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第479回高知市議会定例会市長説明要旨(令和2年9月9日)
第479回高知市議会定例会市長説明要旨
令和2年9月9日
第479回高知市議会定例会にご出席をいただき,まことにありがとうございます。
議案の説明に先立ち,当面する市政課題に関連して,ご報告と考え方を申し上げ,ご理解を賜りたいと存じます。
まず最初に,今月6日から7日にかけ,西日本各地で大きな被害をもたらした台風10号で被災されました皆様に心からお見舞いを申し上げます。
今回の台風10号は,特別警報級の非常に強い暴風域などの勢力を維持したまま,7日の朝にかけて本県に最接近し,北上する進路を取りました。
特に九州地方については,「令和2年7月豪雨」による被害の爪痕が残る中での台風通過となりましたことから,一日も早い復興をお祈り申し上げます。
台風10号に見られますように,台風の勢力が例年以上に強くなってきていますので,今後とも万全の体制で災害対応に当たってまいります。
1 国政・経済の動向
次に,国政の動向と我が国の経済状況について申し上げます。
先月28日,安倍首相は体調の悪化により職務継続が困難になったことを理由として,急遽退任の意向を表明され,平成24年12月の第2次安倍内閣発足から約7年8か月続いた長期政権が区切りを迎えることとなりました。
潰瘍性大腸炎という難病を抱えながら,国内外の山積する課題にリーダーシップを発揮され,長期間にわたって政権運営に当たられたご労苦に対しまして,心から敬意を表します。
政権の発足以来,日本の経済再生や地方創生に全力で取り組まれ,当日の記者会見においても職務の続投を表明されるものと考えていましたので,突然の退任発表には大変驚きました。
新型コロナウイルスの感染拡大など,難しい対応が迫られる中で,憲法問題や北方領土の返還,北朝鮮による拉致問題など安倍政権が精力的に取り組んだ課題は解決しておらず,道半ばでの退任はまさに苦渋の決断であったものと推察いたします。
安倍首相の突然の退任表明により,政治情勢は混沌としておりますが,国難とも言える新型コロナウイルス感染の収束が見通せない中,低迷が続く地域経済の再生や感染流行の次の波に備える検査体制の拡充等は喫緊の課題であり,政治的な空白が生じることは避けなければなりません。
今月14日には自民党の総裁選が実施され,その後,直ちに臨時国会が召集され,新たな首相が選出される見通しであり,一日も早い国政の正常化と疲弊している地域経済の再生をはじめとする新型コロナウイルス対策の早急な実施を強く望みます。
さらに,直近の国政の状況に関しては,立憲民主党や国民民主党をはじめとする新党の結成に向けた協議が加速するなど,政治情勢が急激に変化しておりますので,市議会の皆様とともに,今後の国政の動向を注視してまいります。
さて,昨日8日に内閣府が発表した本年4月から6月期の国内総生産の2次速報値では,実質成長率は前期比7.9パーセント減,年率換算では28.1パーセント減と過去最悪の落ち込みとなりました。
また,先月27日に発表された月例経済報告では,景気の基調判断は「新型コロナウイルス感染症の影響により依然として厳しい状況にあるが,このところ持ち直しの動きがみられる」とされ,今後の先行きについては,「感染拡大の防止策を講じつつ,社会経済活動のレベルを引き上げていく中で,各種政策の効果や海外経済の改善もあり,持ち直しの動きが続くことが期待される」との見方が示されています。
こうした経済状況の下,去る7月21日の閣議で示されました国の「令和3年度予算概算要求の具体的な方針」では,新型コロナウイルス感染症への対応が喫緊の課題との認識の下に,令和3年度の概算要求期限が9月末まで1か月延長されることとなりました。
このため,国の来年度予算編成のスケジュールが先送りとなり,例年8月に総務省が作成している地方財政収支の仮試算などの基礎資料の公表が遅れていますので,今後の国の動向に十分留意しながら,来年度予算編成作業を進めてまいります。
