ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ
トップページ > 組織一覧 > 広聴広報課 > 平成31年2月22日 市長定例記者会見

本文

平成31年2月22日 市長定例記者会見

会見項目

  1. 平成31年度当初予算・3月議会提出議案の概要について
  2. 平成31年度機構改革について

配布資料

平成31年度機構改革について  [PDFファイル/111KB]

会見内容

(1) 平成31年度当初予算・3月議会提出議案の概要について

(市長)
 本日,31年度当初予算と関連議案,そして補正予算案を発送いたしますので,発表をさせていただきたいと思います。主に配布資料をもとに説明をいたします。

 まずは1ページですけれども,予算関係の議案が23件,条例関係につきましては10月からの消費税率改定の関連条例等22件,その他議案が契約関係等で14件で,本日の議案発送分は59件となっております。開会日が1週間後の3月1日になりますが,開会日に追加提案するものがありまして,小学校・中学校の空調設備の施工事業者が決定いたしましたので,2件お諮りしたいと思っております。学校の空調設備工事は急ぎますので,3月1日で分離をして議案の審議をお願いしたところです。最終日には人事案件を2件予定しておりまして,教育委員会委員の再任の方が1名,固定資産評価審査委員会委員の新任が1名と再任が1名で2名です。

 当初予算一般会計についてですけれども,南海トラフ地震関連で事業がかなり進捗しましたので,対前年でいうと,ハード事業の事業量が落ちてきて,対前年で58億円減の1,480億円となっております。そして,特別会計の中の収益事業ですが,昨年は共同通信杯という特別競輪がありましたが,今年は開催されませんので,その分が減額になっております。

 2ページは,市民1人当たりの歳出の種類の表です。円グラフの左側の方で見ていただきますと,特に最近では子育てに関わる予算が非常に膨らんできていて,全体でいうと社会保障,社会福祉関係の予算のウエイトが非常に高くなっている状況です。

 3ページですが,今回の予算(編成)のテーマと政策のテーマについては,「次代へつなぐ共生と安心のまちづくり」としております。地域共生社会の実現,ということが前面に出てまいりましたので,予算関係でも,共生と安心のまちづくりということを意識して予算編成をしております。後程,機構(改革)についてもご説明申し上げますが,地域共生社会の実現に向けた機構も設けていく予定です。柱は2本になっていまして,昨日も(2月21日21時22分頃)北海道で地震がありましたが,南海トラフの地震対策を着実に進めていくということで,ハード事業については前年から半減位になっています。もうひとつの(柱の)地方創生ですが,子育てのさまざまな政策が拡充されてきておりますので,子育て支援の予算が大きなボリュームになってきている状況です。

 財政収支ですけれども,経常収支比率が28年度は悪い方に振れまして,29年度は少し落ち着いてきていますが,法人市民税,それと地方交付税がどちらかというと頭打ちになってきておりますので,財政が硬直化してきております。後程,財政構造についてはご説明申し上げます。

 4ページに2本柱の総括を書いていますが,南海トラフ地震対策につきましては,ハード対策がほぼ半減してきている。それから地方創生は,子育て支援関係で,これは人件費も入っていますが,全体で330億円ということで,(幼児教育・保育の)無償化も入りましたので,事業規模が膨らんできているという状況がございます。

 5ページは南海トラフ地震対策のソフト対策ですが,おかげさまで自主防災組織の結成率が95%位まで上がってきましたので,地域の積極的な活動や支援に感謝をしているところです。6ページはハード対策です。

 7ページは幼児教育保育の無償化で,右側の『無償化の対象』のブルーの囲みの部分ですが,これが新たに国が政策として行う部分でして,3歳から5歳までの全ての子どもさんの幼稚園・保育料等の無償化,それから0歳1歳2歳は保育料が高いですので,段階的にいくということで,住民税非課税世帯の子どもさんが無償化になります。あと,幼稚園の「預かり保育」や,「ベビーホーム」という名称がついている認可外保育については一定額の支援を行うことになっておりまして,全体的に約135億円(無償化の影響による新規・既存事業の合計額)という,かなりのボリュームの無償化の事業が入るということです。

 8ページですけれども,今年度から,れんけいこうち広域都市圏(関連事業)が,34市町村すべてでスタートしておりまして,3本の柱がございます。34市町村の経済成長のけん引,高知市に特に集中しております高次の都市機能の集積,例えば医療センターや,5月6日にオープンする(予定の)日赤病院の関連,そしてオーテピアの関連,こういうものを一つの分野としております。防災リーダーの育成等の生活関連機能サービスの向上を3つ目の柱としておりまして,31年度もさらに積極的に取り組んでいきたいと考えております。

