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第458回高知市議会定例会市長説明要旨(平成28年12月8日)

 第458回高知市議会定例会にご出席をいただき,まことにありがとうございます。

 議案の説明に先立ち,当面する市政課題に関連して,ご報告と考え方を申し上げ,ご理解を賜りたいと存じます。

1 国政・経済の動向

 まず,国政及び経済の動向について申し上げます。

 去る11月14日に内閣府が発表しました本年7月から9月期の国内総生産の成長率は,内需の柱となる個人消費や企業の設備投資が依然として低調であったものの,堅調な輸出が全体を底上げし,前期比0.5パーセント増,年率換算では2.2パーセント増となり,3四半期連続のプラス成長を維持しております。

 また,先月25日に発表された月例経済報告では,国内景気の基調判断を8か月連続で据え置く一方で,世界経済の判断については,米国の景気回復や中国経済に持ち直しの動きが見られることなどから,2年9か月ぶりに上方修正するとともに,国内経済の先行きについては,海外経済の不確実性に留意する必要があるとし,トランプ次期米国大統領の政策や英国のEU離脱決定の影響に警戒感を示しています。

 県内では,先月8日に発表されました日本銀行高知支店の高知県金融経済概況において,緩やかに回復していくという基本的な見方は変わらないものの,新興国や資源国経済の減速,国際金融資本市場の動向の影響,また,一部に見られる個人消費の弱さなどを注視する必要があるとの見方を示しています。

 こうした経済状況の下,今国会の焦点の一つでもある環太平洋連携協定,いわゆるTPPの承認議案と関連法案の審議が大詰めを迎えております。

 本議案は,先月10日に衆議院本会議で賛成多数により可決され,現在は,参議院で審議が行われており,憲法の規定により参議院で可決されない場合でも,衆議院通過から30日で自然成立しますが,政府与党は,自然成立を迎える明日の特別委員会において採決する方針を示しております。

 一方,12か国が参加するTPPの発効は,国内総生産合計額の85パーセント以上を占める6か国以上が,議会承認などの国内手続を完了させなければならないことから,国内総生産合計額の約6割を占める米国の参加が不可欠となりますが,トランプ次期米国大統領はTPPからの離脱を明言しており,TPP発効は極めて困難な状況となっています。

 トランプ氏は,TPPに代わって2国間の自由貿易協定(FTA)などの交渉を進める方針も示していることから,我が国の経済に大きな影響を及ぼすこととなりますので,今後の両国の動向を注視してまいります。

2 本市の財政見通し

 次に,本市の財政見通しについて申し上げます。

 本年度の普通交付税及び臨時財政対策債の算定結果については,当初予算の計上額より実質的に2億7千万円余り増となる財源を確保することができましたことから,厳しい市税収入の動向ではありますが,現時点では,年間の収支均衡を保てる見通しとなっています。

 また,一般会計における平成27年度決算では,普通交付税等が一定確保できたことにより実質収支の黒字を確保するとともに,起債残高を対前年度から33億円余り減少させることにより,財政状況の健全度を表す健全化判断比率などの財政指標は徐々に改善されてきております。

 一方,他の中核市等との比較をみますと,起債残高は依然として多く,財政指標についても低水準にありますので,今後も財政健全化に向けた取組を徹底してまいります。

 こうした中,総務省では平成29年度の交付税総額について,27年度ベースの一般財源総額を確保する方針に沿って約16兆円の概算要求を行っておりますが,財務大臣の諮問機関である財政制度等審議会は,先月17日に来年度の予算編成に向けた建議を提出し,地方財政に関して,「真に必要な額を超える財源保障が行われていた可能性があることも否めない」として,地方交付税の一層の精査を求めております。

 また,政府は,国民健康保険の都道府県への移管に向けて予定していた来年度の国保財政への支援を減額する方向で調整に入ったとの報道がなされていますが,事実であるとすれば,国と地方の合意を反故にするものであり,断じて受け入れられるものではないことから,全国知事会,全国市長会,全国町村会の地方3団体の連名で,麻生財務大臣をはじめ関係4大臣あてに,社会保障の充実及び1億総活躍社会の実現に向けた財源を十分に確保するよう緊急要請を行ったところです。

