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市長から職員の皆さんへ(年頭あいさつ)

 市民の皆さま、職員の皆さん、新年明けましておめでとうございます。

 本日が平成30年の仕事始めとなります。

 昨年は、北消防署の開署や、しらさぎドームの完成など、「あんしん・あんぜんのまちづくり」に大きく前進をすることができ、職員の皆さんに感謝申し上げます。

 新しく迎えました平成30年は、オーテピアの開館、中学校給食センターの完成、都市計画道路「旭町福井線」の開通など、これまで取り組んできた重要な事業の成果が表れる節目の年となります。

 予算編成作業もこれから本格化してまいりますので、「災害に強いまちづくり」、「安全で機能的なまちづくり」、「活力溢れるにぎわいのまちづくり」、「暮しをサポートするまちづくり」、「新たな協働と連携のまちづくり」を核とした「にぎわいと暮らし安心のまちづくり」をめざし、職員の皆さんと議論を深めながら、重要施策に積極的に取り組んでまいりますので、本年もよろしくお願いいたします。

災害に強いまちづくり

 引き続き、今年取り組みます重要施策について順次申し上げます。

 まず、 最初に「災害に強いまちづくり」です。

 南海トラフ地震対策では、市民の皆さまの「命と暮らしを守る」ことを第一に、県と連携を密接にしながら、積極的に取り組んでまいります。

 沿岸部における津波避難対策として、12か所の津波避難施設や津波防災避難路を整備してまいりましたが、市内中心部では、最大で2m近い地盤沈下が予測されており、津波などの流入により長期間浸水するエリアが想定され、その対策を具体化させていく必要があります。

 長期浸水対策を本格的に進めていくため、「南海トラフ地震長期浸水エリアにおける避難対策」をテーマとして、1回目となる「市長と語ろう会」を昨年11月29日に下知コミュニティセンターで開催しました。

 今回の「市長と語ろう会」では、市民の皆さまに長期浸水被害対策の必要性を確認していただくとともに、救助・救出計画の策定や避難行動要支援者への支援体制の構築などについて、自助・共助・公助のそれぞれの観点に基づき、市民の皆さまからいただいたご意見やご提案を踏まえ、具体的な対策を検討し、実効性の高い取り組みを進めていくものです。

 今月から来月にかけまして、下知北部、江ノ口、潮江、高須、大津、介良の長期浸水想定地域の皆さまを対象に、5か所で開催を予定しておりますので、多くの市民の皆さまにご参加を賜りたいと考えております。

安全で機能的なまちづくり

 次に、「安全で機能的なまちづくり」について申し上げます。

 都市計画道路「旭町福井線」については、旭町一丁目の電車通りから福井の北部環状線とを結ぶ、延長約1.6km、幅員約12mの2車線の幹線街路として、平成5年に着工し、精力的に整備に取り組んでまいりました。

 当路線が開通しますと、近隣の旭東小学校や高知学園などの通学路の安全が確保されるとともに、近隣の慢性的な交通渋滞の解消にも大きく寄与することが期待されており、本年2月下旬の供用開始に向けて、現在、JR土讃線を跨ぐ橋の舗装工事等を行っております。

 工事完成の際には、地元町内会の皆さまに開通式典を開催していただけるとお聞きしており、地元からも事業効果が期待されています。

 旭地区では、災害に強い安全なまちづくりをめざし、土地区画整理事業を進めており、下島地区では昨年11月から、街路や宅地整地等の工事に着手し、中須賀地区では、来年2月頃の仮換地指定に向けて準備を進めてまいります。

 次に、昨年完成した北消防署に引き続き、今月から(仮称)中央消防署の建設工事に着手します。

 (仮称)中央消防署は、南海トラフ地震に備えて、現在の南消防署を、旧筆山町市営住宅の跡地に移転改築するもので、来年の上半期の開署をめざします。

 (仮称)中央消防署には、四国最大級の地上30メートル、10階建ての訓練塔を整備し、マンションやホテルなどの部屋を再現し、進入・放水・救助の訓練ができる実戦的な訓練施設をめざしており、消防力をさらに強化し、市民の皆さまから信頼いただける災害対応拠点として整備を進めます。

活力溢れるにぎわいのまちづくり

 次に、「活力溢れるにぎわいのまちづくり」について申し上げます。

 追手前小学校敷地を活用して、平成26年7月から建設工事を進めてまいりました「オーテピア」が、本年7月24日に開館いたします。

 「オーテピア高知図書館」は、県立図書館と市民図書館本館を一体的に整備する全国初の取り組みであり、図書館面積では中国四国地方で最大級の施設となり、全国有数の規模と総合的なサービスを展開する、国内でも注目を集める図書館となります。

