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第485回高知市議会定例会市長説明要旨(令和3年9月9日)
第485回高知市議会定例会市長説明要旨
令和3年9月9日
第485回高知市議会定例会にご出席をいただき,まことにありがとうございます。
議案の説明に先立ち,当面する市政課題に関連して,ご報告と考え方を申し上げ,ご理解を賜りたいと存じます。
1 新型コロナウイルス対策
まず最初に,猛威を振るっております新型コロナウイルス感染症により,県内でお亡くなりになられました31名の方々に対しまして,衷心よりご冥福をお祈りいたしますとともに,罹患されました患者の皆様やご家族に対しまして,心よりお見舞いを申し上げます。
感染力が非常に強い変異型ウイルスの「デルタ株」により,全国各地で爆発的な感染拡大が続いており,今月12日までを対象期間として,21都道府県に緊急事態宣言が発出されるとともに,本県を含みます12県に対し「まん延防止等重点措置」が適用されていますので,本日以降の国の判断を注視してまいります。
本市におきましても,夏休みなどを利用した帰省や旅行等で他県との人々の往来が活発になったことなどにより,8月中旬以降,感染が急速に拡大し,今月7日時点での累計感染者数は,県内で3,822名,市内では2,737名となっています。
感染拡大の現況を踏まえて,高知県では,先月26日に開催された「新型コロナウイルス感染症対策本部会議」において,県内感染者数の約8割を占める高知市に限定して,まん延防止等重点措置を適用することとし,市内の飲食店などに営業時間の短縮や,酒類提供の終日自粛を求めるとともに,県内全域に対し不要不急の外出を控えるよう要請いたしました。
現在のところ,依然として感染者数の増加には歯止めがかからず,軽症者用の宿泊療養施設が不足し,自宅療養者数が増加する状況にありましたので,先月24日,県市が連携して夜間休日における症状の急変等に対応する専用相談窓口を開設するとともに,パルスオキシメーターの貸与や食品等の自宅配送を行うなど,自宅療養者の方々に対する医療観察と生活支援に万全の体制を取りながら,まん延防止対策に全庁を挙げて取り組んでいます。
昼夜にわたり献身的に活躍しておられます医療関係者の方々や保健所職員の皆様には,常に緊張を強いられる職務に懸命に従事していただいていることに深く感謝を申し上げます。
新型コロナウイルス感染症への対応では,これまで積極的な疫学調査や自宅療養者の健康観察,重症者の入院調整など多岐にわたる業務に対し,人員体制の強化を図ってまいりましたが,感染拡大に伴う在宅療養の支援などの負担増により保健所の業務は逼迫しております。
常に最前線の現場で,日夜対応を余儀なくされている保健師をはじめとするマンパワーも限界寸前にあることから,他部局を含む78人の兼務発令を行いながら全庁で対応しておりますが,感染者数を抑制するためには,ワクチン接種をさらに加速化させていくことが重要です。
本市でのワクチン接種につきましては,各医療機関をはじめとする関係機関からの全面的なご協力を得て,現在120か所の医療機関でファイザー社のワクチンを使った個別接種を進めています。
7月末には希望される高齢者の皆様への2回目の接種がほぼ完了したほか,8月7日からは南別館において毎週土曜・日曜日にモデルナ社のワクチンによる集団接種を行うなど,希望する皆様ができるだけ早く接種を受けられるように,関係機関と連携し,ワクチン接種の取組を全力で進めています。
また,接種券の発送につきましては,予約状況とワクチン供給量とのバランスを注視しながら,年齢区分毎に順次発送を行い,8月27日には20歳代の約29,000人へ接種券を送付し,ワクチン接種の対象となるすべての年代の方々に接種券を届けることができました。
今後は,若年層をはじめとする多くの皆様に,いかにワクチンを接種していただけるかが課題となりますので,ワクチン量を確実に確保するとともに,接種による感染抑制や,重症化リスク低減などのワクチン効果を市民の皆様に正しく理解してもらえるよう周知を図り,ワクチン接種を推進してまいります。
次に,「新型コロナウイルス感染症対策短期継続融資制度」の創設について申し上げます。
この融資制度は,長引く新型コロナウイルス感染症の影響により,市内事業者の売上回復の目処が立たない中で,国や県のコロナ対策融資の元本返済が令和5年から本格的に始まり,資金繰りの一層の逼迫が強く懸念されることから,本市独自の制度として実施するものであります。
