本文
平成28年6月2日 市長定例記者会見
会見項目
第456回高知市議会定例会提出予定議案の説明
配布資料
第456回高知市議会定例会提出予定議案の概要[PDFファイル/87KB]
平成28年熊本地震に係る支援活動の報告[PDFファイル/181KB]
連携中枢都市圏形成の圏域について[PDFファイル/765KB]
会見内容
おはようございます。本日6月定例議会の議案を発送させていただきました。6月の案件は予算議案が3件,条例議案が13件,その他議案が9件で,全体で25件となっています。この他,新庁舎建設工事につきまして,6月9日の入札で落札になりましたら,個人質問最終日に工事請負契約締結議案を追加提出する予定です。また,人事案件が3件あり,監査委員および固定資産評価審査委員会委員の選任議案と,人権擁護委員推薦についての諮問議案を議会最終日に提出する予定です。
※配布資料を基に,第456回高知市議会定例会提出予定議案の概要を説明。-説明については省略-
議案以外でご報告をしておきたいことがあります。
一つは高知港海岸の三重防護ですが,先週土曜日に四国地方整備局から発表があり,国の事業として正式に決定をいただきました。次期南海トラフ地震の津波対策の最重要課題になりますので,今回の決定に非常に感謝をしています。
三重防護につきましては,高知新港の沖合の第1ラインは既存事業で港湾施設事業として整備中です。今回決定していただいたのは,津波をできるだけ中に入れないようにするための第2・第3ラインです。第2ラインの浦戸湾入り口に固定式の堤防を両サイドから出して入り口で止めることと,第2ラインに1カ所,第3ラインに2カ所,合わせて3カ所の水門を設置することを計画しています。特に,現在長浜川の河口には水門がなく,昭和21年の南海地震の際には津波が長浜川を遡上しましたので,ここに水門を造ることは非常に効果が高いと考えています。
この第2ライン,第3ラインだけで約600億円の事業規模になります。既存事業の第1ラインの残工事が約300億円と想定されていますので,全体で900億円近い非常に大きな事業になりますし,完成まで16年かかりますが,効果は非常に高く,津波対策として高知市を守るための生命線の事業になります。国土交通省,県,市,そして地元国会議員の方々等と毎年の予算取りをしっかりと行った上で,次期南海トラフ地震までに確実に仕上げていただくよう強く働きかけ,着実に進捗を図っていただくよう,最善の努力をしていきたいと考えています。
もう一つは熊本地震への対応について,別途資料をお配りしています。
今回の熊本地震は非常に特異な地震でした。4月14日のマグニチュード6.5,震度7の地震では家屋は余り倒壊していませんでしたが,16日のマグニチュード7.3,震度7の本震でもう一回揺れたため,この段階で家屋の特に1階がつぶれました。16日の2回目の地震でたくさんの方がお亡くなりになっています。新聞報道では死者数49人で報道されていますが,災害関連死が20人近くあり,現在69人ということで大きな被害が出ています。また,断層型ということで全壊・半壊の家屋も相当多く,被災建物は約10万7000戸ということです。
本市の対応ですが,4月16日に緊急消防援助隊第1班が出て南阿蘇村へ入り,3日交替で第2班を送り込みました。それから,家屋の危険度判定の調査も行っています。追加の要請があったのは宅地の調査で,家屋がまだ使える状態でもその宅地に帰って大丈夫かどうかの判定を5月25日まで行っていました。
また,給水車も派遣しています。現在は,罹災証明の発行に人手が足らないということで事務の支援に入っています。現時点で延べ人数400人近い職員を派遣していますが,今後も要請があれば応援をしていきたいと考えております。
今回の地震では,熊本市の清掃工場でダクトが外れるなどの被害があり,2カ所あるうちの1カ所で1カ月くらい機能が止まりました。本市には清掃工場が1カ所しかありませんので対策を指示しています。また,益城町では一番大きい避難施設の釣り天井が落下して,アリーナ部分が使えず玄関や通路等を使用しています。本市も大原町の体育館のほか,全部で8カ所程吊り天井が残っていますので,落下防止の対策を取っていきたいと考えています。
私の感想として,避難勧告や避難指示,そしてそれらを解除するタイミングが難しくなったということを強く感じています。その判断を誤ると人命に関わることになりますので,家に帰っていただくタイミングが非常に難しくなったと実感しています。なお,この熊本地震を受けまして,県市連携会議の議題に新たな項目として住宅の耐震対策を追加していますので,県市で協議をしていきたいと考えています。
質疑応答
(記者) 連携中枢都市圏について,高知市にとってどのようなメリットが期待できるのかお伺いします。
