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第464回高知市議会定例会市長説明要旨(平成30年6月14日)
第464回高知市議会定例会にご出席をいただき,まことにありがとうございます。
議案の説明に先立ち,当面する市政課題に関連して,ご報告と考え方を申し上げ,ご理解を賜りたいと存じます。
1 職員の不祥事
まず最初に,本市の財務部職員が「公然わいせつ罪」の容疑で警察の取調べを受け,書類送検されたことにつきまして,ご報告とお詫びを申し上げます。
今回の不祥事は,当該職員が集合住宅において,公衆の場所であるにもかかわらず,早朝,全裸でごみを集積所に排出する行為を繰り返し行っていたことから,近隣の住民の方の通報により待機していた警察官によって,本年4月16日に現行犯逮捕され,今月12日付けで書類送検されたものであります。
市民の皆様の安全・安心を守るべき本市職員がこのような事件を起こしたことは,市政に対する信頼を著しく損なうものであり,市民の皆様や市議会の皆様方に深くお詫び申し上げます。
本件に関しては,信頼回復に向けて綱紀の粛正と服務規律の徹底を図っている最中に,職員を監督する立場にある係長職にある職員が起こした事件であることを重く受け止め,先般,当該職員に対して停職6か月の厳重な処分を下すとともに,同日付けで主任職へ降任させました。
改めまして,職員一人ひとりが公務員としての自覚と強い使命感をもって規律ある行動をとることを庁内に徹底するとともに,組織一丸となって信頼回復に取り組んでまいります。
2 国政及び経済の動向
次に,国政の動向と我が国の経済状況について申し上げます。
今月8日に内閣府が発表した本年1月から3月期の国内総生産の実質成長率は,輸出分野である外需がプラスに寄与したものの,国内需要が2四半期ぶりのマイナスとなったことから,前期比0.2パーセント減,年率換算では0.6パーセント減となり,9四半期ぶりのマイナス成長となりました。
先月23日に発表された月例経済報告では,景気の基調判断について5か月連続で据え置き,「景気は,緩やかに回復している」とされ,先行きについては,雇用・所得環境の改善が続く中で,各種政策の効果もあって,緩やかな回復が続くことが期待されるとの見方を示す一方で,海外経済の不確実性や,金融資本市場の変動の影響に留意する必要があるとされています。
高知県内では,今月7日に発表された日本銀行高知支店の金融経済概況において,「高知県の景気は,回復している」と6か月連続で据置きの判断がされ,先行きについても回復が続くとされている一方で,人手不足の影響や底堅さを増しつつある個人消費の動向,国際金融資本市場の動向等の影響について,注視していく必要があるとされています。
こうした経済状況の下,先月25日には,国の地方財政審議会において,「誰もが希望を持てる地域社会に向けた地方税財政改革について」の意見書が取りまとめられ,国と地方を合わせたプライマリーバランスの黒字化に向けて,「国・地方の信頼関係の下で,基調を合わせた取組が重要であるとともに,地域経済の再生と地方財政の健全化の両立が必要であるとし,各自治体が予見可能性を持った上で,計画的かつ安定的に財政運営を行えることが不可欠だ」として,必要な一般財源総額を今後とも安定的に確保すべきであるとされています。
一方,今月5日に開催された平成30年度第8回経済財政諮問会議において,「経済財政運営と改革の基本方針」,いわゆる「骨太の方針」の原案が審議されています。
本年度の「骨太の方針」原案では,財政健全化に向けて,「新経済・財政再生計画」を策定し,基礎的財政収支の黒字化の時期を,これまでの2020年度の目標から2025年度に先送りするとともに,2021年度に中間指標を設定して進捗状況を確認することとされています。
また,来年10月1日の消費税率10%への引上げと需要変動の平準化を明記するとともに,消費税率引上げ分の財源の使い道について,「教育負担の軽減・子育て層支援・介護人材の確保等と,財政再建とに,それぞれ概ね半分ずつ充当する」こととし,消費税率の引上げ時に併せて,幼児教育の無償化や介護人材の処遇改善を実施することとなっています。
さらに,社会保障改革を軸とした持続可能な経済財政の基盤固めを行うため,来年度から3か年を経済財政の「基盤強化期間(仮称)」と位置付けた上で,社会保障関係費については,「実質的な増加を高齢化による増加分に相当する伸びの範囲におさめることを目指す」とともに,地方の歳出水準については,「国の一般歳出の取組と基調を合わせつつ,地方の安定的な財政運営に必要となる地方一般財源の総額については,本年度地方財政計画の水準を下回らないよう実質的に同水準を確保する」とされています。
