上街で誕生し,来年生誕180年を迎えることとなりますので,龍馬生誕180年を契機に龍馬の功績や夢,そして志を次の世代へと引き継いでいくとともに,龍馬のふるさと高知を全国にアピールするため,龍馬に関連する様々な事業を展開し,180年の節目を盛り上げていく予定です。
龍馬生誕180年記念事業の主な内容として,龍馬の生まれたまち記念館,坂本龍馬記念館,龍馬伝幕末志士社中の龍馬関連の3施設において,企画展やイベントが実施されますので,3館の提携により割安に入館できる「龍馬・志(こころざし)3館セット券」を特別チケットとして来年4月から販売することとしております。
また,龍馬ゆかりの地を観光ガイドとともに歩く「土佐っ歩」が好評ですので,生誕180年の特別企画として「ご当地アイドル土佐おもてなし勤王党と歩く土佐っ歩」の実施も計画中です。
さらに,大政奉還の実現への大きな契機となった薩長同盟を中岡慎太郎とともに龍馬が仲介したことをゆかりとして,鹿児島,山口,高知の交流促進を目的に,「平成の薩長土・中学生フォーラム」を計画しております。
そのほか,桂浜の龍馬像が昭和3年5月27日に建立されており,来年は米寿を迎えることから,「龍馬像の米寿を祝うイベント」を行うこととしており,様々な龍馬関連イベントを通して,龍馬のふるさと高知の魅力を全国へ発信してまいります。
次に,「龍馬の絆で結ぶ都市間交流宣言」の締結について申し上げます。
坂本龍馬の命日でもあります11月15日に,龍馬の墓があります京都霊山護国神社におきまして,龍馬ゆかりの鹿児島市,霧島市,長崎市,下関市,福山市,京都市,品川区と本市の8市区において,文化・観光・防災などの分野でさらに交流を深めていくことを確約する「龍馬の絆で結ぶ都市間交流宣言」を行うとともに,この宣言に併せて,本市が提案しておりました「災害時相互応援に関する協定」の締結を行いました。
この協定では,災害時に被害を受けていない自治体から被災自治体に対し「龍馬救援隊」と名付けた災害支援を行うこととなっており,食料・飲料水・生活必需品の供給,医療などの資機材や物資の提供,さらには被災者の救出や職員の派遣などを行うとともに,平時においては防災情報の交換や調査研究,情報伝達訓練などについても相互に連携していくこととしております。
今後は,8市区が龍馬の絆で結ぶ都市間交流宣言の主旨を基に,様々な分野で交流を深め,「絆」をより強固なものとするとともに,災害時には被災市区の迅速な復旧・復興を支援するため相互に協力してまいります。
7 路線バスターミナル構想
次に,路線バスターミナル構想の取組について申し上げます。
県民市民の皆様の公共交通の利便性向上とともに,中心市街地の活性化やコンパクトシティーなどのまちづくりの視点を踏まえ,中央部における路線バスターミナルの必要性について検討しており,これまで公共用地や民有地を含め複数の候補地を選定し,機能面や安全性,確実性,速達性,コスト面等を勘案し,ターミナル整備の可能性について具体的に研究しております。
路線バスターミナルの整備につきましては,それぞれの候補地の適否を検討する中で,機能面の向上対策や用地の確保,周辺住民の皆様との合意形成など,結節機能の強化を含めて短期・中長期に区分して取り組む必要があるのではないかと考えております。
所管の委員会におきまして,今議会会期中に本市としての基本的な考え方や今後の方向性について中間的なご報告をさせていただき,市議会の皆様方のご意見も賜りながら方向性を決定してまいりたいと考えておりますので,よろしくお願いいたします。
8 臨時福祉給付金・子育て世帯臨時特例給付金
次に,臨時福祉給付金及び子育て世帯臨時特例給付金の給付事業について申し上げます。
本市では,両給付金の申請受付期間を7月1日から12月26日までと設定し,7月29日から順次対象の皆様に給付金を支給しております。
これまでの支給状況は,12月1日現在で,「臨時福祉給付金」の支給対象者約78,000人に対して申請受付率は約81パーセント,「子育て世帯臨時特例給付金」の対象児童約34,000人に対して申請受付率は約95パーセントとなっています。
「臨時福祉給付金」は,本市も含め全国的に申請率が低迷しており,その対策として10月1日からテレビ・ラジオでの再度の広報を実施したほか,未申請者の方々に申請勧奨通知を送付するとともに,シルバー人材センターに戸別訪問業務を委託し,申請のご案内を実施しましたが,未だに約15,000人の対象者の方々に申請いただけていない状況です。
このような状況を踏まえ,先月28日に両給付金の未申請者の方々を対象に再度の申請勧奨通知を行い,「あかるいまち」12月号による広報を実施するとともに,7月以降に市・県民税の修正申告等に伴いまして新たに臨時福祉給付金の対象者となった方もおられますので,来年の2月末を最終期限として申請の受付を行い,さらなる支給率の向上を図ってまいります。
9 土佐山小中学校(土佐山学舎)
次に,土佐山小中一貫教育校について申し上げます。