次に,本市における今年度の財政収支見通しですが,普通交付税の7月算定では,算定基礎となる基準財政需要額において,生活保護費の減少などにより,臨時財政対策債を含めた実質的な普通交付税の総額は約264億3千万円となり,当初予算との比較で5億7千万円程度の減少となりました。
令和2年度の当初予算編成では,財政調整基金から13億5千万円,減債基金から9億5千万円と多額の基金繰入により収支の均衡を図っておりますが,新型コロナウイルスの影響により,市税をはじめとする歳入科目全般において減収が想定されるなど,今までにない厳しい状況であることから,今後の収支動向に十分留意しながら,高知市財政健全化プランの基本方針に基づき,的確な財政運営を行ってまいります。
2 新型コロナウイルス対策
次に,直近の新型コロナウイルス対策について申し上げます。
高知市における新型コロナウイルス感染症の発生状況は,4月30日以降,約2か月半の間,新たな感染者は確認されず44名のまま推移しておりましたが,7月21日から8月6日の間に散発的に5名の感染者が確認され,その後,同15日には障害者支援施設「あじさい園」において,県内3例目となるクラスターが発生し,これまでに入所者,職員及び職員家族を合わせて20名の方々の感染が確認されています。
このクラスターに関しては,障がいのある入所者の方々と外部との接触が制限されている施設内で発生した事案であり,施設を運営する法人におきましても,徹底した感染拡大防止対策を講じていただいており,クラスターについては収束に向かっていると考えておりますが,今後も感染の封じ込めに全力を尽くしてまいります。
現在,高知県における感染症対応の判断指標については,新規感染者数が比較的抑えられており,感染経路が特定できているケースが多いことや,市中感染が広がっている状況ではないこと等を踏まえて,「注意」レベルのまま据え置かれていますが,大都市部の感染者数が多いことから,今後も予断を許さない状況にあると認識しています。
今般のクラスター事例を踏まえ,感染拡大を最小限にとどめるためには,症状が出た場合には,できるだけ早くPCR検査を行う体制の整備が重要になります。
そのため,現在,県及び県医師会において,帰国者・接触者外来のほか,かかりつけ医等の身近な医療機関において検体の採取を行い,直接,民間検査会社に検査を依頼できる体制の拡充を進めておりますので,迅速な検査体制の構築に向けて関係機関と連携し,早期発見による感染拡大防止に積極的に取り組んでまいります。
また,先月17日付けで高知県から県内の全ての障害福祉サービス事業所等に対し,新型コロナウイルス感染拡大防止対策の徹底について通知が出されていますので,本市としても,各施設や事業所で必要となる衛生用品の確保等の支援を積極的に行ってまいります。
さらに,先月29日には,感染症指定医療機関である高知医療センターにおいて,後日に陽性が判明した子どもさんの診察に当たった医師1名と看護師3名の感染が確認され,医療センターの救急外来業務や小児科の新規外来患者の受付,ドクターヘリの運航が一時休止となりました。
受入体制が整い次第,順次業務を再開することとしており,ドクターヘリについては,今月3日から運航を再開しています。
医療センターのスタッフの皆様には,昼夜にわたり緊張を強いられる職務に精力的に従事されておられることに敬意と感謝を申し上げます。
市民県民の皆様への医療提供体制を継続していくため,新型コロナウイルス対策の最前線となる医療センターにおきましては,今回の感染経過や要因等を検証し,今後の感染防止対策へつなげていただくことを期待しています。
3 特別定額給付金について
次に,特別定額給付金について申し上げます。
定額給付金の申請につきましては,6月11日に14万通を超える郵送申請書を各世帯にお送りし,全庁的に動員をかけながら,申請相談窓口を本庁舎と土佐山,鏡,春野の各庁舎,各地域のふれあいセンターに設置するとともに,大量の申請書の審査チェックやデータ入力作業等の体制を強化するなど,全庁一丸となって取組を進めてまいりました。
