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第497回高知市議会定例会市長説明要旨(令和5年6月15日)

 第497回高知市議会定例会市長説明要旨

 

令和5年6月15日

 第497回高知市議会定例会にご出席をいただき,まことにありがとうございます。

 議案の説明に先立ち,当面する市政課題に関連して,ご報告と考え方を申し上げ,ご理解を賜りたいと存じます。

 

 まず初めに,先月1日に消防職員が「暴行容疑」で現行犯逮捕されました事件につきまして,改めまして,被害に遭われた相手の方とそのご家族の皆様,市議会並びに市民の皆様に深くお詫びを申し上げます。

 今回の事件は,市内の医療施設において,本市消防職員が10代半ばの一般男性に待合室内での言動を咎められたことに立腹し,男性の顔面を平手打ちしたとして,110番通報で駆け付けた警察官に,「暴行容疑」で現行犯逮捕されたものです。

 当該職員は既に釈放され,本市消防局におきまして,釈放後直ちに本人から直接事情聴取を実施いたしました。
市民の生命・財産を守る消防職員が起こした今回の不祥事は,決して許されない行為であり,綱紀粛正と服務規律の徹底に取り組んでいる最中に,市政の信頼を失墜させたことを重く受け止め,人事院が定めている「国家公務員における懲戒処分の指針」等を踏まえ,事件を起こした当該職員については,1か月間給料月額の10分の1を減給する懲戒処分を行いました。

 改めまして,職員一人ひとりが公私を問わず,公務員としての自覚を持ち,規律ある行動を取ることを徹底させ,組織一丸となって信頼回復に取り組んでまいります。

 

1 国政・経済の動向

 次に,国政の動向と我が国の経済状況について申し上げます。

 今月8日に内閣府が発表した本年1月から3月期の国内総生産の速報値では,経済活動の正常化による民間の設備投資の拡大などに伴い好調だった国内需要が「景気の持ち直し」を支えたことなどにより,物価変動の影響を除いた実質成長率は前期比0.7パーセント増,年率換算では2.7パーセント増となり,2四半期連続のプラス成長となりました。

 先月25日に公表された月例経済報告では,「景気は緩やかに回復している」とされ,今後の先行きについては,「雇用・所得環境が改善する下で,緩やかな回復が続くことが期待される」とする一方で,「海外景気の下振れが日本の景気を下押しするリスクや,物価上昇等の影響に十分注意する必要がある」との認識が示されています。

 こうした経済状況の下,今月7日に開催された「第8回経済財政諮問会議」において,今後の予算編成や政策指針となる「経済財政運営と改革の基本方針2023」,いわゆる「骨太の方針2023」の原案が提示されました。

 岸田総理は,「我が国に30年ぶりの高い水準となる賃上げや,企業における高い投資意欲など,前向きな動きが確実に生まれてきている」とされ,「新しい資本主義」の実現に向けた取組を加速させていくため,「構造的な賃上げの実現」「投資の拡大」「少子化傾向の反転に向けたこども・子育て政策の抜本強化」などに取り組むと述べられています。

 歳出改革などで捻出する財源の詳細は具体策が不透明なため,今後の地方交付税等の動向や削減が懸念されている社会保障改革等の動きを注視してまいります。

 次に,最近の物価動向について申し上げます。

 先月19日に総務省が発表した4月の国内の消費者物価指数は,変動の大きい生鮮食品を除く指数が前年同月比3.4パーセント上昇しています。

 政府の電気・ガス料金の負担軽減対策でエネルギー価格は下落した一方で,相次ぐ食品の値上げが物価を押し上げています。

 加えて,昨年11月臨時議会の補正予算でお認めいただき,12月から本年3月まで4か月間実施した「市立及び民営保育所,認定こども園等の保育料や副食費,市立小中学校等の給食費等の負担免除などの支援策が終了した」ことから,全国平均と比較して上昇率が低く抑えられていた「高知市消費者物価指数」も,本年4月の生鮮食品を除く指数が前年同月比3.3パーセント上昇し,消費税の増税の影響があった平成26年を除くと,約41年ぶりの高水準となっています。

 さらに,各電力会社の家庭用電気の規制料金の値上げが認可され,今月1日から価格が上昇し,家計負担がさらに増加する中で,政府の電気・ガス料金の負担軽減対策が9月使用分までで打ち切られる見込みです。

