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PCBについて

1 PCBとは

 PCBとは,ポリ塩化ビフェニル(Poly Chlorinated Biphenyl)の略称で,人工的に作られた,主に油状の化学物質です。

 PCBの特徴として,水に溶けにくく,沸点が高い,熱で分解しにくい,不燃性,電気絶縁性が高いなど,化学的にも安定な性状を有することから,電気機器の絶縁油,熱交換器の熱媒体,ノンカーボン紙など様々な用途で利用されてきましたが,現在は製造・輸入ともに禁止されています。

2 PCBの毒性

 脂肪に溶けやすいという性質から,慢性的な摂取により体内に徐々に蓄積し,様々な症状を引き起こすことが報告されています。

 PCBが大きく取りあげられる契機となった事件として,昭和43年に,食用油の製造過程において熱媒体として使用されたPCBが混入し,健康被害を発生させたカネミ油症事件があります。

3 PCBの用途

 PCBは,電気機器用の絶縁油,各種工業における加熱並びに冷却用の熱媒体及び感圧複写紙など,以下のとおり様々な用途に利用されていました。現在は新たな製造が禁止されています。

 PCBが使用された代表的な電気機器等には,変圧器(トランス)やコンデンサー,安定器があります。

 

 変圧器(トランス)

   交流の電圧を電気の利用用途に応じて変換するための機器

   高圧変圧器の例

 コンデンサー

   電気を蓄えたり放出したりする電子部品です。

   高圧コンデンサーの例

     低圧コンデンサーの例

    低圧コンデンサーの例

 

 安定器

   蛍光灯や水銀灯等の照明器具に付属している装置で,電灯のちらつきを安定させる役割があります。 

   コンデンサーを内蔵する安定器の例

 

PCBの用途

用途大別

製品例・使用場所

絶縁油

トランス用

ビル・病院・鉄道車両・船舶のトランス

コンデンサー用

蛍光灯・水銀灯等の安定器,冷暖房器・洗濯機・白黒テレビ・電子レンジ等の家電用,モーター用等の固定ペーパーコンデンサー,直流用コンデンサー,家電用コンデンサー

熱媒体(加熱と冷却)

各種化学工業,食品工業,合成樹脂工業等の諸工業における加熱と冷却,船舶の燃料油予熱,集中暖房,パネルヒーター

潤滑油

高温用潤滑油,油圧オイル,真空ポンプ油,切削油,極圧添加剤

可塑剤

絶縁用

電線の被膜・絶縁テープ

難燃用

ポリエステル樹脂,ポリエチレン樹脂,ゴム等に混合

その他

接着剤,ニス・ワックス,アスファルトに混合

感圧複写紙,塗料・印刷インキ

ノーカーボン紙(溶媒),電子式複写紙,難燃性塗料,耐食性塗料,耐薬品性塗料,耐水性塗料,印刷インキ

その他

紙等のコーティング,自動車のシーラント,陶器ガラス器の彩色,カラーテレビ部品,農薬の効力延長剤,石油添加物剤

出典:環境省ホームページ(http://pcb-soukishori.env.go.jp/about/pcb.html