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第490回高知市議会定例会市長説明要旨(令和4年6月14日)

第490回高知市議会定例会市長説明要旨

 

令和4年6月14日

 第490回高知市議会定例会にご出席をいただき,まことにありがとうございます。

 議案の説明に先立ち,当面する市政課題に関連して,ご報告と考え方を申し上げ,ご理解を賜りたいと存じます。

1 新型コロナウイルス対策

 まず,直近の新型コロナウイルス対策について申し上げます。

 今般の新型コロナウイルス感染の第6波では,感染力が非常に強く,感染スピードも速い変異型ウイルス「オミクロン株」が猛威を振るっており,全国的に感染拡大が長期化しています。

 県内におきましても,本年1月以降,感染拡大が続き,5月10日には新規感染者数が過去最大となる県内366人,うち本市が211人となり,保育所や学校,医療機関,高齢者施設等において,連日クラスターが相次いで発生するなど厳しい状況に陥りました。

 さらには,「自宅療養者数」が先月15日時点で過去最大の996人にまで及び,現在でも数百人規模で日々推移していますので,健康観察や食料品等の物資,パルスオキシメーター等のご自宅への搬送など,感染者の方々の自宅療養の支援に精力的に取り組んでいます。

 今月1日からは,本市の保健所や支援物資搬送業務を担当する商工観光部の負担軽減のため,健康観察の中で聞き取った内容の入力作業や療養期間終了の電話連絡など,専門職以外でも対応可能な疫学調査の一部業務については,外部からの派遣職員で対応する体制整備を行うとともに,食料品等の支援物資搬送業務につきましても外部委託したところです。

 感染拡大の収束は不透明ではありますが,保健所業務の負担軽減の観点から,業務の見直しを順次進めながら,引き続き,新規の患者さんに対する積極的疫学調査の実施など,感染拡大防止に鋭意取り組んでまいります。

 次に,本市におけるワクチンの接種状況について申し上げます。

 まず,本市の3回目接種の現況ですが,今月10日時点での接種率は61.0パーセントとなっており,接種券の発送を段階的に実施したことで,全国平均より少し低い接種率となっていますが,接種率の伸び率は全国平均を上回っていますので,今後,全国平均に近づいていくものと見込んでいます。

 年代別では,全国的な傾向と同様,特に40歳代以下の若い世代で接種率が低調なことや,武田/モデルナ社製ワクチンの接種枠が埋まりにくいことから,先月9日からは武田/モデルナ社製ワクチンを接種できる医療機関で「事前予約なしの接種」を開始し,今月10日時点で34医療機関で実施しております。

 これまで約1千人を超える方々が,「事前予約なしの接種」を利用されており,仕事の都合が直前までつかないために事前に接種予約をすることが難しいといった理由等から,接種を敬遠していた方々の利便性の向上に一定の効果があるものと考えます。

 今後もWEB広告や公式LINEによるプッシュ型の通知などを活用し,特に若い世代の皆様への周知を徹底し,3回目のワクチン接種を鋭意進めてまいります。

 次に,4回目のワクチン接種について申し上げます。

 これまで高齢者施設や病院等においてクラスター等が多く発生し,重症化するケースが見受けられることから,高齢者施設等へ入所されている方々や長期入院中の高齢者の方への巡回接種を進めるとともに,重症化リスクの高い60歳以上の方々と,18歳以上60歳未満の方のうち基礎疾患を有する方や重症化リスクが高いと医師が認める方を対象に,先月30日から市内の各医療機関で個別接種を開始しています。

 国から供給されるワクチンの種別では,本年1月に3回目用のワクチンとして武田/モデルナ社製ワクチンが追加されて以降,3回目接種の配分は約5割が武田/モデルナ社製ワクチンであり,さらに今後供給される予定の4回目のワクチン接種では,約8割が武田/モデルナ社製ワクチンとなりますので,ファイザー社製ワクチンから武田/モデルナ社製への切り替えが急速に進んでいます。

 本市では,「事前予約なしの接種」の取組など可能な限り,きめ細やかな接種体制の整備や丁寧な広報に努めていますが,有効期限が短い武田/モデルナ社製ワクチンについては,残念ですが一部廃棄処分となりました。

 ファイザー社製ワクチンとモデルナ社製ワクチンのいわゆる「交互接種」については,抗体価がより高くなることが確認されているほか,いずれのワクチンでも副反応は概ね同様の症状であるとの報告がなされていますので,貴重なワクチンを有効に活用する観点からも,安心して武田/モデルナ社製ワクチンを接種していただけるよう周知広報を徹底してまいります。

