本文
市長から職員の皆さんへ 2020年度のスタートに当たって
市民の皆様、職員の皆さんおはようございます。
本日から、令和2年度の新たなスタートを切ることになりますので、一言ごあいさつを申し上げます。
皆様ご承知のとおり、現在、世界的に猛威を振るっている新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、関係機関とともに全力をあげて取り組んでいるところです。
高知県におきましては、感染が収束に向かっておりましたが、先週から、感染者が発生してきておりますので、注意深く、警戒しているところです。
予定されていた東京オリンピックの1年延期や、様々なイベント、スポーツなどが中止になっている状況ですが、学校現場では、臨時休校が終了し、通常の春休みが明けましたら、多くの子どもたちや教職員が日常の業務に戻ることも想定されます。
感染予防対策等を徹底し、県と連携を密にしながら、住民の皆様の安全・安心の確保に万全を期してまいります。
3月27日に、国の令和2年度の新年度予算が成立したところですが、新型コロナウイルスに関する経済政策を盛り込む予定の補正予算案に関しては、近々、政府案がとりまとめられ、国会の審議を経て、大型連休前の成立を目指すことが報道されていますので、高知市としても速やかに補正予算の編成準備に取りかかってまいります。
国や県の情報を的確に把握しながら、市内企業や個人事業者などの経営支援策や、感染症の拡大防止への対応等について、関係部局は情報収集につとめ、スピード感をもって支援等の具体的な検討をお願いいたします。
先月の3月定例市議会において、ご決定をいただきました本市の令和2年度当初予算は、「連携と絆で次代につなぐ高知市型共生社会」の構築を目指して、住民お一人お一人が共に支え合い、地域の多様な主体がつながりを持ち、持続可能な開発目標(SDGs)の考え方を踏まえ.誰一人取り残さない「高知市型共生社会の実現」をめざす予算となっています。
また、令和元年度3月補正予算では、市内の公立学校に高速大容量のネットワーク整備を行うGIGAスクール構想推進事業に関連する予算を盛り込んでおります。
新年度の新たな業務の開始にあたりまして、主な施策等について順次申し上げます。
総合計画
まず、はじめに、高知市総合計画の後期基本計画に関して申し上げます。
本市では、2011年度から2030年度までの20年間を計画期間とする「2011高知市総合計画」を平成22年に策定し、長期的な視点に立ち、将来の都市像と6つの施策の大綱を定め、その計画期間を前期・後期それぞれ10年間としています。
この基本構想の実現に向けて、今年度は2021年度から2030年度までの10年間の施策を体系的に示した「後期基本計画」を策定いたします。
基本計画の推進にあたり、SDGsの考え方に基づく目標を掲げ、SDGsの目標達成に貢献するとともに、事務事業の実施から施策の目的などの因果関係を再整理し、事業内容や評価指標の見直しなどを通じ、計画の実効性のさらなる向上に取り組むこととしています。
併せて、「高知市強靱化計画」や「高知市まち・ひと・しごと創生総合戦略」と緊密な連携を図り、総合計画審議会委員の皆様や市議会からのご提言等を踏まえ、とりまとめを進め、本年12月定例市議会で後期基本計画の最終報告を行いたいと考えておりますので、各部局においての検討をよろしくお願いいたします。
南海トラフ地震・災害対策
次に、南海トラフ地震対策の取組について申し上げます。
南海トラフ地震などの大規模災害時には、避難所での生活環境の変化による災害関連死を防ぐことが大きな課題となっており、特に避難所におけるトイレ確保の対策が重要になります。
発生が予想される災害関連死を防ぐため、L1地震の浸水区域外の主要な39か所の避難施設にマンホールトイレを順次整備するため、令和2年度は、マンホールトイレの基本・実施設計を行い、良好な避難所環境の確保を目指します。
併せて、清潔かつプライバシーが確保されたトイレを避難所等に適時供給できるトイレトレーラーを購入し、平常時には地域の様々なイベントで紹介するなど、災害時のトイレ対策等を啓発するとともに、大規模災害が発生した場合には、被災地へトレーラーを派遣して災害支援を行い、本市が被災した場合には、全国からトレーラーの派遣を受けることを想定した受援体制を構築してまいります。
下水道施設の地震対策としては、老朽化している下知ポンプ場について、令和2年度から総事業費約50億円で土木工事などの改築事業に着手し、令和8年度の供用開始を目指してまいります。
下知ポンプ場は、下知南部地区の排水を担う重要な基幹施設であり、この改築工事によりまして、耐震・耐津波性能を確保し、雨水排水能力のさらなる向上を図ってまいります。
次に、市単独の河川浸水対策事業等について申し上げます。
近年の大型台風や予測困難なゲリラ豪雨などに備え、県市が連携して浸水被害の軽減対策に取り組んでおり、昨年度には旭地区の「本宮町排水機場」が完成いたしました。
令和2年度は、秦地区の「一ツ橋排水機場」と小高坂地区の「福井第二排水機場」の排水能力を強化するための整備を進めます。
併せて、公共下水道の雨水整備事業では、秦地区で進めてきた排水能力の強化について、平成30年度は「東秦泉寺補完ポンプ」を、昨年度には「南秦泉寺補完ポンプ」が完成し、それぞれ供用を開始しております。
また、初月地区における浸水被害の軽減を図るため、紅水川の北側で、2か所の補完ポンプの整備を進めており、1か所目の補完ポンプが今年6月末からの供用開始を予定しており、令和2年度には、2か所目の補完ポンプを新たに整備する予定です。
