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第498回高知市議会定例会市長説明要旨(令和5年9月6日)
第498回高知市議会定例会市長説明要旨
令和5年9月6日
第498回高知市議会定例会にご出席をいただき,まことにありがとうございます。
議案の説明に先立ち,当面する市政課題に関連して,ご報告と考え方を申し上げ,ご理解を賜りたいと存じます。
1 20年の取組成果
最初に,今任期中の最後の市議会定例会となりますので,市長として就任させていただいた20年の市政の歩みについて申し上げることをお許しいただきたいと存じます。
平成15年11月,本市の発展と躍進が期待されていた重要な時期に,市長という重責をいただいて以来,5期20年間,日々,「市民の皆様の命と暮らしを守る」ことを強く意識しながら,市政発展に向けて全力で取り組んでまいりました。
これまで市長としての重責を果たすことができておりますのも,歴代の市議会の皆様や市民の皆様方の温かいご支援,ご理解のおかげであり,心から感謝を申し上げます。
市長就任直後に直面した厳しい財政状況につきましては,市議会や市民の皆様の多大なるご理解とご協力の下,本市における職員数の大幅削減や事業の凍結,事務事業の廃止・見直しなど,徹底した行財政改革を進め,市議会や職員とともに財政再建を果たしてまいりました。
厳しい財政状況でありましたが,「市民の皆様の命と暮らしを守る」という強い信念の下に,高知県と歩みを合わせて県市連携を強化しながら,高知医療センターの整備をはじめ,西部健康福祉センター,総合あんしんセンター,津波避難タワーの整備を推進し,社会福祉や防災分野の基盤強化を着実に進めるとともに,弥右衛門地区,潮江西部地区,高知駅周辺地区の区画整理事業に加えて,旭駅周辺地区の市街地整備や街路整備,産業活性化のための新産業団地整備など,都市基盤の強化を図ってまいりました。
その最中に発生しました平成23年の東日本大震災では,改めて大震災の恐ろしさを痛感し,市民の皆様の命と暮らしを守ることを最優先に,南海トラフ地震対策を加速化させ,本庁舎の全面改築,消防署所などの施設再編成,学校・保育施設などの耐震補強工事,水道管の送水幹線の二重化,下水処理場やポンプ場の整備などに重点的に取り組んでまいりました。
また,全国初の県市合築による新図書館等複合施設「オーテピア」の整備や,中学校給食完全実施に向けた給食センターの建設,全ての小中学校等への空調設備の整備などを行ったほか,最近ではデジタル化の進展に合わせ,GIGAスクール構想の実現を図るなど,コロナ禍の中で教育環境を充実させてまいりました。
ソフト面では,中核市で初めてとなる保育所同時入所時の第2子保育料無償化など,子育て世代の負担軽減や子育てしやすい環境づくりを積極的に進めたほか,中山間地域等でのデマンド型乗合タクシーの開始など,市民の皆様の暮らしをサポートする施策にも積極的に取り組んでいます。
一方では,急速な人口減少が進む中で,効率的な行財政運営が求められ,広域的な対応が必要になり,本市では平成17年の鏡村及び土佐山村,平成20年の春野町との合併に伴い,豊富な森林資源や多面的な機能を有する中山間地域,県内屈指の施設園芸を誇る田園地域を併せ持つバランスのとれた「新しい高知市」が誕生し,新市まちづくり計画を着実に進めることができたことに感謝を申し上げます。
併せて,平成30年3月には,県内33市町村及び高知県と連携協約を締結し,「れんけいこうち広域都市圏」を設立し,県内全市町村との連携を図り,その中心市として,人口減少の克服や圏域経済の活性化に向けて,県全体をけん引する役割を担ってまいりました。
令和の時代に入った5期目につきましては,そのほとんどがコロナとの闘いの連続であり,長引くコロナ禍の中で,臨時市議会を随時開催していただきました。
国からのコロナ交付金を最大限に活用し,感染対策への取組はもとより,水道料金や保育料の軽減など,物価高騰への積極的な支援を速やかに行いながら,路面電車・路線バス等の無料デーなど,本市独自の事業者支援や需要喚起策にスピード感を持って取り組んでまいりました。
