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第473回高知市議会定例会市長説明要旨(令和元年12月6日)

第473回高知市議会定例会市長説明要旨


令和元年12月6日


第473回高知市議会定例会にご出席をいただき,まことにありがとうございます。

議案の説明に先立ち,当面する市政課題に関連して,ご報告と考え方を申し上げ,ご理解を賜りたいと存じます。

1 5期目の市政運営に臨む所信

去る11月24日の市長選挙におきまして,多くの市民の皆様方のご信任を賜り,引き続き5期目の市政を担当させていただくことになり,改めまして,その責任の重さを痛感し,身が引き締まる思いを強くしております。
市議会の皆様には引き続きのご指導とご支援をよろしくお願いいたします。
市長選挙の投票率につきましては,各陣営ともに低投票率を懸念し,政策を幅広く訴えながら投票を呼びかけたこと,また,市長選挙と同時選挙となりました高知県知事選挙が12年ぶりに実施されたことなどにより,前回の投票率28.93パーセントを14.47ポイント上回る43.40パーセントの投票率となりました。
本年実施されました高知県議会及び高知市議会議員選挙,また,参議院議員通常選挙でも効果を発揮した商業施設での期日前投票につきましては,今回の市長選挙におきましても,全投票者の約19パーセントに相当する約2万2千人もの方々の投票が行われ,投票率の向上に大きく寄与しています。
一方で,有権者の半数以上の方が選挙に行かれていない実態を重く受け止めており,今後も引き続き,啓発活動の強化や改善策の検討を行い,若い世代の方々をはじめ市民の皆様の政治への参加意識を高め,投票率のさらなる向上につなげてまいります。
平成15年11月に多くの市民の皆様や,市議会の皆様からの温かいご支援を賜り,市長に就任させていただいて以来,4期16年間,市民の皆様の「生命と財産を守る」ことを最優先にしながら,市議会や地域の皆様とともに市政発展に向けて全力で取り組んでまいりました。
市長就任直後から直面しておりました厳しい財政状況を克服するため,市議会や市民の皆様の多大なるご理解とご協力をいただき,職員とともに徹底した行財政改革を進め,財政再建を果たすことができました。
また,この間,鏡村,土佐山村,春野町との合併により誕生した「中山間地域,田園都市,都市部」のバランスのとれた新高知市として,まちづくりを一層進めることができ,関係者の皆様に感謝申し上げます。
特に,2期目からは,尾崎正直高知県知事とともに県市連携をより強化させ,喫緊の課題である「南海トラフ地震対策の加速化」と,人口減少問題の克服に向けた「地方創生の推進」という二つの柱を軸に,「あんしん・あんぜんのまちづくり」を全力で進めてまいりました。
平成27年から始まった4期目では,これまでの任期中に完成した潮江西部地区,高知駅周辺地区,弥右衛門地区の土地区画整理事業に加えて,旭駅周辺地区の市街地整備や街路整備などの都市機能を強化するとともに,喫緊の南海トラフ地震対策として,津波避難センター及び避難タワーの整備,消防署所・消防屯所の再編整備,学校や保育所施設の耐震化,新庁舎の建設など,市民の皆様の命を守るためのハード整備を最優先に取り組んでまいりました。
また,全国初の県市合築による新図書館等複合施設「オーテピア」の整備,積年の重要課題であった中学校給食の完全実施に向けた給食センターの建設,すべての小中学校等への空調設備の整備,さらには,産業活性化のための新産業団地の整備など,市議会のご理解をいただきながら,着実に事業を推進することができました。
ソフト事業では,子ども医療費助成の小学6年生までの拡充,中核市で初となる同時入所時の第二子保育料等の無償化,生活困窮者の自立支援の充実,中山間地域等でのデマンド型乗合タクシーの運行開始など,地域福祉の充実にも力を入れ,市民の皆様の暮らしをサポートするまちづくりを積極的に推進してまいりました。
さらに,人口減少が進行する中,圏域経済の活性化に向けて県内すべての33市町村と高知県との連携協約を締結し,「れんけいこうち広域都市圏」を形成し,高知県及び県内市町村との一層の連携を図り,その中心市として,県全体をけん引する重要な役割を担ってまいりました。