 そうした状況から,平成29年度の予算編成につきましては,消費税率の引き上げ延期に伴う代替財源の確保や社会保障制度改革の動向が大きく影響してまいります。

 本市における具体的な一般財源の推計については,今後発表される国の地方財政対策を待たなくてはなりませんので,不確定要素が残る中での予算編成作業となりますが,国の動向に十分留意しながら,徹底した行財政改革や財政健全化に向けた取組を進めるとともに,南海トラフ地震対策や地方創生関連施策を中心とした第3次実施計画を着実に推進することを基本に編成作業を進めてまいります。

3 総合計画の改訂

 次に,総合計画の改訂について申し上げます。

 2011高知市総合計画につきましては,本年7月に庁内で取りまとめた改訂原案を総合計画審議会に諮問し,これまで4回にわたり精力的なご審議を賜り,先月24日には同審議会の会長であります受田浩之高知大学副学長から答申を受け,今定例会に総合計画の基本構想の一部変更に関する議案をお諮りしております。

 今回の見直しでは,平成23年3月の現行計画策定以降に生じた東日本大震災や熊本地震の教訓を踏まえた南海トラフ地震対策の加速化,人口減少問題の克服に向けた地方創生の取組について,施策を横断的に推進する8つの項目を定めた「8大エンジン」に反映させながら,各施策の充実を図っております。

 本計画の実効性を高めるため,今回,初めての試みとして,全54施策に成果指標を設定するとともに,それぞれの成果指標に数値目標を設定いたしました。

 この成果指標の達成に向けて,現在,策定作業を行っております平成29年度から平成32年度までの4か年を計画期間とする「第3次実施計画」を着実に実行していくことが重要となることから,実施計画に盛り込まれた全ての事業について事務事業評価を実施することとし,新たな総合計画の下,着実にPDCAサイクルを運用しながら目標達成を目指してまいります。

4 連携中枢都市圏の取組

 次に,連携中枢都市圏の取組について申し上げます。

 連携中枢都市圏につきましては,県のご協力もいただき,連携協約等に基づき推進する具体的な取組内容等を定める「連携中枢都市圏ビジョン」の年度内策定に向けて,各市町村間の企画部門同士による事務協議を継続してまいりましたが,その過程におきまして,企画部門だけでなく,事業部門同士のより具体的な協議を求めるご意見を多数いただいております。

 また,全県域での連携を目指す本市の取組は,全国初となることから,全国のモデルとなり得る事業の構築に向けて,さらに連携事業のレベルを上げていく必要があり,「(仮称)高知広域連携中枢都市圏ビジョン策定懇談会」を開催し,外部有識者の方々からの専門的なご意見をお伺いするとともに,今年度末までのスケジュールを見直して庁内組織の体制強化を図り,各市町村と丁寧な事務協議を進めるために,「連携中枢都市圏」の形成時期を来年12月まで延長することといたしました。

5 長浜南部地域の振興

 次に,長浜南部地域の振興について申し上げます。

 南海トラフ地震で津波被害が想定されている御畳瀬・浦戸地区における昭和60年から平成28年までの大街別の人口減少率は,御畳瀬地区がマイナス63.7パーセント,浦戸地区がマイナス48.0パーセントと,市内で最も高い減少率となっており,平成24年3月には御畳瀬小学校が閉校になるなど,人口減少による地域の衰退が顕著になっています。

 また,御畳瀬・浦戸地区における今後の人口推移をみますと,昨年度策定しました「高知市まち・ひと・しごと創生人口ビジョン」の推計では,平成22年と平成72年の比較で,御畳瀬地区がマイナス81.5パーセント,浦戸地区がマイナス61.7パーセントと,最大の減少率が予測されており,地域の衰退に歯止めがかからなくなることを強く懸念しています。

 一方,同様に人口減少率が高い鏡・土佐山地区では,平成17年の合併時において,市民の命を守る大切な源流地域における中山間の人口減少や少子高齢化が危惧されたことから,地域の暮らしを守り,地域コミュニティ活動を活性化させるために,土佐山地区では地域活性化住宅の整備や土佐山学舎の開校,鏡地区では移住体験滞在施設の整備など,様々な地域振興策を実施してきたことにより,地域の衰退に一定の歯止めがかかってきています。

 長浜南部地域は,坂本龍馬や長宗我部元親公といった郷土が誇る歴史的人物に関係の深い地域であり,桂浜は高知城や五台山と並び,西日本における有数の観光名所でもあることから,本市における重要なエリアであり,総合的な振興策を進めていく必要があります。