 コンセプトは、「これからの高知を生きる人たちに力と喜びをもたらす図書館」の基本理念のもとで、県民市民の暮らしや仕事の中で起こるさまざまな課題解決を支援する文化施設として、健康・安心・防災情報サービスや、ビジネス・農業・産業支援サービスなど、多様な図書館サービスの展開をめざし、精力的に開館準備に取り組んでいます。

 併設する「高知みらい科学館」は、「理科好きの子どもを育てる」、「科学を楽しむ文化を育てる」ことを基本方針に、県内唯一となるプラネタリウムをはじめ、小学校・中学校の理科学習やサイエンスショー、科学教室など多様な事業を展開します。

 また、「オーテピア高知声と点字の図書館」は、「誰もが読書を楽しめるように」、視覚障害、高齢、病気、その他の障害などで活字の図書での読書が困難な方々の支援や情報環境の充実など、きめ細やかなサービスを展開してまいります。

 中心市街地の活性化に向けて、第一期中心市街地活性化基本計画に基づき、よさこい情報交流館、帯屋町チェントロ、永国寺キャンパス、高知城歴史博物館などが相次いで完成し、街ににぎわいが戻ってまいりました。

 一方では、中心商店街の西側エリアににぎわいが偏っていることや、中心市街地を訪れる外国人観光客の受け入れ態勢など、新たな取り組みの必要性が生じてきています。

 このため、本年4月から5年間の計画となる第二期中心市街地活性化基本計画の策定作業を進めております。

 この第二期計画では、新図書館西敷地利活用事業のほか、高知城歴史博物館との回遊性を考慮した丸ノ内緑地などの公園リニューアル事業、外国人観光客への対応が可能な観光案内所の設置などの事業に加えて、昨年創業70周年を迎えた高知大丸が予定している東館のリニューアル事業などの民間事業を併せて計画に登載し、ハード・ソフト事業を官民で連携して取り組み、にぎわい溢れる中心市街地のまちづくりを推進してまいります。

 次に、平成25年度から市内企業の操業環境の悪化や、企業の高台移転などの需要に応えるため、一宮地区において、製造業を対象とした高知中央産業団地の整備に高知県と共同で取り組んでおります。

 工事は順調に進捗し、本年3月末には工事が完成する予定であり、平成30年度早期の分譲をめざします。

 仁井田産業団地の事業中止は大変残念でありましたが、現在、高知中央産業団地に隣接する布師田地区において、適地調査を行っておりますので、県と共同開発に向けた協議を進め、新たな産業団地の開発にスピード感を持って対処してまいります。

 次に、昨年秋には、皇太子同妃両殿下のご臨席の下、全国農業担い手サミットが開催されましたが、本年10月28日には、高知市と土佐市を主会場とした「第38回全国豊かな海づくり大会~高知家大会~」が開催されます。

 昨年10月末に開催された福岡大会には、尾崎知事と共に参加させていただき、天皇皇后両陛下が参列されました式典行事に出席してまいりました。

 この大会は、水産資源の保護・管理と、海や湖沼・河川の環境保全の大切さを広く内外に訴えるとともに、つくり育てる漁業の推進を通じ、わが国の漁業の振興と発展をめざす全国大会となりますので、全国各地から大会にお越しになる皆さまに「高知に来て良かった、また来たい」と思っていただけるよう万全の準備を進めてまいります。

暮らしをサポートするまちづくり

 次に、「暮らしをサポートするまちづくり」についてです。

 市町村が運営する国民健康保険は、昭和33年に現行の国民健康保険法が制定されて以来、世界に誇る「国民皆保険制度」を確立し、国民の健康と命を守るセーフティーネットとして、半世紀以上にわたり、国民の皆さまの健康と医療を支えてまいりました。

 国保は、他の健康保険などと比べて年齢構成が高く、医療費水準も高い上、退職者が多いことなどの構造的な問題があり、財政運営は厳しい状況が続いています。

 本年4月からは、これまでの市町村の運営から、都道府県が財政運営の責任主体となり、国の財政支援も毎年3,400億円が新たに措置されるなど、制度の安定化を図ることとなりました。

 制度の主体的な役割は県に移行することになりますが、市町村はこれまでどおり、被保険者の資格管理、保険給付、保険料率の決定、賦課・徴収、保健事業などの地域におけるきめ細かい事業を担うことになっておりますので、引き続き円滑な運営に向けて、その役割を着実に果たしてまいります。

