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市長から職員の皆さんへ(令和3年 年頭あいさつ)
市民の皆様、職員の皆さん、新年明けましておめでとうございます。
年末年始は、コロナウイルス感染症の影響により、帰省を自粛される方が多かったことなどから、親族同士や旧知の間柄で親交を深める機会が減り、これまでと違う形でお正月を迎えられた方も多かったかと思います。
昨日までの新型コロナウイルス感染症につきましては、県内の感染累計者数が687件、高知市では480件の感染が確認されており、県内で9名の方がお亡くなりになられています。ご冥福を心よりお祈り申し上げますとともに、感染されました皆様のご回復を心から願っております。
新しく迎えました2021年は、県民、市民の皆様の感染防止対策へのご協力の成果が実を結び、第三波の新型コロナウイルスの感染拡大が抑制に向かうことを切望するとともに、これまでご協力いただいております県民、市民の皆様、そして年末年始も最前線で対応にあたっておられます保健所や医療関係の皆様方に厚く感謝を申し上げます。
また、旅館ホテルや飲食をはじめとする事業者の皆様には、第三波の感染拡大に伴いますGoToトラベルの一時停止や、高知県からの時間短縮要請等にご協力いただき、ご苦労をおかけしております高知県の飲食業や観光を支える各産業の復興をめざしていきたいと考えます。
本市におきましても、感染症対策に従事している保健所の皆さんをはじめ、部署によっては年末年始も勤務された方もおられたかと思います。新年早々の業務、本当にご苦労様でした。
昨年は、新型コロナウイルス感染症という未知の感染症に直面した激動の年でしたが、本年も引き続き、感染症の拡大防止と経済再生の両立を図りながら、市民の皆様の生活を支えてまいります。
今年、新たに策定します総合計画・後期基本計画では、ウィズコロナ・アフターコロナの対策や、デジタル社会への対応など社会情勢を踏まえながら、喫緊の課題である南海トラフ地震や、少子高齢化・人口減少問題への対策強化をはじめ、「魅力と活力にあふれ、夢や希望を抱いて幸せを実感して暮らすことができるまちづくり」に向けた政策を盛り込んでいます。
この後期基本計画には、国内及び国際貢献の観点から、持続可能な世界を目指すための国際目標であるSDGsに向けた活動にも取り組むこととし、SDGsの基本理念である「誰一人取り残さない」という精神を重視しながら、次世代に安心できる高知市をつないでいくため、「高知市型共生社会の実現」に精力的に取り組んでまいります。
令和3年度は、この後期基本計画の大切な初年度となりますので、予算編成における査定の場で、活発な議論を行いながら、計画の実現に取り組んでまいりますので、よろしくお願いいたします。
それでは、今年の主な行政課題への対応について、順次申し上げます。
新型コロナウイルス感染症対策
まず、最初に、年末に引き続き、新型コロナウイルス感染症対策について申し上げます。
昨年の11月下旬以降、県内では感染者が激増しており、依然として、予断を許さない状況が続いています。
加えて、コロナ禍は観光業や飲食業などをはじめとする地域経済や市民生活に多大なる影響を与えていますので、国の第三次補正予算における追加の地方創生臨時交付金など、国の支援策を最大限に活用し、感染拡大防止と経済再生の両立に向けて、さらなる支援策を検討します。
また、国におきましては、コロナ禍の収束に向けて、新型コロナウイルスワクチンについて、令和3年の前半までに、すべての国民の皆様へ提供できる数量の確保と、全国におけるワクチンの流通体制や接種体制の整備を目指しています。
人々にとって重要なワクチンの円滑・迅速な接種に向けて、市町村が実施主体となって、住民の皆様への接種勧奨や個別通知を行う必要がありますので、国の動向に十分留意し、接種体制の構築に向けた準備を精力的に進めてまいります。
さらに、感染拡大の防止に向けて、引き続き、迅速な疫学調査を行いながら、クラスターの発生をできる限り封じ込めるとともに、PCR検査体制を更に強化するため、2月以降には高知市保健所でも、PCR検査が実施できるよう準備を進めます。
また、高齢者施設等におけるクラスター発生の防止に向けて、新たに施設へ入所される高齢者の方々を対象に、PCR検査費用について助成を行ってまいります。
南海トラフ地震対策
次に、南海トラフ地震対策について申し上げます。
国におきましては、近年頻発する大規模災害をふまえて、強靭な国土づくりを強力かつ継続的に進めるため、平成30年度から、「防災・減災、国土強靭化のための3か年緊急対策」を実施されてきましたが、その期限は本年3月末までとなっていました。