2 国政・経済の動向

 次に,国政の動向と我が国の経済状況について申し上げます。

 今月8日に内閣府が発表した本年1月から3月期の国内総生産の速報値では,オミクロン株による新型コロナウイルスの感染拡大によって,飲食店の営業などを制限する「まん延防止等重点措置」が適用された結果,個人消費が伸び悩んだことなどにより,実質成長率は前期比0.1パーセント減,年率換算では0.5パーセント減となり,2四半期ぶりのマイナス成長となりました。

 先月25日に公表された月例経済報告では,「景気は持ち直しの動きがみられる」とされ,今後の先行きについては,「景気が持ち直していくことが期待されるが,中国における感染再拡大の影響や,ウクライナ情勢の長期化などが懸念される中で,下振れリスクに十分注意する必要がある」との認識が示されています。

 こうした経済状況の下,先月31日に開催された「第7回経済財政諮問会議」において,岸田総理は,「投資と改革を大胆に実行することで,社会課題の解決と経済成長を同時に達成し,成長と分配の好循環を実現する」方向性を打ち出し,「人への投資,科学技術・イノベーション,企業のスタートアップ,グリーン,デジタルへの投資」を柱に位置付けて,「新しい資本主義」の実現に向け,これらの分野へ官民連携で投資する基本方針を示されました。

 その後,今月7日に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2022」,いわゆる「骨太の方針2022」では,当面の経済財政運営について,コロナ対策を迅速かつ着実に実行し,「景気の下振れリスクに対応し,消費や投資をはじめ民需中心の景気回復を着実に実現するべく,賃上げや価格転嫁など,成長と分配の好循環に向けた動きを確かなものとしていく」ことが表明されていますので,国において早急に対策を具現化し,迅速に実行していただくことを強く望みます。

 また,財政健全化目標については,これまで明記されていたプライマリー・バランスの黒字化の目標年次(2025年)が削除され,「これまでの財政健全化目標に取り組む」という表現に変更されましたので,今後の地方交付税の動向や社会保障改革などの議論の動向を注視してまいります。

 次に,最近の物価動向について申し上げます。

 総務省が先月20日に発表した4月の消費者物価指数は,変動の大きい「生鮮食品を除く指数」が前年同月比2.1パーセント上昇しました。

 政府及び日銀が目標としてきた「上昇率2パーセント」を超えたのは,消費税の増税の影響があった平成27年3月以来,約7年ぶりとなり,消費税増税の影響を除けば,世界的な資源高であった平成20年9月以来,13年7か月ぶりとなります。

 一方で,今回の物価上昇については,賃金の上昇や消費の活性化といった経済の好循環を伴うものではなく,新型コロナウイルスやロシアのウクライナ侵攻を背景に,原油や小麦粉などの原材料が高騰し,円安がさらに追い打ちをかけたことにより,食品など生活必需品が値上がりし,消費の低迷や企業の収益を圧迫する「悪い物価上昇」になっていることが指摘されています。

 総務省では,この状況について,「原油や穀物の国際的な価格や円安など,様々な要因で物価が上がっており,生活への影響は,この先の経済情勢と合わせて注意深く見ていく必要がある」とされています。

 岸田総理は,先月の参議院予算委員会で,「原油高,物価高騰は重大な問題」として,「国民生活と事業に対する影響をできるだけ抑える」と発言され,「国民生活を守るために全力を尽くす」という姿勢を示し,第一次補正予算を編成しましたので,政府の動向を注視しながら,本市におきましても,「新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金」を効果的に活用し,市民の皆様の生活支援や事業者の事業継続支援に積極的に取り組んでまいります。

 また,急激な原油高は,電気料金等の値上げなど本市の財政にも影響がありますので,今後の価格等の動向を注視し,健全な財政運営を目指します。

3 南海トラフ地震対策

 次に,送水幹線二重化事業の完成について申し上げます。

 この度完成した「送水幹線二重化事業」は,未曽有の被害をもたらした「阪神・淡路大震災」を教訓に,南海トラフ地震などの大規模災害時にあっても市民の皆様に安定的に水道水を供給できるよう,平成18年度から17年間にわたり,総額約120億円の事業費を投じたビッグプロジェクト事業であります。