しかしながら,医療費をはじめとする社会保障関係費は毎年確実に増加していくことから,地方一般財源の総額については現状より一層の拡充が不可欠になりますので,今月6日に開催された全国市長会総会において,さらなる財源確保等の特別決議を行い,関係省庁に強く働きかけているところです。
3 れんけいこうち広域都市圏の推進
次に,れんけいこうち広域都市圏の取組について申し上げます。
れんけいこうち広域都市圏の形成につきましては,昨年12月議会において,県内33市町村との圏域形成に係る連携協約と,圏域の取組の推進に向けた高知県との連携協約の締結議案について,それぞれ議決を賜りまして,本年3月28日には,県内市町村長や高知県知事,また,高知市議会議長にもご臨席を得て,連携協約の締結式を行い,全国でも初めてとなる県内全市町村と県が連携した「高知モデル」として,新しい圏域における取組が本年4月からスタートしております。
現在,本県の人口は1年間で7,000人以上減少しており,本市の人口についても1,700人を上回るペースで減少する傾向が続く厳しい現状にありますので,市町村における各地域を守っていくためにも,れんけいこうち広域都市圏の事業を着実に進めていくことが重要です。
「れんけいこうち広域都市圏ビジョン」には,20件の連携事業を登載しており,これまで以上に市町村間の連携を強化していくために,本年4月には,県内を6ブロックに分け,本市及び各市町村の担当者,県の担当にも参画をいただき,3者によるひざ詰め協議などを行い,事業実施に向けた準備を整えてきました。
中でも,早い段階から準備を重ねてまいりました二段階移住推進事業については,4月1日から補助制度がスタートし,相談件数も徐々に増加してきており,先週末までに5件の補助交付決定を行い,既に,二段階目の移住先を訪れるなどの具体的なアプローチがなされています。
さらに,今後予定している二段階移住に関するプロモーション事業により,大都市圏へのPRを強化するなどの取組を加速させるとともに,定期的に協議を行っている県や一般社団法人高知県移住促進・人材確保センターとも緊密に連携を図り,事業を推進してまいります。
連携事業につきましては,県内市町村との連携はもとより,県からの手厚い支援をいただくとともに,県内全市町村長と知事を構成員とする協議会や,ビジョン推進懇談会からのご意見等を踏まえながら,事業を着実に進捗させてまいります。
4 南海トラフ地震対策
次に,南海トラフ地震対策の取組について順次申し上げます。
まず,三重防護に係る事業の進捗などについて申し上げます。
南海トラフ地震に備えるため,高知港海岸では,平成28年度から海岸保全施設等の整備が順次進められており,発生頻度の高いL1津波に対しては浸水を防ぐ「防災」を,最大クラスであるL2津波に対しては浸水範囲を減少させるとともに,浸水するまでの時間を遅らせて避難時間を確保する「減災」を目指すこととされています。
事業の進捗につきましては,先月28日に現地の視察を行い,国及び県の担当者の方から工事概要等の説明をいただき,整備状況を確認してまいりました。
まず,港湾施設である第1ラインでは,国及び県の事業として防波堤の延伸と粘り強い構造への補強などが進められるとともに,第2ラインにつきましては,国の直轄事業として高知新港東側から種崎千松公園までの種崎(外縁)工区約3,250メートルのうち,新港西区間の約500メートルについて昨年5月から防潮堤整備に着手し,既存防潮堤と一体となった重力式構造にするとともに,地盤沈下を考慮した堤防の嵩上げや洗掘防止のための粘り強い構造への整備が進められており,本年度からは高知新港北側の緑地区間約750メートルについても整備に着手する計画となっています。
第3ラインでは,県事業として若松町の胸壁・防潮堤の約940メートルについて整備が進められており,新田町の護岸についても,本年度,約180メートルの工事に着手する予定となっています。
これらの三重防護の整備については,2031年度までの長期間の工事となりますので,今後も引き続き,国及び県と連携を密にして着実な事業実施を促進してまいります。
次に,今月26日から8月29日まで8回にわたって開催します「れんけいこうち防災人づくり塾」について申し上げます。
