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第462回高知市議会定例会市長説明要旨(平成29年12月8日)
第462回高知市議会定例会にご出席をいただき,まことにありがとうございます。
議案の説明に先立ち,当面する市政課題に関連して,ご報告と考え方を申し上げ,ご理解を賜りたいと存じます。
1 国政・経済の動向
まず,国政及び経済の動向について申し上げます。
去る11月15日に内閣府が発表しました本年7月から9月期の国内総生産の成長率は,個人消費が天候の影響等により低調であったものの,好調な海外経済を背景に輸出が全体を底上げし,前期比0.3パーセント増,年率換算では1.4パーセント増となり,16年ぶりに7四半期連続のプラス成長を維持しております。
また,同月28日に発表された月例経済報告では,6か月連続で「景気は,緩やかな回復基調が続いている」との判断が示される一方で,先行きについては,雇用・所得環境の改善が続く中で,各種政策の効果もあり,緩やかに回復していくことが期待されるが,海外経済の不確実性や金融資本市場の影響に留意する必要があるとされ,茂木経済財政担当大臣から,「あらゆる政策を総動員して生産性を押し上げ,賃上げの勢いをさらに力強いものとしてデフレからの脱却を図りたい」との決意が表明されています。
県内では,同月8日に発表された日本銀行高知支店の高知県金融経済概況において,個人消費が底堅く推移するとともに,観光では台風に伴う宿泊客のキャンセルの影響がみられるものの,個人客を中心に増加傾向にあることなどから,「高知県の景気は緩やかに回復している」との判断が示され,今後の先行きについては,経済対策の効果も見込まれるが,人手不足の影響などを注視する必要があるとされています。
こうした経済状況の下,10月22日には第48回衆議院議員総選挙が行われ,第4次安倍内閣が発足しましたが,今般の総選挙において本県関係の国会議員が2人増えることになりましたので,高知県選出の国会議員の皆様とのネットワークをさらに活かしながら,南海トラフ地震対策や地方創生をはじめとする喫緊の課題に全力で取り組んでまいります。
2 本市の財政見通し
次に,本市の財政見通しについて申し上げます。
本年度の普通交付税及び臨時財政対策債の算定結果については,当初予算の計上額より実質的に1億7千万円余り増となる財源を確保することができましたが,近年,当初予算と算定額との差が減少してきており,補正財源の確保に苦慮するなど,厳しい収支が見込まれています。
来年度以降につきましても,南海トラフ地震対策等のハード整備を集中的に進めていることから,起債残高の増加が見込まれることに加えて,現在,整備中の新庁舎や新図書館等複合施設「オーテピア」,2か所の学校給食センターの完成に伴うランニングコストが発生するとともに,子育て支援の充実や高齢化に伴う扶助費・繰出金の増加等も想定されるなど,厳しい財政運営が見込まれます。
そのため,平成30年度当初予算の編成につきましては,市民の皆様の命と財産を守るための南海トラフ地震対策や人口減少克服に向けた地方創生の取組など,先送りすることのできない喫緊の課題に対応するための経費を確保しながら,事務事業のスクラップ・アンド・ビルドや公共施設マネジメントの推進をはじめとする行財政改革の取組を徹底していくことを基本に編成作業を進めてまいります。
こうした中,政府においては,平成30年度税制改正において,地方消費税の配分見直しに関する最終案を固め,当該税収を各都道府県に割り振る算定基準のうち人口基準の算定割合について,これまでの17.5パーセントから50パーセントに引き上げるとともに,地方に不利とされる従業員数の基準を廃止することとしました。
この最終案については,現在,与党の税制調査会で論議されておりますが,大都市部に偏在する税収が是正されることから,今月中旬に予定される税制改正大綱の動向を注視しながら,本市の財政運営への影響等についても試算し,今後の収支見通しを検討してまいります。
一方で,総務省は平成30年度の交付税総額について,「経済財政運営と改革の基本方針2015」で示された27年度ベースの一般財源総額を確保する方針に沿って,約15兆9千億円の概算要求を行っておりますが,平成31年度以降の交付税の動向が依然として不透明な状況にあります。