 道の駅構想に関しましては,地域に混乱を招いてしまったことは本意ではなく,桂浜の再整備等の各種施策と併せて,改めまして総合的な南部振興策を検討し,沿岸部の活性化モデルを構築していく必要があるものと考えており,来年に入りましたら,地域との調整を行い,平成29年度から地域と行政による協議会組織を立ち上げ,南部振興策について幅広く協議を行ってまいりたいと考えております。

 また,文書管理規程や職務権限規程に定める基本的なルールが守られていなかった点を深く反省しているところであり,去る9月26日に文書事務の適正執行について徹底を図ったところですが,このような事例を発生させることのないよう,職員研修の充実や文書事務の適正執行に向けた組織再編などを進めてまいります。

6 南海トラフ地震対策

 次に,高知県・高知市南海トラフ巨大地震対策連絡会議の取組について申し上げます。

 先月15日に第13回高知県・高知市南海トラフ巨大地震対策連絡会議を開催し,今年4月に発生した熊本地震では,住宅の耐震化とともに避難所の運営体制や救援物資の円滑な配送等が大きな課題となったことから,避難所の確保や耐震化,運営体制及び避難所への物資の搬送などについて新たに「避難所対策」として位置付け,重点的に協議を行ってまいります。

 併せて,救援物資等の配送体制を確立するため,高知県が「高知県物資配送計画検討協議会」を立ち上げ,「物資配送に係る基本計画」を作成し,今後,県の総合防災拠点ごとに具体的な運営マニュアルを作成していくことになりましたので,本市もこの協議会に参画し,県や民間事業者との役割分担などについて具体的に検討してまいります。

 本市では,本年度から主な避難所ごとに地域の皆様が主体となって避難所開設・運営マニュアルを作成するとともに,資機材整備も進めており,平成31年度までに約100施設についてマニュアル作成を目指します。

 次に,大規模津波防災総合訓練の実施状況について申し上げます。

 「世界津波の日」である11月5日に,地震による大規模津波の被害軽減を目指すとともに,津波に対する知識の普及を図ることを目的として,高知新港において,国,県,市合同で「大規模津波防災総合訓練」を実施いたしました。

 この訓練は,1854年に発生した「安政南海地震」の際,和歌山県広川町の庄屋だった濱口梧陵氏が,稲わらに火をつけ,村人を高台に導いて大津波から命を救った有名な逸話「稲村の火」にちなんで,昨年の国連総会において11月5日が「世界津波の日」に制定されて以降,初めてとなる大規模な津波防災訓練となりました。

 この訓練には,石井啓一国土交通大臣や尾崎高知県知事とともに,主催者として本市も参加し,国会議員,県議会議員,市議会議員の方々のご出席の下,総勢約3千人,各94の関係機関が本番さながらの訓練を実施しました。

 訓練では,上空からの情報収集伝達訓練,海上からの給水支援・緊急支援物資等の輸送訓練や道路啓開訓練・ライフラインの復旧訓練等を実施し,手順の確認を行うとともに,防災関係機関によるパネルや車両等の展示も行われるなど,有意義な防災訓練となりました。

 また,先月25日から26日にかけて,黒潮町において初めて「世界津波の日 高校生サミット」が開催され,世界30か国から参加した約360人の高校生が津波の脅威や対策について活発な議論を交わしました。

 総会では,各分科会の代表者からそれぞれメッセージを発信した後,議長を務めた地元高校生から,「世界中の若い世代が津波のリスクを認識し,防災・減災などの活動を続けることにより,被害を風化させずに後世に伝えること」などを盛り込んだ「黒潮宣言」が英語で宣言され,全会一致で採択されました。

 相次ぐ自然災害の脅威から一人でも多くの尊い命を守っていくことが,世界共通の重要な課題であり,地域防災を担う次世代のリーダーとして,災害に強いまちづくりに取り組むことができる若者が全世界に育っていくことを確信したところです。

7 観光振興

 次に,観光振興の取組について申し上げます。

 来年は,坂本龍馬が大きく関わった大政奉還から150年,その翌年には明治維新150年という歴史的な節目の年を迎えます。

 県内では,歴史にスポットを当てた「志国高知・幕末維新博」を来年3月4日から約2か年にわたり展開していくこととなっており,龍馬をはじめとする激動の幕末を奔走した偉人を数多く輩出した高知の魅力を全国にアピールしてまいります。