 9ページの移住・定住ですが,東京一極集中の是正ということがいわれて久しいですが,結局,全都道府県のうち東京都だけ人口が増えていますので,一極集中は残念ながら止まっていないという状況があります。東京都(東京圏からの移住)につきましては,国が新しい政策として,移住を促進させるために,地方創生移住支援事業補助金というものが新たに入ります。東京23区に在住の方,もしくは東京圏から23区へ通勤をされている方が地方へ移住された場合に,一定の条件がありますが,高知県が開設しているマッチングサイトで(掲載されている)中小企業等へ就職された方,または起業された方について,100万円まで支援をしようというものが,国の制度として新しく入ってくる予定です。そして2つ目ですけれども,『生涯活躍のまち』です。30年度の高知県への移住が,おそらく今の推計値でいくと900組位になる予定です。そのうちの200組程度が高知市への移住ということになります。(移住者の)主力が20代,30代,40代で8割程度を占めていて,意外と50代,60代のUターンの方々が帰ってきていないということがありますので,50歳以上の中高年の方々をターゲットとして高知へ移住していただいて,それまでの仕事のスキルとマッチングしていきたいということがありますので,CCRC事業を含めまして,『生涯活躍のまち』の事業を推進していただける事業者を公募したいと考えております。事業者に選定されますと,コーディネーターなど人件費等の支援がありますので,一事業者1,000万円位の規模のものを2事業者ほど公募したいと考えております。あと,地方創生の中で『生涯活躍のまち』の事業計画(生涯活躍のまち形成事業計画)をつくるときに地域再生協議会を立ち上げていきたいと考えております。

 10ページですけれども,生活密着型の道路の改修や河川の改修は,住民の方々,地域のご要望が強い部分ですので,来年度は対前年度で3,200万円程度上積みをしまして,7億8,000万円位で積極的に事業を推進したいと考えております。

 11ページの下半分ですが,国の(政策の)関連で,市そして県の事業を後押ししていただける起債が新たにできてきております。(1)は緊急防災・減災事業債で,32年度まで延長されました。これまでに消防署所,屯所の建設を行ってきましたが,充当率100%で交付税が70%もありますので,積極的に活用いたします。昨年も非常に災害が多い時期でしたが,県や市が単独で行う自然災害防止対策について,これも充当率100%で交付税70%の起債が新設されました。3か年限定ですので,県も相当この部分で予算化をしておりますが,高知市も積極的に,ポンプ場の改修等をしたいと考えております。(3)の公共施設につきましては,長寿命化,いわゆる従前のものを長く使っていこうということに全体の舵がきられましたので,我々も,個別に計画を立てながら,それぞれの施設の改修に入っていきたいと思っております。これも新しいものになりますので,積極的に活用したいと考えます。

 12ページですけれども,森林環境(譲与)税がこれから入ってきます。まだ森林環境税は課税されていないのですが,近々課税されるということになるので,前倒しで各市町村に事業費がくることになりました。民有林が保全できておりませんので,保全できていない一定の民有林を市町村が管理するということが1つの方向性になりました。そのために,資料の中ほどでいうと,森林経営管理事業というものがありますが,林地台帳などを整備するとともに,手入れが行き届かない民有林については,同意を得たうえで市町村が管理するということに舵をきられますので,その準備をしたいと思います。それと,被害森林整備事業につきましては,平成26年から昨年まで,中山間地域でかなり台風に伴う倒木が発生して,そのままになっていますので,それを整備する予算です。あと,林業につきましては,担い手がなかなかいないので,林業技能者の(育成)支援の助成に入りたいと思いまして,これを総合的に進めるために,新たに(市役所の)機構の中にも推進室(森林政策室)を設けていきたいと思います。その下ですが,南海トラフ地震に備えて,アニマルランドにさまざまな動物がいますので,浸水時に上へ,上へと動物が逃げられるように,そういう避難用の柵の設置を進めてまいりたいと思います。

 13ページですけれども,下知(しもじ)に下知水再生センターという下水処理場がありまして,管理棟の建替えをしたいと思います。近くの公立保育園の避難場所にもなりますので,建替えに入ったうえで,管理棟を避難場所とする事業を進めていきたいと思います。

 15ページですけれども,予算外議案の中で,人権尊重のまちづくり条例を提案申し上げます。LGBTをはじめさまざまな差別の解消を目指したいと考えておりまして,条例(の施行)と併せて,審議会経費の予算化をしたいと思います。それから,朝倉総合市民会館は非常に稼働率が高いところですので,耐震化の工事に入りたいと思います。

 16ページですけれども,高知市民憲章が(制定から)50年になります。市民憲章は50年前に全国各地で制定されておりますけれども,高知市は積極的にこの事業に取り組んでおりますので,50周年記念事業を支援したいと考えております。

 17ページですけれども,社会資源情報のポータルサイトを作りたいと思います。各地域には,子育て支援のさまざまな事業所やNPO,また,高齢者支援の関係のNPO等,さまざまなものが活動をしておられますけれども,一覧でわかる場所がありませんでしたので,高知市でポータルサイトを作り込んで,すべての情報を入れまして,来年の1月から利用開始できるように準備をしていきたいと思います。インターネット等で分かるようにしてまいります。