具体的には,事業者の皆様が,融資限度額1千万円の1年間の短期融資を最長で5年間継続して運転資金などに利用できるものであり,融資を受ける際の信用保証料に対し最大で1.1パーセントまでを,また利子については上限0.5パーセントまでを補助するため,令和4年度から5年間にわたり財政支援を行うための財源として,新たに基金を造成するものであります。
併せまして,この制度の融資期間中は,高知県信用保証協会の協力の下,経営状況に応じた専門家の派遣や,経営計画の策定等のサポートを行うなど,事業者の皆様の経営安定化に向けた側面的な支援を実施していただき,厳しい経営環境に置かれている事業者の皆様の事業継続に向けた支援を強化いたします。
2 国政・経済の動向
次に,国政の動向と我が国の経済状況について申し上げます。
先月26日に公表された月例経済報告では,「景気は持ち直しの動きが続いているものの,一部で弱さが増している」とされ,緊急事態宣言や「まん延防止等重点措置」の対象地域が拡大していることなどを踏まえ,今後の先行きについては,「ワクチン接種を促進する中で,持ち直しの動きが続くことが期待されるが,感染拡大による下振れリスクの高まりに十分注意する必要がある」との認識が示されています。
こうした経済状況の下,7月7日の閣議で了解された「令和4年度予算概算要求基準」では,本年度の「骨太の方針」を踏まえ,「新経済・財政再生計画」の枠組みの下,手を緩めることなく歳出改革に取り組む考え方が示されています。
年々増加を続ける社会保障関係費については,「実質的な増加を高齢化による増加分に相当する伸びにおさめる」方針の下,令和4年度の年金・医療等に係る経費については,高齢化等に伴う自然増分として,3年度当初予算比較で「6,600億円を加算した額の範囲内」で予算要求することとしています。
また,地方交付税交付金等については,「新経済・財政再生計画」との整合性に留意しつつ要求することとされており,この方針を踏まえ,先月31日に総務省が発表した来年度の地方財政収支の仮試算では,地方の安定的な財政運営に必要な一般財源総額については,本年度の地方財政計画の水準を下回らないよう実質的に同水準を確保するとして,交付団体ベースでの一般財源総額は,対前年度比で0.1兆円の増となる62.1兆円を見込んでいます。
こうした状況の中,今月3日,菅義偉(よしひで)総裁は次期自民党総裁選挙に立候補せず,今月末までの総裁任期をもって退任する意向を表明されたところですが,突然の総裁辞意発言に大変驚きました。
昨年9月に第99代内閣総理大臣に就任されて以来,連日,新型コロナウイルス感染症との闘いが続くなど,難しい局面の下でご苦労が絶えなかったものと推察いたしますが,これまでの間,全国市長会等への政策支援にご尽力をいただいたことに感謝を申し上げ,立場が変わられましても,新型コロナウイルス感染症対策や地域経済の活性化等に向けてご支援をいただきたいと考えております。
今後,自民党総裁選挙の告示が今月17日に行われ,同29日に実施される選挙によりまして自民党新総裁が選出された後,臨時国会での首班指名を経て,新しい内閣が発足する運びとなります。
さらには,現在の衆議院議員の任期が10月21日までとなっているため,来月以降に行われる衆議院議員総選挙の実施に伴いまして,各政党からは,コロナ対策や経済対策などの様々な政策発表もあると思われますので,今後の政局の動向を市議会の皆様とともに,注視してまいります。
3 東京2020オリンピック・パラリンピック
次に,東京2020オリンピック・パラリンピックについて申し上げます。
世界中の国々から集まったオリンピアンやパラリンピアンの選手達が熱戦を繰り広げた東京2020オリンピック・パラリンピックが,今月5日閉会いたしました。
今大会は,ほとんどの競技が無観客で行われるという異例の開催となりましたが,本市出身の3名のアスリートが日頃の練習の成果を存分に発揮し,ご活躍されました。
東京オリンピックでは,女子シンクロ飛板飛び込みの日本代表として,宮本葉月(はづき)選手が出場し,見事5位入賞を果たされ,帰郷後の8月11日には高知市役所を訪問され,夢の舞台であったオリンピックでの演技や地元からの応援への感謝などについて,丁重なご報告をいただきました。
また,パラリンピックでは,池透(ゆき)暢(のぶ)選手が車いすラグビーの日本代表キャプテンとして大活躍され,見事銅メダルに輝き,リオ大会での銅メダルに続き,2大会連続でのメダルを獲得されました。