 本市では「龍馬の生まれたまち記念館」と「自由民権記念館」が「志国高知・幕末維新博」の地域会場になりますので,「龍馬の生まれたまち記念館」では,龍馬の生まれ育ったまちの歴史や風土を分かりやすく伝えることをコンセプトに,バーチャルリアリティなどの技術を用いた体験映像システムの導入等を進めます。

 「自由民権記念館」では,展示施設の改修や館内の公衆Wi-Fi導入,周辺史跡案内の充実を図り,両施設において県内外からのお客様をお迎えする準備を進めてまいります。

 次に,高知県のインバウンド観光につきましては,観光庁の調査で1月から9月までの訪日外国人旅行者延べ宿泊者数は前年同月比9.3パーセント増の5万3,500人泊となっており,昨年を上回ることがほぼ確実と予想されており,本市でも外国からのお客様が増えてきていることを実感しています。

 特に,本年度のクルーズ客船につきましては,4月1日のフランス客船「ル・ソレアル」の初寄港を皮切りに,先月末までに23隻の客船が寄港し,1月から3月の四半期においても9隻の寄港が予定されており,本年度は過去最高となる32隻の客船が高知新港に寄港することとなり,年間で約8万4千人という大変多くのお客様が来高する見込みです。

 来年度につきましても,先月末時点で,予約・仮予約も含めまして今年度を大きく上回る65隻の寄港予約をいただいているほか,複数のクルーズ会社から,今後も中国発着を中心にした大型客船の新規就航の予定があると伺っており,さらに多くの外国人観光客をお迎えしたいと考えます。

 次に,地球深部探査船「ちきゅう」の高知新港寄港について申し上げます。

 先日,国立研究開発法人海洋研究開発機構(JAMSTEC)が所有する地球深部探査船「ちきゅう」が約10年ぶりに高知新港に寄港し,一般公開が実施されました。

 西日本では2010年の神戸港以来,約6年ぶりの一般公開ということで,2日間で5,711名という多くの方々にお越しいただき,感謝しております。

 一般公開では,寄港に先立ち実施された室戸沖の限界生命圏掘削調査(T-リミット)の調査結果をはじめ,高知県沖の南海トラフ地震の発生域における調査・研究の成果発表のほか,最新鋭の研究設備などを披露いただきました。 

 今回の寄港では,就学前の子どもさんから小・中学生,高校生など未来を担う子供達や,多くの市民の皆様に世界に誇る日本の科学技術に直に触れていただく大変貴重な機会となりました。

 次期南海トラフ地震のメカニズムの解明など,今後の研究成果に強く期待するとともに,一般公開に全面的にご協力いただきましたJAMSTECの皆様に改めて感謝を申し上げます。

8 中央公園地下駐車場の料金引き下げ

 次に,中央公園地下駐車場の料金引き下げについて申し上げます。

 中央公園地下駐車場は,近年,郊外型大型店舗の進出に伴う中心商店街の集客数の減少に加え,近隣にコインパーキング等が増加したことで,利用率が30パーセント台と低迷しており,商店街関係者等の方々から,従前より改善要望があります。

 中心商店街周辺の駐車場の動向も踏まえ,利用者の負担軽減を図ることで利用率の向上を目指して,来年1月から駐車料金について「最初の1時間」を300円から200円に,「1時間を越えて30分ごと」150円を100円に減額改定することといたしました。

 今回の駐車料金減額により,中心商店街への集客力アップや滞在時間の延長につながることを期待しています。

9 食肉センターの在り方

 次に,高知県広域食肉センターの在り方について申し上げます。

 高知県広域食肉センターは,昭和53年に設立された構成28市町村による高知県広域食肉センター事務組合が翌年に施設を設置し,農業団体及び行政等により設立された一般社団法人高知県中央食肉公社が,「と畜場」の運営を担ってまいりました。

 食肉公社の経営は,近年の「と畜処理頭数」の大幅な減少等により経営が急速に悪化しており,今後の経営改善も見込めない状況となっております。

 事務組合では,老朽化が進む施設や設備の改修等に今後も多額の費用負担が想定されることや,施設の耐用年数が近づいてきたことなどから,建替えや運営の在り方が喫緊の課題となっています。