コロナ禍の中,厳しい最前線に立たされました市議会の皆様や職員の方々には,度重なる臨時市議会の開催や現場での山積するコロナ対応に,疲弊が激しい中で精力的に従事していただき,また医療従事者などの関係者の皆様にも多大なるご協力を賜り,改めまして深く感謝を申し上げます。
これまでの間,一貫して「市民の皆様の命と暮らしを守る」との強い思いがあり,残っております大きな課題に対しても強い決意を持って,全力で取組を進めてまいります。
喫緊の重要課題としては,「コロナで大きく落ち込んだ地域経済の早期の復興」「近づきつつある南海トラフ地震への事前復興対策」「有事とも言える少子化に伴う人口減少対策」があります。
また,ライフスタイルの変化や住民ニーズの多様化・複雑化,デジタル化の進展など,地域社会を取り巻く環境が大きく変化してきている中で,時代の変化に応じて行政も柔軟に対応していく必要があります。
特に高齢化が進むこれからの社会において,「一人ひとりがともに支え合い,ともに生きていく共生のまちづくり」が不可欠であります。
こうした直面する本市の重要課題に真摯に向き合い,これまで積み上げてきた実績を次の世代につなげ,地域経済の復興を着実に図り,市民の皆様が「安心して暮らすことができ,住み続けられるまちづくり」の総仕上げに向けて,全力で取り組む決意を新たにしております。
具体的なマニフェストにつきましては,支援者や市議会の皆様からのご意見をいただき,政策内容を取りまとめ,早期に公表してまいりますので,ご理解を賜りたいと存じます。
2 国政・経済の動向
次に,国政の動向と我が国の経済状況について申し上げます。
先月15日に内閣府が発表した本年4月から6月期の国内総生産の速報値では,個人消費がマイナスになるなど,長引く物価高の影響により内需が力強さを欠きましたが,外需の回復がけん引し,実質成長率は前期比1.5パーセント増,年率換算では6.0パーセント増となり,3四半期連続のプラス成長となりました。
直近の物価動向では,総務省が先月18日に発表した7月の消費者物価指数において,生鮮食品を除く指数が「前年同月比3.1パーセント上昇」し,食料品などを中心に高い伸びが続いています。
昨年に引き続き,食品の値上げによる家計の圧迫が続いており,厚生労働省が先月25日に発表した6月分の「毎月勤労統計調査」では,物価の影響を考慮した実質賃金は「前年同月比で1.6パーセント減少」し,15か月連続で前年を下回っています。
こうした経済状況の下,7月25日の閣議で了解された国の「令和6年度予算概算要求基準」では,本年度の「骨太の方針」を踏まえ,経済・財政一体改革を着実に推進する一方で,昨年度と同様に「重要な政策の選択肢をせばめることがあってはならない」とされ,新しい資本主義の加速や防衛力の抜本強化等を踏まえた重要な政策推進に向けて,「重要政策推進枠」が設けられました。
地方交付税交付金等については,「新経済・財政再生計画との整合性に留意しつつ要求すること」とされており,この方針を踏まえ,先月31日に総務省が発表した来年度の地方財政収支の仮試算では,社会保障関係費等の増加が見込まれる中で,地方の安定的な財政運営に必要な「一般財源総額については,本年度の地方財政計画の水準を下回らないよう実質的に同水準を確保する」としています。
加えて,地方公共団体にとりましても多額の新たな財政負担が生じる「こども・子育て政策の強化」については,国と地方が車の両輪となって取り組むことができるよう,「こども未来戦略方針」等を踏まえて「地方財源を適切に確保する」とされ,交付団体ベースでの一般財源総額は,対前年度比で6,000億円増となる62兆8,000億円を見込んでいます。
今後,こども・子育て施策に係る経費の普通交付税への適切な算入方法などを国に強く要望してまいります。
併せて,現在,政府が実施しているガソリンや電気・ガス料金の高騰に対する負担軽減対策の補助金が延長される予定となっており,原油高と円安が進行する中で,大型の経済対策を策定する方針が示されていますので,今後の国の動向を十分に注視してまいります。