さらに,藤原(ふじはら)大輔選手がパラリンピック東京大会で初めて正式種目となりましたバドミントンの日本代表として出場し,混合ダブルスで銅メダルを獲得されるとともに,シングルスでも4位に入賞するという素晴らしい成績を収められました。
本市出身選手の活躍は,我々市民の誇りであり,コロナ禍が続く中で,多くの人々に希望や感動を与えていただき,深く感謝を申し上げます。
また,今大会の開催に先立ちまして,本市では7月12日から25日までの間,オリンピックの事前合宿としてチェコ共和国の水泳選手団14名の受入れを行いました。
チェコ共和国代表選手の皆さんは,自由形やリレー等の各種目に出場され,女子200メートル自由形では,バルボア・セマノバ選手が6位に入賞されています。
事前合宿の受入れに当たりまして,感染防止対策を徹底する観点から,練習風景の見学をはじめとする交流活動はかないませんでしたが,土佐山学舎や青柳中学校,介良中学校の生徒さんたちの手作りによるウェルカムボードやビデオレターの製作などにより,選手団の皆さんを温かく歓迎するとともに,練習に専念してもらえる環境を提供することができましたので,これを契機に,チェコ共和国との交流がさらに深まることを期待します。
4 南海トラフ地震対策
次に,南海トラフ地震対策について申し上げます。
南海トラフ地震などの大規模災害時には,トイレ環境が十分に機能していない避難所等において,排せつを我慢し水分摂取を控えることにより,血栓症等の命に関わる健康被害の発生が懸念されることから,避難所におけるトイレ確保の対策を着実に進めていく必要があります。
本市が備蓄する携帯トイレ・簡易トイレは,L1想定における避難者に対して約3日分を確保することとしていますが,4日目以降のトイレ対策として,上下水道等の復旧や仮設トイレを供給するまでの間,行政側も被災することから一定の時間を要するため,発災後1か月程度はトイレが不足することが想定されます。
そのため,令和3年度から令和7年度までの5か年で,1,000人程度の避難者の方々が約2週間使用でき,少ない水量で運用可能なマンホールトイレの整備を,L1浸水区域外の避難所39か所において進めています。
併せて,本年度には,清潔でプライバシーも確保されたトイレを避難所などに供給できるトイレトレーラーを「ふるさと納税型クラウドファンディング」を活用し配備する予定であり,トイレトレーラーを所有する各自治体との相互支援ネットワークによる受援体制を構築することにより,発災時におけるトイレ供給の強化を図り,良好な避難所環境の確保に努め,災害関連死ゼロを目指してまいります。
5 デジタル化の推進
次に,行政手続のオンライン化等のデジタル化推進の取組について申し上げます。
国の「自治体DX推進計画」に基づき,本市におきましても「高知市DX推進本部」を中心に,デジタル技術等を活用した行政サービスの利便性向上や業務の効率化に向け,全庁一丸となって戦略的に取り組んでいます。
行政手続のオンライン化を進めていくためには,既存の行政手続を前提とするのではなく,業務内容や業務プロセス等を抜本的に見直し,再構築する,いわゆるビジネス・プロセス・リエンジニアリング(BPR)による業務の進め方に関する新しいルール作りが重要になります。
そのため,特に優先的に取り組む分野横断的テーマとして,「押印廃止」と「住民窓口改善」を掲げ,関係部署の中堅・若手職員で構成する2つのプロジェクトチームを設置し,具体的な検討を重ねています。
ポストコロナ社会を見据えたデジタルガバメントの実現のためには,書面主義・押印原則・対面主義からの脱却が喫緊の課題であり,特に「押印廃止」が市民の皆様の行政手続の負担軽減や,業務のオンライン化を進めるために必須となりますので,本市の行政手続全般にわたる押印等について原則見直すこととしています。
この見直しに当たり,国が定める基準を参考に,押印が必要とされている根拠ごとに行政手続を分類するとともに,押印の種類や手続内容,目的等を確認しながら,真に押印が必要でないものや,押印を求める目的が他の代替手段により達成可能な手続等については押印の廃止を進め,行政手続における利便性の向上を図ります。
併せて,「住民窓口改善」のプロジェクトチームでは,デジタル技術を活用した窓口部門における「密」の回避,待ち時間の短縮などに向けた具体的な検討を重ねており,市民サービスの向上を図るとともに,市役所内部の事務効率化を進めてまいります。
