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第503回高知市議会定例会市長説明要旨(令和6年9月9日)

第503回高知市議会定例会市長説明要旨

 

令和6年9月9日

 

 第503回高知市議会定例会にご出席をいただき,まことにありがとうございます。


 議案の説明に先立ち,当面する市政課題に関連して,ご報告と考え方を申し上げ,ご理解を賜りたいと存じます。


 1 南海トラフ地震対策


 まず,南海トラフ地震対策について申し上げます。


 先月8日,気象庁は日向灘を震源とするマグニチュード7.1の地震発生を受け,令和元年の運用開始後初となる「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)」を発表しました。


 今回の発表は,お盆の時期と重なったこともあり,本市にも多くのお問い合わせをいただくとともに,宿泊のキャンセルやよさこい祭りを辞退するチームが出るなど,多方面に影響が生じる事態となりました。


 本市では,「高知市南海トラフ地震臨時情報に係る防災対応方針」に基づき,24時間体制で情報収集等を行いながら,自主避難をされる方を対象とした避難所を開設するとともに,緊急速報メール等を活用し,市民の皆様に地震への備えについて再確認等を呼びかけました。


 その後,南海トラフ地震の想定震源域において地震活動等に特段の変化が観測されなかったことから,国,県の動向も踏まえ,8月15日17時をもって,今回の臨時情報による特別な注意の呼びかけを終了しました。しかしながら,国の発表にもありますように,南海トラフ地震発生の可能性がなくなったわけではなく,注意が必要なことに変わりはありません。

 

 本市においては,今回の臨時情報に対する対応を検証するとともに,南海トラフ地震への対策をさらに加速してまいります。


 市民の皆様におかれましては,引き続き,住宅の耐震化や家具の固定,避難場所や非常持ち出し品の確認など,地震への備えを進めていただきますようお願い申し上げます。


 また,先月4日から6日までの間,能登半島地震の被災地を訪問し,復興状況等を視察してまいりました。今回の視察では,訪問した七尾市や志賀町,輪島市の各自治体から災害対応における課題などを伺ったほか,幹線道路が限られ,迂回路も少ないことなどの地理的要因や旧耐震基準で建てられた古い木造住宅が多かったことなど,地域の特性や日常からの課題が被害となって顕在化していることを目の当たりにし,改めて事前対策の重要性について思いを強くしたところです。


 特に,来るべき南海トラフ地震に向けて,市民の生命・財産を守るためには,住宅の安全性を高めることが重要です。


 このため,本年度の当初予算では,「住宅耐震化推進事業」について,耐震改修補助金の上限額を110万円から120万円に引き上げるとともに,能登半島地震による市民の皆様の危機意識の高まりを想定し,昨年度当初予算比較で,約100件分を増額し,325件分の費用を予算計上したところです。


 しかしながら,8月末までに当初の想定を超える332件,前年度比約280パーセントの申請をいただくとともに,臨時情報が発表されて以降は,本事業への問い合わせがさらに増加しており,今議会では,さらに325件分,約4億5千万円の補正予算を計上しています。


 また,室内の安全確保対策として実施しております「家具等転倒防止対策事業」につきましても,当初の想定を超える多くの申込をいただいたことから,当初予算で計上した90件に対し,200件まで拡充し対応しておりましたが,先月27日に200件に達し,本年度の受付を終了したところです。


 一方で,本市としまして,市民の皆様のニーズに応え,家具等の転倒防止対策を進める必要がありますので,現在,さらに拡充するための手続を進めており,1日でも早く受付を再開できるように取り組んでまいります。


 2 長浜小学校プール事故の検証


 次に,7月5日に発生した長浜小学校プール事故の検証について申し上げます。


 7月市議会臨時会では,事故原因や再発防止策等を調査・検証するため,「高知市立長浜小学校児童プール事故検証委員会」に関する補正予算と関係条例をご承認いただきました。


 その後,教育委員会において,検証委員会の開催に向けて準備を進め,プールの安全に関する専門家,体育授業に関する専門家,弁護士,医師,臨床心理士,大学教授の7名の方々を委員に委嘱し,先月24日に第1回検証委員会が開催されました。


 検証委員会の開催に当たりましては,ご遺族の方々に,大変な状況にもかかわらず資料や情報を提供していただくなど,多大なるご協力を賜っており,この場をお借りいたしまして,深く感謝を申し上げます。