「土佐山百年構想」の基幹プロジェクトとして進めております,土佐山小中一貫教育校,通称「土佐山学舎」の新校舎が10月に完成いたしました。
中学校については,本年8月の台風による予想外の浸水被害を受けたため,約1か月半の間,小学校に間借りして授業を行っておりましたが,新校舎の完成に伴い,現在は新校舎に移転しております。
平成27年4月1日からは土佐山学舎として新たなスタートをきることになりますので,今議会において,中学校の所在地を現小学校と同じ所在地とする条例議案をお諮りしております。
現段階では,小・中学校はそれぞれ別々の学校として運営されておりますが,子どもたちにとって同じ施設で生活することで異学年の交流機会が増えるとともに,学校生活における協力や気配りが見られるようになっています。
また,教員については,普通教室に設置された電子黒板を積極的に活用するなど,わかる楽しい授業づくりへの研究が進められており,子どもたちも以前にも増して高い意欲をもって授業に取り組んでいます。
10月25日には,特認校制度による通学希望者を含め,地域外からの土佐山学舎への通学希望者を対象に学校説明会を開催しましたが,年度当初からのPR効果もあり,41家庭から約90人が参加する盛況ぶりで,保護者の皆様の関心の高さを感じています。
今後,学校では教育課程の編成に向けて詰めの作業を行い,小中学校が一体となって取り組む教育活動や,小・中学校教員の乗り入れ授業の計画等について調整を行い,土佐山学や学校行事など地域との連携や協働が必要な活動について学校運営協議会における承認を得てまいります。
10 中学校給食
次に,本市の中学校給食の実施についての考え方を申し上げます。
これまで,本市の中学校給食につきましては,平成8年から11年にかけて,「中学校給食を考える会」において中学校給食のあり方等について検討を重ねてまいりました。
しかしながら,検討の最中に,大阪府堺市における病原性大腸菌O-157による大規模な集団食中毒事故が発生したことに伴い,当時の文部省が新たに定めた衛生管理基準に沿った高度な調理場のスペースを確保することや,それに伴う経費等が大きな課題となり,中学校給食の実施には至りませんでした。
その後,親子調理方式の実施や民間業者による弁当販売が検討され,現在,中学校6校で給食を実施し,その他の13校では弁当販売が行われています。
本市がこれまで最優先で進めてまいりました学校施設の耐震化に一定の目途がついたことから,中学校給食実施に向けて,現在,教育委員会内部で行ってきた調査結果や課題整理をもとに,外部の委員を含め「中学校給食実施検討委員会」を設置して具体的な協議を重ねております。
これまでの検討委員会において,「中学校給食を実施するとした場合の実施方法」等について検討が進んでおりますので,こうした検討委員会の検討内容も考慮して,市議会の皆様方のご意見も賜りながら中学校給食の具体的な実施手法について判断してまいります。
11 姉妹都市・友好都市交流
次に,姉妹都市・友好都市との交流について申し上げます。
本市とアメリカ合衆国フレスノ市は,1965年2月の姉妹都市提携から今年度で50周年を迎え,永年にわたり相互の親善訪問をはじめ,スポーツや文化交流,学生や教員の派遣を中心とする教育交流など様々な分野において,両市民の友情と理解を深めてまいりました。
本年10月には,姉妹都市提携50周年記念事業の一環として,フレスノ市から23人の親善訪問団を高知にお迎えし,4泊5日の高知滞在中,はりまや橋小学校や高知中央郵便局などを訪問していただくとともに,姉妹都市提携50周年記念祝賀会では,これまでのフレスノ市訪問団,姉妹都市委員会会員ほか関係者の皆様が一堂に会し,半世紀の交流を祝い,互いの親交を深め合うことができました。
来年は本市から親善訪問団を派遣することを予定しており,2か年にわたる姉妹都市提携50周年事業を通じまして,両市の絆をさらに深めてまいります。
また,来年は中国・蕪湖市との友好都市提携30周年を迎えることから,本年5月には友好都市提携30周年記念事業について協議するための事務協議団を蕪湖市に派遣し協議を進めており,相互の訪問団の派遣,記念祝賀会の開催,蕪湖市での記念植樹など,両市において様々な記念事業を計画しております。
国と国との関係が懸念されている中で,地方と地方の市民レベルでの交流により都市間の親交を深めることは有意義なことであり,このような記念事業などを通じ,今後も蕪湖市との交流を進めてまいります。
さらに,北見市とインドネシア・スラバヤ市につきましても,再来年以降,北見市との30周年,スラバヤ市との20周年を迎えることから,姉妹都市提携周年事業を中心に,経済や文化・教育分野など多方面での交流が活性化することを期待しております。
12 債権管理条例
次に,債権管理条例の制定について申し上げます。
本市では平成21年度から直接滞納処分が可能な市税や国保料などの強制徴収債権について,また,平成24年度からは各種返還金や貸付金などの強制徴収債権以外の債権について,所管関係各課による専門部会を設け,徴収取組についての検討を重ねてまいりました。