 全国的な畜産の状況をみましても,飼養頭数や農家戸数の減少,貿易の自由化など,食肉センターを取り巻く環境は大きく変化してきており,今後の施設の在り方を検討するため,本年2月に「高知県広域食肉センターあり方検討委員会」を設置し,合計6回にわたる活発な議論が行われました。

 あり方検討委員会では,「存続」か「廃止」かの議論が並行して行われましたが,現在の「と畜事業経営」の困難性に対する意見は一致しており,「一部事務組合と食肉公社運営による事業運営は廃止し,食肉流通機能は出荷団体による運営と経営責任のもとで継続する」という答申内容が取りまとめられました。

 この答申内容は,国内や高知県内における畜産環境の将来性・市場性・経済性等の分析を踏まえたものであり,厳しい内容であると受け止めています。

 今後,事務組合では答申内容を踏まえ,事務組合議会で議論が行われる予定でありますが,構成市町村の中には畜産振興として必要な施設であるとの意見もありますので,幅広くご意見をお聞きし,事務組合としての方向性を協議してまいります。

 また,高知県におきましては,先月,高知県と関係行政機関及び食肉関係者らで構成する「高知県新食肉センター整備検討会」が発足し,今月1日には第2回目の検討会が行われ,高知県からは本県の畜産や食肉センターについての説明があり,意見交換が始まっております。

 今後,新設の規模や費用,運営体制などを協議し,来年8月頃を目途に意見を取りまとめる予定とお聞きしております。

 こうした,県の動きも注視しながら,今後,本県にとって必要な施設等の在り方について,関係機関に対して本市の意見を述べてまいります。

10 生活困窮者自立支援

 次に,生活困窮者自立支援について申し上げます。

 生活保護受給に至る前の段階で早期に支援を行うことで,困窮状態から早期に脱却することを目指して,生活困窮者自立支援法が施行されて1年8か月になります。

 高知市では,本法施行に先立ちまして,平成25年11月に国のモデル事業として「高知市生活支援相談センター」を開設し,毎月50件から60件の様々な相談に対応するとともに,昨年度からは自立支援に向けた一時生活支援や家計支援といった新たな取組を進めています。

 本制度の発足に伴い,地域の多様な実践や経験を持ち寄り,関係者が一堂に会し,課題などについて学びあい,情報交換を行う場として,毎年11月に「生活困窮者自立支援全国研究交流大会」が開催されています。

 本大会の主催は,一般社団法人生活困窮者自立支援全国ネットワークですが,中央大学の宮本太郎教授と北九州で様々な支援事業に取り組んでいるNPO法人抱樸の奥田知志代表,そして私の3人が代表理事を務めており,先月,第3回全国交流大会が神奈川県川崎市などで開催され,約1,200人の方々に参加いただき,活気に満ちた大会となりました。

 第4回全国交流大会は,来年11月11日・12日に高知市で開催されることが決定され,就労支援や子どもの貧困対策,生きづらさを抱える若者の支援など,生活困窮に関わる様々なテーマについて活発に議論がなされる予定であり,全国からの支援者,支援団体,関係機関に高知に集結いただき,生活困窮者の自立支援に向けて,さらなる“支援のネットワークを広げる場”として実りある大会にしたいと考えております。

11 学力向上対策

 次に,本市の「全国学力・学習状況調査」の概要について申し上げます。

 まず,今回の成果として,正答率で見ますと,小学6年生は国語・算数ともに基礎問題Aにおいて全国平均を上回り,活用問題Bでは全国平均と同程度となっており,小学生は過去4年間,全国平均か,それ以上の結果を維持しております。

 中学3年生では,一部の教科において改善が見られ,特に国語の基礎問題Aでは,本市が目標とする全国平均との差がマイナス1.8ポイントとなっており,後一歩のところまできております。

 また,児童生徒の質問紙調査において,中学3年生では「平日,学校の授業以外で全く学習しない」生徒の割合が昨年に続き全国平均を下回り,「自分で計画を立てて学習している」と答える割合が全国平均を上回るなど,学習習慣が着実に身に付いた生徒が増えてきております。