地方財政に関しては,財務省主導の経済財政諮問会議等において,地方の基金残高等の増加を指摘して地方財政に余裕があるかのような一方的な議論がなされていますが,このような議論は地方財政の実態を踏まえていないものと言わざるを得ず,断じて容認できるものではありません。
今月3日には,野田総務大臣が来高され,直接意見交換する機会がありましたので,社会保障費が年々増加していく中で,南海トラフ地震対策や人口減少問題を克服するための地方創生の取組強化など,地方が抱える喫緊の課題に対応する財政需要は増加の一途にあり,地方財政を取り巻く環境は,一段と厳しい状況にあることを踏まえて,地方における財源総額の確保を強く訴えてまいりました。
来年度に国が策定する「経済財政運営と改革の基本方針2018」の論議を注視していくとともに,消費税引き上げ分の財源の一部を活用し,子育て支援の拡充を目指す新たな政策パッケージも含めまして,地方行財政に大きく影響する課題については,地方の実情をしっかりと踏まえていただくことを求めていくとともに,全国市長会等を通じて地方財源の充実強化を国に対して強く働きかけてまいります。
3 災害対策
次に,本年10月に発生し,列島各地に被害をもたらした台風21号及び22号で被災されました皆様に心からお見舞い申し上げます。
今回の台風21号は,非常に強い暴風域などの勢力を維持したまま,10月22日の夜にかけて高知県に最接近し,23日未明には静岡県付近に上陸し,関東地方を通過しました。
本市におきましては,台風の中心からやや離れた位置での最接近が予測されましたが,風雨による被害が懸念されたことから,22日13時に避難準備・高齢者等避難開始情報を発令するとともに,市内23か所の避難所を開設し,住民の皆様に事前の避難を呼びかけ,その後,本市に台風が接近した同日22時には,避難者数が最多となる47世帯,55人の方々が避難される事態となりました。
台風接近に伴う風の影響が次第に大きくなり,広域で倒木や屋根・瓦等の飛散が相次ぐとともに,鏡地区では倒木により道路が寸断され,県道南国伊野線や県道伊予三島線の沿線で11地区が孤立状態となりました。
幸いにも大きな人的被害は発生しませんでしたが,鏡吉原地区では25日まで孤立状態が続き,住民の皆様方に大変なご心配とご苦労をおかけする事態となりました。
台風21号に伴う総雨量は200ミリメートル前後で,雨による被害は少なかったものの,強風の影響による農業関係の被害や倒木が相次いで発生するとともに,翌週の台風22号でも土佐山地域で倒木被害が発生するなど,風による被害への対策の重要性を再確認し,応急対策が速やかに実行されるよう,県市で協議をしているところです。
次に,先月から開催しています「市長と語ろう会」について申し上げます。
昨年12月に策定しました広聴広報戦略プランに基づく「『伝える』から『伝わる』へ,キャッチボール型広聴・広報」の実現に向けて,今年度は「南海トラフ地震長期浸水エリアにおける避難対策について」をテーマとして,第1回目となる「市長と語ろう会」を11月29日に下知コミュニティセンターで開催いたしました。
今年度の「市長と語ろう会」では,市民の皆様に長期浸水被害対策の必要性を確認していただくとともに,「命を守る対策,守った命をつなぐ対策」として,救助・救出計画の策定や津波避難ビルへの資機材の整備,避難行動要支援者への支援体制の構築などについて,自助・共助・公助のそれぞれの観点に基づき,市民の皆様からいただいたご意見やご提案を踏まえ,具体的な対策を検討し,実効性のある長期浸水被害に対する取組を進めていくものです。
引き続き,来年1月から2月にかけて,下知北部,江ノ口,潮江,高須,大津,介良の長期浸水想定地域の皆様を対象に,江ノ口コミュニティセンターや弥右衛門ふれあいセンターなど5か所で開催を予定しておりますので,多くの市民の皆様にご参加を賜りたいと考えております。
次に,先月24日に開催した第16回高知県・高知市南海トラフ地震対策連絡会議について申し上げます。