この「防災人づくり塾」は,防災に関する基礎的な知識や技能を身につけ,自主防災組織などで地域の防災活動に貢献できる災害に強い人材を育成するため,各専門分野の講師による防災講座を平成12年度から開催しており,これまでに修了生は2,000人を超え,現在,多くの修了生が防災リーダーとして各地域で活躍されています。
本年度からは,「れんけいこうち広域都市圏」の事業の一環として本塾を開催することとし,高知市会場のほか,安芸,物部川,嶺北,仁淀川,高幡,幡多の6ブロックにサテライト会場を設けてインターネット配信を行い,各ブロックで,この講座が受講できるようにしています。
次に,下知地区の防災計画について申し上げます。
先月17日に下知地区減災連絡会の皆様から,本市で初めてとなる地域の皆様によって策定された「下知地区防災計画」のご提案をいただきました。
この地区防災計画は,地域の皆様の意向が強く反映されたボトムアップ型の計画で,地域の特性を踏まえた実践的な計画づくりはもとより,作成過程を通じて地域住民の皆様の防災に対する意識を高め,災害時には自助・共助による効果的な防災・減災活動を実施することを目指しています。
ご提案をいただいた下知地区の計画では,被害をできるだけ軽減する具体策の実現を目指すとともに,災害後のまちづくりの復興を事前に考えながら,命を守った後の地域の将来に希望が見えなければいけないという強い思いから,住民の方々自らがイメージした「事前復興計画」が登載されており,全国的に見ても先進的な取組であり,提言内容を高く評価しております。
災害から一人でも多くの命を守るためには,普段からの地域内のつながりと助け合いの体制が不可欠となります。
本市としても,地域の皆様が自発的に行う防災活動に関する地区防災計画の策定は重要な取組であると考えており,平成27年度からモデル地区として3年間にわたりワークショップなどで熱心に論議され,防災意識の向上に取り組まれてきた下知地区減災連絡会をはじめとする地域の皆様方のご苦労に感謝を申し上げます。
ご提案いただきました地域の皆様の「集合知」である下知地区防災計画につきましては,本市の地域防災計画に位置付けまして,住民の皆様のご提案を最大限に尊重して今後の取組を進めてまいります。
次に,災害時の避難行動要支援者対策について申し上げます。
本市では,平成28年度から昨年度にかけて,災害対策基本法に基づき作成した避難行動要支援者名簿に登載されている約3万6千人の方々に,避難支援等を担う関係者に対して名簿情報を提供することについて,同意されるかどうかの確認を行いました。
本年度は,ご本人の同意を得られました方々の名簿情報を,民生委員や自主防災組織等の避難支援等関係者に提供するため,地域における勉強会の開催などの取組を進めるとともに,名簿情報を活用した対象者ごとの避難支援計画の策定や,避難行動要支援者であるご本人も参加する避難訓練等の取組を支援してまいります。
次に,災害時のトイレ対策について申し上げます。
災害時のトイレ対策につきましては,庁内において,昨年1月に災害時トイレ対策検討プロジェクトチームを立ち上げ,指定避難所等におけるトイレ環境の確保に向けた諸課題を検討し,先月に中間報告を受けました。
この中間報告では,浄化槽から下水道への切替え時に,不要となった浄化槽を災害時トイレの貯留槽として活用することや,既設のトイレの点検・応急処置のための体制の構築など,諸課題を抽出しており,具体的な取組をさらに進めるため,(仮称)災害時トイレ確保・管理計画の策定に向け,引き続き庁内プロジェクトチームで検討を進めてまいります。
5 新庁舎の整備状況
次に,新庁舎の整備状況について申し上げます。
新庁舎につきましては,平成28年6月の着工以降,昨年秋頃には県産材の丸太を活用した液状化対策工事や,建物本体を地中から支える既製コンクリート杭の打設工事を終え,現在は地下躯体工事や免震装置の据付作業に取り組んでいます。
これらの地下工事を行う中で,作業区画の一部で想定以上に地盤が軟弱な箇所があることが判明し,杭の打設工事や土砂の掘削を行う際に,重機の転倒防止等のための地盤改良が必要になったことや,昨年,本市にも大きな被害をもたらした複数の台風の接近や上陸に伴い,仮囲いの間引きや資材の養生といった風対策が必要となり,工事工程に大きな影響が生じました。
このため,工事請負業者等との詳細な協議を踏まえ,新庁舎の完成時期を当初予定していた来年6月末から2か月延期し,8月末に工期を変更することといたしました。