これらの取組によりまして,昨日8日時点では,全世帯の98.7パーセントに当たる16万2,400世帯に対しまして,総額約323億8千万円の給付金の支給が完了しております。
現在,未申請の方々に対しまして,先月11日と25日の2回にわたり,申請勧奨のはがきをお送りするとともに,本市のホームページや広報あかるいまち,新聞広告などの各種メディアを通じた広報を行うとともに,申請を促す「お知らせポスター」を作成し,オーテピアやかるぽーとなどの公共施設をはじめ,市内の病院や高齢者施設,スーパーやコンビニエンスストア,路面電車やバスなどの公共交通機関など,関係機関のご協力を得ながら積極的に掲示しております。
さらに,各地域における民生委員や町内会の皆様にも,可能な限り申請へのお声掛けなどにご協力いただいたほか,ケアマネジャーやヘルパーなど介護関係者の方々にもご協力いただき,加えて,病院や高齢者施設等に入所されている方々に対しましても,各施設内で申請に向けた呼び掛けをしていただくなど,積極的な周知を行っております。
また,生活保護を受給されている方々につきましては,部局間で連携を図り,未申請の世帯についてはケースワーカーが個別に申請勧奨を実施するとともに,外国人の皆様には,3か国の外国語での字幕を配した説明動画を配信しています。
本市における定額給付金の申請期限は今月11日までとなっていますので,支給を希望される皆様に給付金が行き届くよう,最後まで丁寧に取り組んでまいります。
4 事業者支援給付金について
次に,事業者支援給付金について申し上げます。
国の持続化給付金を補完する形で,本市が独自に創設した事業者支援給付金は,原則として事業収入の減少率が前年同月比20パーセント以上50パーセント未満となっている事業者の方々を対象に,中小法人等には上限20万円を,個人事業者には上限10万円を給付するものであり,対象事業者数を約5,000事業者と想定し,5月臨時会において補正予算のご承認をいただいたものです。
今月7日時点で,1,042件の申請をいただいており,このうち835件の支給が完了し,総支給額は約1億2千万円,執行率は約15.8パーセントとなっています。
多くの事業者の皆様に本制度を活用いただけるよう,高知商工会議所や高知県中小企業者団体中央会などの関係機関のご協力を得て,周知徹底を図っておりますが,7月以降,申請件数が減少傾向にあったため,7月28日には地元新聞に広告を掲載するとともに,あかるいまち9月号において広報するなど,市内事業者の皆様への周知を図っています。
事業者支援給付金の申請期限は,来年2月末までとなっていますので,テレビCMの放映などにより,さらに多くの事業者の皆様に本制度を活用していただけるよう周知徹底を図り,申請率の向上につなげてまいります。
5 高知市GoTo商店街キャンペーンについて
次に,高知市GoTo商店街キャンペーンについて申し上げます。
このキャンペーンは,市民の皆様や観光客の方々に中心商店街や近隣商店街に足を運んでいただくため,「新たなイベントによる誘客」,「既存イベントへの支援による誘客」,「商店街の魅力向上による誘客」の3つをテーマに,イベント開催や商店街振興組合等への助成事業を実施し,人の流れと賑わいを創出し,地域経済の再生に向けて消費喚起を図るものです。
まず,「新たなイベントによる誘客」の取組として行う「高知市GoTo商店街キャンペーン・イベント開催事業」につきましては,民間事業者のノウハウを活かし,事業効果を高めるため,民間委託により実施することとし,今月中には優れた事業計画を提案した委託事業者を決定し,来月から商店街各店舗の販売促進につながるキャンペーンやイベントを順次開催してまいります。
次に,「既存イベントへの支援による誘客」の取組では,中心商店街の季節イベントとして定着している高知大道芸フェスや,イルミネーションフェスタの開催支援を拡充するとともに,食のイベントである「土佐の豊穣祭や土佐のおきゃく」についても,新型コロナウイルスの感染症対策として新たに必要な経費等を支援します。