令和という新時代を迎え,これまで皆様方とともに積み上げてまいりました実績を次の世代に着実につなげながら,今後,一人ひとりが手を携え,共に支え合いながら生きる,「高知市型共生社会」の実現に向けて,市民の皆様の「生命と財産を守り,暮らしを守る」強い決意を持って,全力で取り組んでまいります。
今般の市長選挙では,新たなまちづくりに取り組むため,高知市の将来像として「躍動感みなぎる幸せ実感都市・高知」の実現をテーマに掲げ,次の4年間で「あんしん」,「あんぜん」,「すこやか」,「にぎわい」,「共につくる」という5つの基本政策に基づく36の施策と111の事業を進めていくことを広く市民の皆様に訴えてまいりました。
まず,基本政策の1点目の「あんしんの高知市」について申し上げます。
南海トラフ地震等の災害対策の総仕上げに向けて,「生命を守り」,「守った生命をつなぎ」,被災しても「迅速に復旧する」ことが特に重要になります。
そのためには,国や県と連携した浦戸湾三重防護を着実に進めながら,住宅の耐震化を促進させ,緊急輸送道路の沿道における建築物の耐震化を進めるとともに,老朽住宅の除却や倒壊の危険性が高いブロック塀等の安全対策を講じ,住民の方々の避難路を確保します。
また,高齢者や障害者などの避難時に配慮を要する方々の避難支援対策を急ぐとともに,避難所のトイレ等の環境対策を推進し,国等にも避難所における環境整備の提言を行うなど,関係機関とのさらなる連携の下,災害関連死ゼロを目指す対策に全力で取り組みます。
さらに,万が一被災した場合,まち全体を速やかに復興できることが重要ですので,復興計画の事前策定に向けた検討を進めます。
次に,2点目の「あんぜんな高知市」では,まちのインフラ整備やバリアフリー化を積極的に進め,暮らしの利便性と快適性を重視したまちづくりを進めます。
老朽住宅が密集し,狭隘な道路が多いなどの防災上の課題が残る下島地区や中須賀地区など,旭駅周辺の土地区画整理事業等を推進するとともに,立地適正化計画に基づくまちづくりを推進し,公共交通機関の利用促進を図ります。
市営住宅再編計画の下で,老朽住宅の建て替えや小規模団地の集約化に取り組むとともに,空き家対策として生活環境の保全や空き家の有効活用を進めます。
また,市民の皆様の「生命,身体及び財産」をあらゆる災害から守るため,北消防署,中央消防署など拠点となる消防署の完成に引き続き,地域における消防分団屯所を計画的に整備し,大規模災害等に対する防災・減災体制の強化を推進します。
高知市型共生社会の一歩として,ごみ出しが困難な方を支援する「ふれあい収集」の対象地域を市内全域へ拡大するとともに,路線バスの運行が困難な地域でのデマンド型乗合タクシーの利用促進を図ります。
次に,3点目の「すこやかな高知市」では,「子育てへの安心と安全」を中心に,子育て支援の拠点づくりを進め,子育て・教育における環境整備を推進するとともに,高齢者や障害者の方々の相談受入れの窓口を拡げ,支援体制を強化してまいります。
まず,子育てが安心してできるための対策として,東部地区や北部地区に子育て世代包括支援センターを順次新設し,関係機関や地域と連携した切れ目のない支援体制となる高知市版ネウボラを推進します。
さらに,厳しい環境にある子どもたちへの貧困対策等の充実や,保育所,幼稚園,小学校及び地域との連携による子どもの将来を見据えた保幼小の連携を強化します。
新たに,子ども・子育て支援施策として,中学校卒業までの子どもさんを対象に,インフルエンザ予防接種費用の一部助成を実施することで,保健衛生の向上と,子育て家庭の経済的負担の軽減に取り組みます。
学校教育の充実に向けて,不登校児童生徒の支援対策として教育支援センターにスクールカウンセラーを配置し,専門的な心理的支援を必要とする児童生徒等への対応や教育相談機能の充実を図ります。
また,新学習指導要領に対応した学力向上アクティブ・プランを積極的に推進するとともに,地域や関係機関と連携した,不登校への支援をはじめとする子どもを見守り育成する体制を構築します。
高齢者の方々への支援では,「いきいき・かみかみ・しゃきしゃき百歳体操」の実施等による介護予防事業と保健事業を一体的に進め,加齢に伴う身体的な能力低下等による虚弱高齢者の方が,要介護状態に陥らないようにするフレイル対策を充実強化するとともに,団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となる2025年に向けて,高齢者の方々が住み慣れた地域で,希望する生活を送ることができる地域包括ケアシステムの構築をさらに進めます。
