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高知市の水質の状況
目次
2 環境基準
(1)測定地点の環境管理目標指標
(2)人の健康の保護に関する環境基準
(3)生活環境に係る環境基準
5 各水系の状況
(1)国分川水系
(2)久万川水系
(3)江ノ口川水系
(4)舟入川水系
(5)鏡川・神田川水系
(6)下田川水系
(7)新川川水系
(8)浦戸湾海域
1 測定地点地図
高知市内の環境基準点一覧 | ||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
国分川水系 | ・小山橋 ・葛島橋 | |||||||
久万川水系 | ・落合橋 ・比島橋 | |||||||
江ノ口川水系 | ・廿代橋 | |||||||
舟入川水系 | ・舟戸橋 ・新木橋 | |||||||
鏡川・神田川水系 | ・新月橋 ・潮江橋 ・三ノ瀬橋 | |||||||
下田川水系 | ・瑞山橋 ・五台山橋 | |||||||
新川川水系 | ・中ノ橋 ・新川川橋 | |||||||
浦戸湾海域 | ・104 ・106 ・111 ・113 ・114 |
2 環境基準
(1)測定地点の環境管理目標指標
水系の名称 |
水域 |
区分 |
目標指標類型 |
国分川水系 |
国分川上流 |
小山橋から上流 |
AA |
久万川水系 |
久万川上流 |
落合橋から上流 |
B |
江ノ口川水系 |
江ノ口川 |
全域 |
C |
絶海,舟入川水系 |
舟入川上流 |
舟戸橋から上流 |
A |
鏡川水系 |
鏡川上流 |
新月橋から上流 |
AA |
神田川水系 |
神田川 |
全域 |
B |
下田川水系 |
下田川上流 |
遍路橋から上流 |
A |
長浜,新川川水系 |
新川川 |
全域 |
B |
潮江,竹島川水系 |
竹島川 |
全域 |
A |
住吉池水系 |
十市川 |
全域 |
B |
浦戸湾 |
浦戸湾内海域 |
浦戸湾内 |
B |
(2)人の健康の保護に関する環境基準
項目 |
基準値 |
測定方法 |
カドミウム |
0.003mg/L以下 |
日本産業規格K0102(以下「規格」という。) 55.2,55.3又は55.4に定める方法 |
全シアン |
検出されないこと |
規格38.1.2及び38.2に定める方法,規格38.1.2及び38.3に定める方法,規格38.1.2及び38.5に定める方法又は付表1に掲げる方法 |
鉛 |
0.01mg/L以下 |
規格54に定める方法 |
六価クロム |
0.02mg/L以下 |
規格65.2に定める方法(ただし,規格65.2.6に定める方法により汽水又は海水を測定する場合にあっては,日本産業規格K0170-7の7のa)又はb)に定める操作を行うものとする。) |
砒素 |
0.01mg/L以下 |
規格61.2,61.3又は61.4に定める方法 |
総水銀 |
0.0005mg/L以下 |
付表2に掲げる方法 |
アルキル水銀 |
検出されないこと |
付表3に掲げる方法 |
PCB |
検出されないこと |
付表4に掲げる方法 |
ジクロロメタン |
0.02mg/L以下 |
日本産業規格K0125の5.1,5.2又は5.3.2に定める方法 |
四塩化炭素 |
0.002mg/L以下 |
日本産業規格K0125の5.1,5.2,5.3.1,5.4.1又は5.5に定める方法 |
1,2-ジクロロエタン |
0.004mg/L以下 |
日本産業規格K0125の5.1,5.2,5.3.1又は5.3.2に定める方法 |
1,1-ジクロロエチレン |
0.1mg/L以下 |
日本産業規格K0125の5.1,5.2又は5.3.2に定める方法 |
シス-1,2-ジクロロエチレン |
0.04mg/L以下 |
日本産業規格K0125の5.1,5.2又は5.3.2に定める方法 |
1,1,1-トリクロロエタン |
1mg/L以下 |
日本産業規格K0125の5.1,5.2,5.3.1,5.4.1又は5.5に定める方法 |
1,1,2-トリクロロエタン |
0.006mg/L以下 |