 昭和54年の針木浄水場の供用開始に併せて,昭和40年代後半から50年代前半にかけて整備した既存の送水管は,針木浄水場から九反田配水所までを口径1,200ミリメートルの管路で結ばれ,旧高知市の給水区域の約3分の2のエリアに送水し,給水人口約20万人の暮らしを支える本市の大動脈となっています。

 一方で,この送水管が一たび損傷しますと,市民生活に重大な影響を及ぼすおそれがあり,昨年10月に発生した和歌山市の六十谷(むそた)水管橋崩落事故では,約6万世帯に及ぶ広域的な断水被害が1週間続いたことから,送水管のバックアップ機能の重要性を強く認識しています。

 本市の送水幹線二重化事業では,既存の送水管とは別ルートで二系統化を目指し,約10キロメートルの長距離区間を5工区に分け,口径1,100ミリメートルの耐震管布設工事を積極的に進めてまいりました。

 平成28年度には,針木浄水場から朝倉配水所までの二系統化が完了し,朝倉・鴨田地区に居住される約4万5千人に対して部分供用を開始しましたが,今回,全工区の二重化が完成したことにより,約20万人の市民に対する非常時のバックアップ機能を確保することができました。

 今後,送水幹線の水質試験や塩素注入量の調整などの試験通水を繰り返し行いながら,夏からの本格運用に向けて鋭意準備を進めてまいります。

 次に,南海トラフ地震対策の「事前復興まちづくり計画」の策定について申し上げます。

 高知県では,令和4年3月に,県内の沿岸19市町村において,本計画の策定に速やかに着手できるように,「高知県事前復興まちづくり計画策定指針」を策定するとともに,併せて,「第5期南海トラフ地震対策行動計画」の中で,令和9年度までに「19市町村が本計画の策定を完了する」ことを目標に掲げています。

 本市における計画策定は,令和5年度から本格化する予定ですが,事前復興まちづくりは,防災担当部局のみならず,暮らしやなりわい,歴史・文化など全庁にまたがる重要な計画になりますので,庁内体制や個別の課題,方向性について取りまとめるため,先月20日に,関係課の課長補佐級を中心にプロジェクトチームを立ち上げ,今後,速やかな計画策定に向けた環境整備を進めてまいります。

4 中小企業・小規模企業の振興

 次に,「中小企業・小規模企業の振興」に関する取組について申し上げます。

 市内事業所の9割以上を占める中小企業及び小規模企業は,地域の経済と雇用を着実に支え,地域社会の担い手として本市の発展と市民生活の向上に寄与する重要な存在であります。

 平成11年の「中小企業基本法」の抜本改正により,中小企業に関する施策の実施は地方公共団体の責務として位置付けられ,その後,平成26年には「小規模企業振興基本法」が制定され,中小企業及び小規模企業に関する施策の拡充が求められています。

 これまで本市では,平成7年に制定した「産業活性化条例」に基づき,産業活性化のため事業者の方々への支援策を実施してまいりましたが,同条例の制定から事業者の皆様を取り巻く社会経済環境は大きく変化しております。

 少子高齢化の進展による市場規模の縮小や労働力人口の減少とともに,直近では,新型コロナウイルス感染症の影響の長期化や,燃料・原材料の高騰による経営環境の悪化が深刻な問題になっており,経済環境はさらに厳しさを増すことが予想されます。

 こうしたことから,中小企業・小規模企業の振興を総合的かつ計画的に推進していくため,広く事業者の方々や市民の皆様のご意見を伺うとともに,議員の皆様とも連携した「中小企業・小規模企業振興条例」に関する研究や検討結果を踏まえ,本議会に条例制定議案をお諮りしています。

 本条例案では,本市における中小企業及び小規模企業の振興に関する基本理念を定め,市の責務や,市民,事業者等の役割等を明らかにするとともに,振興施策の効果的な推進に向けて重要な,「中小企業・小規模企業振興戦略プラン」を策定することとしています。

 戦略プランでは,条例に掲げる基本理念及び基本方針に即して,総合計画をはじめとする他の行政計画等とも整合性を図りながら,具体的な振興施策とその目標を設定することとしており,毎年度進捗確認を行い,PDCAサイクルを回すことにより,実効性を担保し,中小企業・小規模企業の振興を推進してまいります。