3 新型コロナウイルス対策
次に,新型コロナウイルス対策について申し上げます。
新型コロナウイルスの全国の感染状況は,6月下旬から7月にかけて感染者数が増加し,7月24日の週には1医療機関当たりの患者数が全国平均で15.91人となり,高知県でも同時期に20.45人と全国平均を上回っていました。
先月27日までの1週間では1医療機関当たりの患者数が全国平均では19.07人で前の週から横ばいとなり,高知県でも19.86人で全国平均並みとなっています。
感染症法上の位置付けが変わりましても,感染力が衰えたわけではありませんので,今後の感染増加に留意するとともに,市民の皆様には,発生動向に応じて注意喚起や感染対策の徹底を呼びかけてまいります。
次に,本市におけるワクチンの接種状況について申し上げます。
新型コロナウイルス感染症の5類への移行後,夏の感染拡大に備えるため,「65歳以上の方や基礎疾患を有する方等の重症化リスクの高い方」に限定して実施する追加接種の状況につきましては,先月29日時点での65歳以上の方の接種率は,全国平均で55.4パーセント,本市では51.0パーセントにとどまっています。
また,これまで,冬の感染拡大に備えるために,9月以降,初回接種が完了した5歳以上の方全員が無料で追加接種を1回受けられるという方針が国から示されていましたが,先月4日に国から詳細が示され,対象者は生後6か月以上の方に引き下げられるとともに,接種開始が今月20日からとされました。
今月20日以降の追加接種では,現在感染の主流株となっている「オミクロン株XBB.1系統」に対応した「オミクロン株XBB.1.5対応1価ワクチン」が使用されることとなりましたので,高知県とも連携を密にし,必要なワクチン量を確保しつつ,市医師会等の各関係機関や医療機関等の積極的なご協力を賜り,ワクチン接種の推進に全力で取り組んでまいります。
4 県市連携会議
次に,先月31日に開催した「県市連携会議」について申し上げます。
今回の連携会議では,「経済の活性化」,「健康福祉」,「災害への対応」,「水道の広域化」の4つのテーマについて,浜田高知県知事と具体的な協議を行いました。
まず,「経済の活性化」では,人口減少対策として,若者世代の地元定着に向けた取組や移住者の確保を重点的に推進しながら,安心して出産・子育てが実現できる環境整備に向けて,県と連携して国への提言を行っていくことを確認し,次期高知市まち・ひと・しごと創生総合戦略の中でも具体的な取組を進めていくこととしました。
また,物価高騰対策としては,事業者の実情に合わせたきめ細やかな支援,また,農林水産分野では,本年6月議会でお認めいただいた資材・燃油等の高騰への追加支援を速やかに進めるなど,地域経済の立て直しを図ることとしました。
観光面では,チャーター便を契機とした台湾との交流拡大に向けて,11月に高知市訪問団が高知市役所踊り子隊とともに高雄市を訪問する際に,県も同行してチャーター便の旅行商品のプロモーションを実施するほか,外国人観光客の増加に伴う市内宿泊施設の人手不足の解消に向けて,外国人材の活用可能性について県市連携で検討することとしました。
環境面では,カーボンニュートラルの実現に向けて,今年度から実施している家庭用太陽光発電設備や事業者用高効率機器の導入補助など,県市相互の制度や取組の普及啓発等を,各種イベントやセミナーを通じて幅広く「オール高知」で行っていくこととしました。
次に,「健康福祉」では,健康寿命の延伸に向けた糖尿病性腎症の重症化予防対策の充実強化や,高知家健康パスポートアプリと本市いきいき健康チャレンジの取組等を連動させた健康づくりに引き続き取り組むこととしました。
次に,「災害への対応」では,盛土規制法の本年5月26日の施行を受け,崖崩れや土砂災害を防止するための規制区域を指定し,令和7年度から新たな規制を開始する必要がありますので,本市及び隣接市町の整合性を確保するため,県市で情報共有しながら対応していくことや,江ノ口川流域の浸水対策を県市で検討・調整しながら進めていくことを確認しました。