障害のある方々への支援では,基幹相談支援センターを中心とした相談や支援を充実するとともに,生活支援相談センターを拠点とした生活困窮者の方々への支援を強化してまいります。
平和を守り人権を尊重するまちづくりでは,様々な人権課題の解決に向け,人権尊重のまちづくり条例に基づく施策の展開を図るとともに,ダイバーシティ(多様性)への対応を推進し,一人ひとりがお互いの違いを認め合い,尊重し合えるまちづくりを進めます。
4点目の「にぎわいの高知市」では,中心市街地の活性化に寄与する新図書館西敷地の利活用事業を推進するとともに,はりまや橋周辺の活性化策等の検討を進めます。
産業振興では,市内製造業等の操業環境の整備と企業誘致に向けて,(仮称)高知布師田団地の早期完成を目指すとともに,新たな産業団地の整備検討を進め,観光振興においては,自然景観と歴史資源を活かした桂浜公園の再整備を早急に進めます。
さらなる宿泊者数の増加につなげる新たな夜の観光資源を掘り起こし,各市町村と連携した自然体験型周遊ルート商品の造成を行うなど,広域観光を推進します。
農林水産業の振興では,福祉分野と連携した農福・水福連携に取り組むとともに,新たに策定する「第13次高知市農業基本計画」等に基づき,担い手の育成や確保を図り,イタドリなどの地域特性の強みを活かした農業を支援するとともに,森林環境譲与税を活用した森林整備を行うことによる林業の成長産業化と森林資源の適切な管理を進めます。
次に,5点目として「共につくる高知市」について申し上げます。
地域社会と市民生活のうるおいを「共につくる」ことを目指し,地域コミュニティの再構築を進めるとともに,「こうちこどもファンド」等の推進による,将来のまちづくりを担う子どもたちの社会参画を促します。
地域活動の拠点整備として,総合あんしんセンター内に「高知市社会福祉協議会」や「高知市生活支援相談センター」等を配置して,地域活動に関する情報の提供・相談・研修などを充実させるとともに,老朽化が進む木村会館を旭地区のコミュニティセンターとして整備し,機能の充実を図ります。
団塊の世代が2025年までに後期高齢者の世代になり,地域の担い手が高齢化することから,新たな地域リーダーの養成をさらに進めるとともに,行政と民間・地域が一体となり,きめ細やかな支援サービスを構築するため,各地域における高齢者や子育て等のサービスを検索できる総合的なシステムを構築し,地域福祉情報を市民の皆様に提供します。
地域の薬局や社会福祉法人のご協力をいただき,身近な地域で何でも気軽に相談できる「相談窓口」を設置するとともに,「地域福祉コーディネーター」の増員を支援します。
また,犬や猫の不幸な殺処分を無くすため,県とも連携を図りながら「動物愛護センター」の整備に着手します。
次代へつなぐ高知市型共生社会の実現に向けて,これまで培ってきた地域コミュニティ活動を大切にしながら,さらなるまちづくりを力強く進めていくため,市民主導による地域活動に対して,市税の1パーセントを還元・活用できる仕組みづくりを構築します。
これらの施策により,地域と一層の連携を図りながら,人と人が寄り添い,生涯を支え合って楽しく過ごすことが可能な共生社会を作り上げてまいります。
今般の選挙戦を通じまして,公約に掲げましたこれらの施策を各地域で訴えさせていただきましたが,市民の皆様からは,人口減少等に伴う地域の厳しい実情などを踏まえ,数多くのご要望やご意見をお伺いしておりますので,こうした貴重なご意見等を大切な財産として受け止め,今後の市政運営に活かしてまいります。
高知県知事選挙におきましては,尾崎正直高知県知事が退任されることとなりましたが,尾崎知事には3期12年間,ともに築き上げてまいりました県市連携の絆の強さに感謝申し上げますとともに,ご当選されました浜田省司新知事には,これまで以上に県市連携を密にしていただきますことを期待しております。
今回の高知市長選挙において,5期目のご信任を賜り,職員とともに一丸となって市政発展に全力を尽くす決意を新たにしておりますので,引き続き,議会の皆様のご指導とご支援を賜りますよう,よろしくお願いいたします。