(市長) 高知市はいろいろな都市機能が集積していますし,人口も,県全体の45パーセント程あります。県と協議した上で圏域の方向性を整理していますが,県の考え方の中にはやはり厳しい人口減少がありまして,昨年の国勢調査の結果によると,この5年間で3万6000人近く人口が減少し,現在,高知県人口は72万人になっています。5年後の国勢調査ではおそらく70万人を切ると思います。そういう中で高知市は県内の一大消費地として農産物を中心に消費する機能を持っていますし,様々な特産品等が高知市から県外へ出て行くということもありますので,そういう機能を強化していかなければいけないと思っています。また,尾崎知事はじめ県の熱心な取り組みにより,CLTの生産がこれから本格化してくると思います。大豊町などで生産が始まると思いますが,本市には木材団地があり,いわゆる川下の機能を持っていますので,木材団地もCLTの活用により多用な産業の展開が可能です。そういったことから,本市としても高知県全域の産業に寄与することはさらに良いことだと思っておりますし,そうならなければいけないと考えています。
(記者) 昨日,安倍首相が正式に消費増税の延期と衆参同日選挙の見送りを表明されましたが,改めてこの点をどう評価されるのかお考えをお聞かせください。
(市長) 消費税を5パーセントから8パーセントに引き上げたことによる個人消費への影響がまだ残っています。有効求人倍率等は相当良くなっていますし,本日,所得の発表がありましたが所得も上がってきています。しかし,他の指標は全部改善してきている中で個人消費だけが伸び悩んでおり,いまひとつ力がないというのが国や日本銀行等の感触です。そのため増税を見送るというのも一定は理解できますが,2年半先送りになったということは,おそらく厚生労働省は平成29・30年度の予算を組めなくなると思います。厚生労働省を中心とする社会保障の予算が組めないということになりますと,国民健康保険に影響しないようにというところは強く働きかけていきますし,子ども・子育ては一億総活躍社会の関係があるので財源を工面すると思いますが,残る介護保険に影響が出てくることが懸念されます。
それともう一つ,消費税の2パーセント増税分は,国の取り分と地方の取り分があるので,地方財政の大きな枠組みの中でも穴があくということになります。赤字国債は発行しないということですが,それでは何で手当てするかというところが明確にされていませんので,社会保障の財源と地方財政の財源のめどがついていないというところを非常に懸念しています。
(記者) 連携中枢都市圏についてですが,今回,県全域に方針を転換されたことについて,国の理解を得ているのかということと,全市町村の首長の合意を得ているのかということを確認させてください。
(市長) 後段からお答えしますが,本市を除く33市町村の首長からは,協議への参加について,ご了解をいただいています。但し,今ご了解いただいているのはあくまで執行部の方々ですので,最終的には34市町村それぞれで議会の議決が必要です。また,議会でご判断いただくために,十分な説明が必要だと考えています。
前段については,連携中枢都市圏を県域全体で形成しているところはまだないのですが,例えば,広島県福山市の場合は,福山市を中心として広島県と岡山県をまたいだ連携中枢都市圏を形成しています。岡山県倉敷市の場合は,岡山市を除いて約78万人という大きな規模で連携中枢都市圏を形成しています。高知県は全体で72万人ですから,これを超える連携中枢都市圏は他都市で既に形成されています。県から総務省に事前の説明をしていただいていますが,そういう事例もあることから,一定ご理解を得ていると聞いています。
(記者) 連携中枢都市になれるのは高知県では高知市だけという理解でよろしいですか。そのため国もこういう形を一定認めるということでしょうか。
(市長) 連携中枢都市圏の連携中枢都市になれるのは県内では高知市だけです。
補足ですが,高知県全体で連携中枢都市圏を形成した場合でも,定住自立圏は別に形成できます。例えば,今,四万十市・宿毛市で,幡多地域の定住自立圏を形成していますが,これはそのまま残ります。高知市が連携中枢都市圏,定住自立圏の両方で中心市になることはできませんが,仮に南国市が中心市になって近隣市町村と定住自立圏を形成する場合には,南国市に対して定住自立圏の中心市としての財政措置が行われます。二層構造は可能ということになります。
(記者) 当初の県中部での案と,県全域になった場合とでは交付税はどのくらい増えますか。
(副市長) おそらく全国の連携中枢都市圏の中での枠があると思います。今は概算での話ですので,どのくらいの規模の圏域ができるかによって配分も変わってくると思います。
連携中枢都市圏では普通交付税2億円,特別交付税1億2千万円で約3億円というのが今の概算です。
(市長) 正確ではありませんが,数千万円程度違ってくると思います。
(記者) 説明の最後に市長がビジョンを組むための委託料ということを言われましたが,これはコンサルタント会社に委託をされるのですか。
(市長) 他都市で既に策定されている連携中枢都市圏のビジョンがありますので,全国的な情報等も一定参考にするためにコンサルタントを入れようと考えています。
(記者) 東京などの会社ということになりますか。
(副市長) 公募という形になります。特に現段階では決まっていません。
(記者) 連携中枢都市圏の取組に合わせて専門の部署を作るということはありますか。
(市長) 総合政策課を中心として,全庁的に取り組んでいきます。