次に,「水道の広域化」では,「高知県水道広域化推進プラン」に基づく水道業務のシステムの共同化や受け皿となる支援組織の構築等に対し,本市としても,職員の人材育成や技術の継承など,県と協議・調整し,必要な支援を行っていくこととしました。
5 観光振興
次に,観光振興について申し上げます。
本市の夏を代表するよさこい祭りは,第70回の節目の大会を迎え,一時は台風6号の影響により開催が危ぶまれましたが,4年ぶりの「通常開催」を盛大に終えることができました。
よさこい祭りにかける踊り子や,祭りを楽しみにする観客の皆様,祭りを支える関係者の皆様の熱い思いを強く感じるとともに,参加した157チーム・約14,000人の踊り子さんが,強い雨が降りしきる中で,全力で踊る姿に「高知のよさこいが帰ってきた」と胸が熱くなりました。
協賛をいただきましたスポンサーの皆様をはじめ,ご尽力を賜りました多くの関係者の皆様方に感謝を申し上げます。
今年のよさこい祭りでは,主催者であるよさこい祭振興会により,70回を記念した新たな取組が展開され,公式ロゴの作成をはじめ,「よさこいLINE」の運用やスタンプラリー「よさこ印帳」の実施など,開催の盛り上げが図られました。
本市では,高知市出身の人気イラストレーター窪之内英策氏による「高知のよさこい」をイメージした「高知の本気」と題したイラストを活用し,ポスター掲示をはじめ,帯屋町アーケードへの大型フラフの掲出や,ラッピング電車の運行等によるPRを積極的に行い,大好評でありました。
課題となっています競演場・演舞場が抱える人手不足への対応策として,新たに県市職員が運営スタッフとして運営支援業務に従事したほか,「よさこいLINE」でのボランティア募集告知なども行われました。
今後,4年ぶりの通常開催となったよさこい祭りの反省会において,関係者間で課題を振り返りながら,来年に向けた検討を進め,次期80周年の開催を目指し取り組んでまいります。
6 市長と語ろう会
次に,市長と語ろう会について申し上げます。
本市では,職員一人ひとりが,より戦略的な広聴・広報の取組を展開する実行計画である「第2期高知市広聴広報戦略プラン」に基づき,多面的な広聴・広報活動に取り組んでいます。
その一環として,市民の皆様や市内事業者の方々から,市の重点施策や事業等について,それぞれの視点からご意見やご提案等をいただくことを目的に,平成29年度から市長と語ろう会を実施しています。
今年度は,7月9日と8月22日の2回,情報発信やまちづくりに関心のある学生や生徒,児童の皆様を対象に,「若者にささる これからの広聴・広報を考える」をテーマに意見交換を行いました。
参加をいただいた皆様からは,「行政への申請手続を動画配信してはどうか」「自分たちの活動を広報できる手段がほしい」「ホームページでは知りたい情報に行きつかない」「若者をターゲットにしたショートムービーを活用してはどうか」など,様々なご意見をいただくとともに,若い世代の皆様が行政にどのような情報を求め,どうすれば行政に興味が持てるかなど,若い皆様からの視点で多くのご提案をいただき,感謝しています。
これらのご意見・ご提案は,今年度に策定予定の次期戦略プランで検討している「デジタル化などの新しい情報発信ツールを活用し,ターゲットを意識した広聴・広報」を進めていく上でも貴重なものとなりました。
今後とも市民の皆様が提案等ができる機会を増やし,市政に対する関心を高め,ご理解を深めるとともに,各地域や世代等による個別課題を世代間で共有し,パートナーシップのまちづくりを推進してまいります。
7 こうち志議会
次に,「こうち志議会」について申し上げます。
先月24日に開催した「こうち志議会」では,高知市立中学校,義務教育学校,高知商業高校の総勢23名の生徒の皆さんに議長,副議長及び議員を務めていただきました。
「こうち志議会」は今回で6回目となり,高知市教育大綱の基本目標の一つである「夢・希望・志をもって社会を生き抜く人づくり」の実現に向け,「土佐の先人のように志をもち,自ら未来を切り拓いていくことのできる人になってほしい」との思いを込めて,開催されました。