喫緊の課題である南海トラフ地震対策の総仕上げに向けて、国における国土強靭化の対策は高知市にとって生命線であり、全国市長会等を通じて国に対し国土強靭化対策の継続を強く求めてまいりました。
全国市長会等の強い働きかけもあり、政府におきましては、先月11日、総額で15兆円規模となる国土強靭化「5か年加速化対策」を閣議決定したところであり、本市におきましては、 南海トラフ地震対策の生命線ともいえる三重防護対策の早期整備を期待するとともに、新たな対策の下、国土強靭化に資するインフラ整備や橋梁等の老朽化対策を加速化してまいります。
また、高知東部自動車道・高知南国道路の高知ICから高知南IC間が、本年度内に開通する予定です。
高知南国道路は、近づきつつある南海トラフ地震による高知市東部地域における長期浸水時にも安心して通行できる幹線道路として、被災者の救助救出やプッシュ型の緊急物資の輸送、早期復旧に向けた救援活動などの極めて重要な役割を担うとともに、基幹災害拠点病院である高知医療センターへのアクセスも飛躍的に向上するなど、まさに高知県中東部にとって重要な「命の道」となります。
さらに、接続する高知南ICは、物流を担う高知新港や、スポーツの一大拠点である東部総合運動場とも至近距離にあることから、物流や本市の産業振興、スポーツツーリズムの発展に多大なる効果が期待されています。
今後は、新型コロナウイルス感染症の収束後における観光需要の回復に加え、産業振興、スポーツの発展をはじめ様々な効果をもたらす高知東部自動車道の早期全線開通に向けて、全力で取り組んでまいります。
デジタル化
次に、デジタル化について申し上げます。
国においては、本年9月にデジタル庁を設置し、デジタルトランス・フォーメーションを強力に推進する司令塔として位置付け、行政のデジタル化を強力に推進しようとしています。
本市としても、 ウィズコロナ・アフターコロナの時代を見据え、行政サービスのデジタル化に向けて、定型的な業務の自動化を進める「RPA」の本格導入やウェブ会議、テレワークの推進、行政手続のオンライン化等を推進していくとともに、マイナンバーカードの普及促進にも取り組みます。
また、教育分野では、GIGAスクール構想の実現に向け、児童生徒一人1台のタブレット端末の配備や、高速大容量の校内LAN整備を進めており、令和3年度から、ICTを活用した教育活動が本格的にスタートします。
現在、ICTを活用した教育のあり方について、各種の企業や有識者等を交えた「高知市立学校ICT活用推進協議会」を立ち上げており、協議会でのご意見も踏まえ、ICTを活用した教育活動の充実を図ってまいります。
また、これまで採算性等の問題から光ファイバの整備が進んでいなかった鏡・土佐山地域におきましても、国の財政支援を受け、整備を進めることとなりました。
本市としては、この機会を捉えて、中山間地域にお住まいの方々の生活に直結した様々なニーズに対応するICTの利活用策について具体的な検討を行うこととし、昨年11月に、地元地域の代表や、ICTに関する専門家等で構成する「鏡・土佐山ブロードバンド利活用協議会」を設置し、協議を重ねています。
これまで、高齢者の見守りや健康維持、防災情報の共有、農作業の省力化、移住・定住人口の拡大などの各分野において、幅広くご意見をいただいております。
今後につきましても、同様の地域課題を抱える他の地域への横展開も視野に入れながら、これらの課題解決に資するICTの利活用策について、具体的な施策の検討を行ってまいります。
移住・定住の促進
次に、移住・定住の促進について申し上げます。
本市では、直面する人口減少問題を背景として、平成27年度に「高知市移住・定住促進計画」を策定し、人口の社会増を目指し、よさこい移住や二段階移住など、様々な移住・定住施策に取り組んでおり、昨年度の県外からの移住実績は234組359人となりました。
今年度からは、2期目の計画がスタートし、これまで取り組んできた情報発信やよさこい移住、生涯活躍のまちのほか、新たに若者世代等のUIJターンの推進や、地域おこし協力隊の受入れ、関係人口の創出など、積極的に取り組んでまいります。
特に、高知市独自の二段階移住につきましては、先月、二段階移住のプロモーション活動で制作したPR動画「田舎暮らしは甘くない」が、「ぐろ~かるCM大賞2020」でPR動画大賞を受賞することができ、職員の皆様に感謝を申し上げます。
こうした素材についても、高知を移住先として選択していただくための重要なツールになるとともに、現在、新型コロナウイルスの影響で、感染リスクの高い都市部を離れ、地方で暮らすことの関心が高まっていますので、効果的・戦略的な情報発信を展開してまいります。
また、本市の沿岸部に位置する「長浜・御畳瀬・浦戸地域」は、人口減少と高齢化が急速に進んでいることから、昨年3月に、令和2年度から6年度までの5か年計画として「高知市長浜・御畳瀬・浦戸地域振興計画」を策定し、地域の皆様とともに計画に基づく取組を進めているところです。