 第1回検証委員会では,教育委員会から,検証目的や事故概要などを説明させていただき,委員の皆様には,今後の会議や調査の進め方などについてご協議していただきました。


 また,会議終了後には,事故当時の状況を確認するための現地調査も行われ,委員のうち,プールの安全に関する専門家と体育授業に関する専門家の方々が,直接,南海中学校と長浜小学校のプールに入られるなど,調査・検証がされたところです。


 今後の検証委員会につきましても,調査・検証が円滑に進むように教育委員会をはじめ,関係部署が連携して全力で取り組んでまいります。


 また,今回のような痛ましい事故を二度と起こすことがないよう,検証委員会での検証結果や提言を十分に踏まえ,万全な安全対策に取り組んでまいります。


 3 パリ2024オリンピック・パラリンピック


 次に,パリ2024オリンピック・パラリンピックについて申し上げます。


 世界中の国々から集まったオリンピアンやパラリンピアンが熱戦を繰り広げたパリ2024オリンピック・パラリンピックが,日本時間の今朝,閉会しました。


 今回の大会は,パリの街中も競技会場となり,大勢の観客の熱気や声援の中,多くの選手が素晴らしいパフォーマンスを披露されました。


 特に,ともに高知県出身で,幼馴染の二人が金メダルを獲得されたことは,大変嬉しく,私の記憶に鮮明に残っています。


 振り返ってみますと,まず,先月10日に,レスリング女子57キログラム級で,櫻井つぐみ選手が圧巻の強さを見せ,県勢として92年ぶりとなる金メダルを獲得されました。


 続いて11日には,レスリング男子フリースタイル65キログラム級で,清岡幸大郎選手が「最後まで攻め続ける」という清岡選手らしいレスリングで金メダルを獲得されました。


 私もパブリックビューイングで観戦していましたが,決勝戦で勝利が決まった瞬間,喜びを爆発させた清岡選手の姿は,今でも目に焼き付いているほど大変感動しました。


 先月の22日には,両選手に高知市役所を訪問いただき,夢の舞台オリンピックでの試合の様子や切磋琢磨してきたこれまでの道のり,地元高知からの応援への感謝など,大変興味深いお話を伺うことができました。


 加えて,ビーチバレーボールには,里見真理子さんが国際審判員として3大会連続で参加し,パリの象徴エッフェル塔を望むビーチバレー会場で,満員の観客の中,2試合の主審を含む全13試合で審判を務められました。


 また,パラリンピックでも本市出身の選手の方々が大活躍されました。


 車いすラグビーでは,池透暢選手がキャプテンとして躍動され,見事悲願の金メダルを獲得されました。


 さらに,陸上女子円盤投げでは,今回の大会が初出場となった鬼谷慶子選手が銀メダルに輝き,バドミントンでは,藤原大輔選手が東京大会に続き,二大会連続出場を果たし,シングルスで4位に入賞するという素晴らしい成績を収められました。


 本市ゆかりの選手が,世界の舞台で活躍する姿は,多くの市民の皆様に感動を与え,子どもたちに大きな夢と希望を与えるとともに,我々高知市民にとって大変誇らしいことです。


 本市としましても,金メダルを獲得した本市出身の清岡幸大郎選手と池透暢選手,銀メダルを獲得した鬼谷慶子選手へ市民栄誉賞を授与させていただくとともに,今後,県などとも連携し,メダリストの凱旋パレードを行いますので,ぜひ多くの県民市民の皆様にご参加いただき,オール高知で盛大にお祝いいたしましょう。


 4 人口減少対策


 次に,人口減少対策について申し上げます。


 本年度,県による新たな支援制度として「人口減少対策総合交付金」が創設されたことを受け,本市では交付金のうち,「基本配分型」を活用し,子どもの医療費助成の拡充や移住促進事業の強化を行うこととしています。


 加えて,手挙げ方式の「連携加算型」を最大限活用するため,5月に立ち上げたプロジェクトチームで検討を進めており,具体的に検討した事業の中から,今議会では3つの事業で交付金を活用する補正予算をお諮りしています。


 まず,人口減少の大きな要因であります若者の流出に歯止めをかけるため,新たな事業として,若者が社会人になる就職のタイミングにおいて高知市に残るという選択ができるよう,2つの事業を立ち上げ,雇用創出の拡充に取り組みます。