一方,新庁舎は本市の重要な防災拠点となることや,仮庁舎で市民サービスを提供しているため住民の皆様にご不便をおかけしていることから,可能な限り開庁時期への影響を避けるために,工事が概成し,設備の試運転調整に入る建物引渡日前の段階から什器備品の搬入などの開庁準備に取り掛かり,建物引渡日以降,順次,新庁舎への引越し作業を進め,来年11月末までの移転完了を目指します。
市民の皆様には,大変ご不便をおかけいたしますが,ご理解とご協力を賜りますようお願いいたします。
6 国民健康保険
次に,国民健康保険について申し上げます。
国民健康保険制度は,半世紀ぶりの制度改革が行われ,4月から財政運営の責任を都道府県が担う新制度が,大きな混乱もなくスタートしています。
国保の財政上の構造問題を解消するため,本年度から新たに1,700億円の追加公費の支援が始まり,平成27年度からの1,700億円と合わせて,3,400億円規模の財政支援が毎年行われることとなりました。
新制度においては,必要な医療給付費は県から支給されることとなり,市町村は,県が算定した国保事業費納付金を県に納付することになりますので,それを賄うための保険料収入の確保が必要です。
本市における平成30年度の保険料については,県が示した標準保険料率も参考にしながら,県に納付すべき国保事業費納付金を確保するための保険料を算定した結果,被保険者一人当たりの保険料を,医療基礎賦課分と後期高齢者支援金分の合計で約3,100円引き下げるとともに,介護納付金分を約1,000円引き上げ,全体では,平均約3,000円を引き下げる保険料率といたしました。
今後も,特定健診や特定保健指導,重症化予防事業等の保健事業の取組強化を図るとともに,本年度から本格実施となる保険者努力支援制度への対応など,医療費適正化に取り組みながら,国保財政の健全化に努めてまいります。
7 観光振興
次に,観光振興について申し上げます。
昨年度から,県と連携して「志国高知 幕末維新博」の取組を進めており,本年4月21日には,高知県立坂本龍馬記念館のグランドオープンに合わせて,全国の龍馬ファンの聖地とも言える桂浜公園において,「志国高知 幕末維新博」第二幕の開幕セレモニーが開催されました。
当日は,全国の龍馬関係団体をはじめ,「平成の薩長土肥連合」として,鹿児島県,山口県,佐賀県,高知県の4県知事や,特別ゲストとして,観光特使の島崎和歌子さん,ビビる大木さん,三山ひろしさんをお招きし,大盛況のうちに式典を終えることができ,桂浜の新たな魅力がさらに高まることとなりました。
坂本龍馬に関連する行事として,本市では今月16日に坂本龍馬像建立90年を記念して,龍馬の功績を顕彰する記念イベントを開催することとしており,これらの好機を活かして本市への誘客をさらに加速させてまいります。
次に,大型客船の寄港状況について申し上げます。
昨年度は,外国客船をはじめとする大型客船40隻が高知に寄港いたしましたが,本年度は,先月末時点で昨年を上回る45隻の寄港予約及び仮予約をいただいております。
年間で10万人以上の国内外のお客様が客船を利用して高知を訪れることが見込まれますので,お客様に満足いただけるように,(仮称)高知新港客船ターミナルの整備促進などの受入態勢の強化や,中心市街地でのおもてなしの拡充を図ってまいります。
今月6日に放送されましたNHKの全国ニュースにおいて,外国人旅行者の一人当たりの消費単価が全国的に下がる中,過去3年間で高知県が全国で最も高い伸びを示しており,東京,北海道に次いで全国で3番目の消費単価になっていることが放送されました。
その要因として,高知県の特産品である「サンゴ製品」が外国人観光客に人気を博すとともに,中心部の商店街に外国人観光客を呼び込む戦略が功を奏したことが紹介されています。
高知新港で客船から降りてくる外国人観光客を無料シャトルバスで「はりまや橋観光バスターミナル」へ送迎し,商店街を通って高知城まで散策する中で,「オセッカイスト」と呼ばれる市民ボランティアの方々が商店街の各店へ橋渡しする取組の効果が表れたものであり,今後も県や商店街の皆様とともに,高知に来ていただいた外国人観光客へのおもてなしや消費拡大に向けて,積極的な取組を進めてまいります。
次に,桂浜公園再整備について申し上げます。
桂浜公園の再整備については,平成27年度に基本構想を作成し,平成28年度には基本計画を策定していますが,内閣府のPPP/PFI推進室が作成したガイドラインに基づき,本市が策定した基本計画に対する民間からの意見や事業参入の可能性を把握するため,平成29年度に「桂浜公園整備手法等調査業務」を実施いたしました。