地域の方々からは「高齢化が進み、地域活動の担い手がいない」ことや「地域外の方にも計画に関わってほしい」等の多くのご意見をいただきましたので、計画初年度となる今年度は、地域活動の担い手になる人材を発掘・育成することを目的として、閉校した旧御畳瀬小学校を活用し、地域おこし学校「こうちみませ楽舎がくしゃ」を昨年10月にプレ開校しました。
この「こうちみませ楽舎」には、小学生から80歳代までの幅広い年代にわたる47名の方々に参加いただき、その中には御畳瀬小学校の卒業生や地域にお住いの皆さん、地域づくりに関心を持たれている県外の方々も参加されています。
昨年は、地域の皆さんの想いや、地元の歴史文化などの魅力に触れながら地域づくりを学んでいただき、本格的な開校となる今年春からは、活動内容を「学び」から「実践」へつなげ、地域の担い手となる人材を育成し、地域活性化へつなげてまいります。
よさこい祭り
次に、よさこい祭りについて申し上げます。
昨年は、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、様々なイベントや行事が中止となりました。
こうした中、よさこいにかかわる方々が、よさこいを盛り上げようと、昨年8月のよさこい本番の前後に、よさこいの衣装やチームTシャツを着て清掃活動を行ったり、インターネットで事前に募集したよさこい動画を編集し、動画配信による総踊りを実施されるなど、大勢のよさこい関係者が、前向きに取り組まれたことを嬉しく、感謝しています。
今年は何とかよさこい祭りの開催にこぎつけたいと強く決意したところであり、関係者の皆さんと思いを一つにしながら、ウィズコロナの時代における開催方法について、検討を進めてまいります。
高知市型共生社会
次に、コロナ禍の中で貧困が広がっていますので、重要な高知市型共生社会の構築について申し上げます。
団塊の世代の方々が後期高齢者となる2025年や、すべての分野で担い手が減少する2040年を見据えると、今後のまちづくりにおいては、行政と市民の皆さん、地域の社会福祉法人や企業など多様な主体の皆さんが、ともに手を携えていく、「高知市型共生社会」の実現に取り組んでいく必要があります。
新型コロナウイルスの感染が拡大し、貧困にも影響が出る中で、まずは、どこに相談したらいいかわからない、ちょっとした暮らしの困りごとを受け止め、専門機関や地域の資源など的確な支援につなぐ「ほおっちょけん相談窓口」の設置を進めており、現在、薬局や社会福祉法人の皆さんのご協力をいただき、市内28か所の相談窓口を開設しており、今後も、段階的に広げていきます。
また、住民や支援者の皆さんが必要な情報を得るツールとして、医療や介護、障害、子育ての分野のサービスや、地域資源、相談窓口などの情報を掲載する「Licoリコネット」を昨年1月にインターネットで公開しており、掲載情報を充実させ、活用の促進を図ります。
体制強化では、令和3年度の機構改革において、現在の「地域共生社会推進室」を課に昇格させ、マネジメント機能を強化するとともに、庁内の地域共生社会推進委員会を、私を本部長とする推進本部に昇格させるなど、体制強化を図ってまいります。
新型コロナウイルスの影響は、長期間に及ぶことも懸念されていますが、国難とも言えるコロナ禍を乗り越えていくためにも、市民一人ひとりが手を携え、「共に支えあいながら生きる」地域共生社会の実現をめざしてまいります。
新たな年を迎えて
最後になりますが、現在、庁内一丸となって、新型コロナウイルス感染症対策を推進しており、今、厳しい時だからこそ、市民の皆様の思いに寄り添った、きめ細かな対策が求められています。
コロナ禍で苦境の真っただ中にある飲食等をはじめ様々な事業所の皆様には、高知県の要請に基づく営業時間短縮など、感染拡大防止の取組に協力いただくなど、年末年始の書き入れ時期に多大なるご協力を賜っておりますことに改めて感謝を申し上げるとともに、高知県とも連携して、引き続き感染防止対策と経済活動の継続に取り組んでまいります。
デジタル化の進展をはじめ、社会経済情勢は大きく変わろうとしていますので、新しい時代を切り開くチャレンジ精神で、スピード感ある政策を展開していく必要があります。
新型コロナウイルス感染症対策をはじめ、人口減少問題や南海トラフ地震対策など、多くの課題があり、職員の皆さんのご協力が不可欠であり、それぞれの職場において、チームワークを大切にし、知恵を出し合いながら、高知市の発展に取り組んでいただくことをお願いいたします。
コロナ禍が収束し、一日も早く市民の皆様にとりまして、幸せ多き年になりますことを心からご祈念申し上げ、年頭の挨拶といたします。
今年もよろしくお願いいたします。