 一方で,さらなる改善を要する課題が残っております。

 課題の1点目として,基礎・基本の確実な定着に加えて,思考力・判断力・表現力等の育成が求められており,一層の授業改善を進めていく必要があり,2点目は,中学校で全国平均を下回る状態が続いておりますので,これまでの学力対策をさらに検証し,質的向上を図りながら,組織力をいかした総合的な学力対策を進めてまいります。

12 交通安全対策

 次に,本市の資源・不燃物の収集運搬業務を委託しております高知市再生資源処理協同組合の塵芥収集車による交通死亡事故において,民事訴訟の判決で指摘されました安全対策について申し上げます。

 まず最初に,改めまして,今般の事故でお亡くなりになられましたお子さまのご冥福を心からお祈りいたしますとともに,ご家族,ご親族の皆様方に深く哀悼の意を表します。

 本市では,本年8月26日の高知地方裁判所の判決を受けまして,廃棄物処理法に基づく業務委託事業者の安全運転・安全作業の取組を徹底することとしており,委託業務に従事する職員及び使用機材等についての業務実施計画書の提出を義務付けるとともに,交通安全・労働安全対策等を含めた業務委託内容が滞りなく実施されているか,随時立ち入り検査を行うことといたしました。

 また,業務委託契約の仕様書におきましても,「安全運転研修の実施」,「安全作業研修等の実施」,「労働災害防止研修の実施」等を設け,研修終了後には「研修等実施報告書」の提出を義務付けることとしています。

 さらに,収集車両1台につき2人以上の乗車や後方確認の徹底等を行うことや,運転業務に従事する職員の運転免許の資格管理や業務従事者の健康管理,アルコールチェック,収集車両の始業前点検の実施など,きめ細かな安全対策の規定を定めております。

 今後,交通事故ゼロを目指し,直営の塵芥収集車の安全対策はもとより,全庁的に毎月5日を「交通安全を確認する日」に指定して,二度と同様の事故が起こらないよう,職員一丸となって安全対策を徹底してまいります。

13 補正予算・予算外議案

 以下,議案についてご説明を申し上げます。

 今回提出いたしました議案は,予算議案7件,条例議案15件,その他議案17件です。

 今回の補正予算は,一般会計で防災対策として,災害時にリアルタイムで情報収集する高所監視カメラの更新等のほか,国の二次補正を受けまして,高知県建設会館の耐震改修工事に対する助成,熊本地震後に申込み件数が増加している木造住宅の耐震改修等に対する助成,市立小学校4校及び中学校14校の校舎等への強化ガラス整備及び外壁等の改修工事にかかる経費を計上しております。

 そのほか,中学校給食の完全実施のための針木の給食センターの造成費や,1人当たり1万5千円を支給する臨時福祉給付金に要する経費,低年齢児の入所増加等に伴う民間保育所等の施設型給付費増にかかる経費を計上いたしました。

 また,人件費補正では,新陳代謝等により全会計の職員給与費で約2億円を減額するとともに,欠員補充等の臨時職員賃金について増額補正することとしております。

 以上,申し上げました内容によりまして,提案しております今回の補正規模は,

  一般会計        30億5,800万円の増額

  特別会計         2億5,861万円の増額

  公共下水道事業会計 2億1,305万5千円の増額

 であり,補正後の予算規模は全会計の純計で2,749億2,547万1千円となっております。

 なお,この補正財源として,特定財源では国庫支出金,市債等を充当し,一般財源については普通交付税,繰越金等を充当いたしました。

 次に,予算外議案について申し上げます。

 条例議案は,職員の給与改定に伴うものなど15件です。

 このうち,市第168号議案及び市第169号議案は,農業委員会法の改正に伴いまして,農業委員の定数を定めるとともに,農地利用の集約化や遊休農地の発生防止等に向けて現場活動を行う農地利用最適化推進委員を新設するものです。

 市第167号議案は,来年4月からスタートする高知市休日夜間急患センターでの眼科診療にかかる規定の整備を行うものです。

 その他議案は,高知市総合計画の基本構想の一部変更に関する議案のほか,指定管理者の指定に関する議案など17件です。

 報告5件につきましては,工事請負契約の一部変更についての市長専決処分の報告など,いずれも法令所定の手続によりご報告するものです。

 以上,提出いたしました議案について概要の説明を申し上げましたが,よろしくご審議の上,適切なご決定をお願いいたします。