「商店街の魅力向上による誘客」の取組では,新型コロナウイルス感染症により,来店者数の減少などの影響を受けた商店街等が,賑わいの創出や商店街振興のために実施するイベント,魅力向上のための環境整備等の経費を助成するもので,今月から申請受付を開始します。
また,このキャンペーンの一環として,中心商店街への来街者数の増加を図るため,8月から12月末までの間,中央公園地下駐車場の土日・祝日の無料開放を実施するとともに,今月中旬から12月下旬までの毎週日曜日には,中心商店街とイオン高知,卸団地の主要3地点を結ぶコースと,中心商店街を周遊するコースの2路線の周遊バスを運行いたします。
さらに,国のGoToトラベルキャンペーンと連動した観光誘客の効果的なイベントとして,四国では初開催となる全国的にも知名度の高い水中アート展覧会である「(仮称)アートアクアリウム展高知」を,観光のオフシーズンである本年12月から翌年2月までの間,オーテピア西敷地で開催し,主に四国内から観光客の誘客を図ってまいります。
このアートアクアリウム展につきましては,新型コロナウイルス感染拡大防止に向けたガイドラインに基づき,感染症対策を確実に講じた上で開催する予定ですので,中心商店街や観光協会とも連携を密にしながら準備を進めてまいります。
こうした集客効果の高いイベントを中心商店街で開催することにより,積極的な誘客を図り,観光消費額の向上や地元経済への波及効果が期待できますので,新型コロナウイルスの感染拡大の防止に向けた対策を的確に講じながら,一連の取組を着実に実施し,地域経済の再生につなげてまいります。
6 宿泊事業継続支援給付金について
次に,宿泊事業継続支援給付金について申し上げます。
先月に高知市旅館ホテル協同組合が行った調査では,回答のあった市内32施設の利用状況は,7月が対前年比マイナス41.2パーセント,8月がマイナス60.5パーセントとなっており,7月に行った前回調査と比較すると,約15から20ポイント近く回復してきています。
本市では,国のGoToトラベルキャンペーンに先立ち,独自の支援策として市内の旅館ホテルの宿泊料金が1人1泊当たり5,000円割引となる「お城下に泊まろうキャンペーン」を先行して実施いたしました。
このキャンペーンには予想を上回る約2万人の応募をいただき,当選した1万人のうち,既に割引クーポンを使用された方は,先月17日現在で 6,815人となっており,「こうした取組が需要喚起の一助になった」と宿泊事業者の皆様からも評価いただいております。
一方で,今月以降の予約状況は,対前年比で約75パーセントから80パーセント減と依然として非常に厳しい状況が続いているため,高知県が本年5月に策定した「高知県観光リカバリー戦略」に基づく取組とも連携しながら,国・県・市による重層的な支援により観光業界の早期復興を目指す必要があります。
新型コロナウイルス感染症の影響により,特に打撃を受けている宿泊事業者に対する本市独自の支援策として,1施設当たり最大2,500万円の給付を行う宿泊事業継続支援給付金を創設し,今月7日時点で,55件の支給が完了しており,総支給額は約5億2,500万円となっています。
観光業については,今後も厳しい状況が続くことが予想されますので,給付金の支給を精力的に進めるとともに,新型コロナウイルス感染予防対策の徹底と,観光需要の喚起による経済復興とのバランスを図りながら,観光業の早期復興を目指してまいります。
7 県市連携会議について
次に,先月31日に開催した県市連携会議について申し上げます。
今回の連携会議では,「新型コロナウイルス感染症への対応」,「災害対策」,「健康福祉の充実」,「少子化対策の充実・強化」のテーマについて,濱田省司高知県知事と具体的な協議を行いましたので,順次申し上げます。
まず,「新型コロナウイルス感染症への対応」につきましては,今後の感染拡大の波に備えて,県・市・関係機関との相互連携によるPCR検査体制の充実・強化に取り組むことといたしました。