 併せて,ガソリン価格急騰の抑制策である石油元売り会社への補助金については,今月から段階的に縮小され,9月末で終了する見通しであり,今後も物価高騰による家計や企業業績への影響は続くものと考えます。

 こうした状況等を踏まえ,今議会には,原油価格・物価高騰対策として,子育て世帯や社会福祉施設等の事業者に加えて,農業者や漁業者等の事業継続を支援するための経費を中心に予算計上いたしました。

 

2 子ども・子育て支援

 次に,子ども・子育て支援について申し上げます。

 国が掲げる「次元の異なる少子化対策」の具体的な内容については,本年3月31日付けで「こども・子育て政策の強化について(試案)」として,小倉將信こども政策担当大臣から公表されました。

 2017年の国立社会保障・人口問題研究所による「日本の将来推計人口」では,「出生数が80万人を割り込むのは2033年」と予測されていましたが,今月2日に厚生労働省が公表した人口動態統計では,2022年の年間出生数は77万747人となり,想定より10年も早く,1899年の統計開始以来,初めて80万人を割り込み,2030年代には,さらに若年人口が急減する見通しです。

 こうした緊迫する状況を踏まえ,公表された試案では,「2030年代に入るまでのこれからの6・7年が少子化傾向を反転できるかどうかのラストチャンスであり,少子化対策は待ったなし」とされ,来年度からの3年間を集中期間とする「こども・子育て支援加速化プラン」に全力で取り組む必要性が強調されています。

 岸田総理が自ら議長となり,有識者や関係閣僚,また全国市長会等の関係団体で構成する「こども未来戦略会議」が取りまとめ,今月13日に閣議決定した「こども未来戦略方針」では,この「こども・子育て支援加速化プラン」に掲げる「児童手当の拡充等の子育てに係る経済的支援の強化」「保育士の処遇改善による保育の質の向上等の子育て世帯を対象とするサービスの拡充」「男性育休の取得促進による共働き・共育ての推進」などの実効性を高めるための施策が示されています。

 政府は,こうした戦略会議での議論を踏まえ,今月中旬に閣議決定する「骨太の方針2023」に反映させる方針です。

 併せて,「経済成長を阻害し,若者・子育て世代の所得を減らすことがあってはならない」ことが表明され,少子化対策の財源については,「徹底した歳出改革等によって確保することを原則」とした上で,国民の皆様には「実質的に追加負担を生じさせないことを目指す」ことが示されていますが,その具体的な中身については,「年末までに結論を得る」とされています。

 財務相の諮問機関である財政制度等審議会では,「骨太の方針」に向けて,先月29日に発表した「建議」の中で,少子化対策のための財源については,「将来世代に負担を先送りするのではなく,社会全体で安定的に支えていく必要がある」として,国債に頼らない安定財源の確保が必要であることを示した上で,「企業を含め社会・経済の参加者全員が,公平な立場で広く負担する新たな枠組みの検討が必要である」としています。

 「こども・子育て支援加速化プラン」の具体化には,約3兆円半ばの巨額の財源が必要であるとも報道されており,地方公共団体にとりましても新たな多額の財政負担が生じますので,年末までの国の動向を注視してまいります。

 高知市における今回の補正予算では,「電気・ガス代,食料品等の値上り」の影響が子育て世帯に重い負担となっていることから,「新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金」を活用した臨時特例措置として,昨年度に引き続き,子育て世帯を支援し,負担軽減を図ることとしましたので,主なものを申し上げます。

 まず,1点目として,「小中学校等の給食費の負担軽減」について申し上げます。

 小中学校等の給食費につきましては,昨年度は,食材の価格高騰に伴う「給食費等」への対策として,「食材の価格高騰見合い分」を本市が負担し,給食費の額を据え置きながら,従来どおりの栄養バランスや量を確保した給食を提供し,子育て世帯の負担軽減を図りました。

 今年度からは,価格高騰見合い分を給食費に転嫁させていただき,小学校で1食25円,中学校で1食30円などの値上げを行いましたが,今回,市立小中学校等に通う推計約14,200人の児童生徒の「給食費の値上げ分の1年間分を市が負担する」こととし,それに相当する分として,「9月分の給食費を全額免除する」ことにより,子育て世帯の給食費等の負担を最大で8,000万円余り免除するものです。