その中で全庁的な債権管理の取組を行っていくことが重要であると判断し,本年4月に強制徴収債権以外の未収金の債権管理・回収の指導・助言を目的に債権管理室を設置しております。
各債権所管課の実態調査を踏まえまして,8月には「高知市債権管理基本方針」を策定し,今後さらなる滞納債権の縮減を図るため,債権管理の手順の統一化,公債権と私債権の分類に応じた取扱の明確化や徴収不能な債権の適正な処理基準を定める必要があることから,この度,高知市債権管理条例をご提案しております。
概要として,まず第1に,債権管理の基本となる管理台帳整備を義務付けて督促や催告を確実に行うこと,第2に,高知市個人情報保護条例の目的外利用を可能として各債権所管課が保有している情報を利用することにより債権管理の適正化を図っていくこと,第3に,債権の放棄として適正な管理を行っても徴収できない債権については一定の要件を満たすものについては債権を放棄できることを可能とすること,などの内容となっています。
今後,条例施行までの約3か月間で,債権管理台帳の整備や債権管理についての標準的なマニュアル整備等を行う予定であり,来年4月の施行後は,本条例により市債権の管理に関する事務の処理について一般的な基準や必要事項を定め,一層の市債権の管理,回収の適正化を推進してまいります。
13 田辺島丸排水機場運転管理業務に関する職員の賠償責任問題
次に,田辺島丸排水機場運転管理業務に関する職員の賠償責任問題について申し上げます。
この件は,高知市田辺島丸排水機場の運転管理業務において受託者が週報を作成していないにもかかわらず,適正な検査を行うことなく,平成21年4月分から平成25年10月分までの委託料を支払っていたことが本市に損害を与えたものとして,本年3月に住民監査請求が監査委員に提出され,同5月に監査委員から損害補てんの勧告を受けたものであります。
本市としては,市に与えた損害額を約148万円と算出し,当時の耕地課長2名に対する賠償責任の有無と賠償額の決定を本年7月に監査委員に求め,11月18日付けで当該決定がなされたものです。
この決定を踏まえ,当時の両課長に対して賠償命令を行ったところ,先月27日付けで全額の返還を受けております。
不適切な事務執行が行われていましたことを改めて陳謝申し上げますとともに,事務処理の適正化と法令遵守意識のさらなる徹底を図ってまいります。
14 補正予算・予算外議案
以下,議案についてご説明を申し上げます。
今回提出いたしました議案は,予算議案9件,条例議案21件,その他議案19件です。
今回の補正予算は一般会計で,民間保育所が新たに分園を創設する経費を補正するとともに,入会児童数の増加に伴い秦小学校敷地内へ児童クラブ2クラブ分の専用棟1棟を建設する経費,桂浜公園駐車場に景勝地で本市初となる次世代自動車急速充電設備を設置する経費,また,懸案でありました神田小学校南側へのグラウンド整備に要する経費,8月豪雨及び10月の台風19号により被災した河川の災害復旧に要する経費等を計上しました。
そのほか,寄附申込件数が大幅に伸びております,ふるさと納税に係る記念品代等に要する経費,平成27年1月から対象疾病拡充等に伴い増加が見込まれる小児慢性特定疾患治療に要する経費,幼稚園における同時在園第2子に係る保育料軽減について所得制限撤廃に伴う対象者増による経費などを計上しました。
また,人件費補正では,新陳代謝等により全会計の職員給与費等で約2億8千万円を減額するとともに,欠員補充等の臨時職員賃金で約1億2千万円を増額することとしております。
以上,申し上げました内容によりまして,提案しております今回の補正規模は,
一般会計 11億7,800万円の増額
特別会計 5億2,136万6千円の増額
水道事業会計 6億3,570万7千円の減額
公共下水道事業会計 500万円の増額
であり,補正後の予算規模は,全会計の純計で2,683億1,518万7千円と
なっております。
なお,この補正財源として,特定財源では国庫支出金,市債等を充当し,一般財源については普通交付税,繰越金等を充当いたしました。
次に,予算外議案について申し上げます。
条例議案は,法令の改正に伴うものなど21件です。
このうち,市第152号議案は,介護保険法の改正に伴い,地域包括支援センターの人員及び運営に関する基準を地方分権の観点から市町村が定めることとなったことにより条例の制定を行うものです。
市第156号議案は,出産育児一時金の支給金額引き上げ等の条例改正を行うものです。
その他議案は,今月14日に執行される衆議院議員総選挙に係る補正予算を11月21日に専決処分したことについての承認議案のほか,仁淀川下流衛生事務組合からの脱退に伴う関連議案や指定管理者の指定に関する議案など19件です。
報告9件につきましては,工事請負契約の一部変更についての市長専決処分の報告など,いずれも法令所定の手続によりご報告するものです。
以上,提出いたしました議案について概要の説明を申し上げましたが,よろしくご審議の上,適切なご決定をお願いいたします。