2 国政・経済の動向

次に,国政の動向と我が国の経済状況について申し上げます。
10月1日の消費税率の引上げに伴う駆け込み需要とその反動が懸念される中,先月14日に内閣府が発表した本年7月から9月期の国内総生産の実質成長率は,前期比0.1パーセント増,年率換算では0.2パーセント増と4四半期連続のプラス成長となりました。
また,先月22日に発表された月例経済報告では,景気の基調判断について,10月に引き続き,「景気は,輸出を中心に弱さが長引いているものの,緩やかに回復している」とされる一方で,海外経済の動向や金融資本市場の変動の影響に加え,消費税率引上げ後の消費マインドの動向に留意する必要があるとされています。
県内では,先月11日に発表された日本銀行高知支店の高知県金融経済概況において,個人消費は消費税率引上げに伴う駆け込み需要の反動がみられるものの,基調としては持ち直しており,「高知県の景気は,回復している」と23か月連続で据置きの判断がなされました。
こうした経済状況の下,国においては,台風19号など相次ぐ自然災害からの復旧・復興,海外経済の減速などによる経済の下振れリスクへの対応,東京オリンピック・パラリンピック後を見据えた経済活力の維持向上を三本柱とする新たな経済対策の策定と合わせて,現在,補正予算も含め,13兆円規模と言われる経済対策等が検討されています。
また,財務省を中心に新年度の予算編成作業が進んでおり,年内には令和2年度の地方財政対策が発表される予定です。
全体的な社会保障関係費の伸びに加えて,新たに会計年度任用職員制度が導入されることから,地方の安定的な財政運営に必要となる地方一般財源の総額は,さらなる拡充が不可欠であり,今後の国の動向を注視するとともに,全国市長会等とともに財源確保を強く国に対し要請してまいります。

3 本市の財政見通し 等

  次に,本市の財政見通しについて申し上げます。
本年度の普通交付税及び臨時財政対策債の算定結果については,当初予算計上額より実質的に8億6千万円余り増となる財源を確保することができましたが,歳入の柱である市税が当初の想定ほど伸びが見込めず,補正財源の確保に苦慮するなど,厳しい収支が見込まれます。
そのため,令和2年度の予算編成では,Sdgs(持続可能な開発目標)の理念を踏まえ,「高知市財政健全化プラン」の基本方針の下,既存事業のスクラップ・アンド・ビルドを徹底した上で,誰一人取り残さない「高知市型共生社会の実現」を目指し,今般の選挙公約で掲げた5つの基本政策に沿った予算編成作業を進めることとしています。
国においては,経済対策として,「補正予算と新年度予算と合わせて15か月予算を編成することで切れ目のない財政出動を目指す」とされていますので,本市におきましても令和2年度予算から前倒し可能なものは3月補正予算で対応するなど,国の経済対策における有利な財源を積極的に活用してまいります。