 次に,2点目として,「保育所や認定こども園などの保育料の負担軽減」について申し上げます。

 令和元年10月から開始された国の「幼児教育・保育の無償化」制度の対象とならない「3歳未満児」については,保育料をご負担いただいておりますが,直近の物価高騰の影響を踏まえ,「本年9月から10月までの2か月間」については,市立及び民営保育所,認定こども園などに通う推計約2,100人の児童の「保育料を全面的に無料とする」ことにより,子育て世帯の保育料の負担を最大で1億4,900万円余り免除するものです。

 次に,3点目として,「保育所等の副食費の負担軽減」について申し上げます。

 保育所等の給食費は,3歳以上児については,従来から,ごはんなどの主食はご家庭から持参していただき,「おかずである副食」については,令和元年10月から,原則「月額4,500円の副食費」を徴収しています。

 今回,先ほど申し上げました保育料の負担軽減と同様に,「本年9月から10月までの2か月間」については,市立及び民営保育所,認定こども園などに通う推計約4,900人の3歳以上児の「副食費を全面的に無料とする」ことにより,子育て世帯の副食費の負担を最大で4,400万円余り免除するものです。

 次に,4点目として,「放課後児童クラブの保護者負担金の負担軽減」について申し上げます。

 現在,公設の放課後児童クラブでは,保護者負担金は月額8,100円とし,民間の児童クラブでは,各施設ごとに月額等の設定を行っています。

 この保護者負担金についても,「本年7月から8月までの2か月間」については,公設や民間の放課後児童クラブに通う推計約3,600人に対して,「最大で月額8,100円を免除する」ことにより,子育て世帯の負担を最大で5,500万円余り免除するものです。

 最後に,5点目として,「認可外保育施設の利用費及び給食費の負担軽減」について申し上げます。

 今回,初めて支援することとした認可外保育施設では,各施設ごとに利用費及び給食費の設定が行われています。

 この利用費及び給食費について,新たに「本年9月から10月までの2か月間」,認可外保育施設に通う推計約400人に対して,「利用費及び給食費を最大42,000円支援する」ことにより,子育て世帯の負担を最大で2,900万円余り軽減するものです。

 これらの負担軽減策等について,合計で3億9,400万円余りを予算計上し,物価高騰の影響を受けている子育て世帯の家計への支援として実施してまいります。

 

3 新型コロナウイルス対策

 次に,新型コロナウイルス対策について申し上げます。

 5月8日から感染症法上の位置付けが「5類」に引き下げられ,これまでの特別な対応から,季節性インフルエンザと同様の通常の対応に移行されましたので,自宅療養者支援が終了したほか,入院調整については原則的に,医療機関相互の調整になるとともに,感染状況の公表は,従前の全数把握と日々の公表から,週1回の「定点把握による公表」に変更されるなど,その対応も変化しています。

 感染された方や,濃厚接触者の方の外出自粛などの行動制限については,基本的に個人の判断に委ねられましたが,発症翌日から5日間と症状軽快後の1日の療養,そして発症翌日からは10日間のマスク着用などが呼び掛けられています。

 感染症法上の位置付けが変わりましても,感染力が衰えたわけではありませんので,今後の感染増加に留意するとともに,市民の皆様には,発生動向により,必要に応じて注意喚起や感染対策の徹底を呼びかけてまいります。

 次に,ワクチン接種につきましては,5類移行後も今年度は「特例臨時接種」として引き続き無料で実施し,冬期の感染拡大に備えるために,秋以降,初回接種が完了した5歳以上の方全員が追加接種を1回受けられる方針が国から示されています。

 「65歳以上の方や基礎疾患を有する方等の重症化リスクの高い方」につきましては,秋以降の全員接種に加えて,夏の感染拡大にも備えられるように,「5月8日から8月末までの間」にオミクロン株対応ワクチンの追加接種をもう1回受けられることとしていますので,今回,新たに追加接種が可能となった春接種の対象者の方々,約11万人のワクチン接種費用及び事務費の計6億円余りを補正予算に計上しています。

 今後は,接種を希望する市民の皆様がスムーズに接種できるように関係機関との調整を進め,春接種につきましては,現在,市内約120の医療機関で個別接種を進めており,秋接種につきましても円滑なワクチン接種の実現に向けて着実に取り組んでまいります。

 