 18ページ(の(1))の,旭地区の木村会館も非常に利用率が高いですので,一度耐震診断を行ったうえで今後の方針を立てていきたいと考えております。一番下の端ですが,この10月から消費税を8%から10%に引き上げられる予定ですので,これに伴いまして,消費税には逆進性がありますので,低所得者の方々に対する支援が国の制度としても入ります。ここに掲げていますのは,介護保険料の低所得者の方々の,いわゆる値下げが入ってきます。約4万人が対象になりますので,その予算化をしていきたいと考えております。

 20ページですけれども,生活保護を受給されている単身の高齢者の方の見守りと,住宅費の代理納付を行う事業者を募りたいと考えております。月に一回見守りをお願いするという条件で事業者を公募したいと考えております。

 22ページですけれども,高齢化に伴いまして,がんも80歳になってから発病される方も普通におられますし,80歳で手術されて元気で日常生活に戻られる方もたくさんおられます。現在,胃がん検診のなかで,内視鏡検査については50歳代の方だけの助成になっていますが,高齢者になってからの発病も非常に増えていますので,胃カメラによる検診を,50歳以上の全ての方に広げていきたいと考えております。

 23ページからは子育ての支援ですが,まずは一番大きいところで,オレンジの囲み(幼児教育・保育)の無償化の部分ですけれども,民間保育所,認定こども園,市立保育所で,先程申し上げました子どもを対象とした無償化がスタートします。制度が複雑で,今,準備に苦労していますけれども,この10月から無償化されますので,例えば民間保育所で約72億円,認定こども園で約25億円,市立保育所で約31億5,000万円と,(財源となる保育料が)非常に大きな減額になり,全体を合わせますと約128億4,500万円となります。(無償化に関連する事務の)ボリュームが非常に増えてきているということです。23ページの一番上へ戻りますが,子育て世代包括支援センターです。出産されたお母様方が,なかなか情報がない,子育ての相談ができないということが課題になっています。西部健康福祉センター内に子育て世代包括支援センターを設けたいと思いますので,開設しましたら,母子健康手帳(交付時の面談)や育児相談を,このセンターの中で行えるようになりますので,支援を厚くしたいと思います。また,23ページの中ほどにある就学援助(管理システム整備事業)ですが,たびたび議会でも言われていますけれども,小学校へ入学前の子どもさんに対する就学の援助,例えばランドセルの購入代などですが,システムが十分ではありませんでしたので,整備をしたいと考えております。23ページの下ですが,民間保育所の耐震補強がかなり進んでまいりまして,おかげさまでほぼ当初の目途に沿いながら耐震補強工事が完了しております。あと,残っている大津東保育園,(老朽化に伴う)一ツ橋保育園の増改築に入りたいと思います。また,認定こども園につきましては,みかづき第二幼稚園,私立のもみのき幼稚園の大規模改修に対する助成をしてまいりたいと思います。

 24ページにつきましては公立保育園ですが,老朽化しておりまして,狭あいな(立地にある)秦中央保育園の移転改築を行うことになっていますので,造成工事に入りたいと思います。

 25ページですけれども,県のご支援を頂いて,2種類(の事業が)ございますが,特別支援学級にスーパーバイザーの拡充をしたいと考えております。

 26ページですが,ヘルメット着用の県条例が県議会の議員提案で成立いたしましたので,ヘルメット(購入費)の助成をしたいと考えております。補助制度を31年度からスタートさせる予定です。そして,学校の先生方はすごく忙しく,働き方改革(の必要性)が言われていますので,学校のさまざまな事務を支援する学校の支援システム(統合型校務支援システム)を県が全市町村に入れますので,それを新年度から稼働させていきたいと思います。26ページ下に記載していますが,横浜にある横浜文化センターの耐震補強工事にも入ります。

 27ページですけれども,オーテピアが去年の7月にオープンしまして,潮江市民図書館にありました子ども科学館が移転しました。その改修工事を行いまして,潮江地域のコミュニティ拠点の機能を持たせていきたいと思います。そして,2020年のオリンピック・パラリンピックについてですが,高知県と一緒に動いていましたが,シンガポールの競泳チームが東部運動公園の50メートルプールに入ってくるようになりましたので,事前合宿関連の助成(経費負担)をしたいと考えております。

 28ページですけれども,(高知市文化プラザ)かるぽーとが開設以来20年位経ってまいりまして,設備の更新に入りますが,かなり多額の経費がかかりますので,劣化度の調査を行ったうえで,計画的な改修のプランを立てたいと考えております。春野のピアステージ(春野文化ホール)につきましては,吊天井の(落下防止対策)工事に入りますので,しばらく休館いたします。

 30ページの新食肉センターについてですが,高知県とJA等を中心とする新会社で建設するということになっておりまして,と畜部分については公共財であるという認識のもとで,県が半分建設費を持ち,残りの半分につきましては,関連する28市町村で建設費について負担をしていこうということになりまして,実施設計に対する負担を28市町村が当初予算で計上するということになりました。按分の仕方は,人口割でされると高知市の負担が非常に大きくなりますので,人口割と飼養頭数割,高知市の場合は牛と馬がいますので,牛と馬の頭数で,28市町村で按分するということで,当初予算に計上する予定です。