本議会の議員となられた生徒の皆さんからは,日頃感じている学校生活のことだけでなく,市政についての疑問,地域振興,防災,交通安全対策,環境問題,人口減少・少子化問題,特別なニーズに対応する教育等について,計21問のご質問やご提言をいただきました。
併せて,志議会の最後に,生徒の皆さんからの提案を取りまとめて作成された「こうち志議会宣言」の結びにおいて,「高知市民の一員という自覚を持ち,高知や日本,そして世界について学び,高知市がさらに輝く未来のまちづくりに参加していく」ことを力強く表明され,生徒の皆さんが将来の高知市のより良いまちづくりを進めてくれることが期待でき,感謝申し上げます。
今回の「こうち志議会」のように,これからの社会を担う子どもたちが市政に対する関心を高め,積極的に参画する姿勢を育てる取組を今後も大切にしてまいります。
8 学力向上対策等
次に,学力向上対策等について申し上げます。
本市では,令和3年度からの4年間を「学力向上アクティブ・プラン第2期」と位置付け,「学力向上推進室」を中心に,訪問指導を積極的に行い,教員の資質・指導力の向上や授業改善等の取組を進め,児童生徒の学力向上対策を推進しています。
7月31日には,本年4月に実施された「全国学力・学習状況調査」の結果が公表され,本年度の結果については,「小学校」では,国語・算数とも引き続き全国平均を上回り,これまでの各学校の取組の成果が出ていることを嬉しく思います。
「中学校」では,本年度は英語が4年ぶりに加わり,「国語・数学・英語の三教科」で実施されました。
いずれの教科も全国平均を下回っており,依然として課題が見られますが,数学では過去最高の結果となるなど,調査開始以降,改善傾向が続いており,成果につながってきています。
本調査をこれまでの本市の取組の検証機会としながら,さらなる指導改善を図ることで,子どもたち一人ひとりの確かな学びの保障につなげることを目指しています。
先月31日には,知事,市長ともに出席した「教育版の県市連携会議」を開催し,「学力向上の取組」,「不登校対策」,「保幼小連携・接続の取組」について具体的な協議を行いました。
私からは,「学力向上推進室への人員配置」等を含め,課題解決のための継続的な支援をいただいていることに対し,浜田高知県知事に感謝を申し上げ,引き続き県市が連携して取組を進めていくことを確認いたしました。
今後とも学力の課題解決を一層進めるために本調査の分析結果を活用し,子どもの資質・能力を育成する授業づくりや学校における人材育成について,学力向上推進室を中心に支援するとともに,学校と協働して,子どもたち一人ひとりの学びを大切にした授業改善に取り組み,義務教育9年間の学習指導の充実をさらに図ってまいります。
9 補正予算・予算外議案
以下,議案についてご説明を申し上げます。
今回提出いたしました議案は,予算議案6件,条例議案7件,その他議案9件です。
今回の補正予算は,市内最大の六泉寺町市営住宅などの統合建替えに係る検討を行うために必要な基本計画の策定等に係る経費や,農地の湛水被害等が発生している春野町仁ノ地区の排水路整備の前倒しに係る経費等を中心に予算計上しましたので,主な内容について順次申し上げます。
まず,「六泉寺町市営住宅等再編事業」については,市内最大の六泉寺町市営住宅は昭和40年代に建築され,老朽化が課題ですので,近隣の北百石町市営住宅や丸池町市営住宅と統合し,六泉寺町の現位置で建替えを行うこととします。
六泉寺町市営住宅は,南海トラフ地震による津波浸水予測では,約3メートルの浸水被害が想定されるエリアにあり,津波による浸水被害のおそれがあることから,市営住宅に入居される皆様の命や財産を守ることを最優先に,周辺地域の津波避難ビル対応等を視野に入れた高層化などの検討を行うため,必要な基本計画の策定及び民間活力導入可能性調査に係る経費を補正するものです。
現在,対象となる3か所の市営住宅にお住まいの住民の皆様にアンケート調査を実施していますので,今後はこのアンケート結果を踏まえ,整備する戸数や団地編成によって生じる余剰地の利活用などについて具体的に検討してまいります。