4 南海トラフ地震対策

 次に,南海トラフ地震対策について申し上げます。

 近年,全国各地で地震が発生しており,先月以降,「石川県で震度6強,千葉県で5強,鹿児島県や東京都,北海道で5弱」と立て続けに,震度5以上の大きな揺れを伴う地震が発生しています。

 南海トラフ地震につきましては,「今後20年以内の発生確率が,今年1月には60パーセント程度」へと引き上げられ,その確率が高まっていますので,国や県と連携し,総合的な防災対策をさらに進めてまいります。

 東日本大震災の被災地では,多数の自治体職員が被災する中で,応急復旧などの膨大な業務に追われ,復興計画の早期策定が困難となり,復興事業の着手に長期間を要することが大きな課題となりました。

 この貴重な教訓を活かし,南海トラフ地震において,発災後に円滑な復興・復旧を進めるためには,「事前復興まちづくり計画」が不可欠であることから,昨年度にプロジェクトチームを立ち上げ,計画策定に係る庁内体制等について検討を進めました。

 今年度は新たに専任職員を配置し,発災後の「復興まちづくりの方針」や「復興本部の組織体制」「復興手順書の作成」「対象地域の選定」などを取りまとめる「復興基本方針(案)」の策定に着手しており,「事前復興まちづくり計画」の策定に向けて,さらに本格的に取り組んでまいります。

 

5 中小企業・小規模企業の振興

 次に,「中小企業・小規模企業の振興」に関する取組について申し上げます。

 本市の地域経済と雇用を下支えし,地域社会の担い手として重要な存在である「中小企業・小規模企業」の振興に向けて,昨年7月に施行した「高知市中小企業・小規模企業振興条例」に基づく「高知市中小企業・小規模企業振興戦略プラン」を今月中に策定いたします。

 この戦略プランでは,「地域の豊かな資源を活かしつつ,未来に挑戦する活力ある産業が発展するまち高知市の実現」をプラン全体の基本的なビジョンに掲げ,「計画期間である令和9年度末」までに緊急性及び重要性の高い重点的な取組として,「デジタル社会,グリーン社会を見据えた経営基盤の強化」「経営環境激変への影響の緩和」「人材の確保」「稼ぐ力の強化」の4項目を位置付けるとともに,7つの基本方針と18の取組からなる延べ74の具体的事業を登載しております。

 戦略プランの重点項目の一つである「経営環境激変への影響の緩和」の具体的事業として,市域の中小企業・小規模企業の事業者が,国が認定した専門家等の支援を受け,「経営改善計画等を策定する場合」に必要となる費用の一部を助成する「経営改善計画策定等助成事業」の補正予算を今議会にお諮りしています。

 市域では今後,令和6年度春以降から,コロナ禍に創設された「ゼロゼロ融資の返済」が始まる事業者が増加します。

 借入金返済額の負担増加による資金繰り悪化が懸念されるなど,経営状況が厳しい事業者にとりまして,借入金の計画的な返済と併せて,アフターコロナの時代を見据えた成長戦略と経営課題を明らかにすることなどの経営改善を図る取組が必要になります。

 国においては,事業者の経営改善計画の策定等に係る費用助成の支援メニューが設けられていますが,「事業者の自己負担」が障壁となり,計画策定を断念するケースが一定数,想定されることから,本市としましても費用の一部助成を行い,事業者の負担を軽減するとともに,経営安定化の取組を促進してまいります。

 

6 観光振興

 次に,観光振興の取組について申し上げます。

 まず,連続テレビ小説「らんまん」の取組とゴールデンウィーク中の観光客入込状況について申し上げます。

 神木隆之介さん演じる天真爛漫な牧野博士の魅力と豪華キャストに支えられて,人気が高まっている朝ドラ「らんまん」の追い風を受けて,今年のゴールデンウィーク中は,牧野植物園で1日平均利用者数が対前年度比170パーセントとなったほか,佐川町の青山文庫で290パーセント,越知町の横倉山自然の森博物館で160パーセントと県内外の多くの観光客をお迎えすることができています。

 新型コロナウイルス感染症の収束などと相まって,市内主要施設の入場者数も昨年と比べ平均で約3割増加しており,特に本年3月にグランドオープンした桂浜公園では,ご当地グルメを楽しめるレストランや,県内の名産品を取り揃えた土産物ショップに行列ができるとともに,全天候型の休憩スペースでは,ご家族連れが日差しを避け,ゆっくりとくつろぐ姿が見られるなど,約40年ぶりにリニューアルした商業施設を中心に大勢の観光客の皆様で賑わいました。