 31ページですけれども,高知中央産業団地3区画が全て分譲されましたので,東側の布師田の19ヘクタールへ県市折半で開発に入っていきたいと考えております。

 32ページは,今年,ラグビーのワールドカップがありまして,トンガの事前合宿が決まりました。トンガとは色々な交流もありまして,特に高知市からはトンガに(ごみ収集用の)パッカー車を送っていて,非常に喜ばれております。この(トンガチームの)受け入れが決まりましたので,その助成をしたいと考えております。それと,来月3月に,ひろめ市場の近くの帯屋町2丁目のアーケードの中に,多言語対応の観光案内所をオープンいたします。その31年度の運営経費を計上する予定です。インバウンド(観光客が)非常に増えていますので,ここを1つの窓口にしたいと考えております。

 33ページのプレミアム付商品券についてですが,消費税引き上げに伴いまして発行されます。これまでと違いまして,商品券を買える方が制限されていまして,1つは住民税非課税の方約8万人が対象となります。もう1つは子育て世帯のプレミアム付商品券の機能を持たせるという意味で,これは子どもさんがおられる家庭のすべての方々が買えるものでございます。(※補足:子育て世帯については,本年6月1日時点の住民のうち,平成28年4月2日以降に生まれた子が属する世帯の世帯主が対象。)プレミアムが25%付いていますので,最大で2万5,000円の商品券が2万円で買えるということになります。最少は5,000円(購入額4,000円)になる予定で,この準備に入りたいと思いますので,機構においても組織(プレミアム付商品券推進室)を立ち上げる予定です。

 34ページですけれども,中山間地域に移住の方々も来られていますので,さまざまな施策の展開がされてきております。一番下の部分ですが,土佐山にありましたドルフィンという古い施設を解体しましたので,その跡地に,中山間地域活性化住宅を建設するための造成工事に入りたいと思います。

 35ページ,今年の5月6日に高知赤十字病院がオープンする予定です。現在の病院から患者さんの移送を含めて,5月までに(移転を)する必要がありますので,これからが大変だと思いますが,イオンの東側から高知駅へ抜ける秦南町線の街路を4月中には開通させたいということで準備をしております。

 37ページですけれども,中心市街地の都市公園として丸ノ内緑地と藤並公園がありますが,開設以来ほとんど手が入っておりませんので,公園としては老朽化してきたため,リニューアル工事に入りたいと思います。

 39ページですけれども,南海トラフ地震対策の中で,民間住宅の耐震化の促進というのは非常に大きな課題です。31年度に新たに非木造住宅も助成制度(住宅耐震化推進事業)に加えることにしていますので,例えば3世帯以上の(鉄骨造の)共同住宅等も補助事業に加えることで,新たに対象の拡大をしたいと考えております。中ほどの弥右衛門公園整備事業につきましては,31年度が最終年度になりますので,公園の仕上げの工事に入りたいと思います。

 40ページですけれども,おかげさまで消防署所の再編が順調に進んでおりまして,(平成29年度に)北消防署を開設し,今年の秋には筆山の麓に中央消防署が開署いたします。これでほぼ消防署所の再編ができますので,10月からは消防署全体の所管割も変えていきたいと考えております。また,屯所(の整備)もだいたい完了してきましたが,長浜分団の横浜部という屯所については,現在,旧長浜より横浜の方が人口が多いので,横浜分団に昇格させたうえで,新しい屯所を建設したいと考えております。

 41ページにつきましては新庁舎建設事業ですが,昨年の台風や集中豪雨,それから鉄骨を作っている神戸の工場が浸水いたしましたので(9月4日,台風第21号によるJFE建材株式会社神戸工場の浸水被害),約3か月間工期が遅れるということになりました。11月末までが工期ということになりましたので,竣工いたしましたら,年末からいろいろな備品を入れて引越作業に入りたいと思いますので,2月末頃までに引越を全て終わらせて,供用開始を目指していきたいと思います。

 47ページからは条例関係ですが,(2019年10月1日に)消費税率が改定されますので,消費税を8%から10%に引き上げる条例を44条例改正したいと思います。また,報酬等につきましては,特別職につきましては報酬等審議会(高知市特別職報酬等審議会)から据え置きの答申を得ていますので,議員報酬を含めて据置きになりますが,市長等につきましては,10%と5%のカットを入れていますので,2020年3月まで継続したいと考えております。(7)は,LGBTをはじめとする人権尊重のまちづくり条例を提案したいと考えております。