 1つ目の事業としまして,市内企業ではまだまだ実施が少ないインターンシップによる雇用促進を図るため,実施費用の一部を支援する「インターンシップ促進事業費補助金」を新設します。

 また,2つ目の事業としまして,就職に際し様々な企業活動に必要な国家資格等がなくても,就職後の資格取得を支援することで採用を拡大するとともに,離職を防ぐ「資格取得支援事業費補助金」を新設します。


 これらの2つの新規事業と併せて,本年度当初予算でお認めいただいた「業界研究ガイダンス」事業の実施を通じて,若者が市内・県内の企業や業界の魅力を知る機会を創出するとともに,今後,奨学金の返済支援や育休取得支援など,さらなる新規事業を検討し,高知市ならではの若者に特化した就職応援パッケージとして取組を進め,若者の県外流出を食い止め,人口増につなげてまいります。


 3つ目は,新たな人を市外から呼び込む「移住施策」の取組強化としまして,現在高知市を拠点とした二段階移住に活用しているお試し滞在施設「いっく」の運用戸数を「4戸」から「8戸」に拡大し,満室のため利用をお断りするケースなどで失っていた本市への訪問機会の拡充を図ります。


 この事業拡充を通じて,より多くの方に本市の魅力を気軽に体験していただき,移住者の増加につなげてまいります。


 こうした3つの事業に先行して取り組むとともに,引き続きプロジェクトチームにおいて,人口減少という喫緊の課題に対応するため,高校・大学等の就学から,就職,出会いや結婚,妊娠,出産,子育てと,ライフステージに応じた切れ目のない支援ができるよう,県の交付金を最大限活用しながら,全庁を挙げて対策を進めてまいります。


 5 観光振興


 次に,観光振興の取組について申し上げます。


 まず,先月開催されました「第71回よさこい祭り」と「高知市納涼花火大会」について申し上げます。


 今年のよさこい祭りは,南海トラフ地震臨時情報が開催日前日に発表されたことにより,開催に当たって難しい判断となりましたが,本市も参加した「よさこい祭振興会」の総務部会において,関係者と協議を行い,参加チームや観客に対して,緊急時の避難場所を周知するなど,関係者が一丸となって避難対策を行うこととし,予定どおり開催することが決定され,184チーム,約1万7千人の踊り子が参加し,暑さに負けず,全力で踊る姿を市内各所で披露していただきました。


 追手筋本部競演場も多くの観覧者で賑わい,昨年から導入したパラソル席を含め夜の部の桟敷席はほぼ完売するなど,多くの市民や観光客の皆様に,踊り子の熱い演舞を楽しんでいただきました。


 また,花火大会についても,主催者である高知市観光協会と協議し,よさこい祭りと同様の対策を講じることにより予定どおり開催し,みどりの広場に設置した観覧席がほぼ完売となるなど,多くの皆様に,夜空に咲く大輪の花を楽しんでいただくことができました。


 一方で,臨時情報の発表により,市内の宿泊施設では,キャンセルが相次ぎ,高知市旅館ホテル協同組合が発表した臨時情報に関連したキャンセルは,32施設で約6千5百件に上り,その損害額は8千3百万円余りとなるなど,甚大な被害を及ぼしました。


 臨時情報による特別な呼びかけは終了しましたが,南海トラフ地震のリスクを抱える自治体として,防災アプリの普及など,安心して観光できる体制づくりについて改めて検証し,関係者とともに検討を進めてまいります。


 次に,映画を活用したプロモーションについて申し上げます。


 本年6月1日から8月末までの期間で実施した「高知市×デカレンジャーコラボキャンペーン」では,ラッピング路面電車の運行をはじめ,帯屋町アーケードへのフラッグやフラフの掲出,デジタルサイネージでの動画放映などを行い,街中を「デカレン」一色に染め上げました。


 ロケ地巡りのデジタルスタンプラリーには,2千2百人を超える方に参加いただいており,そのうち半数以上の方が県外からの参加者でした。


 また,PR動画の再生回数は3万2千回を超え,インスタグラムを活用したハッシュタグキャンペーンにも800を超える投稿があるなど,「高知市×デカレンジャーコラボキャンペーン」を通じ,観光誘客が図られるとともに,本市の魅力発信が促進され,新たな高知ファンの獲得ができたものと考えています。