(記者) 新図書館西敷地の件ですが,前回の記者会見後に検討委員会が開催され,その場で中心商店街の関係者からも決め方への不安や異論が出されたと思いますが,どう受け止めていますか。
(市長) 前回の定例記者会見のすぐ後に新図書館西敷地の利活用検討委員会がありました。スケジュール的に少しタイトではないかという話はもともと出ていましたが,もう少しじっくり議論をしよう,また,幅広く意見を聞いていこうということで,結論の時期を少し遅らせることにしています。西敷地は皆さんの関心が非常に高いので,市民の方々のご意見をどういうふうに取り入れていくかということを先ず考えなくてはいけないと思います。
(記者) 結論時期を少し遅らせるということは,平成30年の新図書館開館に合わせ,切れ目なく西敷地の整備に着手するという当初計画は多少遅れても構わないということですか。
(副市長) 新図書館開館までにはやはり一定の方向性を出しませんと,仮に国の補助金を受けるとした場合に困難になってきますので,それには間に合わせる必要があると思います。
(記者) 当初のスケジュールから最終的な出口は変えないということですか。
(市長) もともと西敷地も中心市街地活性化の一つのパーツですので,全体事業としては中心市街地活性化という背骨が入っていて,そこが基本です。まだ細かいスケジュールが決まっているわけではありませんし,最終的な事業が確定しているわけでもありませんが,民間活力は導入していきたいと思っています。そのためには一定補助金があった方が民間も動きやすいと思いますので,スケジュールには乗せていきたいという考え方です。あまり大幅に遅らせるつもりはありません。
(記者) 土佐橋地区の高架遊歩道の計画は正式には中止しておらず,10年後をめどに再検討するということでしたが,10年を経過し,今後どういった形で再検討していくのか,お考えを聞かせてください。
(市長) 土佐橋地区は本市のまちづくりにとって非常に重要な場所であり,また,車や人の導線の面でも非常に重要な導線で,公共交通の重要拠点です。
もともとこの事業を始める背景には,県が整備予定の「はりまや町一宮線」という街路事業がありまして,はりまや橋に東西南北全ての交通が集中し,高知駅からはりまや橋までの間が慢性的に渋滞するという公共交通の弱点を解消するために,比島の方から真っ直ぐ「かるぽーと」の前まで抜く計画で,はりまや橋小学校のところまで来ています。現在はシオマネキをはじめとする動植物等の自然環境に影響を与える恐れから,工事を一旦中断して交通量調査等をしながら状況を見ているところですが,はりまや橋の非常な混雑を考えると,「はりまや町一宮線」が南北交通の大幹線になりますので,最終的には整備すべきだと考えています。工事がまだ残っている状況ですので,完成して「かるぽーと」前まで抜けた時に,土佐橋全体としてのバスターミナル機能をどうするかについては,まだこれから考えていくつもりです。
土佐橋の遊歩道は,平成12年10月に2階の上の部分まで含めて都市計画決定をしており,その都市計画決定が生きています。仮に見直すということになれば,都市計画決定の委員会等に付託して見直しに入るという手続きになりますが,今の状況として,ここは「はりまや町一宮線」から出てきた真正面になるので,非常に重要な拠点になると考えています。「はりまや町一宮線」が完成すれば,例えばよさこい祭りで高知駅からはりまや橋までの車線を使うこともできる,というような話は計画当時からありましたので,この路線は重要だと思います。そのことを視野に入れながら最終的にどう仕上げていくかを考えていかなければいけませんので,今すぐやめるとか,そういう判断には今のところならないと思います。
(記者) バスターミナル機能のイメージについて,もう少し教えてください。
(市長) 中心部におけるバスターミナル機能というのは,まだ最終出口は固まっていませんが,用地をいろいろ考える中での一つの有力な候補地にはなります。その辺も,この路線の進捗状況を見ながら併せて考えていく必要があります。決めているわけではなく,一つの可能性です。
(記者) 「はりまや町一宮線」が抜けたら可能性があるということですか。
(市長) 高架遊歩道をやるかやらないかはまたその時点で判断しないといけませんが,バスターミナル機能があれでいいかという検討には入らないといけないと思います。
(記者) 「はりまや町一宮線」が前提になるということでよろしいですか。
(市長) この事業は名称が土佐橋地区の交通結節点事業となっています。はりまや橋の混雑を解消するために,交通の機能を分散させる意味で交通結節点の機能を持たせています。
(記者) いずれにしても高架遊歩道をやるか,やらないかを決める時期はまだかなり先になりますか。
(市長) この路線の状況を見ながらですね。
(副市長) 公共交通全体の見直しで,今,電車の電停の位置も協議をしてもらっていまして,結節点となるとやはり「かるぽーと」前という案もありますので,そこも含めて中長期的に検討し始めているところです。
(市長) ここは重要なエリアですので,遊歩道という単体の見方だけではなく,菜園場商店街や九反田地域全体の振興なども考えながら,多面的に捉えています。この道路が一つの重要な要素にはなります。