 また,桂浜水族館や坂本龍馬記念館のほか,期間中に開催された「龍馬に大接近」などの人気イベントを含め,多くの観光客の方々に公園内の多くの見どころを周遊しながら楽しんでいただくことができました。

 桂浜公園の来園者数は,商業施設がプレオープンした令和4年度の下半期には,コロナ禍前の令和元年度下半期との比較で123パーセントの入込みとなり,リニューアル効果により県内外から多くの観光客に訪れていただいていますので,引き続き本市を代表する観光拠点としての魅力を向上させ,集客を図ってまいります。

 一方,牧野博士が晩年を過ごした東京都練馬区でも「らんまん」効果が顕著に表れており,「練馬区立牧野記念庭園」の4月の来園者数が前年の3.7倍となったほか,5月3日には1,735人を記録するなど,月間及び1日当たりの最多来園者数を更新していると伺っています。

 また,5月14日に開催された練馬区を代表する祭りの一つ「照姫まつり」は,あいにくの天気にも関わらず大盛況となり,本市も高知県とともに観光ブースを出展し,東京から1時間半で来られる観光地である,高知の魅力を積極的にPRしてまいりました。

 新型コロナウイルスの5類移行に伴う人流の回復や,ドラマの盛り上がりとともに,観光客のさらなる入込みが期待できますので,この好機を一過性にしないために,「連続テレビ小説を生かした博覧会推進協議会」の広報活動とも密にタイアップし,観光誘客に取り組みます。 

 次に,「第70回よさこい祭り」について申し上げます。

 本市の夏を代表するイベントである,よさこい祭りは,令和2年度以降開催を見送っていましたが,本年4月10日の「よさこい祭振興会総会」において,8月9日から12日までの4日間,すべての競演場・演舞場に高知大学演舞場を加えた17会場において,4年ぶりの「通常開催」が決定いたしました。

 昨年は,新型コロナウイルス感染症の影響が続く中で,「2022よさこい鳴子踊り特別演舞」という縮小された形ではありましたが,関係者の皆様のご努力により開催され,感謝を申し上げます。

 「よさこい祭りの灯を消してはならない」とする皆様の熱意が,今年の「第70回記念よさこい祭り」の開催につながったものと考えており,市民の皆様や観光客の方々,そして踊り子が待ちに待った「高知のよさこい」が帰ってきたことを嬉しく思います。

 本市としても,開催に向けた支援を積極的に行うとともに,高知市出身の人気イラストレーター窪之内英策氏による「高知のよさこい」をイメージしたイラストの作成を進めておりますので,7月からはポスターや商店街のフラフ等によるPRを始めるほか,今議会でお諮りしております路面電車へのラッピングなどにより,第70回記念よさこい祭りの機運を高めてまいります。

 

7 令和4年度の決算見込み

 次に,令和4年度の決算見込みについてご報告申し上げます。

 令和4年度の一般会計予算では,当初,退職手当やデジタル化の推進に伴う情報システム関係経費など物件費が増加し,収支均衡を図るために多額の財政調整基金や減債基金を取り崩す予定になるなど,厳しい財政運営となる見通しでしたが,地方消費税交付金や特別交付税などの一般財源の収入が想定を上回るとともに,介護給付や生活保護費などの扶助費等の歳出の減少のほか,昨年度に引き続き生活保護費の負担金などで今年度に返還が必要な国費や県費の超過受入れが約11億円と多額になるなど,特別要因が重なりましたので,財政調整基金や減債基金を取り崩すことなく,黒字となる見込みです。

 一方で,この超過受入れの約11億円については,本年度に国や県に返還することとなり,依然として厳しい財政状況に変わりはありませんので,引き続き慎重な財政運営に留意してまいります。

 特別会計では収益事業において,G1レースとしては15年ぶり4回目となる「全日本選抜競輪」の開催やインターネットを活用したポータルサイトの利用増加等に伴い車券売上が伸びたことなどにより,約2億円を後年度の施設整備のために基金に積み立てた上で,12年連続の単年度黒字を確保した結果,累積赤字額は40億円余りにまで圧縮できる見込みです。

 企業会計のうち,水道事業では,浄水施設や水道管の修繕などの維持管理経費の増加により,純利益は10億5,300万円余りとなり,前年度より2億1,700万円余りの減少となりました。