今回の会議では,「避難所対策」,「長期浸水域の住民避難対策の推進」,「応急仮設住宅対策」,「住宅の耐震対策」の4分野を重点項目として個別協議を行い,現状の取組状況等を確認するとともに,来年度における県及び市の予算要求の内容等について,相互に理解を深めたところです。
特に,重点項目として位置付けています「長期浸水域の住民避難対策の推進」については,本年度内を目途に県市で取組を進めている津波避難シミュレーションの結果や,「市長と語ろう会」等における市民の皆様からのご意見,ご提案も反映した取組を進めてまいります。
次に,弾道ミサイルの発射を想定した住民避難訓練・情報伝達訓練に関して申し上げます。
先月28日の布師田地区における住民避難訓練は,弾道ミサイルが高知市周辺の上空を通過する場合を想定して,弾道ミサイル発射時に住民の皆様がとるべき身を守る行動を周知徹底することを目的とした訓練です。
この訓練には,布師田保育園の園児や布師田小学校の児童,布師田地区の住民の皆様約300人に参加していただき,防災行政無線を通じてミサイル発射の情報提供や避難の呼びかけ等を行い,屋外から屋内への速やかな避難を促すなど,弾道ミサイル落下時の避難行動を確認いたしました。
今回は,高知県と高知市が連携してモデル的に実施したもので,今後,この訓練の様子を市民の皆様をはじめ,県民の皆様にもお伝えしながら,弾道ミサイルが発射された時の身を守る行動を周知徹底してまいります。
4 地方創生
次に,連携中枢都市圏の取組について申し上げます。
連携中枢都市圏は,圏域において相当の規模と中核性を備える中心的な都市が,近隣市町村と連携してネットワークを強めることにより,「経済成長のけん引」,「高次の都市機能の集積・強化」,「生活関連機能サービスの向上」の3つの分野において,圏域を力強く,けん引していくことを目的として都市圏を形成するものです。
連携中枢都市圏の形成については,県内における本市への人口の一極集中が全国的にみても著しく高い状況にあることや,本市と県内他市町村との経済的な互恵関係が強いことから,全国でも初めてとなる県内全市町村による圏域形成を目指し,取組を進めてまいりました。
総務省の定める連携中枢都市圏推進要綱では,連携中枢都市圏の形成範囲における日常生活圏域の目安として,中心都市への通勤通学割合が概ね10パーセントを超えることが示されていることから,既存の枠組みを越えて,県内全市町村で圏域を形成することについて,総務省と継続的に交渉を行ってまいりました。
結果として国制度の適用範囲については,一定の条件に基づいて21市町村に限定して設定されることとなり,特別交付税の対象地域が絞り込まれましたので,国の財政支援が適用されない市町村に対しましては,高知県から財政支援を行っていただくこととなりました。
圏域における財源内訳が国と県からの交付となりますが,全市町村が一丸となった取組を行うことが可能となりましたので,県内33市町村との連携協約に関する議案をご提案するとともに,高知県とも連携協約を締結する高知モデルとして「れんけいこうち広域都市圏」を形成し,圏域の発展を目指します。
具体的な事業内容やKPI指標を盛り込んだ「れんけいこうち広域都市圏」のビジョンに基づき,圏域が抱える人口減少問題や産業振興等の課題を克服していくことを目指し,「ともにつながり,ともに羽ばたき,ともに打ち克つ,れんけいこうち広域都市圏」をキャッチフレーズに掲げ,圏域のけん引役としての本市の役割を積極的に果たしてまいります。
次に,本年10月に最終発表と審査会が行われました「第5回プラチナ大賞」について申し上げます。
「プラチナ大賞」は,我が国が直面する少子化による人口減少や高齢化など,先例のない課題の解決を目指す社会を,「プラチナ社会」と定義付けした上で,全国各地の取組を表彰し,広く社会に発信することを目的とした事業であり,今年で5回目の開催となります。
今年の「プラチナ大賞」には,全国の自治体や企業など46団体から応募があり,1次審査を通過した本市を含む10団体が最終発表を行う審査会に参加し,本市が提出した「土佐山百年構想」は,大賞に次ぐ「優秀賞」を受賞することができ,本市としては一昨年の「こうちこどもファンド」での審査委員特別賞の受賞に続いて,2回目の受賞となりました。