 6 観光・文化交流協定の締結


 次に,先月23日に,東京都渋谷区と締結しました「観光・文化交流協定」について申し上げます。


 平成13年に渋谷区で始まった「原宿表参道元氣祭スーパーよさこい」は,立ち上げ当初から,高知のよさこい祭り関係者や高知に縁のある方々が深く関わっており,主催者である商店街振興組合「原宿表参道欅会」の皆様と本市のよさこい祭振興会や競演場連合会の皆様,経済界の方々などを中心に交流が続けられてきました。


 そのような中,本年3月に,欅会の皆様から表敬訪問を受ける機会があり,その席上で,欅会から20年以上続いている交流をより一層深めるため,「高知市との協定締結について渋谷区と話し合いをしている。」という,大変ありがたいお話を伺いました。


 その後,渋谷区との協定締結に向け,協議を速やかに進めるよう関係部局に指示を出し,事務的な協議を進め,まずは観光面を中心とした交流を開始することで合意しましたので,本年のスーパーよさこいの開催に併せ,渋谷区役所において「観光・文化交流協定」を締結しました。


 この協定では,観光,文化及び産業の振興に関することのほか,住民同士の交流を促進することも掲げており,早速,11月2日と3日に代々木公園で開催される毎年約15万人が訪れる渋谷区最大規模の人気イベント「ふるさと渋谷フェスティバル2024」に本市の観光PRブースを出店するよう準備を進めているほか,来年5月には,渋谷区の中学生が修学旅行で高知を訪れることとなっております。


 今後は,観光や物産のPRなど,観光・産業面での連携を促進するとともに,住民同士の交流も積極的に促進し,今回の協定締結をきっかけとして,人と人との交流をより活発化させ,協定した分野以外にも連携の輪を広げてまいりたいと考えております。


 7 こうち志議会


 次に,「こうち志議会」について申し上げます。


 今回で7回目となりました「こうち志議会」は,高知市教育大綱の基本目標の一つである「夢・希望・志をもって社会を生き抜く人づくり」の実現に向け,「土佐の先人のように志をもち,自ら未来を切り拓いていくことのできる人になってほしい」との思いを込めて開催しています。


 本年度は,先月22日に開催され,高知市立中・義務教育学校及び高知商業高校の総勢23名の生徒の皆さんに議長,副議長及び議員を務めていただき,生徒の皆さんからは,日頃から感じている学校や市政に関する疑問をはじめ,地域振興,防災活動,交通安全対策,高知の魅力や観光,高齢化問題,教育などのご質問やご提言を計21問いただきました。


 また,生徒の皆さんから提出された内容をとりまとめた「こうち志議会宣言」では,「高知市の未来を作っているのは「こんな高知市にしたい」という思いを持った私たち自身である。そして,市政との連携や選挙を通して,さらに輝く高知の街づくりに私たちが参加していく。」という力強い言葉が宣言されました。


 私自身,初めて「こうち志議会」に出席させていただきましたが,生徒の皆さんの「まちづくり」に対する強い思いを聞くことができ,大変心強く感じました。


 「こうち志議会」のように,これからの社会を担う子どもたちが市政に対する関心を高め,積極的に参画する姿勢を育てる取組を今後も大切にするとともに,今回ご質問・ご提案いただきました内容につきましては,各部局で十分に協議し,今後の市政運営に生かしてまいります。


 8 税外収入の確保


 次に,税外収入の確保について申し上げます。


 まず,本市で初めての実施となる公共施設の「ネーミングライツ」について申し上げます。


 6月3日から7月31日まで募集した施設の命名権者となる「ネーミングライツパートナー」につきましては,対象の34施設中,12施設に対してご応募をいただき,選定委員会による審査を経て決定した優先交渉権者との契約を締結しました。


  10月1日から各施設において愛称の使用が開始されることになりますので,市民の皆様におかれましては,今回決定した愛称に親しみを持っていただき,各施設をさらにご愛顧いただきますようお願い申し上げます。


 また,今回の「ネーミングライツパートナー」につきましては,契約期間を原則3年としており,ネーミングライツ料として,年間で2,474万円,今年度は半年分の1,237万円の歳入が確保できることとなりますので,各施設を適正に管理するため,有効に活用いたします。