落ち込んだ地域経済の再生に向けて,観光需要喚起策として,甚大な打撃を受けた観光業界の早期回復を目指し,国のGoToトラベルキャンペーン終了後も引き続き県と連携した誘客に取り組むこととしています。
さらに,影響が大きい農畜水産物については,地場産品の積極的な利用促進や消費拡大を図るため,学校給食における地産地消の取組を進めます。
移住・定住の促進に向けた取組では,昨年度の本市への移住実績は,県内最多の234組359人と目標値である200組を達成しているものの,新型コロナウイルス感染症の影響により,首都圏等での移住相談会や移住体験ツアーなど対面でのアプローチが困難になっているため,オンライン相談窓口の開設や,テレワークなどの勤務形態の変化に対応するサテライトオフィスを整備することなど,「新しい生活様式」に対応する取組を強化します。
行政サービスのデジタル化では,ウィズコロナ・アフターコロナの時代において,定型的業務の自動化を進めるRPAやウエブ会議の導入,テレワークの推進,行政手続のオンライン化など,デジタル化の推進を図るとともに,マイナンバーカードの普及促進についても県との協力体制で取り組むこととしています。
次に,「災害対策」では,南海トラフ地震などの大規模災害時における支援物資について,物資拠点となる春野運動公園等での対応について協力をお願いするとともに,受援態勢のさらなる強化に向けて連携して取り組むことといたしました。
また,災害時要配慮者対策として,各地域での取組を目指し,避難行動要支援者名簿の提供や,迅速な避難に必要となる個別計画の策定について,引き続き工夫しながら県市で積極的に取り組んでまいります。
次に,「健康福祉の充実」では,糖尿病性腎症患者の重症化予防として,かかりつけ医から専門医に確実につないでいくため,県や関係機関との連携促進や糖尿病予備群を対象とした保健指導の実施に対し,支援をお願いいたしました。
障がいのある方への支援として,「発達障がい」に対応する専門職の確保が課題であることから,県による専門職養成の取組を活用するほか,アセスメント力向上や保護者のニーズに応えるための体制強化について,県と連携して進めることとしています。
また,障がいのある方の就労支援として農福連携の推進について,農作業の見学会や体験会などによる農業と福祉分野のマッチングを引き続き進めるなど,さらなる政策間連携の事例の増加につなげる取組を進めます。
次に,「少子化対策の充実・強化」として,男性の育休取得について,制度のさらなる周知による取得率の向上に努めるとともに,待機児童対策として,利用定員の拡大や保育士等の人材確保などに関する協議を行いました。
男性の育休取得促進につきましては,厚生労働省において,休業前の手取り賃金の実質80パーセントの水準を支給する現行の「育休給付金」を100パーセントに引き上げる案などを軸に,出産直後に育児休暇を取りやすくする制度を創設する方向で検討が進められておりますので,国の動向を注視しながら,県市連携の下,取組を進めてまいります。
8 南海トラフ地震対策について
次に,南海トラフ地震対策について申し上げます。
本市では,市民の皆様に南海トラフ地震などの自然災害に対する理解を深めてもらい,一人ひとりの備えに対する意識を高めるため,減災に関する周知啓発に取り組んでいます。
この取組の一環として,平成29年度に県が南海トラフ地震等の啓発冊子「南海トラフ地震に備えちょき」を作成し,本市が市内の全世帯への配布を行ったところです。
その後,防災に関する制度の見直しがあり,平成30年度から「南海トラフ地震臨時情報」の運用が開始されるとともに,令和元年度からは,市民の皆様が災害発生の危険度を直感的に理解し,的確な避難行動を取れるようにするため,避難情報や防災気象情報等の防災情報を「5段階の警戒レベル」を用いて伝える制度が開始されるなど,命を守るための新たな制度が導入されています。
高知県では,こうした防災に関する新たな情報を盛り込んだ改訂版の作成を進めており,本年11月末を目途に新たな改訂版が完成する予定です。