日本産業規格K0125の5.1,5.2,5.3.1,5.4.1又は5.5に定める方法 |
トリクロロエチレン |
0.01mg/L以下 |
日本産業規格K0125の5.1,5.2,5.3.1,5.4.1又は5.5に定める方法 |
テトラクロロエチレン |
0.01mg/L以下 |
日本産業規格K0125の5.1,5.2,5.3.1,5.4.1又は5.5に定める方法 |
1,3-ジクロロプロペン |
0.002mg/L以下 |
日本産業規格K0125の5.1,5.2又は5.3.1に定める方法 |
チウラム |
0.006mg/L以下 |
付表5に掲げる方法 |
シマジン |
0.003mg/L以下 |
付表6の第1又は第2に掲げる方法 |
チオベンカルブ |
0.02mg/L以下 |
付表6に第1又は第2に掲げる方法 |
ベンゼン |
0.01mg/L以下 |
日本産業規格K0125の5.1,5.2又は5.3.2に定める方法 |
セレン |
0.01mg/L以下 |
規格67.2,67.3又は67.4に定める方法 |
硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素 |
10mg/L以下 |
硝酸性窒素にあっては規格43.2.1,43.2.3,43.2.5又は43.2.6に定める方法,亜硝酸性窒素にあっては規格43.1に定める方法 |
ふっ素 |
0.8mg/L以下 |
規格34.1若しくは34.4に定める方法又は規格34.1c)(注(6)第三文を除く。)に定める方法(懸濁物質及びイオンクロマトグラフ法で妨害となる物質が共存しない場合にあっては,これを省略することができる。)及び付表7に掲げる方法 |
ほう素 |
1mg/L以下 |
規格47.1,47.3又は47.4に定める方法 |
1,4-ジオキサン |
0.05mg/L以下 |
付表8に掲げる方法 |
備考
- 基準値は年間平均値とする。ただし,全シアンに係る基準値については,最高値とする。
- 「検出されないこと」とは,測定方法の項に掲げる方法により測定した場合において,その結果が当該方法の定量限界を下回ることをいう。別表2において同じ。
- 海域については,ふっ素及びほう素の基準値は適用しない。
- 硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素の濃度は,規格43.2.1,43.2.3,43.2.5又は43.2.6により測定された硝酸イオンの濃度に換算係数0.2259を乗じたものと規格43.1により測定された亜硝酸イオンの濃度に換算係数0.3045を乗じたものの和とする。
(3)生活環境に係る環境基準 (基準値は日間平均値とする)
1.河川 (湖沼を除く)
ア
類型 |
項目 |
利用目的の適応性 |
基準値 |
||||
水素イオン濃度 |
生物化学的酸素要求量 |
浮遊物質量 |
溶存酸素量 |
大腸菌数 |
|||
AA |
水道1級 |
6.5以上 |
1mg/L以下 |
25mg/L以下 |
7.5mg/L |
20CFU/100mL |
|
A |
水道2級 |
6.5以上 |
2mg/L以下 |
25mg/L以下 |
7.5mg/L |
300CFU/100mL |
|
B |
水道3級 |
6.5以上 |
3mg/L以下 |
25mg/L以下 |
5mg/L |
1,000CFU/100mL |
|
C |
水産3級 |
6.5以上 |
5mg/L以下 |
50mg/L以下 |
5mg/L |
- |
|
D |
工業用水2級 |
6.0以上 |
8mg/L以下 |
100mg/L以下 |
2mg/L |
- |
|
E |
工業用水3級 |
6.0以上 |
10mg/L以下 |
ごみ等の浮遊が認められないこと |
2mg/L |
- |
※水道1級を利用目的としている地点(自然環境保全を利用目的としている地点を除く。)については、大腸菌数100CFU/100mL以下とする。
2.海域
ア
類型 |
項目 |
利用目的の |
基準値 |
n-ヘキサン抽出物質 |
|||
水素イオン濃度 |
化学的酸素要求量 |
溶存酸素量 |
大腸菌数 |
||||
A |