 公共下水道事業では,8億9,000万円余りの純利益となり,うち受益者負担を原則とする汚水事業では,普及促進による増収効果などもあり,3億6,200万円余りの純利益を確保することができ,累積赤字額も4億9,600万円余りへと減少しています。

 

8 補正予算・予算外議案

 以下,議案についてご説明を申し上げます。

 今回提出いたしました議案は,予算議案1件,条例議案10件,その他議案7件です。

 今回の補正予算は,新型コロナウイルスワクチンの接種費用のほか,原油価格・物価高騰対策として,子育て世帯の家計への支援や,厳しい経営環境に置かれている社会福祉施設等の事業者に加え,農業者や漁業者等の事業継続を支援するための経費を中心に予算計上いたしました。

 社会福祉施設等の事業者への支援としては,原油価格や物価高騰により,光熱費等のコストが増大し,経営環境の悪化が懸念されている介護や障害福祉などの事業者の皆様に対して,利用者が安心してサービスを受けられる環境を維持するため,県とも連携しながら,給付金による支援を行うものです。

 具体的には,市内の診療所等の約1,000か所に及ぶ医療施設に加えて,入所や通所サービス等を提供する約700の介護施設や約200の障害福祉施設など,計1,900か所の施設・事業所に対して,「施設の区分に応じて3万円から最大80万円を支援する」ことにより,最大2億7,300万円余りを物価高騰対策の支援策として給付するものです。

 このほか,昨年度に引き続き,街のにぎわい創出と観光誘客をテーマとしたクリスマス・マーケットを官民共同で開催するための費用等を補正するものです。

 以上,申し上げました内容によりまして,提案しております今回の補正規模は,一般会計 17億4,500万円の増額
であり,補正後の予算規模は,全会計の純計で2,751億2,106万1千円となり,補正財源として,特定財源である国庫支出金や市債等を充当し,一般財源では財政調整基金繰入金や繰越金を充当いたしました。

 次に,予算外議案について申し上げます。

 条例議案は,法令の改正に伴うものなど10件です。

 このうち,市第55号高知市職員特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例議案につきましては,感染症法上の新型コロナウイルス感染症の位置付けが先月8日から5類に移行されたことに伴い,「新型コロナウイルス感染症関係業務手当」を廃止するものです。

 また,市第56号高知市税条例の一部を改正する条例議案は,道路交通法等の改正により,従前の原動機付自転車と区分して,一定の条件を満たす電動キックボード等の特定小型原動機付自転車が新たに創設されることに伴い,道路交通法等の施行日である7月1日以降,課税標識であるナンバープレートを交付する必要が生ずることから,分離議決をお願いいたしますので,よろしくお願いします。

 その他の議案は,一般会計補正予算についての市長専決処分の承認議案など7件となっています。

 このうち,市第65号令和5年度高知市一般会計補正予算についての市長専決処分の承認議案は,住民税非課税世帯等に対する「住民税非課税世帯等生活支援給付金」や,低所得の子育て世帯に対する「子育て世帯生活支援特別給付金」のほか,それぞれの給付金の支給に向けた業務委託を速やかに進めるための事務費など,総額24億2,000万円を計上した補正予算を4月7日付けで市長専決処分いたしましたので,市議会のご承認を求めるものであります。

 報告17件につきましては,繰越計算書など,いずれも法令所定の手続によりご報告するものです。

 

9 次期市長選挙

 最後になりますが,私の市長としての去就について申し上げます。

 平成15年11月30日に,多くの市民の皆様や市議会の皆様方の温かいご支援を賜り,市長に就任させていただき,5期20年目を迎えることができています。

 日々,「市民の皆様の命と財産を守る」ことの重責を強く感じながら,これまで市長としての職責を果たすことができておりますのも,市議会の皆様方からのご支援と市民の皆様の温かいご理解のおかげであり,心から感謝を申し上げます。

 一期目の市長就任当時から,本市の財政状況は,「三位一体改革による地方交付税の突然の削減」などにより,赤字団体への転落が危ぶまれるなど,危機的な財政状況に直面いたしました。

 市議会や市民の皆様の多大なるご理解とご協力のもとに,職員数の大幅な削減や事務事業の厳しい見直しによる事業凍結や廃止を進めるとともに,職員の給与カット,需用費等の節減など,徹底した行財政改革を進めました。