4 災害対応

次に,台風18号の災害対応について申し上げます。
去る9月28日に発生した台風18号については,台風に向かって暖かく湿った空気が流れ込んだことで大気の状態が非常に不安定となり,猛烈な豪雨となりました。
10月3日午前7時12分の洪水警報に続いて,大雨警報,土砂災害警戒情報が相次いで発表され,9時17分には気象レーダー等による解析で,1時間に約110ミリの降雨が観測され,気象庁から記録的短時間大雨情報が発表されたことを受け,緊急避難が必要な地域があると判断し,避難準備等を呼びかける警戒レベル3の「避難準備・高齢者等避難開始」を市内全域に発令しました。
続けて,9時50分には土砂災害からの避難を呼びかける警戒レベル4の「避難勧告」を中山間地域に発令し,10時には,市内23か所の避難場所を開設し避難者を受け入れました。
また,11時12分には,鏡ダム管理事務所から「現状の降雨が続けば,正午に鏡ダムで異常洪水時防災操作,いわゆる緊急放流を実施する」との緊急連絡があり,鏡川の氾濫による人命被害も想定されたことから,流域の氾濫想定地域の鴨田など12小学校区に,平成26年8月以来2回目となる「鏡川に係る洪水避難」を呼びかける警戒レベル4の「避難勧告」を発令しました。
この後,降雨量が少なくなり,幸いにして緊急放流は直前に見送られ,その後,土砂災害警戒情報等が順次解除され,夕方には災害対策本部を解散いたしました。
この大雨による本市の被害は,内水氾濫などにより,床上浸水が1棟,床下浸水が9棟発生したほか,道路冠水や崖崩れ,鏡川増水による河川敷の車両の水没なども発生しましたが,人的な被害はありませんでした。
今後も地球温暖化等に伴う気象状況の変化から大型の台風や集中的な豪雨等が予想されることから,自然災害への対策等に万全を期してまいります。

5 高知市強靱化計画の改訂

  次に,高知市強靱化計画の改訂について申し上げます。
高知市強靱化計画は,大規模自然災害に対して,市民の命を守り,地域・経済社会の致命的な被害を防止し,迅速な復旧復興が可能となる「強靱な高知市」の構築に向けて,平成27年6月に策定したものであり,概ね5年を迎えることから,社会情勢の変化等を踏まえ改訂作業を進めています。
改訂に当たっては,平成30年12月に改訂された国の国土強靱化基本計画の内容を踏まえるとともに,現計画の重要業績指標の達成状況が約63パーセントと見込まれることから,仮設住宅などの事業用地確保の取組を追加し,早期復旧や二次災害防止などの未達成の取組を中心に見直すこととしています。
また,計画を着実に推進するための取組内容や目標値を定めた「高知市強靱化アクションプラン」も併せて見直すこととしており,南海トラフ地震に対する行動計画としても活用することで,各部局の取組を一元的に把握し,それぞれの事業の確実な進捗管理につなげてまいります。
国におきましては,平成30年7月豪雨をはじめとする災害の頻発,激甚化を受けまして,現在,令和2年度までの「防災・減災,国土強靱化のための3か年緊急対策」が実施されていますが,本年の台風19号による広範囲に及ぶ浸水被害の甚大さからしても,さらなる対策が不可欠であり,国土強靱化に向けた対策については,令和3年度以降の延長を全国市長会等を通じ強く要請してまいりますので,ご支援をお願いいたします。

6 地域共生社会の実現に向けた取組

次に,本市の地域共生社会の実現に向けた取組の一つである「ほおっちょけん相談窓口」について申し上げます。
先月5日に,地域の薬局や社会福祉法人のご協力をいただき,「旭・一宮・江ノ口西・春野・三里」の市内5つのモデル地区におきまして,26か所の「ほおっちょけん相談窓口」を開設しました。
この相談窓口は,本年度からの第2期地域福祉活動推進計画に基づき,予防的福祉の重要性を踏まえ,「地域で課題を抱える人を孤立させず,困りごとが深刻化・重大化する前に早期に把握をして,適切な支援につなぐ」大切な取組として,行政が設置する高齢者・障害者・子育て・生活困窮など,各分野の相談窓口や医療・介護等のサービスに加え,地域で困りごとを抱えている方々が問題解決の糸口につなげる機会を増やし,支え合いのある地域づくりを進めるものです。
今後,この「ほおっちょけん相談窓口」での対応状況や相談内容を集約・分析し,明らかになった地域課題を地域の関係者の皆様と共有しながら,地域で住民の皆様や関係機関が主体的に課題解決を図る体制整備をさらに進め,住民一人ひとりが共に支え合い,誰一人取り残さない「高知市型共生社会」を目指し,着実に取り組んでまいります。