次に,「仁ノ地区排水路整備事業」について申し上げます。
春野町仁ノ地区では,耕作放棄地の増加や水田から畑地への転換といった近年の土地利用の変化などにより,雨による農地の湛水被害等がたびたび発生していることから,被害の軽減を図るための内水対策として,令和2年度までに排水機場の施設整備が完了し,供用を開始しています。
現在進めている排水路整備については,令和元年度に下流部から工事に着手し,順次整備を進めていますが,最近の被害状況を受けて,令和6年度に予定していた工事を前倒しして実施し,早期の全線完成を図ろうとするものです。
次に,「産後ケア事業」について申し上げます。
産後ケア事業は,出産直後の母子に対する支援として,主に助産師等が育児相談や授乳指導を通して,心身のケアや育児のサポート等を行うもので,助産所等に宿泊してケアを受ける「宿泊型」,ご自宅でケアを受ける「訪問型」,施設に通いケアを受ける「通所型」の3種類の事業を実施しています。
今年度は,「宿泊型」の1泊目にかかる利用者負担金8千円を半額に減額し,利用者負担を軽減するとともに,2泊目以降の施設への委託料を増額することで,支援を必要とする方々の利用促進と利用可能な施設の拡充を図った結果,新たな医療機関と助産所に委託先に加わっていただけました。
特に「宿泊型」と「通所型」の利用者数が当初の想定を大きく上回って推移していることから,その必要な予算を増額するものです。
母親とそのご家族に心身ともにリラックスしていただくことで,産後のうつや,不適切な養育等の予防につなげ,健やかな育児ができるよう積極的に支援してまいります。
次に,「精神障害者アウトリーチ支援事業」について申し上げます。
社会情勢の変化により,複合化・複雑化・多様化した課題を抱える世帯が増え,一つの部署だけでは解決できない相談が急増していますので,これらの課題に対して,昨年度から重層的支援体制整備事業を開始するなど支援力強化に取り組み,庁内で連携して支援を行っているところです。
ご相談の中には,精神障害が疑われる方や精神科医療を中断した方など,医療的支援が必要であるにもかかわらず,支援が受けられていないために精神症状が悪化した結果,在宅生活の継続が困難になるなど,医療の早期介入が必要なケースが増えてきています。
こうした支援が不可欠な方々の重症化を予防し,安心して地域で暮らしていくことができるよう,出向かなければ受けられない現状の医療的支援ではなく,必要な医療を早期に提供するための「医療が出向く」体制を構築するため,精神保健福祉士をはじめとする多職種による「訪問支援いわゆるアウトリーチ支援」を来年度から行うこととしましたので,新たに契約するために必要となる債務負担行為の設定を行うものです。
以上,申し上げました内容によりまして,提案しております今回の補正規模は,
一般会計 7億1,500万円の増額
特別会計 5億4,413万6千円の減額
であり,補正後の予算規模は,全会計の純計で2,754億638万9千円となり,この補正予算の財源として,特定財源である国庫支出金や市債等を充当し,一般財源では地方交付税を充当いたしました。
次に,予算外議案について申し上げます。
条例議案は,法令の改正に伴うものなど7件です。
このうち,市第84号高知市国民健康保険条例の一部を改正する条例議案は,国民健康保険法施行令の改正に伴い,被保険者の産前産後期間に係る所得割額及び均等割額について,単胎妊娠の場合は4か月間,多胎妊娠の場合は6か月間の免除を行うものです。
その他の議案は,来月22日に予定されております参議院議員選挙に係る総額1億1,600万円を計上した一般会計補正予算についての市長専決処分の承認議案など9件となっており,このうち決算の認定議案等につきましては,この後,上下水道事業管理者及び財務部長から概要の説明を申し上げます。
報告7件につきましては,継続費の精算報告や財政健全化法関連数値の報告など,いずれも法令所定の手続によりご報告するものです。
以上,提出をいたしました議案について,概要の説明を申し上げましたが,よろしくご審議の上,適切なご決定をお願いいたします。