上水道事業では、水道施設の耐震化や、災害発生時の飲料水の確保など、「災害に強い水道づくり」を進めており、令和2年度は、針木浄水場から九反田配水所までの送水幹線について、耐震管を布設する送水幹線二重化事業を引き続き進め、機能強化を図ります。総事業費120億円で実施し、これによって、約20万人分の飲料水を確保できます。
また、3月議会で予算が修正されました、大規模災害に備える民放ラジオの難聴地域解消事業につきましては、相手方の団体との協議を十分に重ね、市議会の理解を求めてまいります。
地域共生社会
次に、地域共生社会の実現に向けた取組について申し上げます。
昨年11月には、地域の薬局や社会福祉法人の様々なご協力をいただき、モデル地区として市内5地区において、27か所の「ほおっちょけん相談窓口」を開設することができました。関係者の皆様に感謝を申し上げます。
この相談窓口は、地域で課題を抱える人々を孤立させず、早期に把握して、適切な支援につなげていく取組であり、支え合いのある地域づくりを進めるものです。
それぞれの相談内容については、高知市社会福祉協議会をはじめとする関係機関などに適切につなげ、課題解決に努めています。
今後は、それぞれの相談の内容を踏まえ、各地域で住民の皆様や関係機関が主体的に課題解決を図る仕組づくりにさらに取り組み、話し合いの場を設置するなど、取組をさらに充実させてまいります。
本年1月からは、地域の生活支援情報をデータとして見える化し、地域福祉の分野ごとの情報を一元的に提供する「高知くらしつながるネット(愛称:Lico(リコ)ネット)」の運用を開始しています。
この情報サイトでは、各地域における施設サービスや、相談窓口等に関する約2、700件の社会資源情報をインターネット上に掲載し、「医療・介護・障害・子育て・ボランティア」の5分野の情報を網羅した、全国でも先がけとなる取組となっています。
今後、幅広い分野で市民の皆様や支援者の方々にご利用いただけるよう、バージョンアップを図ってまいります。
次に、先月23日から、高知市社会福祉協議会が、総合あんしんセンター3階の医師会准看護学院跡に入居し、業務を開始いたしました。
これまでの分散配置が解消され、市社協における組織運営の連携強化が図られ、包括的支援体制の構築に向けて、地域福祉の推進母体として、地域共生社会に向けた取組の推進につながることを期待しています。また現在、高知市社会福祉協議会では、生活困窮世帯を対象とした融資を行っており、その対応もよろしくお願いいたします。
国においては、「地域共生社会」の理念を踏まえ、今年夏の通常国会で予定されている社会福祉法の改正に向けた検討が進められることとなっていますので、こうした国の動向を注視し、「高知市型共生社会」の実現に向けた取組を着実に進めます。
子ども・子育て支援
次に、子ども・子育て支援の取組について申し上げます。
昨年11月には、西部健康福祉センター内に、本市で2か所目の子育て世代包括支援センターを開設し、母子健康手帳の交付や妊娠期の面談等の業務を開始いたしました。
今年度は、東部健康福祉センターへの整備を進め、市内3か所目の子育て世代包括支援センターを開設し、これらの子育て世代包括支援センターにおいて、母子健康手帳交付時の妊婦さんとの全数面接を実現してまいります。
地域子育て支援センターについては、子育て世代が多く居住し、市民ニーズが高い北部地域での開設が必要になるため、塩田町にある保健福祉センター南側1階部分を改修し、子育て世代包括支援センターを併設した「(仮称)北部地域子育て支援センター」の設計に着手し、令和4年度の開設を目指します。
また、子育て世帯の経済的な負担を軽減するため、新たに中学生までの年齢の子どもさんのインフルエンザ予防接種費用について、年齢に応じて年間2回まで、1回につき1、000円の費用を一部助成する制度を、本年10月から実施する予定です。
新図書館西敷地利活用事業
次に、新図書館西敷地利活用事業について申し上げます。
昨年度実施した、各種団体の皆様との意見交換会や、アンケート調査でいただいたご意見やご提案の内容については、議会にもご報告を申し上げ、ご意見をいただいたところです。
今後のスケジュールとしては、庁内検討では十分なニーズの把握が難しい市場性の有無や、民間事業者からのアイデア等を聴取するため、本年7月から8月にかけて、民間事業者等と直接対話を行うサウンディング型市場調査を実施する予定です。
この調査を通じて、民間事業者の意向の把握や、参入意欲の向上につながるものと考えており、調査実施後は、その結果等を踏まえ、新図書館西敷地の事業実施方針や募集要領の案を作成し、議会からのご意見もいただき、令和2年度中には、公募型プロポーザルによる事業者の募集に向けた準備を進めてまいります。
新年度に向けて
最後になりますが、新型コロナウイルス感染症の発生もありまして、厳しい対応を余儀なくされる状況が懸念されます。
幹部職員をはじめ、職員の皆様には、本日から新たな体制で、重要課題に取り組んでいただくことになります。
十分に期待に応えていただけるものと思っておりますし、活躍を期待しております。
また、昨日の年度末を持ちまして、三期12年の間市政発展のために、ご活躍をいただきました吉岡章副市長が退任されました。
これまでのご活躍に深く感謝を申し上げます。
当面、中澤副市長1名の体制となりますが、できるだけ早く後任の副市長の選任をしたいと考えており、本年6月議会での提案をめざし、調整してまいります。
今年度は、総合計画の改定に向けた重要な年度になりますので、新型コロナウイルス感染症対策をはじめとする、防災・減災対策、人口減少対策、地域共生社会の実現、地域活性化などのそれぞれの政策課題について、各部局が共通認識を持ち、課題に積極的に取り組み、大いに力を発揮いただくことをお願い申し上げ、新年度のスタートにあたってのあいさつといたします。
本年度もよろしくお願いいたします。