 49ページですけれども,大津京免(きょうめん)工業団地という聞きなれない団地名がございますのでご説明申し上げます。南海トラフ地震が近づいてきておりますので,さまざまな産業を津波の浸水から守っていかなければなりませんので,(地震発生後の津波による)浸水エリアから浸水をしないエリアへの産業,事業所の移転ということが課題になっています。新しく民間施工で工業団地ができますが,場所的に言いますと,大津と介(け)良(ら)の境あたりになります。ここの約2.6ヘクタールを民間事業者が買収しまして,大津京免工業団地という工業団地ができあがってまいります。この団地が完成いたしますと,現在知寄町にある日野自動車等数社がここへ移転する予定です。その地区計画(区域内における建築部の制限に関する条例)の議決が必要ですので,議案を提案します。浸水エリアから浸水エリア外へ移転する工業団地で,南国市も積極的に工業団地をつくっていますので,できるだけ市内へ残っていただくということもありますので,私たちも積極的に支援をしていきたいと考えております。その関連の議案です。

 54ページで,最後に財政状況をご説明申し上げますが,平成30年度の予算編成のときから,交付税,市税ともにあまり伸びが見られないということで,財政状況はかなり厳しくなってきております。この54ページの中ほどのオレンジの濃い部分の右下に書いていますけれども,平成30年度の当初予算を議会でお示ししたときに,向こう5か年で約159億円の財源不足になるとご説明申し上げました。このうち,今回の当初予算で見通しをたてなおしましたが,結論として財政収支不足は117億に縮減しております。これはどうしてかといいますと,1つは先程言いました,国の幼稚園保育園の教育費関係の無償化が入ってきたことです。国の補助金が入ってきた関係等で22億円ほど圧縮しております。また,非常に有効求人倍率が上がってきておりますので,生活保護費を中心とする扶助費の予算が縮減しておりまして,それでだいたい20億円程度。全体を合わせまして42億円程度の財源不足の圧縮ができたところです。しかしながら,向こう5か年で117億円の財政不足と厳しい現状にありますので,今後起債の借り換えなどを含めてさまざまな工夫をしたいと考えているところです。

(2) 平成31年度機構改革について

(市長)

 予算と関連する機構改革がありますので,「平成31年度機構改革について」という資料をご覧ください。
まず,地域共生社会の実現というのが国も含めて前面に出てまいりまして,議会の関心も高くなっておりますので,地域共生社会推進室を新設したいと思います。また,障害者支援の充実を図るために,地域生活支援室を設ける予定です。それと,プレミアム付商品券についてですが,非常に事務が煩雑ですので,プレミアム付商品券推進室を設置いたします。人事発令は先行して行いました(2月1日付)。2枚目(裏面)ですが,森林の民有林の整備が相当入ってきますので,鏡地域(振興課)に森林政策室を新設する予定です。中程から下ですが,消防署所の再編がほぼ完了してきますので,総合指令課の新設,救急が非常に増えていますので救急課を新設いたします。また,昨日(2月21日)も大きな火災がありましたが,事業所を中心とする違反事例の是正係を(予防課に)新設して指導強化をしていきたいと考えております。

《会見項目(1) 平成31年度当初予算・3月議会提出議案の概要について 財務部長による補足説明》

(財務部長)

 それでは,14ページをお願いいたします。中ほどから少し下になりますけれども,東部環境センター長寿命化整備事業につきましては,9,800万円で,現在休止中の第2系列生物処理及び高度処理工程を整備して長寿命化を図るもので,34年度(2022年度)までの総額5億2,000万円の継続費を設定するものです。

 18ページの中ほどの地域支援事業等操出,これは介護保険事業の中ですけれども,地域包括支援センターの再編強化といたしまして,現状の直営5センター1分室,それから直営・委託での17出張所を31年,32年の2か年で再編強化をして,新体制として直営の基幹包括支援センター,そして直営委託14センター,直営の1出張所という形で再編をしようとするものです。

 22ページをお願いいたします。成人歯周病検診事業は,160万円で,県下統一の検診を実施し,歯周病の早期発見,治療につなげるものです。そして横の23ページ,妊婦歯科健診事業につきましても,240万円余りですが,妊婦の歯科健診を実施しまして,妊娠期の健康管理を支援しようとするものです。そして,中ほどの訪問型病児保育事業補助の450万円ですけれども,施設型病児保育の補完ということで,新たに訪問型病児保育を実施する事業者に対して,経費の一部を補助するものです。

 24ページをお願いします。一番下の方になりますが,未婚児童扶養手当受給者臨時特別給付金給付事業です。3,300万円余りで,児童扶養手当受給者のうち未婚のひとり親に対して給付金による支援を行うものです。

 25ページに進みまして,国際理解教育推進事業,学力向上推進事業,下の方の部活動外部指導員配置事業,教員業務支援員配置事業は,それぞれALT(外国語指導助手)や指導員等の増員を行うものです。

 26ページをお願いいたします。中ほどの遠距離通学支援補助金につきましては,現行の補助率2/3を,10/10に増額するものです。

 28ページをお願いいたします。上の方ですが,ヨネッツこうち整備事業は,1億5,000万円で,天井の落下防止対策工事等を行うものです。下の方ですが,文化財の保護の部分では,武市半平太の旧宅離れにつきまして,屋根及び外壁修理工事を行う他,土佐神社,朝倉神社の保存整備事業に対して補助を行うものです。