 併せて,戦略プランに掲げる施策等を計画的に実行していくため,新たに「中小企業・小規模企業振興基金」を設置いたします。

5 市民生活の支援

 次に,「市民生活の支援」について申し上げます。

 長引く新型コロナウイルス感染症の影響による厳しい経済状況が続く中で,ロシアのウクライナ侵攻により原油や物価が高騰し,家計に占める割合が高い食品等の値上がりをはじめ,電気やガスといった光熱費が上昇し,市民生活に大きな影響が出ています。

 こうしたことから,原油価格・物価高騰対策として,「新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金」を活用し,市民の皆様の生活を支援する事業を推進します。

 まず,食材の価格高騰に伴う「給食費」への対策として,今年度については食材の価格高騰見合い分を本市が負担することとし,給食費を据え置きながら,市立の小中学校・特別支援学校・保育所,民営保育所等において,これまでどおりの栄養バランスや量を確保した給食を提供することで,子育て世帯の負担軽減を図ります。

 また,原油価格高騰に伴う電気及びガス等の価格上昇により,家庭における光熱水費の負担が増えていますので,負担軽減策として,水道メーターの口径13ミリメートルと20ミリメートルの契約者を対象として,9月1日から4か月間の検針分について,水道基本料金の80パーセント分を減額することとしています。

 そのほか,小学生に対して,夏休み期間中の電車・バスが乗り放題となる「サマーキッズパスポート」を配付することで,新たな公共交通ファンを生み出し,家族ぐるみで公共交通をご利用いただく機会を創る取組を支援し,公共交通の利用促進につなげてまいります。

6 観光振興

 次に,観光振興の取組について申し上げます。

 まず,今年のゴールデンウィーク期間中の観光客入り込み状況について申し上げます。

 3年ぶりに外出制限のないゴールデンウィークを迎え,好天にも恵まれた今年は,県内外からの多くの観光客が高知を訪れ,市内の主要施設の入場者数は,昨年と比べ平均で約4割増となり,牧野富太郎博士をモデルとしたNHK連続テレビ小説「らんまん」の放送が決定したこともあり,県立牧野植物園では1日平均利用者数が昨年比61パーセント増加したほか,高知城も1日平均で89パーセントの増加となり,賑わいが戻ってまいりました。

 桂浜では,4月29日から先月5日までの7日間で,桂浜公園の駐車台数が臨時駐車場と合わせて1万4,408台と昨年の約2倍になるなど,観光地に活況が戻っています。

 一方で,コロナ禍前の令和元年度と比較しますと,市内の主要観光施設の1日平均入場者数は半分程度であり,桂浜の駐車台数は約74パーセント程度にとどまっています。

 このため,関連産業への波及効果が高い観光旅行の「冬の閑散期」の需要喚起を図るために,市内で宿泊を伴う募集型企画旅行を催行する旅行エージェント等の事業者に,旅行商品の割引やパンフレット等の広告宣伝費用等を給付する2万人泊分の「団体旅行客誘致促進給付金給付事業」を実施するとともに,クリスマスをテーマにした新規イベントや「水・光・音楽を融合したエンターテイメントショー」を開催するなど,ナイトタイムエコノミーを進め,早期の観光需要の回復を図るとともに,中心市街地の活性化等にも波及させてまいります。

 次に,桂浜公園の整備状況について申し上げます。

 桂浜公園は,本年4月から指定管理をスタートし,公園全体を包括的に管理運営する指定管理者を中心に,新たな賑わいの創出に向けた取組が始まっています。

 現在,商業施設については「リノベーション工事」が始まり,一部の土産物販売の営業のみとなっていますが,ゴールデンウィーク期間中は,ご当地グルメのキッチンカーや屋台に出店いただき,高知商業高校の生徒さんが商品開発したジビエグルメを販売するなど,高知の食の魅力や桂浜の魅力を大勢の観光客の皆様に楽しんでいただきました。

 今後のスケジュールでは,本年10月のプレオープンを目指し,「食べる」「買う」「学ぶ」「憩う」をテーマに,既存商業施設のリノベーション工事が進められているほか,NHK連続テレビ小説「らんまん」がスタートする来年春に予定しているグランドオープンの時には,地場産市や多目的イベント施設を併設した「海のマルシェ」がオープンすることとなっています。