改訂版の「南海トラフ地震に備えちょき」では,避難所での新型コロナウイルス感染症をはじめとする感染症対策等の記載内容が拡充されますので,本市としてもこの冊子を有効に活用し,南海トラフ地震発生時の被害をできるだけ軽減するための自助の取組を,市民の皆様に一層進めていただきたいと考えております。
今議会では,啓発冊子「南海トラフ地震に備えちょき」の配送に係る予算を計上しておりますので,県における改訂作業が完了しましたら,市内の全世帯へ改訂版冊子をお届けいたします。
次に,災害時における要配慮者支援対策について申し上げます。
本市では,高齢者や障がいのある方々など,配慮を要する方々が安全に避難するための個別計画の作成などの取組を進めています。
これまでの取組では,「障害や病気に関する知識がなく不安」などといった課題が地域の方々から多く出されていますので,昨年8月から関係部局に高知市社会福祉協議会を加えた庁内プロジェクトチームを設置し,個別計画の作成を推進するための方策などについて検討を重ね,本年3月に報告書を取りまとめ,6月議会の総務常任委員会でご報告したところです。
個別計画の作成を推進するための具体的な取組として,本年度から個別計画作成のモデル事業として,津波の到来時間が早い沿岸地域の中で,「御畳瀬,春野,十津,種崎」の各地区において取組を始めています。
このモデル地区での取組では,庁内関係課で連携強化を図り,日頃から要支援者本人とつながりがあるケアマネジャーなど,介護・福祉に関わる事業者の皆様とも連携し,専門的助言や個別訪問への同行にご協力をいただくなど,これまでとは違ったアプローチで個別計画作成を進めています。
災害時における要配慮者支援対策は重要課題であり,今後も個別計画の作成を精力的に進めるとともに,民生委員や自主防災組織などの地域の皆様との連携を強めながら取組を進めてまいります。
9 観光振興の取組について
次に,観光振興の取組について申し上げます。
昭和29年から市民の健康を祈願する祭りとしてスタートしたよさこい祭りが,今年は新型コロナウイルス感染症の影響により初めて中止となり,よさこい祭りを毎年楽しみにしていた市民の皆様や観光客の方々,そして踊り子の皆様も残念な思いをされていることと思います。
こうした状況の中,祭り本番となるはずであった8月10日・11日の前後には,よさこい祭りに関係する皆様が様々な取組をしていただき,感謝を申し上げます。
先月8日には,踊り子やスタッフ等の皆様が,よさこいの衣装やチームTシャツなどを身につけて,競演場や演舞場周辺で清掃ボランティアを行ったほか,先月9日・12日には,よさこい祭り前夜祭・後夜祭で総踊りを運営している「みんなでよさこいプロジェクト」の皆様が,インターネットで事前に募集したよさこい動画を編集し,動画配信による総踊りを開催いたしました。
また,先月10日・11日には,よさこい祭りで全国的に活躍している振付師の皆様と,よさこいアンバサダーの8人による「よさこい8(エイト)」の皆様が振付した「世界総踊り」を一斉に踊る「世界へつなぐよさこい8(エイト)」の動画配信が行われました。
いずれの取組にも内外から多くの人々が参加され,よさこいを愛する皆様が,初の中止となったよさこい祭りを懸命に盛り上げるため,精力的に取り組まれたことに対し敬意を表します。
ウィズコロナ時代におけるよさこい祭りの開催については,練習時から本番までのソーシャルディスタンスの取り方や,観覧客の皆様の密の状態を解消することなど,多くの課題を解決していく必要がありますので,今後策定される全国の様々な祭りのガイドラインなども参考にしながら,よさこい祭振興会等の関係団体とも協議を行い,来年の開催に向けて精力的に準備を進めてまいります。
10 新図書館等複合施設オーテピアについて
次に,新図書館等複合施設オーテピアについて申し上げます。
平成30年7月24日にオープンした新図書館等複合施設オーテピアは,開館以来,幅広い世代の人々が集う交流の場になるとともに,情報発信や知の拠点として,多くの市民・県民の皆様にご利用いただき感謝申し上げます。