7 会計年度任用職員制度

次に,会計年度任用職員制度について申し上げます。
地方公務員法及び地方自治法の一部改正により,令和2年4月から会計年度任用職員制度が施行されます。
今回の法改正では,一般職の非常勤職員として会計年度任用職員を創設するとともに,特別職非常勤職員や臨時的任用職員の任用要件を厳格化し,それぞれの職を法律により明確化することで,任用の適正化を図っていくものであり,働き方改革の一環としての同一労働同一賃金の視点を踏まえ,会計年度任用職員についても,期末手当を支給するなどの処遇改善も図られることとなります。
本市におきましては,特別職非常勤職員のうち労働者性の高い職種と,ほとんどの臨時職員を会計年度任用職員に制度移行することとしており,その任用に当たりましては,一会計年度が任期となりますが,人事考課等により任期ごとに客観的な能力を実証することで,空白期間を置くことなく,最大2回までは再度の任用を可能としておりますので,最長3年間勤務いただくことも可能となります。
一方で,会計年度任用職員には守秘義務や職務専念義務などが課せられるほか,懲戒処分等の対象になるなど,服務に関する適正化も図られますので,会計年度任用職員に対する研修についても充実させてまいります。
この法改正の趣旨を踏まえ,国や各地方公共団体との均衡を図ることに留意しつつ,職員組合との交渉を重ね,任用及び報酬制度,休暇・休業制度など大筋について合意ができましたので,今議会において 会計年度任用職員の給与及び費用弁償に関する条例の制定議案のほか,関連する条例の改正議案についてお諮りしておりますので,よろしくお願いいたします。

8 新庁舎の整備状況 等

次に,新庁舎の整備状況について申し上げます。
新庁舎については,平成23年度に現位置で建設する方針を決定して以降,長期にわたりまして目指すべき新庁舎の在り方について検討を重ね,平成26年度から設計作業,平成28年6月から建設工事に着手し,先月末には本体工事を無事完了することができ,関係者の皆様に感謝申し上げます。
現在は,旧庁舎前広場にありましたモニュメントなどの再設置作業のほか,新庁舎への什器備品の搬入・組立作業など,全面的な開庁に向けた準備を進めています。
新庁舎の引渡し完了後の今月28日には,市制130周年記念行事の一環として,新庁舎落成式を開催した後,市民の皆様に新庁舎へのご理解を深めていただくための新庁舎見学会を開催いたします。
なお,この新庁舎建設工事請負契約につきましては,レイアウト変更等に伴う建具や庁舎サイン等の仕様及び数量の変更などにより,6,861万5,800円の増額変更が生じたことから,先月20日に地方自治法第179条に基づく市長専決処分を行いましたので,今議会に市長専決処分の承認議案としてお諮りしております。
来月からは,段階的に各課の移転を行う予定であり,最初に中央窓口センターや保険医療課,税3課などの窓口業務を行っている丸ノ内仮庁舎のすべての部署,本町仮庁舎の情報公開・市民相談センター,消費生活センター,第二庁舎の障がい福祉課などを移転し,成人の日の翌日となる来月14日から新庁舎での業務を一部開始いたします。
また,同月18日には議員の皆様の会派控え室につきましても議会事務局とともに,新庁舎に移転していただく予定となっております。
その後,順次,各部署の移転を行い,2月3日には新庁舎すべての部署で業務を開始する予定となっておりますので,移転期間中は市民の皆様や議会の皆様には,大変ご不便をおかけしますが,ご理解を賜りますようお願いいたします。