水産1級,水浴 |
7.8以上 |
2mg/L以下 |
7.5mg/L |
300CFU/100mL |
検出されないこと |
|
B |
水産2級 |
7.8以上 |
3mg/L以下 |
5mg/L |
- |
検出されないこと |
|
C |
環境保全 |
7.0以上 |
8mg/L以下 |
2mg/L |
- |
- |
イ
類型 |
項目 |
利用目的の |
基 準 値 |
|
全 窒 素 |
全 リ ン |
|||
I |
自然環境保全及びII以下の欄に掲げるもの |
0.2mg/L以下 |
0.02mg/L以下 |
|
II |
水産1種,水浴及びIII以下の欄に掲げるもの |
0.3mg/L以下 |
0.03mg/L以下 |
|
III |
水産2種及びIV以下の欄に掲げるもの |
0.6mg/L以下 |
0.05mg/L以下※ |
|
IV | 水産3種,工業用水, 生物生息環境保全 |
1mg/L以下 |
0.09mg/L以下 |
※水質汚濁に係る環境基準の水域類型の指定(平成13年4月1日告示第278号)により,
浦戸湾水域における全リンの基準値(暫定目標値)は,0.06mg/L以下となる。
3 環境基準点における環境基準達成状況
各環境基準点において,河川はBOD値,海域はCOD値を基に環境基準達成率を求めました。
また,環境基準達成率75%以上を,当該年度の環境基準の達成としました。
河川における環境基準の達成状況は,過去10年のうち,令和3年度の小山橋を除く全地点で環境基準を達成しています。
海域において,浦戸湾の湾内である104,106,111では,令和2年度以降は令和3年度の104を除く全地点で環境基準を達成してます。一方,湾外である113,114では平成26年度の114を除き,環境基準を達成していません。浦戸湾の水質の状況については,5 各水系の状況の(8)浦戸湾海域に記載しました。
4 環境基準点における水質経年変化
過去10年間の環境基準達成率(平成25年度から令和4年度まで) [PDFファイル/1.43MB]
※グラフの数字は各年度の平均値(BOD,CODは年間75%値)を用いています。
5 各水系の状況
(1)国分川水系
国分川 (流域面積157.8km2,流下距離20.8km)
浦戸湾水系の中では最も流量が多いです。水質は比較的良好ですが,河口部では久万川,江ノ口川などの影響を受けて汚濁がみられます。
水質測定地点は3地点(小山橋,錦功橋,葛島橋)で,令和4年度のBOD年間75%値は,上流の小山橋で0.6mg/L,中流の錦功橋で0.9mg/L,下流の葛島橋で1.2mg/Lでした。
令和4年度から過去10年間において,環境基準点である小山橋,葛島橋では水質に大きな変動もなく,各基準を概ね達成しています。
(2)久万川水系
久万川 (流域面積31.60km2,流下距離9.1km)
秦地区等の家庭排水による汚濁が多くなっています。
水質測定地点は2地点(落合橋,比島橋)で,令和4年度のBOD年間75%値は,上流の落合橋で0.8mg/L,下流の比島橋で2.3mg/Lでした。
令和4年度から過去10年間において,環境基準点である落合橋,比島橋では各基準を達成しています。また,落合橋は比島橋と比べ,pHとDOが高い傾向にありますが,水質汚濁が原因ではなく,藻類や植物プランクトンの光合成が原因の一つと考えています。
(3)江ノ口川水系
江ノ口川 (流域面積6.1km2,流下距離8.3km)
パルプ工場の操業停止以後の水質は目に見えてよくなり,コイやフナなどの魚が泳ぐ姿も見られるようになりました。
水質測定地点は3地点(永福寺橋,円満橋,廿代橋)で,令和4年度のBOD年間75%値は,上流の永福寺橋で2.6mg/L,中流の円満橋で1.7mg/L,下流の廿代橋で1.5mg/Lでした。江ノ口川支流の旭川の水質測定地点である勧進橋のBOD年間75%値は7.7mg/Lと高い値が続いています。
令和4年度から過去10年間において,環境基準点である廿代橋では水質に大きな変動もなく,各基準を達成しています。
(4)舟入川水系
舟入川 (流域面積15.3km2,流下距離7.8km)
物部川の山田ぜきから取水する人工用水路で,1658年に野中兼山が開削しました。