6 こうち志議会
次に,こうち志(こころざし)議会について申し上げます。
先月25日に開催された「こうち志議会」は,高知市立中学校・義務教育学校及び高知商業高校の総勢23名の生徒の皆さんに,議員,議長及び副議長を務めていただきました。
こうち志議会は今回で4回目となり,本年度は新議場での初めての開催になる予定でしたが,新型コロナウイルスの感染者数が急増したことなどから,初めて,議場と各学校をつなぐオンラインでの開催となりました。
生徒の皆さんからは,学校生活のみならず,新型コロナウイルス感染症対策,防災対策,交通安全,ジェンダー問題,地域振興といった様々な課題や,高知市の人口減少問題や高知の木材を活かした「アップサイクル」の仕組みの構築など,幅広い分野に関する合計21問のご質問やご提言をいただきました。
その後,生徒の皆さんからの提言内容を取りまとめ作成された「こうち志議会宣言」の結びでは,「高知を創っていくチームの一員としての自覚を持ち,まちづくりに参加していきます。」と力強く宣言され,生徒の皆さんが将来の高知市のまちづくりを進めていただくプレイヤーとして期待が持てる内容となり,感謝を申し上げます。
今後とも,子ども達に市政に対する関心を持っていただき,積極的に児童生徒達が参画する取組として,こうち志議会を継続してまいります。
7 観光振興
次に,観光振興について申し上げます。
本市を代表する観光地である桂浜公園は,施設整備や遊歩道などのハード整備から既に40年余りが経過し,施設の老朽化や,近年の団体旅行から個人旅行への旅行形態の変化などにより,観光客入込数が年々減少しています。
このため,本市では,平成27年度に桂浜公園整備基本構想を,平成28年度には基本計画を策定し,年間観光客入込数100万人を目指すこととし,令和4年度からは,公園全体を包括的に管理運営する指定管理者制度を導入し,既存商業施設を民間活力により,リノベーションしていただくための事業者の選定を進めています。
この指定管理業務では,現在,個々に実施されています園内の維持管理業務や商業施設の運営,駐車場の管理運営を一体的に指定管理者に委託することにより,スケールメリットを活かした効率的な施設の管理運営が期待されるほか,民間事業者が持つノウハウを活かした事業計画が提案され,桂浜公園の活性化につなげていくことを期待しています。
また,指定管理者制度の導入に併せ,園内に立地する桂浜水族館や県立坂本龍馬記念館などを含めた関係団体の皆様と,桂浜の魅力向上について連携を図るためのプラットフォームとして,エリアマネジメント組織を結成することとしており,関係者の皆様がWin-Winの関係で連携することにより,桂浜の魅力をさらに高め,全国に向けた情報発信を行っていくこととしております。
桂浜公園は,多くの観光客の方々が訪れる県内有数の観光地であり,再整備を機に,多くの市民・県民の皆様にも訪れていただける公園にしてまいりたいと考えておりますので,新たに選定される指定管理者や園内の関係者の皆様とともに,活性化に向けた取組を積極的に進めてまいります。
8 国民宿舎運営事業
次に,国民宿舎桂浜荘について申し上げます。
国民宿舎桂浜荘は,勤労者等の健康増進と観光客への低廉な宿泊環境を提供するために,昭和39年に設置して以来,半世紀以上にわたり運営を行い,本市観光に大きく寄与してきた施設であります。
平成7年度に施設をリニューアルオープンさせるとともに,平成18年度からは,指定管理者制度を導入し運営を行っておりますが,施設のリニューアルを実施して以降,経年による施設の老朽化や旅行ニーズの多様化などにより,利用者は減少を続けてまいりました。
特に,令和2年3月からは新型コロナウイルス感染症の影響により,利用者が激減したため,指定管理者納付金の減免や支援金を支出することにより,事業継続を図ってまいりましたが,令和3年度に入りましても,新型コロナウイルス感染症の収束の見通しが立たないため,苦渋の決断でありましたが,本年9月末をもって桂浜荘を休館することといたしました。
公社の職員の皆様には,長年にわたり桂浜荘の運営に携わっていただきましたことに深く感謝を申し上げます。
指定管理者である一般財団法人高知市桂浜公園観光開発公社とは,施設の休館に伴い,再就職を余儀なくされる従業員の皆様への支援として,本市の就労支援員による就職相談や,同公社が従業員に対して支援金を支払うことなどについて協議を行いまして,今月末での休館についてご理解をいただいております。