開館から2年が経過した先月14日,オーテピアの来館者数が200万人を突破するとともに,同28日には高知みらい科学館が来館者数50万人を達成し,集客施設としても中心市街地の活性化に大きく寄与していることに感謝しております。
オーテピアは,今年の3月から5月にかけ,新型コロナウイルスの影響により 40日ほど臨時休館いたしましたが,休館中は子どもたちが自宅で楽しく学べるよう,科学館のミニサイエンスショーなどの動画をインターネット配信するとともに,現在も「新型コロナウイルスに関する特別展」の開催やパンフレットを作成し配布するなど,「科学でわかりやすく伝える」活動を積極的に行っています。
また,今議会においては図書館情報システムを改修し,インターネットサービスの利用手続をオンライン申請によってできる機能を追加する経費を県市折半で計上しており,今後とも,インターネットを活用した非来館型サービスの拡充など,ウィズコロナ時代の図書館サービスのさらなる充実を目指してまいります。
11 人権施策推進に関する取組について
次に,人権施策推進に関する取組について申し上げます。
本市では,2011高知市総合計画の重点課題として,「市民一人ひとりの人権が尊重され,自由で平等な生活を営むことができる社会の実現」を掲げ,昨年7月に「高知市人権尊重のまちづくり条例」を施行し,条例の規定に基づき,「誰一人取り残さない社会の実現を目指すSDGsの考え方」を踏まえ,様々な人権課題の解決に向けた取組を進めています。
この取組の一つとして,本市の人権に関する諸施策の基本的な方向性を盛り込み,令和3年度から5年間を計画期間とする「高知市人権施策推進基本計画」の策定を進めています。
基本計画の策定に当たり,本年6月から7月にかけ,人権に関する市民意識調査を実施し,約1,100人の市民の皆様から貴重なご意見をいただいており,感謝申し上げます。
市民の皆様からいただきました貴重なご意見は,今月末を目途に最終報告書として取りまとめているところであり,今後,議会の皆様や「高知市人権尊重のまちづくり審議会」委員の皆様のご意見なども踏まえ,基本計画に反映してまいります。
また,この基本計画の策定と併せ,「性の多様性」に関する理解を深め,性的少数者に限らず,すべての人の性的指向・性自認(SOGI)に配慮していくための取組を進めております。
この件に関しては昨年12月議会におきまして,「高知市におけるパートナーシップの宣誓制度創設に関する請願」が採択され,本年2月に制度創設に関するご要望をNPO団体レインボー高知からお受けしました。
今後の具体的な取組として,本年11月には,本市が「多様な性の在り方を尊重し,理解の普及と性的少数者の支援に積極的に取り組むまちである」ことを宣言する「(仮称)高知市にじいろのまち宣言」を行い,宣言に基づく様々な取組を推進してまいります。
また,本年12月を目途に,「SOGIに関する職員ガイドライン」を策定し,来年1月からは職員の理解を深めるための研修を実施するとともに,来年2月から高知市パートナーシップ制度の運用開始を予定しています。
これら一連の取組につきましては,今議会における総務常任委員会においてご説明を申し上げ,ご意見をいただきながら取組を進めてまいりますので,よろしくお願いいたします。
12 不起訴処分を受けた決裁文書の取扱に関する総括
次に,都市計画マスタープランに係る決裁文書の取扱いについて,検察審査会から不起訴不当の議決を受け,検察当局による再捜査が行われておりましたが,本年6月17日付けで改めて不起訴処分の最終判断が出ましたので,本件について申し上げます。
本件の告発内容は,「都市計画マスタープラン策定委員会で審議されていない道の駅構想を事務局において追記し,マスタープラン策定時には存在していなかった決裁文書を,当時から作成されていたかのように見せかけるべく,内容虚偽の決裁を作成した」ものとした,平成28年9月21日付けの刑事告発を受けて,刑法156条虚偽公文書作成罪の容疑で警察・検察が捜査を行っていたものです。