 次に、昨年7月から、給食が未実施の中学校13校での給食実施に向けて、針木と長浜の2か所で、それぞれ約3,000食の調理が可能となる給食センターの建設工事を進めています。

 今後、内外装工事や設備工事等が本格化し、厨房機器等についても工事の進捗に合わせて順次搬入する予定で、順調に進めば、本年6月に竣工する予定となっています。

 また、調理業務等を委託する事業者については、プロポーザル方式により既に選定しましたので、平成30年度の2学期のできる限り早い時期の給食開始をめざし、給食センターでの業務体制や学校の受け取り体制の確立など、着実に準備を進めてまいります。

新たな協働と連携のまちづくり

 次に、「新たな協働と連携のまちづくり」について申し上げます。

 連携中枢都市圏は、その圏域において中核となる中心的な都市が、近隣市町村と連携してネットワークを強めることにより、「経済成長のけん引」、「高次の都市機能の集積・強化」、「生活関連機能サービスの向上」の3つの分野において、圏域を力強くけん引していくことを目的として都市圏を形成するものです。

 県内における本市への人口の一極集中が著しく高い状況にあることや、県内他市町村との経済的な関係が強いことから、全国でも初めてとなる県内全市町村による圏域の形成をめざし、取り組みを進めてまいりました。

 所管する総務省との継続的な交渉の結果、圏域における財政支援の内訳が、国の支援と県からの支援となりますが、全市町村が一丸となった取り組みを行うことが可能となりましたので、県内33市町村及び県とも連携協約を締結する高知モデルとして、「れんけいこうち広域都市圏」を形成し、圏域の発展をめざすこととなります。

 具体的な事業内容やKPIを盛り込んだ「れんけいこうち広域都市圏」のビジョンに基づき、「ともにつながり、ともに羽ばたき、ともに打ち克つ、れんけいこうち広域都市圏」をキャッチフレーズに掲げ、圏域のけん引役としての本市の役割を積極的に果たしてまいります。

 その中で、平成30年度から、取り組みの柱の一つでもある「二段階移住推進事業」が本格的にスタートします。

 二段階移住は、「田舎暮らしには憧れるが、なかなか移住に踏み切れない」という大都市圏の潜在的な移住希望者をメインターゲットにして、まずは生活面でのギャップを解消するために、高知市に一旦移住または滞在していただき、そこを拠点に県内市町村を巡りながら、自分に合った移住先を見つけていただこうというものです。

 平成30年度からは、家賃助成やレンタカーの補助のほか、大都市圏に向けた効果的なプロモーションを展開していく予定です。

 昨年10月に県が開所した「高知県移住促進・人材確保センター」では、県内のさまざまな人材ニーズの集約や、都市部の人材とのマッチングを強化していきますので、新センターと連携しながら、新たな人の流れを創出するとともに、不足する産業人材の確保も視野に入れ、県内全体の移住促進に向けて取り組んでまいります。

新たな年を迎えて

 さて、現在建設中の新庁舎については、来年6月末の完成をめざし、工事が進んでいます。

 昨年は、県産の間伐材の丸太を15,700本打ち込む先進的な地盤改良工事や、建物本体を安定した地層で支えるための杭工事などを実施しました。

 今後は、地下の躯体工事等を行った後、本年春頃からは地上部分の工事に入る予定で、徐々に建物が建ち上がって行く様子を見られることとなります。

 新庁舎は私たちの大切な災害対応の拠点施設となりますが、日常の市民の皆さま方の利用に最大限配慮した窓口機能の向上や、ユニバーサルデザインを構築するとともに、市民の皆さまにとって分かりやすく、利用しやすい庁舎となるよう整備を進めてまいりますので、各職場でも、意見を出し合い、具体的な検討を進めていくようにお願いいたします。

 最後になりますが、平成30年度当初予算編成につきましては、これから皆さんと本格的な論議を行ってまいりますが、国の情報を的確に把握し、引き続き財政健全化を維持しながら、南海トラフ地震対策の推進並びに人口減少対策をはじめとする、地域創生に向けた具体的な取り組み、子育て支援、地域福祉の拡充など、多くの事業に取り組んでまいります。

 職員の皆さんには、市民の皆さまの幸せのために、「にぎわいと暮らし安心のまちづくり」に向けて、職場でチームワークをしっかりと組んでいただき、課題に取り組んでいただきますように切にお願い申し上げ、年頭のあいさつといたします。

 今年もよろしくお願いします。