来月以降,桂浜荘は休館した状態が続くこととなりますので,今後の桂浜荘の在り方につきまして,現況調査や民間事業者へのサウンディングなどを行いつつ,他都市の事例なども参考に調査研究を行いながら,市議会の皆様にも適宜ご報告し,ご意見を賜り検討を進めてまいります。
9 木村会館耐震補強整備事業
次に,木村会館耐震補強整備事業について申し上げます。
旭地区の重要な地域活動の拠点である木村会館は,老人福祉センター,旭市民図書館及び旭文化センターの機能を有する複合施設として,コロナ禍以前の平均で,年間約10万人の幅広い世代の皆様が利用されており,昭和12年の開館当時から長い歴史を通じて,地域の皆さんから深い愛着と親しみを持たれている拠点であります。
昭和55年の改築以降,40年余りが経過し,施設の老朽化が進み,令和元年度に実施した耐震診断ではIs値が基準値を大きく下回るなど,建物の耐震性が課題となっておりました。
このため,地域の皆さんが引き続き,快適かつ安全・安心して施設を利用することができるように,耐震補強及び大規模改修工事を併せて行うこととし,今議会において整備事業費等について総額5億1千万円の継続費をお諮りするものです。
新しく生まれ変わる木村会館は,本市が目指す「高知市型共生社会」を見据え,様々な世代や地域の各種団体が集う地域活動などに活用していただくためのスペースとして,「市民活動支援室」や「ふれあいサロン」を設けるなど,旭地区のコミュニティ機能の拠点としての整備を目指します。
併せて,ニーズが高い図書館機能と生涯学習機能を持つ複合施設として再整備するほか,長期浸水エリア外にある立地条件を踏まえ,南海トラフ地震などの大規模災害における重要な避難所としての機能を強化いたします。
旭地区の皆さんには,平成23年度に木村会館改築のご要望をいただいてから,長年にわたりお待ちいただいておりますので,予算をお認めいただきましたら,来年1月中に工事に着工し,令和5年6月頃の開館を目指してまいります。
なお,工事期間中の代替施設につきましては,イオン高知旭店2階部分の一部をお借りいたしまして,一定のサービスを提供してまいりますので,利用者の皆様にはご不便をおかけいたしますが,ご理解を賜りますようお願いいたします。
10 学力向上対策
次に,学力向上対策について申し上げます。
本市では,平成29年度から4年間の「学力向上アクティブ・プラン」による成果等を総括し,本年度から新たな4年間の学力向上対策となる「アクティブ・プラン第2期」に基づき,コロナ禍において学習環境が制限される中で,子どもたち一人ひとりの学びの保障に向けて,全力で取組を進めております。
この学力向上対策に関する取組の検証を目的に実施してきた「全国学力・学習状況調査」は,昨年度は新型コロナウイルス感染拡大の影響により中止となりましたが,今年度は5月に全国で実施され,調査結果の概要が先月31日に文部科学省から公表されました。
今回の公表結果では,小学校が国語・算数とも全国平均を上回り,全国レベルを維持するとともに,ここ数年続いていた国語の下降傾向に改善が見られるなど,これまでの学校の取組成果が現れており,嬉しく思います。
中学校については,調査実施以降,改善傾向が続いているものの,国語・数学とも全国平均を下回る結果となっており,依然として課題があると認識しております。
これまで,学力向上推進室を中心に組織的な授業改善や,教員の指導力向上に向けた訪問指導を活用し,積極的に課題改善に取り組む学校が増えてきており,学校毎では全国平均を上回る成果を挙げている好事例も見受けられますので,今後は成果が見られる学校の取組を分析し,横展開を図りながら,子どもたち一人ひとりの学びを大切にした学力向上対策を推進してまいります。
11 補正予算・予算外議案
以下,議案についてご説明を申し上げます。
今回提出しました議案は,予算議案9件,条例議案9件,その他議案12件です。
今回の補正予算では,新型コロナウイルスの感染者数が急増していることから,PCR検査費用や入院医療費に係る公費負担分を大幅に増額するとともに,国費の内示等に伴い,中須賀土地区画整理事業の移転補償費等や市営住宅の修繕工事費等を補正するものです。
このほか,新型コロナウイルスの影響により,厳しい経営環境に置かれている中小企業等の支援に係る予算などを計上していますので,その主な内容についてご説明いたします。
まず,「団体旅行客誘致促進給付金」について申し上げます。