 本市としても,指定管理者による取組に併せ,公共スペースの整備工事などを進め,桂浜公園の魅力向上に積極的に取り組んでまいります。

 次に,「2022よさこい鳴子踊り特別演舞」の開催について申し上げます。

 よさこい祭りは,新型コロナウイルス感染症の影響により,令和2年第67回大会と昨年の第68回大会が中止となり,3年連続の中止を回避するために,よさこい祭振興会をはじめとする関係者間で精力的に協議を重ねた結果,今年は「特別演舞」という形で,8月10日・11日の2日間,追手筋会場をはじめとする12か所を会場として開催することが決定いたしました。

 先月下旬から始まった参加募集には,最終的に県内チーム・県外チーム合わせて100チームから参加申込があっており,開催に向けご尽力を賜りました関係者の皆様やチーム関係者の皆様に感謝申し上げますとともに,3年ぶりの「本場高知のよさこい祭り」の成功に積極的に取り組んでまいります。

 関係者一丸となって,安全安心な開催に向けて,「感染防止安全計画」を作成するほか,具体的な運営方法の協議を詰めており,来年の第70回記念大会の成功につなげる大会にしたいと考えています。

 次に,NHK連続テレビ小説「らんまん」について申し上げます。

 高知県出身の世界的な植物学者「牧野富太郎博士」がモデルとなった,NHK連続テレビ小説「らんまん」の来春からの放送が決定し,主人公には「神木隆之介さん,妻役に浜辺美波さん」が決定するなど,若手実力派で大変人気のあるお二人が夫婦役を演じられるということもあり,県立牧野植物園を筆頭に,高知県全体への注目度が高まっています。

 先月末には,「連続テレビ小説を生かした博覧会推進協議会」の設立総会が開催され,私も副会長として,連続テレビ小説の放送を契機に,草花をテーマにした観光地づくりや桂浜観光との連携,女性や若者などの新たなターゲット層へのアプローチを実施することなど,高知観光の起爆剤として,官民協働で推進していくことを確認いたしました。

 メインエリアの一つである五台山・牧野植物園や,県内周遊のインフォーメーション機能を担う桂浜公園と「こうち旅広場」の活用をはじめ,牧野博士の居宅であった「練馬区立牧野記念庭園」の設置者である練馬区役所や県下のゆかりの地とも連携し,「らんまん」を契機とした観光誘客に積極的に取り組んでまいります。

7 デジタル化の推進

 次に,デジタル化の推進について申し上げます。

 現在,「高知市DX推進本部」を中心に,全庁一丸となって戦略的に取組を進めており,昨年度は,「住民窓口改善」,「押印廃止」に精力的に取り組むとともに,昨年12月には「若手職員によるDX推進」のプロジェクトチームを新設し,検討を進めました。

 「住民窓口改善」では,パソコンやスマートフォンで各種申請・届出,窓口予約やアンケートなどが行える仕組みを新たに導入し,窓口での待ち時間の大幅な軽減や,夜間等の時間外での手続等が行えるようになり,利便性が向上し,利用者の方々からは好評をいただいています。

 また,本市ホームページにおいて,各種の問合せに関して自動で回答する「チャットボット機能」や,窓口の混雑状況をお知らせする機能を導入するなど,デジタル技術を活用した住民サービス向上について,庁内横断的に取り組んでおります。

 「押印廃止」では,昨年度までに全庁での実態調査を行い,見直し基準を策定し,進捗状況の確認などを進め,本年3月までに見直し対象手続の約8割に当たる2,143の手続で押印の見直しを行いました。

 本年度は,デジタル化の推進を充実させるため,新たに「基幹業務システム標準化プロジェクトチーム」を発足させ,国の標準仕様に準拠した基幹業務システムへの令和7年度までの円滑な移行を進めるとともに,窓口手続のオンライン化や,今議会でお諮りしています「RPAツール」の高度な利用環境の構築と適用範囲の拡大,AIの活用等について検討を行い,デジタル技術を活用した行政サービスの利便性の向上と業務効率化に取り組んでまいります。

 次に,マイナンバーカードの普及促進について申し上げます。

 マイナンバーカードは,対面でもオンラインでも安全・確実に本人確認を行うことができるデジタル社会の基盤となるツールであり,国はカードの普及拡大が社会全体のデジタル化のカギを握るものと位置付け,「令和4年度末までにほぼ全国民に行き渡る」ことを目指しています。

 昨年度は,健康保険証としての利用のほか,ご自身の薬剤情報や特定健診情報等の閲覧,公金受取口座の登録,新型コロナワクチンの接種証明書の取得などの新たな機能が追加され,本市においても本年3月17日から住民票の写し等が取得できるコンビニ交付サービスを開始いたしました。