 29ページに移りまして,農道トンネル照明設備改修事業は,1,000万円で,春野地域のふなとトンネルの照明のLED化を行うものです。仁ノ地区排水対策事業,仁ノ地区排水路整備事業は,それぞれ1,800万円と1億4,000万円。農業水路等長寿命化・防災減災事業は,長浜地域の日出(ひいで)野(の)排水機場の自家発電整備を更新するものです。

 39ページをお願いいたします。中程から少し下ですが,洪水ハザードマップ改定事業は,新たに公表されました浸水想定をもとに,物部川,国分川,鏡川のハザードマップを作成し,全戸に配布するものです。下の端,津波防災避難路等整備事業は,浦戸地区津波避難施設等の整備方針に基づき,新たな津波避難路と,旧浦戸小学校跡地に備蓄施設を整備するものです。

 43ページをお願いいたします。公共施設保全事業ですが,こちらは各課に配分しておりました修繕等の予算枠のうち1,000万円を財務部で集中的に管理し執行することとし,緊急的な修繕等に対応しようとするものです。

 44ページをお願いいたします。ここからは3月補正予算の主な内容となっております。県営事業負担金では,港湾や街路,道路等で9億4,000万円余り,基金積立金は,廃棄物処理施設整備基金と施設等整備基金,これは収益事業特別会計ですが,合計で2億5,000万円を追加するものです。補助・負担金等は,医療センターの運営に伴う病院事業交付税負担金や,生活バス路線運行維持費補助金などで,2億9,600万円余りです。

 45ページに移りまして,公共事業等は,斎場整備事業での減額や,大谷公園の法面整備を行う公園施設防災機能強化事業などで,額としましては減額の3億4,000万円余り。その他につきましては,退職手当や介護給付・訓練等給付費,プレミアム付商品券発行事務費や起債の借り換え等によりまして,額としましては22億円余りとなっております。

 47ページをお願いいたします。ここからは予算外議案となりますが,まず条例の中で主なものにつきましては,(2)の報酬並びに費用弁償条例の一部を改正する条例議案は,教育長職務代理者の報酬の新設などを行うものであります。

 48ページに移りまして,中ほどの(12)ですが,国民健康保険条例の一部改正は,保険料の基礎賦課限度額の引上げ及び保険料軽減対象世帯の拡大を行うものです。(13)から49ページの(16)までは,消費税率の改定等に伴いまして,個々の条例改正を行うものであります。それから㉑の水道事業及び公共下水道事業の設置等に関する条例の一部改正ですが,事業計画の変更に伴いまして,処理人口,1日最大汚水量及び処理区域を変更するものです。

 50ページに移りまして,その他議案につきましては,市営住宅の火災保険に係ります,相互救済事業の委託について((1)),そして包括外部監査契約の締結((2)),市道路線の廃止認定((3)),(5)からは,新庁舎の備品についての購入契約の締結,51ページに移りまして,(12),(13)は新庁舎建設工事,それと新庁舎建設電気設備工事請負契約の変更を行うものです。(14)は市営住宅使用料等滞納者に対し,調停の申立てを行うものとなっております。

 52ページの報告3件につきましては,新庁舎関連の工事請負契約の変更についての市長専決処分の報告。そして,交通事故等に係る損害賠償の額の決定につきまして専決処分を報告するものであります。

 私からは以上です。

質疑応答

(記者)

 今回の当初予算のポイントと意気込みを,簡潔にお答え頂ければと思います。

(市長)

 ここ数年,南海トラフ地震対策を最重点としながら,もう一つは少子高齢化の中で人口減少は非常に大きな問題ですので,地方創生ともいわれますが,少子高齢化の対策を,2本柱できました。おかげさまで,国の手厚い支援もありまして,南海トラフ地震対策のハード事業はかなり進捗もしておりますし,一定の成果が見えてきております。高知市の予算としては,ハード事業については事業がだんだん減ってきていますので減少してきていますが,やはり南海トラフ地震は近づきつつあるという認識を我々は持っていますので,万全の仕上げをしていきたいと考えております。

 31年度以降数年は,恐らく『共生と安心のまちづくり』というのが高知市の最大のテーマになると考えているところです。なぜかというと,2025年に,団塊の世代が全て75歳に入ります。分かりやすく言うと,団塊の世代が後期高齢者に全てなってしまうので,恐らくこれから,社会保障,社会福祉を地域で支えるというのがもっと前面に出てくると思いますので,意識してその準備に入ったということが31年度予算の特色でもあります。これから3月議会で議論をいただきまして,特に南海トラフ地震対策,もう1つの『共生と安心のまちづくり』については,地域と非常に関わる仕事になりますので,地域のさまざまな団体,そして社会福祉で活動されている各種団体やNPOとも連携を深めていく必要がさらに出てくると思うので,そういう意味で非常にスタートが大事な予算になると考えております。

(記者)

 市長はもうすぐ4期目の任期が終わられるということで,そういうところの予算に込めたところがあれば伺えたらと思います。

(市長)