 なお,今回募集した施設で応募のなかった22の施設等につきましては,来月,二次募集を行うこととしています。


 ネーミングライツの取組を通してより多くの民間の皆様に本市のまちづくりに興味を持っていただき,さらなる官民一体による活力あるまちづくりにつなげてまいりたいと考えていますので,引き続き,事業者の皆様には,ご検討をよろしくお願いいたします。


 次に,ふるさと納税の取組について申し上げます。


 事業を推進する上で重要な役割を担う「ふるさと納税推進支援業務」,いわゆる中間委託業務につきまして,公募型プロポーザルによる事業者選定を経て契約を締結し,10月1日から新たな事業者に業務を履行していただくことになりました。


 当該事業者からは,本市のふるさと納税について,ポータルサイトの工夫や返礼品の開発等により,寄附額の増加が見込めるとお聞きしており,まずは,寄附額が増えてくる年末に向け,当該事業者の知見等を積極的に活用しながら,「マーケティング」や「プロモーション」,「返礼品提供事業者との連携」の強化に努め,本年度の目標額である10億円の寄附受入を目指してまいります。


 9 補正予算・予算外議案


 以下,議案についてご説明を申し上げます。


 今回提出いたしました議案は,予算議案5件,条例議案4件,その他議案7件です。


 今回の補正予算は,住宅耐震化推進事業など,市民の皆様の南海トラフ地震に対する危機意識の高まりによるニーズ増加に対応するための経費や来春のNHK連続テレビ小説「あんぱん」の放送に向けた観光誘客等を図るための経費,本市を訪れる観光客の受入体制の充実を図るため,中心商店街等にWi-Fi環境を整備する経費等を中心に予算計上しましたので,主な内容について順次申し上げます。


 まず,住宅耐震化推進事業については,先に申し上げましたとおり,能登半島地震や南海トラフ地震臨時情報の影響により,当初の想定を大きく上回る申請をいただいておりますので,旧耐震基準で建設された住宅の耐震化等に要する費用への補助金を増額するものです。


 また,来春の「あんぱん」放送に向けた観光誘客については,高知市観光協会が実施する高知旅の周遊促進キャンペーンに対する補助金と横山隆一記念まんが館で開催する特別企画展開催に関する経費を計上しました。


 「高知旅周遊促進事業費補助金」では,「あんぱん」の放送を契機とした観光誘客の取組として,市内の関連スポットを新たなフォトスポットとして演出するため,スマートフォンでの撮影時に,AR技術を活用したフォトフレームが表示される演出や関連スポットを周遊するスタンプラリーを実施するための経費を計上しました。


 事業の実施に当たっては,県や南国市,香美市,香南市等で構成される「物部川エリアでの観光博覧会実行委員会」とも連携し,スタンプラリーのポイントを物部川エリアに設置するなど,周遊を促進する取組を強化することで,滞在時間の延長を図り,観光消費額の増加を目指してまいります。


 次に,横山隆一記念まんが館における「まんが館特別企画展開催事業」について申し上げます。


 この事業は,やなせたかしさんと横山隆一さんとの接点やエピソードにスポットを当てた特別企画展を開催し,高知の漫画文化を強力に発信するなど,全国に本市の魅力を伝え,観光誘客を図るものです。


 開催に当たっては,「公益財団法人やなせたかし記念アンパンマンミュージアム振興財団」をはじめ,関係機関と連携するとともに,より効果的な取組となるよう,先に申し上げました高知旅の周遊促進キャンペーンとも連携してまいります。


 昨年春の「らんまん」の放映に引き続き,再び訪れた朝ドラ効果を最大限生かすとともに,放映終了後も関連スポットが新たな観光コンテンツとなるよう,磨き上げを行ってまいります。


 次に,「公衆無線LAN環境整備事業」について申し上げます。


 高知県では,令和5年度の外国人観光客の宿泊者数が過去最多の12万9千人を記録し,前年からの増加率が1,306.6パーセントで全国1位となるなど,インバウンド需要が高まっています。


 また,来年4月からは,訪日外国人350万人の来場を見込む「大阪・関西万博」が開催されることとなっており,このような好機にさらなる観光誘客を図るためには,より快適な高知旅を提供する受入体制の強化が必要であり,多くの観光客が訪れる中心商店街等にWi-Fi環境を整備する経費を計上いたしました。