 現在,国では普及拡大キャンペーンとして,「マイナポイント第2弾」を実施しており,今月30日からは,9月末までにカードの交付申請をされた方を対象として,健康保険証としての利用申込を行った方に7,500円相当,公金受取口座の登録を行った方に7,500円相当のポイント付与を行うことで,最大2万円相当のポイントを付与するとともに,7月頃からは,カード未取得の方へのQRコード付き交付申請書を送付することにより,さらなる交付率の向上へ取組を強化しています。

 本市の交付率は,6月1日現在で36.0パーセントと,全国の44.7パーセントと比較して低い状況にありますので,市民の皆様にマイナンバーカードの有効性や安全性について,より知っていただくための広報を進める一方で,「カードの交付申請」と「マイナポイント第2弾の申込」をサポートする特設会場を開設する取組を強化するための補正予算をお諮りしています。

8 令和3年度の決算見込み

 次に,令和3年度の決算見込みについてご報告申し上げます。

 一般会計では,当初,新型コロナウイルスの影響により,市税や地方消費税交付金等の歳入が大幅に減収し,厳しい財政運営となる見通しでしたが,市税などの一般財源の収入が想定を上回るとともに,「まん延防止等重点措置」に伴うイベントの中止の影響や,不用額等の執行を留保したことなどによる歳出の減少のほか,昨年1月に補正予算をご承認いただいた「住民税非課税世帯等臨時特別給付金」などで,今年度に返還が必要な国費や県費の超過受入れが約37億円と例年に増して多額になるなど,特別な要因が重なりましたので,財政調整基金や減債基金を取り崩すことなく,黒字となる見込みです。

 一方で,この超過受入の約37億円については,本年度に国や県に返還することとなり,補正財源である繰越金だけでは不足する見込みであることから,財政調整基金を取り崩して補正を行う必要があり,依然として厳しい財政状況に変わりはありませんので,引き続き慎重な財政運営に留意してまいります。

 特別会計では収益事業において,インターネットを活用したポータルサイトの利用増加等に伴い車券売上が伸びたことなどにより,約4億円を後年度の施設整備のため基金に積み立てた上で,11年連続の単年度黒字を確保した結果,累積赤字額は46億円余りにまで圧縮できる見込みです。

 企業会計のうち,水道事業では,給水収益が減少しましたが,経費節減に努めた結果,純利益は前年度より9,800万円余り多い12億7,000万円余りとなりました。

 公共下水道事業では,8億300万円余りの純利益となり,うち受益者負担を原則とする汚水事業では,普及促進による増収効果などにより,3億8,800万円余りの純利益を確保することができ,累積赤字額も8億5,800万円余りへと減少しています。

9 補正予算・予算外議案

 以下,議案についてご説明を申し上げます。

 今回提出いたしました議案は,予算議案2件,条例議案8件,その他議案11件です。

 今回の補正予算は,原油価格・物価高騰対策として,市民の皆様の生活や事業者の事業継続を支援するための経費を中心に予算計上いたしました。

 このほか,最近のガソリン価格高騰により事業者の方々の負担が増えていることから,中小事業者が事業用のクリーンエネルギー自動車等を購入するための費用を支援する事業費等を補正するものです。

 以上,申し上げました内容によりまして,提案しております今回の補正規模は,

 一般会計   15億9,900万円の増額

 水道事業会計 100万円の増額

であり,補正後の予算規模は,全会計の純計で2,794億5,585万円となり,補正財源として,特定財源である国庫支出金や市債等を充当し,一般財源では財政調整基金繰入金や繰越金を充当いたしました。

 次に,予算外議案について申し上げます。

 条例議案は,法令の改正に伴うものなど8件です。

 このうち,市第62号高知市中小企業・小規模企業振興条例制定議案につきましては,中小企業・小規模企業の振興を重要課題と位置付け,振興策を総合的に推進するため,条例を制定するものです。

 その他の議案は,低所得の子育て世帯に対する「子育て世帯生活支援特別給付金」に係る総額5億3,000万円を計上した一般会計補正予算についての市長専決処分の承認議案など11件となっています。

 報告14件につきましては,繰越計算書など,いずれも法令所定の手続によりご報告するものです。

 以上,提出をいたしました議案について,概要の説明を申し上げましたが,よろしくご審議の上,適切なご決定をお願いいたします。