この調査では,県内外の関連企業49者の方々に対して,サウンディング型市場調査を行い,関連する企業からは,「桂浜の商業施設部分についてはマーケットに即した適正規模からスタートした上で,段階的な整備を望む」などの貴重なご意見を伺っています。
今後は,これらの調査結果を参考にしながら,桂浜公園の整備方針を検討し,決定していくこととなりますが,検討に当たっては,昨年度の法改正により,都市公園内で活用が可能となった「Park-PFI制度」など,新たな手法も含めて,具体的な検討を進めてまいります。
8 新図書館等複合施設
次に,新図書館等複合施設の取組について申し上げます。
新図書館等複合施設オーテピアは,県や議会をはじめとする多くの関係者の皆様のご協力の下,およそ8年の歳月をかけ,いよいよ来月24日に開館いたします。
「オーテピア高知図書館」は,県立図書館と市民図書館本館を一体的に整備する国内初の取組であり,全国有数の施設規模で総合的なサービスを展開するため,全国からも注目されています。
「これからの高知を生きる人たちに力と喜びをもたらす図書館」の基本理念の下,地域を支える情報拠点機能を飛躍的に充実させ,県民・市民の暮らしや仕事の中で起こる,さまざまな課題解決を支援する社会教育施設として,「健康・安心・防災情報サービス」や「ビジネス・農業・産業支援サービス」などの図書館サービスを積極的に提供してまいります。
また,併設する「高知みらい科学館」は,「高知の未来を担う理科好きの子どもを増やし,育てる」「大人も子どもも科学に親しみ,科学を楽しむ文化を育てる」ことを理念として,県内唯一となるプラネタリウムをはじめ,「見て,触れて,感じて,作って,学び遊ぶ」ことのできる参加体験型の展示や,小中学生の理科学習,サイエンスショー,科学教室などの事業を幅広く実施することとしています。
また,「オーテピア高知声と点字の図書館」では,誰もが読書を楽しめるように,文字情報の利用が困難な方々の読書を支援する録音図書や点字図書の充実のほか,対面朗読サービスなどを積極的に展開してまいります。
オーテピアの開館に当たり,前日の23日に記念式典を開催するほか,開館記念講演として,著名な作家やタレント,声優などによる講演も準備し,これまで図書館を利用されていなかった市民の皆様にも幅広くアピールしたいと考えており,テレビやラジオ,新聞など様々なメディアを活用した広報活動を積極的に実施してまいります。
県民・市民の皆様の生涯学習や文化活動を図書館サービスなどを通じてオーテピアから支援してまいりますので,多くの皆様にご来館いただき,幅広く活用していただくことを願っております。
9 新図書館西敷地の利活用
次に,新図書館西敷地の利活用について申し上げます。
新図書館西敷地につきましては,「新図書館西敷地利活用事業基本協定締結に係る妥当性検討委員会」における確認事項などを中心に,本年2月からこれまでに計10回,優先交渉権者と協議を続けており,先月にはヒアリング形式による協議2回を含めまして4回の協議を行っています。
優先交渉権者と一定の協議が整いましたら,議会の皆様や市民の皆様にもご説明を申し上げながら,さらにご意見を賜ってまいります。
10 高知中央産業団地
次に,高知中央産業団地について申し上げます。
操業環境の悪化や企業の事業継続計画,いわゆるBCPの構築による高台移転に向け,県と共同で取り組んでいる製造業を対象とした高知中央産業団地については,平成29年度末に整備工事が完了し,現在,早期の分譲開始に向けて,都市計画法に基づく開発完了の手続などの作業を進めています。
本産業団地につきましては,分譲の問い合わせもありますので,本議会において,市持分は2分の1となりますが,県分と合わせて土地5万103.57平方メートル以内,売却価格12億5,676万6千円以上の土地処分議案を提出するとともに,議決を賜りました後,来月下旬頃から新聞広告やホームページなどで分譲案内を開始し,公募による選定を行いまして,9月頃には譲受人を決定し,分譲を進めてまいりたいと考えております。
市内企業の移転需要につきましては,高知中央産業団地だけでは応じきれないことから,現在,本産業団地の東側に隣接する布師田地区において,県と共同で(仮称)布師田団地の整備に向けて,測量や設計,用地取得に向けた調査事業を進めており,これらの事業の実施により,地元企業の移転や新たな企業の進出に対する基盤整備を行い,本市の産業振興や雇用の維持・創出につなげてまいります。