最終の審査会において,「土佐山百年構想」は,土佐山地域の先人の方々が培ってきた「社学一体」の理念を継承し,中山間地域を守り育てていくために,「社学一体・小中一貫教育プロジェクト」,「まるごと有機プロジェクト」,「交流・移住人口拡大プロジェクト」という3つの柱となる取組を有機的に連携させ,将来にわたって活力ある持続可能な地域づくりのモデルとなる中山間振興に向けた取組であることを発表いたしました。
それぞれの中山間地域には,土佐山地域の「社学一体」の理念のように次の世代を想い,未来に残したい大切な地域資源が必ずあると思いますので,そうした資源を活用し,地域振興のための取組を継続していただけるよう,本市としても積極的に支援してまいります。
5 観光振興
次に,観光振興の取組について申し上げます。
今年は,大政奉還から150年,坂本龍馬没後150年という歴史的な節目の年を迎えており,県域で開催しています「志国高知・幕末維新博」において,龍馬をはじめ激動の幕末に活躍した偉人を数多く輩出した高知の魅力を全国にアピールし,観光誘客を図っています。
10月14日には,「第29回全国龍馬ファンの集い志国高知大会」が開催され,海外の4団体を含む全国74の龍馬関係団体から600人を超える龍馬ファンが高知に結集いたしました。
大会では,「時代を拓いた若者たち!土佐の四天王」をテーマにしたパネルディスカッションをはじめ,外国人女性講談師の旭堂南春さんによる「坂本龍馬とお龍」をテーマとした講談や,作家山本一力さんの特別講演「龍馬と生きる」など,龍馬のふるさと高知を存分に堪能していただきました。
また,先月20日には,高知を「第二の故郷」として慕っていただきましたペギー葉山さんを偲ぶ会を県と共催し,名誉県人としてご活躍いただいたペギー葉山さんに対します心からの感謝を込めた式典となりました。
偲ぶ会では,高知市文化プラザかるぽーとの大ホールに1,000席を準備しましたが,数多くの参加申し込みをいただき,急遽,小ホールを開放することとなり,改めましてペギー葉山さんの人気とそのお人柄を実感いたしました。
当日は,ノンフィクション作家の門田隆将さんのご講演や,長年,ペギー葉山さんの大ファンであったシンガーソングライター小椋佳さんにペギー葉山さんの名曲を披露していただき,「南国土佐を後にして」を会場にお越しいただいた多くの県民・市民の方々と熱唱いたしました。
最後には,ペギー葉山さんにふさわしく,賑やかに感謝の意を込めて,過去のよさこい全国大会でペギー葉山賞を受賞した各チームによるよさこい鳴子踊りの披露を行うとともに,正調よさこいの総踊りでペギー葉山さんのご冥福をお祈りいたしました。
改めまして,ペギー葉山さんのこれまでのご功績に深く感謝を申し上げます。
次に,インバウンド観光について申し上げます。
観光庁の調査では,今年4月に地方に宿泊した訪日外国人旅行者数は,昨年と比べて17.2パーセント増加するなど,最近では旅行先に地方を選ぶ外国人旅行者の方々が増加しています。
本市におきましても,この好機を逸することのないよう,昨年に引き続き,高知県への訪問者数が多い台湾において観光PRを実施し,台湾南部最大の都市である高雄市において,高知への誘客と旅行商品づくり等を高知市旅館ホテル協同組合の皆様とともに働きかけてまいりました。
台湾での高知県や本市の知名度はまだ低く,まずは知っていただくことが重要でありますことから,高雄市内最大のデパートにおいて本市の観光PRとして正調よさこい鳴子踊りを披露したところ,高雄市民の皆様150名も一緒に踊っていただくなど大好評であり,今後とも,積極的な誘客活動に向けて,より効果的なプロモーションを進めてまいります。
6 仁井田産業団地
次に,仁井田産業団地整備事業について申し上げます。
本市では,平成25年度から市内企業の操業環境の悪化や,企業のBCP構築による高台移転などの需要に応えるため,高知県と共同で製造業種を対象とした高知中央産業団地の整備に取り組んでおりますが,同団地だけでは各企業からの移転需要に応じきれないことや,製造業以外の流通・サービス系企業の移転需要も多いため,企業の市外転出を防止するための早急な対応が必要であると判断し,仁井田地区において(仮称)仁井田産業団地の開発に向けた準備を進めてまいりました。