当該決裁文書につきましては,都市計画マスタープランの策定に係る最終的な意思決定を記録する決裁文書を作成していなかったため,マスタープラン策定委員会からの最終報告を受けて,私がその最終報告の内容について承認した平成26年3月7日を意思決定日として,作成したものであります。
当時の文書管理規程には,事後に決裁文書を作成することに当たっての記載方式が定められていなかったことから,事後決裁に至った当該理由を記載することなく,決裁文書に当該報告を承認した意思決定の日を記入し,当時の担当者が押印したことにより,あたかもマスタープラン策定当時に起案した文書であるかのような誤解を招き,市民の皆様や議会の皆様に対し公文書の信用性に疑念を抱かせる結果となってしまったことは,組織として深く反省しております。
今回の告発事例の反省を踏まえて,平成29年4月に文書法制課を新設し,高知市文書管理規程の改正を行い,事後決裁となった場合にはその理由を明らかにすることなど,文書の作成事務の適正化を図り,全庁的に周知徹底いたしました。
今般の事案を改善すべき重要な教訓といたしまして,今後とも意思決定過程における文書主義の徹底を図ってまいります。
13 補正予算・予算外議案について
以下,議案についてご説明を申し上げます。
今回提出しました議案は,予算議案6件,条例議案3件,その他議案10件です。
まず,今回の補正予算では,平成14年に開館した文化プラザかるぽーとにおいて,経年劣化により大規模改修が必要となっていることから,長寿命化整備を設計施工一括方式で行うため,令和2年度から5年度までの4か年で総額40億円の継続費を設定するほか,国費の内示等に伴い,中須賀土地区画整理事業の移転補償費や街路等築造工事費を計上するとともに,申請件数の増加に対応するため,倒壊の危険性のある老朽住宅の除却に対する助成費を増額するものです。
なお,かるぽーとの今後の改修事業費につきましては,令和元年度に実施した「劣化度調査及び整備基本計画策定業務報告書」を基に策定した長寿命化整備計画では,令和6年度以降の19年間で約75億円という多額の経費が試算されていますので,外部有識者等を含めた第三者からのセカンドオピニオン等を聴取し,総事業費の抑制に向けて整備内容を精査するとともに,議会の皆様ともご相談しながら検討してまいります。
特別会計の補正では,まず,国民健康保険事業で本年度から拡充された国保ヘルスアップ事業として,被保険者を対象とする特定健診結果説明会等の経費などを計上したほか,収益事業では来年度からの競輪開催業務等の包括委託を新たに契約するための債務負担行為の設定などを行うものです。
また,水道事業会計及び公共下水道事業会計では,上下水道局本庁舎の移転整備に伴い必要となる基本・実施設計や地質調査などの経費について補正いたします。
以上,申し上げました内容によりまして,提案しております今回の補正規模は,
一般会計 1億3,100万円の増額
特別会計 9,364万6千円の増額
水道事業会計 6億6,900万円の減額
公共下水道事業会計 1,760万円の増額
であり,補正後の予算規模は,全会計の純計で3,029億8,375万6千円となり,この補正予算の財源として,特定財源では国庫支出金や県支出金等を充当し,一般財源では繰越金を充当いたしました。
次に,予算外議案について申し上げます。
条例議案は,法令の改正に伴うものなど3件です。
このうち,市第110号高知市印鑑条例の一部を改正する条例議案につきましては,住民基本台帳に記録されている旧姓等で表されている印鑑を登録することができるようにするとともに,規定の整備を行うものです。
その他の議案は,秦中央保育園新築工事及び秦ふれあいセンター改修工事の請負契約締結議案など10件となっており,このうち決算の認定議案等につきましては,この後,上下水道事業管理者及び財務部長から概要の説明を申し上げます。
報告6件につきましては,継続費の精算報告や財政健全化法関連数値の報告など,いずれも法令所定の手続によりご報告するものです。
以上,提出をいたしました議案について,概要の説明を申し上げましたが,よろしくご審議の上,適切なご決定をお願いいたします。