新型コロナウイルス感染症の影響の長期化により,観光業は大変な打撃を受けており,特に団体旅行については需要が大きく減少した状況が続いているため,団体旅行客の受入れを中心に経営を行っている市内の旅館ホテルや,宴会などの付帯サービスの関連事業者の経営は,極めて厳しい状況にあります。
このため,市内で宿泊を伴う募集型企画旅行を催行するエージェントなどの事業者に対し,1名の送客につき,旅行商品の割引費用として4,000円,パンフレット等の広告宣伝費用や事務費として1,000円,合わせて5,000円を給付する団体旅行客誘致促進給付金を創設することにより,落ち込んだ団体旅行の需要回復につなげていきたいと考えています。
事業の実施期間としては,新型コロナウイルス感染症の収束の傾向を見ながら,本年12月から来年2月に催行されるツアーを対象に検討しており,商品造成やパンフレットなどの広報物の作成に一定の期間を要することから,県域をまたぐ旅行が再開した際に,いち早く需要を回復させることができるように準備を進めてまいりますので,ご理解をお願いいたします。
なお,今議会にお諮りするべく準備してまいりました地域経済の需要喚起策につきましては,直前になりまして新型コロナウイルスの「まん延防止等重点措置」が高知市に適用されたことを踏まえ,今議会での提案を見送りましたので,来月前半に市議会臨時会の開催をお願いし,改めて関連補正予算をお諮りしたいと考えていますので,よろしくお願いいたします。
次に,「消防指令システム共同運用整備事業」について申し上げます。
現在使用している消防指令システムは,平成22年の総合あんしんセンター移転時に更新してから既に10年以上が経過し,老朽化が進み,保守期間が終了する機器も増えてきています。
そのため,消防指令システムの更新時期が近く,市域が隣接し,消防救急デジタル無線システムにおいて連携実績のある土佐市との間で,消防指令システム及び無線設備を共同で整備・運用していくこととし,本年1月には,高知県内で初めての広域連携の取組となる「高知市・土佐市消防指令業務共同運用協議会」を設立し,具体的な協議を詰めてまいりました。
今般のシステム更新により,最新鋭の機器が導入されることになりますので,通報受信から出動までの時間短縮や南海トラフ地震等の大規模災害時における,迅速かつ的確な対応が可能となります。
新しい消防指令システムにつきましては,令和5年11月からの運用開始を目指しており,整備に約1年5か月を要しますことから,本年度中に契約を締結するために必要となる債務負担行為を設定するものです。
特別会計の補正では,まず,国民健康保険事業及び介護保険事業において,新型コロナウイルスの影響により,減収となった被保険者等に対する保険料減免措置に伴う歳入組替のほか,収益事業では,巣ごもり需要による車券売上の増加に連動する払戻金等や施設等整備基金積立金の増額などを行うものです。
また,水道事業会計では,上下水道局本庁舎の移転整備に伴う建築工事費等について,令和3年度から4年度までの2か年で総額22億5千万円の継続費を設定いたします。
以上,申し上げました内容によりまして,提案しております今回の補正規模は,
一般会計 24億4,000万円の増額
特別会計 62億8,970万1千円の増額
水道事業会計 700 万円の増額
公共下水道事業会計 280 万円の増額
であり,補正後の予算規模は,全会計の純計で2,755億3,651万円となり,この補正予算の財源として,特定財源では国庫支出金や市債等を充当し,一般財源では普通交付税を充当いたしました。
次に,予算外議案について申し上げます。
条例議案は,法令の改正に伴うものなど9件です。
このうち,市第114号高知市手数料並びに延滞金条例の一部を改正する条例議案につきましては,コロナ禍における非接触型の窓口業務を推進するため,来年3月から開始いたします住民票の写しや印鑑登録証明書のコンビニ交付に伴い,利用者の皆様にご負担いただきます手数料等を新設するものです。
その他の議案は,国民宿舎桂浜荘の指定期間を令和7年3月31日から本年9月30日に変更する指定管理者の指定の一部変更議案など12件となっており,このうち決算の認定議案等につきましては,この後,上下水道事業管理者及び財務部長から概要の説明を申し上げます。
報告8件につきましては,継続費の精算報告や財政健全化法関連数値の報告など,いずれも法令所定の手続によりご報告するものです。
以上,提出いたしました議案について,概要の説明を申し上げましたが,よろしくご審議の上,適切なご決定をお願いいたします。