 厳しい財政状況の中においても,私の命題である「市民の皆様の命と暮らしを必ず守る」という強い信念のもと,高知県との歩みを合わせながら,県市連携により共通の重要課題に取り組んでまいりました。

 難しい財政再建との両立を図りつつ,高知医療センターの整備をはじめ,西部健康福祉センター,総合あんしんセンター,津波避難タワーの整備など,着実に社会福祉や防災面等における基盤強化を進めました。

 急速な人口減少が進む中で,平成17年には「鏡村及び土佐山村」との合併を進め,続いて平成20年には春野町と合併させていただき,豊富な森林資源を合わせ持つ国土保全など多面的な機能を有する「中山間地域と県内屈指の施設園芸を誇る田園地域」の皆様に加わっていただき,バランスの取れた新しい高知市が誕生し,新市まちづくり計画を着実に進めることができたことを感謝申し上げます。

 平成23年の東日本大震災では,改めて南海トラフ地震の恐ろしさを痛感し,南海トラフ地震対策を加速化させ,合併特例債などの有利な財源をフルに活用し,新庁舎,消防署所などの施設整備を急ピッチで仕上げるとともに,学校,保育施設などの耐震補強,水道管の送水幹線二重化,下水処理場やポンプ場の整備を行うなど,市民の命と暮らしを守る取組を最優先に進めました。

 一方,市長就任以来,進行する人口減少や少子高齢化問題に加えて,ライフスタイルの変化や住民ニーズの多様化・複雑化など,市長就任当初と比べて,地域社会を取り巻く環境が大きく変化してきています。

 こうした時代の変化に対応すべく,子育て支援策として,中核市で初めてとなる保育所同時入所時の第2子無償化,所得制限なしの小学6年生までの医療費無償化,中学校給食の完全実施に向けた給食センターの整備等を行い,子育て世代の負担軽減や,子育てしやすい環境整備を積極的に進めました。

 令和の時代に入り,5期目がスタートしましたが,今期は,そのほとんどがコロナとの闘いの連続であり,長引くコロナ禍の中で,エネルギー価格高や物価高騰により深刻な打撃を受けた家計や地域経済への支援に全力で取り組んでいます。

 国からの交付金などの支援もあり,度重なる市議会臨時会の開催など,市議会の皆様,市民の皆様,医療従事者などの関係各位に多大なるご協力を賜りまして,コロナ対策を着実に進めることができました。

 コロナ禍の厳しい最前線に立たされた市議会の皆様や職員の方々には,現場でのコロナ対応に精力的に従事していただき,疲弊が激しい中にあっても,山積する業務に精力的に取り組んでいただき,感謝しております。

 国の交付金を最大限活用した水道料金や保育料負担の軽減など物価高騰への支援を行い,路面電車・路線バス等の無料デーなど,本市独自の事業者支援や需要喚起策にスピード感を持って取り組み,厳しい経済環境の中で成果を挙げることができたと考えます。

 独自策を打ち出す一方で,感染力の強いデルタ株が猛威を振るった第5波の際には,宿泊療養施設の人数制限からやむを得ず,一部の患者様には自宅療養をお願いすることとなり,患者様とご家族の方々には不安な思いをさせてしまったことが反省点であります。

 現在の私の5期目の多くの時間をコロナ対策に奪われましたが,市民の皆様の命と暮らしを守る取組に終わりはなく,現在においても大きな課題が残っています。

 喫緊の重要課題としては,コロナで大きく落ち込んだ直面する地域経済の復興,近づきつつある南海トラフ地震の事前復興まちづくり計画の策定,有事とも言える少子化に伴う人口減少対策が直面する最大の課題であります。

 さらに,高齢化が進むこれからの社会には,一人ひとりが手を携えながら,ともに支え合い,ともに生きていく共生のまちづくりが不可欠であります。

 こうした本市が直面する重要課題に真摯に向き合い,高知市型共生社会の実現や地域経済の早期の復興をはじめとする重点事業の仕上げに向けて,市民の皆様や市議会の方々のご支援をいただけますならば,市政発展の仕上げのために全力で取り組んでまいりたいと決意を新たにしておりますので,ご理解を賜りたいと存じます。

 以上,提出をいたしました議案について,概要の説明を申し上げましたが,よろしくご審議の上,適切なご決定をお願いいたします。