11 平成29年度決算見込み
次に,平成29年度の決算見込みについてご報告申し上げます。
一般会計では,扶助費をはじめとする歳出の伸びなどにより厳しい財政運営となりましたが,歳入におきまして,平成28年度に大きく減収となりました地方消費税交付金が一定確保されるとともに,民間保育所や認定こども園の運営費負担金の過年度分精算に伴う国費や県費の還付が6億2千万円余りあり,さらに,生活保護費負担金等において,本年度に返還が必要な国費の超過受入が約5億円と例年にも増して多額になるなど,特別な要因が重なりましたことから,収支の均衡を保つことができる見込みとなっています。
特別会計では,収益事業においてミッドナイト競輪の追加開催などから車券売上が増加し,7年連続の単年度黒字となり,累積赤字は前年度より約4億円減の53億円を下回る見込みですので,今後とも魅力あるレース編成に取り組み,さらなる収支改善に努めます。
そのほか,国民宿舎運営事業においては,単年度収支で前年度並みの2億6千万円余りの黒字とともに,累積赤字が約6億円まで減少することが見込まれ,経営健全化計画で示しました平成31年度末での資金不足の解消が図れる見通しとなっています。
企業会計のうち,水道事業では,給水人口が減少する中,平成28年度と同程度の給水収益を確保することができ,14億7千2百万円余りの純利益となりました。
一方,公共下水道事業では,2億2千7百万円余りの純損失となり,特に,受益者負担を原則とする汚水事業では,2億4千百万円余りの純損失で,累積赤字も17億1千9百万円余りと増加しており,本年4月1日からの下水道使用料の改定と併せて,水洗化率のさらなる向上に努め,長期的に安定した経営を目指してまいります。
12 補正予算・予算外議案
以下,議案についてご説明を申し上げます。
今回提出しました議案は,予算議案2件,条例議案6件,その他議案10件です。
まず,今回の補正予算は,一般会計において国費の内示増を受け,重点路線に位置付けている「愛宕町北久保線」の愛宕町工区をはじめ,「曙町西横町線」の中工区,「鴨部北城山線」の第2工区の整備に向けた建物物件調査費及び移転補償費等を増額補正するほか,認知症高齢者グループホーム等で,利用者等の安全確保を図るための耐震改修や老朽化に伴う大規模改修等に対する補助金を補正するものです。
また,清掃工場では,施設の長寿命化の一環として,中央監視制御装置の更新に向け,平成31年度までの債務負担行為を設定します。
特別会計では,産業立地推進事業におきまして,高知中央産業団地の分譲開始に伴う売払収入により,起債の繰上償還などの補正を行うものです。
以上,申し上げました内容によりまして,提案しております今回の補正規模は,
一般会計 4億4,700万円の増額
特別会計 1億6,047万9千円の増額
であり,補正後の予算規模は,全会計の純計で2,662億3千9百万円余りとなり,この補正予算財源として,特定財源である国庫支出金や市債等を充当いたしました。
次に,予算外議案について申し上げます。
条例議案は,法令の改正に伴うものなど6件です。
このうち,市第74号議案の高知市税条例及び高知市税条例の一部を改正する条例の一部を改正する条例議案につきましては,平成30年度税制改正に伴い,所得税法と同様に地方税法において,個人市民税における給与所得控除や公的年金等控除から基礎控除への振替及び非課税の範囲の見直しなどの改正が行われたことに伴い,関連する規定について改正を行うものです。
その他の議案は,高知中央産業団地の土地処分議案や,春野町においてデジタル固定系防災行政無線を整備するための工事請負契約締結議案など10件となっています。
このうち平成30年度一般会計補正予算についての市長専決処分の承認議案では,誠和園を整備するために平成29年度に設定した救護施設整備事業補助金の債務負担行為について,実施主体が土地造成工事における軟弱地盤対応などに時間を要したため,平成29年度内の補助金の交付決定に至らず,債務負担の効力を失いましたことから,平成31年10月の開設に向けて事業を遅延なく推進するため,改めまして平成31年度までの債務負担行為を再設定したものです。
報告12件につきましては,繰越計算書など,いずれも法令所定の手続によりご報告するものです。
以上,提出をいたしました議案について,概要の説明を申し上げましたが,よろしくご審議の上,適切なご決定をお願いいたします。