平成26年度からは,関係地権者の方々のご協力を得て,用地の測量などを行うとともに,地権者の方々との用地交渉を進めてまいりましたが,当該用地の取得時期について,事業地内の大部分を所有する大口地権者との交渉が不調となり,用地取得が見込めなくなりましたことから,本年11月に事業の中止を決定したところです。
仁井田産業団地の予定地は,交通の利便性に優れ,津波浸水被害のない高台に位置していることから,これまでにも製造業や流通系の複数の企業からの問い合わせもいただいておりましたので,今回の事業中止は大変残念であります。
今後は,高知中央産業団地に隣接する布師田地区において適地調査を行っているところですので,高知県との共同開発に向けた協議をさらに進めながら,新たな産業団地の開発にスピード感を持って対応してまいります。
7 全国農業担い手サミット
次に,全国農業担い手サミットについて申し上げます。
去る10月24日から25日にかけて,第20回全国農業担い手サミットが高知県で開催されました。
サミットには,皇太子同妃両殿下のご臨席を賜り,県立春野運動公園総合体育館で全体会を開催した後,県内10地域に分かれて地域交流会が開催され,本市においても情報交換会と現地研修会が実施されました。
現地研修会では計6コースに分かれて195名の方々にご参加をいただき,春野地域における野菜園芸産地の出荷・販売体制強化の取組などをご覧いただきました。
本市の農業者の皆様にとりましても,県外の意欲ある農業者の方々と直接交流することができ,農業の現況や課題を再認識いただく貴重な機会になったものと考えます。
また,来年10月28日には,高知市と土佐市を主会場とした「第38回全国豊かな海づくり大会~高知家大会~」が開催されます。
この大会では,水産資源の保護・管理と,海や湖沼・河川の環境保全の大切さを広く内外に訴えるとともに,つくり育てる漁業の推進を通じて,我が国の漁業の振興と発展を図ることを目的として,これまで35道府県で開催されています。
本年10月28日から29日にわたり開催された福岡大会には,尾崎知事と共に私も参加させていただき,天皇皇后両陛下がご参列されました式典行事に出席してまいりました。
台風22号の影響もありましたが,式典行事やレセプションには麻生副総理をはじめ全国から多くのご来賓や関係者の皆様が参加されており,大会の成功のためには入念な準備が必要であることを改めて感じたところです。
来年は開催市の市長として,高知大会に全国からお越しになる皆様に「高知に来て良かった,また来たい」と思っていただけるよう万全の準備を進めてまいります。
8 生活困窮者自立支援
次に,生活困窮者自立支援制度について申し上げます。
生活困窮者自立支援制度は,平成27年度から本格施行されましたが,生活困窮の課題を長らく生活保護法に頼ってきた歴史の中で,経済的な困窮だけではなく,人々の社会的な孤立に対しても焦点を当てた初めての取組であり,注目すべき制度としてスタートを切ったところです。
私も共同代表の一人を務める「生活困窮者自立支援全国ネットワーク」が平成26年に発足し,生活困窮者の自立を支援する先進的な取組状況を共有するとともに,制度の充実を図ることを目的に「生活困窮者全国研究交流大会」を毎年開催してまいりました。
本年11月には初めての地方開催となる第4回大会が高知市で行われ,北海道から沖縄まで,全国から1,200名を超える関係者が結集いたしました。
本大会では,高知市が平成25年11月にモデル事業として,高知市社会福祉協議会,高知公共職業安定所,こうち若者サポートステーションとの運営協議会形式で,高知市生活支援相談センターを開設し,センターの三原則として,「断らない,あきらめない,投げ出さない」の方針を掲げて取り組んでいることなどを紹介させていただき,全国から高い評価をいただいたところです。
初日の全体会や翌日の分科会を通じて,各地で展開されている特色ある支援の取組などの情報共有を行う中で,高知市の現状と課題についてご報告いたしましたが,地域における困窮者の発見や,見守り機能の必要性と併せて制度横断的な取組が求められ,行政や関係機関,支援団体との連携体制強化が喫緊の課題となっております。