 おかげさまで,市民の皆様方,議会の皆様方にご支援をいただきまして,4期目を総括すると,さまざまな事業の進捗が図れました。特にその中でも,高知市政の長年の課題でありました中学校給食センターが完成して,実際に去年から中学校給食が2学期から始められたことは,我々も大変嬉しく思うところです。小中学校のエアコンの整備については,中学校だけは4期目の公約に入れておりました。これは少し難しいかなと思っていましたが,タイミングよく国の交付金の制度ができ,(11月12日に開催した)臨時議会で,小中学校の全ての教室(普通教室)を予算化ができましたので,3月議会で業者さんの契約の締結をお諮りする予定ですが,だいたい目途がついてきたので,非常に良かったと思います。ただ,4期目の公約の中で残った課題としては,西敷地の問題等があります。4期目の残りの10か月弱で,残っている仕事については精力的に取り組んでいきたいと考えております。新年度予算は,先程言いましたように,地域と一緒に地域共生社会を作り上げていくというのが,恐らく日本全国で大きなテーマになると思うので,特に高齢化が(全国平均より)10年先行している高知市においては,先行してやっていく必要があります。新たなスタートになる予算を組み上げたつもりですので,そこをしっかり議会でも説明しながら,地域とともに取り組んでいきたいと思います。

(記者)

 地域共生社会がスタートになるということは,ご自身の手で次もやる,というふうに聞こえましたが。

(市長)

 5選目をどうするかということは,当然3月議会でもいろいろとご質問を受けると思いますが,まだ後援会とお話をしておりませんので,後援会の皆様方としっかりと議論をさせていただいて,それで判断していきたいと思います。

(記者)

 地域共生社会とはどういう社会か,もう少し言葉を足していただけますか。市長が考える高知市像とは。

(市長)

 市民の皆様方の協力というのは,従前でいうと自治活動とか,ちょっと堅い言葉で表されていましたし,(地域)コミュニティというふうにも言われておりましたが,特に防災関係等にも非常に協力的なので,そういう意味で感謝しております。そういう下地は結構あると思っています。全体で大きい話をさせていただくと,厚生労働省といろいろと一緒にやっている仕事が多いので,厚生労働省はここ3年位かと思いますが,2040年の人口推計を前面に出してきていて,来年2020年の東京オリンピックの20年後の日本の姿というのを出してきています。一番そこでショッキングなのが,その20年の間で,稼働年齢層の16歳から65歳までの人口が1,000万人減るということです。推計データなので,間違いなく1,000万人減ると思います。ということは,社会保障が支えきれなくなる可能性が相当あるので,どうやって2040年のときに支えていくかというのは,国と一緒に考えていかなければいけません。やはり,(高知市は)高齢化が10年先行していますので,地域とともにできるだけ健康寿命を伸ばしながら支え合っていく社会を,これからより本格的に作っていかなければならないという思いを込めて,当初予算を編成しているということです。

(記者)

 関連して,10年進んでいるというところで,具体的に,一番こういう施策を今回組んだ,という例でいうとどれになりますか。

(市長)

 全体で言いますと,高齢化の問題と,子育て支援で人口をいかに保っていくかということが大きなテーマではあるのですが,出生率は一番下がった時で1.25位まで下がっていますが,だいたい県も高知市も,県の場合は1.56まで戻して,高知市は1.54だったかと思いますが,1.6台が見えるところまで戻しました。ただ,現実を見ると,出生率だけを見ると上がってきましたが,人口動態を見ると,一番減少しているのが高知市の場合では20代の女性です。年間600人が県外へ出ていっているのです。そういうことを考えますと,若い女性の方々が県外へ行っている人が多いので,現実的に見ると,すぐ子どもさんが増えるという状況ではありません。そういう中で,いかに子育てしやすい環境をつくりあげていくかが大きなテーマなので,(幼児教育・保育の)無償化も含めて,子どもさんの支援については,相当手厚く,さまざまな形で入れているところです。全体としましては,先ほど予算でも出てまいりました200億円近い無償化関連の事業費を突っ込んでいますし,それから,地域共生社会の関連でいうと,住民の皆様方が,どういうものが地域の中の社会資源としてあるのかということがデータとして分からないので,高知市でポータルサイトを作ります(資料17ページの社会資源情報収集提供事業)。これでかなり分かりやすくなると思います。こういうところ等が今回工夫をしたところです。

(記者)

 西敷地関係の予算が含まれていると思いますけれども,その内容について,暫定整備の部分と,プロポーザルの部分で入っているかと思いますが,このあいだ白紙にしたばかりで,次をどうやって決めるかというのは今から決めますという話なのだけれども,自分は出るかどうかわかりませんが,そこの考え方が,自分もやりますとなったら市民に真意を問います,と。報酬だけまた上げたと。

(市長)