 公衆無線LANとしては最新の規格である「Wi-Fi6(シックス)」を来年3月頃の運用開始を目指して整備することとしておりますので,観光客だけでなく,学生さんなど,日頃から中心商店街を訪れる市民・県民の皆様にもご利用いただければと思います。


 次に,「公共交通利用推進事業費補助金」について申し上げます。


 本事業につきましては,物価高騰の影響を受けた子育て世帯への支援に加え,本市の地域公共交通を担うとさでん交通など交通事業者を支援するため,本市にお住まいの中学生以上の生徒・学生を対象に,路面電車・路線バスの通学定期券が半額で購入できる「電車・バス 通学定期券“半額”応援キャンペーン」に係る経費を補助するもので,昨年12月定例会で補正予算をお認めいただき,本年3月からスタートしました。


 利用状況としまして,当初の想定を上回るご利用があり,昨年度との比較では,定期券の利用者数が1.4倍,販売額が2.2倍に増加するなど,このままの利用状況が続けば,10月には予算額に達する見込みとなっていますので,引き続き,子育て世帯の生活支援を行う必要があると判断し,本キャンペーンを継続するための経費として約1,800万円を計上しました。


 次に,「1か月児健診事業」について申し上げます。


 現在,本市では,未就学児に対する健康診査について,母子保健法で義務付けられている1歳6か月児及び3歳児健診のほか,1歳までの発達確認のための乳児健診として,生後4か月頃及び7か月頃を目安として2回の健診を実施しております。


 これらの健診に加え,1か月児健診を実施することで,より早期に疾病を発見し,治療につなげるとともに,養育環境を把握し,適切な保健指導を行うなど,乳児のさらなる健康の保持・増進を図ってまいります。なお,本事業は,県内で足並みを揃え,本年11月から県内一斉に開始する予定となっております。


 次に,「産後ケア事業」について申し上げます。


 産後ケア事業は,出産直後の母子に対する支援として,主に助産師等が育児相談や授乳指導を通して,心身のケアや育児のサポート等を行うもので,助産所等に宿泊してケアを受ける「宿泊型」,ご自宅でケアを受ける「訪問型」,施設に通いケアを受ける「通所型」の3種類の事業を実施しています。


 本事業につきましては,事業の周知度が上がったことや,利用された方の口コミなどにより利用者が増えており,本年度7月末までの延べ利用者数は,昨年度比で訪問型が約2.8倍,宿泊型が約2.2倍となるなど,想定を上回る利用状況となっておりますので,ニーズに対応するための予算を増額するものです。


 母親とそのご家族に心身ともにリラックスしていただくことで,育児の負担感や不安感を解消し,健やかな育児ができるよう積極的に支援してまいります。


 以上,申し上げました内容によりまして,提案しております今回の補正規模は,


 一般会計 6億9,200万円の増額


 特別会計 2億9,894万9千円の減額

 

 であり,補正後の予算規模は,全会計の純計で2,823億5,761万6千円となり,補正財源として,特定財源である国庫支出金や市債等を充当し,一般財源では地方交付税を充当いたしました。


 次に,予算外議案について申し上げます。


 条例議案は,法令の改正に伴うものなど4件です。


 このうち,市第110号高知市職員給与条例の一部を改正する条例議案につきましては,現在の6月期の勤勉手当に係る評定期間が,年度をまたぐ運用となっており,4月の人事異動によって評価者が変更となる場合や,被評価者の担当業務が変わる場合が多くあることから,国家公務員に準じて,年度単位での人事評価の結果により勤勉手当を支給することができるようにするため,勤勉手当に係る評定期間を見直すものです。


 また,市第112号高知市都市公園条例の一部を改正する条例議案は,国民宿舎桂浜荘に「Park-PFI」を導入し,公募対象公園施設に係る設置等予定者を公募するに当たり,市外に住所又は事務所を有する者も公募に参加できるようにするものです。


 その他の議案は,災害用マンホールトイレ上部構造物購入契約締結議案など7件となっており,このうち決算の認定議案等につきましては,この後,上下水道事業管理者及び財務部長から概要の説明を申し上げます。報告8件につきましては,継続費の精算報告や財政健全化法関連数値の報告など,いずれも法令所定の手続によりご報告するものです。

 

 以上,提出をいたしました議案について,概要の説明を申し上げましたが,よろしくご審議の上,適切なご決定をお願いいたします。