9 観光振興の取組

次に,観光振興の取組について申し上げます。
東京オリンピック・パラリンピックの開閉会式におけるよさこい演舞の実現に向け,本市や高知県などの地方自治体と全国のよさこい92団体で結成している「2020よさこいで応援プロジェクト実行委員会」の取組として,来年7月に東京で全国からよさこいチームが集結し,海外のメディアや各国政府,オリンピック・パラリンピックの関係者などに対し,よさこいの歴史や魅力を発信するイベント開催の準備を進めているところです。
このイベントにつきましては,「東京2020Nipponフェスティバル」の共催プログラムとしてエントリーを行っており,開催に合わせ,県や関係団体と連携し,よさこいをテーマとした旅行商品の造成等を行うなど,国内外へのプロモーションを展開し,東京オリンピック・パラリンピックを契機とするインバウンド観光の推進を図ってまいります。

10 新図書館西敷地の利活用

次に,新図書館西敷地利活用事業について申し上げます。
本年7月から,新図書館西敷地利活用事業の必要性や目的等についてご理解を広めていただき,事業に対するご意見やご提案を賜るため,高知市町内会連合会の理事の皆様や,中心商店街の各振興組合の代表者などで構成する株式会社高知市中心街再開発協議会の皆様,中心市街地で学生生活を送られている学生,生徒の皆様との意見交換会を実施したほか,高知市市民ウェブモニター制度にご登録いただいております市民の皆様と高知商工会議所の会員の皆様には,アンケート調査にご協力いただき,合わせて841名の方々からご回答をいただきました。
これらのアンケート結果や意見交換会でのご意見やご提案につきましては,本定例会においてご報告申し上げ,議員の皆様からご意見をいただきますとともに,現在,検討しています民間事業者に対する意向調査等も踏まえ,具体的な準備を進めてまいりたいと考えております。

11 補正予算・予算外議案

以下,議案についてご説明を申し上げます。
今回提出しました議案は,予算議案5件,条例議案22件,その他議案11件です。
まず,今回の補正予算は,台風18号などで被災した道路や河川,農地,漁港等の災害復旧費を計上するとともに,「高知市財政健全化プラン」に基づく公債費負担の低減を図るため,縁故債420億2千万円余りの借換えを計上しています。
そのほか,国費の内示に伴い,秦小学校においてこれまでトイレ整備ができていない下校舎3階へのトイレ設置費を計上し,併せて下校舎全体のトイレの洋式化と衛生面に配慮した乾式化を進めます。
また,人件費補正では,新陳代謝等により全会計の職員給与費で1億6千万円余りを減額するとともに,欠員補充にかかる臨時職員賃金等について増額補正することとしております。
以上,申し上げました内容によりまして,提案しております今回の補正規模は,
一般会計 427億7,400万円の増額
特別会計 4億500万7千円の増額
であり,補正後の予算規模は,全会計の純計で3,026億4,565万1千円となり,この補正予算財源として特定財源では国庫支出金や市債等を充当し,一般財源については普通交付税と繰越金を充当いたしました。
次に,予算外議案について申し上げます。
条例議案は,職員の給与改定に伴うものなど22件です。
このうち,市第146号高知市会計年度任用職員の給与及び費用弁償に関する条例制定議案など16件は,来年度から導入予定の会計年度任用職員制度について規定を整備するもので,市第138号高知市職員の勤務時間,休日及び休暇に関する条例の一部を改正する条例議案は,労働基準法の改正等に伴い,職員の時間外勤務の上限について規定を整備するものです。
このほか,市第153号高知市営住宅条例の一部を改正する条例議案は,民法の改正に伴い,入居における保証人に関する規定の削除などを行うものです。
その他の議案は,前段申し上げました高知市新庁舎建設工事請負契約の一部変更についての市長専決処分の承認議案や,指定管理者の指定に関する議案など11件となっています。
報告7件につきましては,損害賠償の額の決定についての市長専決処分の報告など,いずれも法令所定の手続によりご報告するものです。

以上,提出をいたしました議案について,概要の説明を申し上げましたが,よろしくご審議の上,適切なご決定をお願いいたします。