水質測定地点は2地点(舟戸橋,新木橋)で,令和4年度のBOD年間75%値は,上流の舟戸橋で0.8mg/L,下流の新木橋で0.9mg/Lでした。
令和4年度から過去10年間において,環境基準点である舟戸橋,新木橋では同程度の水質を示しており,各基準を達成しています。
(5)鏡川・神田川水系
鏡川 (流域面積170.0km2,流下距離31.1km)
市民の飲み水を確保している川であり,市内の川で最も水がきれいです。 この川の水は,上水源として利用されているほか,子どもたちが安全に水遊びできる市内で唯一の川です。したがって,市民の関心も高く,流域町内会や関係団体等による清掃活動が続けられています。昭和60年から取り組んできた鏡川清流保全条例は,平成元年10月1日に制定され,これに基づいて平成2年度に鏡川清流保全基本計画が策定されました。また,平成17年1月1日に土佐山村及び鏡村と合併したことにより,流域すべてが高知市となったことから,新たな鏡川清流保全基本計画を策定しました。
水質測定地点は鏡川水系で7地点(中島橋,砂瀬橋,鏡川ダムサイト,大河内橋,廓中堰,新月橋,潮江橋),神田川水系で2地点(三ノ瀬橋,神田川橋)です。
令和4年度のBOD年間75%値は,鏡川水系上流(中島橋:0.5mg/L,砂瀬橋:2.9mg/L,鏡川ダムサイト:1.6mg/L,大河内橋:0.6mg/L),中流(廓中堰:0.6mg/L,新月橋:0.5mg/L),下流(潮江橋:0.9mg/L),神田川水系(三ノ瀬橋:1.1mg/L,神田川橋:1.5mg/L)であり,水質が悪化していた神田川水系は,BOD値が平成13年度以降から減少しており,水質が改善しつつあります。
令和4年度から過去10年間において,環境基準点である新月橋,潮江橋,三ノ瀬橋では,各基準を達成しています。
(6)下田川水系
下田川 (流域面積17.9km2,流下距離13.9km)
下田川は高知市内の他の河川と比べて,SSが高い傾向があります。これは,農業用水の取水・排水に利用されていることが原因の一つと考えられます。
水質測定地点は2地点(瑞山橋,五台山橋)で,令和4年度のBOD年間75%値は,上流の瑞山橋で1.4mg/L,下流の五台山橋で1.2mg/Lでした。水質測定地点は2地点(瑞山橋,五台山橋)で,ともに環境基準点です。
令和4年度から過去10年間において,環境基準点である瑞山橋,五台山橋では水質に大きな変動もなく,各基準を達成しています。
(7)新川川水系
新川川 (流域面積39.77km2,流下距離14.3km)
汽水域が長く,潮位によって流れの状態が異なるため,上流,下流の区別がつきにくいことと,停滞水による酸素消費が多いのことがこの川の特色です。
水質測定地点は2地点(中ノ橋,新川川橋)で,令和4年度のBOD年間75%値は,中ノ橋で1.4mg/L,新川川橋で1.0mg/Lでした。
令和4年度から過去10年間において,環境基準点である中ノ橋,新川川橋では水質に大きな変動もなく,各基準を達成しています。
*新川川橋は平成20年度より高知市が測定しています。
(8)浦戸湾海域
浦戸湾(湾内,湾外)
市内の主要河川の水は,すべて浦戸湾へ流入しています。浦戸湾の水質測定地点は,湾内外含めて17地点あります。このうち環境基準点は,5地点(104,106,111,113,114)であり,113は種崎海水浴場内です。
令和4年度のCOD年間75%値は湾内(104:2.3mg/L,106:2.4mg/L,111:2.4mg/L),湾外(113:2.7mg/L,114:2.7mg/L)でした。湾内は基準値(3mg/L)を達成していますが,湾外は基準値(2mg/L)をほとんど達成していません。これは,湾外のCOD値が湾内のCOD値と同程度の値を示していることから,湾内から流入してきた海水が,潮流の関係で113,114の付近で滞留していることに起因していると考えています。
浦戸湾の全窒素及び全りんに係る環境基準は,湾内の3地点が指定されており,この3地点の平均値で判断します。令和4年度から過去10年間において全窒素は環境基準を達成しており,全りんは概ね環境基準を達成しています。