社会的に孤立し,ひきこもり状態などにある方々が,人とのつながり,特に地域住民の方々との関係性を再構築することが社会とつながる第一歩となることから,関係機関との連携をさらに強め,寄り添い型の支援体制を構築していくための事業なども検討しながら,生活困窮者の自立支援に向けた取組強化を図ってまいります。
9 下水道使用料の見直し
次に,現在,継続審査となっております市第113号高知市下水道条例の一部を改正する条例議案について申し上げます。
下水道使用料の改定をお願いしております本議案については,9月議会におきまして,市民の皆様への説明や周知の徹底,水洗化率の向上などの様々なご意見をいただいたところです。
そのため,全戸配布しております「広報すいどう」の11月号で,「下水道使用料改定に関する特集記事」を掲載するとともに,上下水道局のホームページを活用し,改定内容等を広く広報しております。
また,水洗化率の向上につきましては,平成28年度に創設した下水道グループ接続助成金制度の利用者や改造工事の施工業者を対象に,9月末にアンケート調査を実施しました。
そのアンケート結果からは,申請手続の簡素化や助成金の増額を求めるご意見が多くありましたことから,現在,制度の見直し作業を進めており,申請手続の簡素化については年度内にも実現してまいります。
また,国の汚水処理の10年概成通知を踏まえ,本市の生活排水処理の在り方を見直した高知市生活排水処理構想を本年10月に策定するとともに,下水道事業における中長期の経営計画となります経営戦略につきましても,これまで市議会でご説明しました内容を基に整理等を行い,11月末に経営戦略として取りまとめたところです。
こうした9月議会以降の取組につきましては,今月5日に開催されました建設環境常任委員会においてご報告させていただきましたが,下水道事業の汚水事業につきましては,平成28年度末で約14億8千万円の累積赤字が生じており,今後10年間は毎年2億円から4億円程度の赤字が見込まれる大変厳しい財政状況に陥っています。
現状のままでは,2026年度には約43億5千万円もの累積赤字が見込まれ,2030年頃には高知市における連結決算ベースでも赤字となることが予測される厳しい見通しにあり,使用料改定による早期の収益確保が不可欠となっておりますので,今議会におきまして,使用料改定議案のご審議を改めてお願い申し上げます。
10 補正予算・予算外議案
以下,議案についてご説明を申し上げます。
今回提出いたしました議案は,予算議案9件,条例議案11件,その他議案50件です。
今回の補正予算は,一般会計で台風21号に伴う災害復旧費のほか,小学生までの医療費無償化に伴う経費や民間保育所等の施設型給付費増にかかる経費を計上いたしました。
そのほか,土地使用貸借契約が終了します薊野窓口センターについて,一宮地域の量販店内に移転整備することとしており,薊野窓口センターの建物の撤去費や移転先の整備費を計上いたしました。
また,人件費補正では,新陳代謝等により全会計の職員給与費で約1億円を減額するとともに,欠員補充等の臨時職員賃金について増額補正することとしております。
以上,申し上げました内容によりまして,提案しております今回の補正規模は,
一般会計 13億7,000万円の増額
特別会計 11億8,357万3千円の増額
であり,補正後の予算規模は全会計の純計で2,754億7,647万2千円となっております。
なお,この補正財源として,特定財源では国庫支出金,市債等を充当し,一般財源については普通交付税を充当いたしました。
次に,予算外議案について申し上げます。
条例議案は,職員の給与改定に伴うものなど11件です。
このうち,市第133号議案は,定住自立圏形成協定の廃止に伴いまして,議会の議決すべき事件から,定住自立圏形成協定の締結等を除くものです。
その他議案は,れんけいこうち広域都市圏の形成に向けまして,県内全市町村との間の協約,高知市と高知県との間で締結する連携協約締結議案のほか,指定管理者の指定に関する議案など50件です。
報告7件につきましては,工事請負契約の一部変更についての市長専決処分の報告など,いずれも法令所定の手続によりご報告するものです。
以上,提出いたしました議案について概要の説明を申し上げましたが,よろしくご審議の上,適切なご決定をお願いいたします。