 31年度当初予算なので,事業の継続性などそういうものを意識して,当然予算化をしています。まず,現状のところから説明しますと,この3月末までは,あそこ(西敷地)は教育委員会の行政財産で持っています。オーテピアの工事がありましたので。オーテピアは去年の7月にオープンしましたが,オーテピアの残工事費が少しだけ残っていますので,現状のまま置いておきますと,いずれ土ぼこりが舞います。周辺の飲食店に迷惑をかけますので,オーテピアの残工事費で,少し細かい砕石を3月末までに入れます。暫定ですけれども,周辺に迷惑がかからないようにということです。あと,残工事費のなかで,景観もありますので,プランターを置くなど景観の部分も,予算は限られていますけれども,一定配慮してやりたいと思います。

 今後ですけれども,一回事業提案をいただいていた事業は白紙撤回になりましたので,3月議会でいろいろと議論をいただくことになると思いますが,今後のスケジュールや,プロポーザルのあり方を含めて,さまざまなご意見をいただきたいと思います。それで我々は,31年度に入ったら,例えば中心商店街の組合の方々や町内会連合会,それから,若い方々のご意見を聞いては,という話もあるので,例えば青少協の方々などと31年度に入ってから意見交換をしながら,今後のプロポーザルのやり方などの参考にしていきたいと思います。予算としては,31年度は継続性もあるので,当初予算のなかでそういう関連の事務的な経費は入れているということです。それと,関連の経費の中身については副市長のほうから説明します。

(中澤副市長)

 先ほどお話がありましたけれども,今市長が申し上げましたように,一定,現在の西敷地に砕石を入れることは今年度にやりますので,来年度は,プランターなどの管理の経費がメインになってきます。それが40万円位です。それともう1つが,プロポーザルに関連する事務的な経費を60万円位の予定で入れさせていただいているところです。

(記者)

 結局決めるのは市長選挙のあとというスケジュール感というお話でしたけれども,道は先につけておきますみたいな話で,そういうことではないのですか。

(市長)

 それは,例えば分かりやすくいうと,どなたが市長になっても行政の継続性というのはあるので,市長としてではなくて,今の高知市全体の考え方として,中心市街地の活性化に資するということで,非常に反対の強かった追手前小学校の統合に踏み切ったわけです。中心市街地の活性化に寄与する土地利用というのは,追手前小学校の統廃合の議論から一貫して我々は変えていないので,その方向性として,市政としては一本筋を通しているということです。今回,プロポーザルについても,中心市街地の活性化に資するという基本方針のもとでスケジュールを立てていきたいということです。

(記者)

 委員を決めて条件を決めたら,ほぼ内容は規定されてくるので,それは市長選前にはやらないということですか。委員の選定は市長選の後にするということですか。

(市長)

 いや,その細かいところまでは議会とご相談して決めます。

(記者)

 それを決めて,選挙ですか。

(市長)

 それは,議会とご相談して決めていかなければいけないので,まだ決めていません。

(記者)

 先程の説明の中で,財政状況が非常に厳しいということがあったかと思うのですが,それを踏まえて,予算配分で注意を払ったところがありましたら,説明をお願いします。

(市長)

 先程少し説明した生活密着型予算について,資料の10ページにありますが,住民の皆様方の日常的な生活の中で,たとえば道路が傷んでいるので改修してほしいとか,河川に土砂などが溜まっているので,豪雨のときに氾濫してくるとか,日常生活に密着したご要望が非常に多くて,全部に対応ができていないので,これまでに十分できていなかった部分について実施しようということで上積みをしております。もう1つは,市長として,誰が(市長に)なっても,住民の皆様の命と財産を守るというのが最大の使命なので,その柱でいうと,南海トラフ地震から命と財産を守るということが大きな柱です。また,(日本は)高齢化で世界屈指の平均寿命になっていて,やはり健康寿命をいかに伸ばしていただくかということが大きなテーマになっていますので,点で捉えるのではなく,健康寿命をいかに伸ばしていくために何ができるかという,ソフト(対策)も考えながらいろいろと細かく予算化をしているので,そういうものが総合的に入っています。財政が逼迫しておりますが,日常生活において,市民の皆様のご要望の多い部分に配慮した予算と,南海トラフ地震対策と,一言でいうと地域共生社会を目指して,安心できる街づくりを目指したいという予算を盛り込んでおります。

(記者)

 関連して,南海トラフ地震のハード面の事業が半分位進んでいるとおっしゃっていたのですが,半分位終わっているというそのスピード感に関して,個人的にはどれ位の認識ですか。

(市長)

 消防署所の編成は,ほぼ順調に仕上がってきております。(本庁の新)庁舎は,今年の秋完成の予定のところ,年末近くまで遅れることになりましたが,まずまず順調にきていると思います。高知市で施工してできる事業については完了が近づいてきているという認識です。ただもう1つ,昨日も地震があったので驚いたのですが,最近,四国と九州の間の日向灘で地震が起こってきていますので,これが頻発してくると,プレートが割れる可能性があるので要注意だと思います。国の事業と非常に関わっていますので,国は今,和歌山沖まで全部の海底の地下に地震計を設置しておりますが,室戸岬から足摺岬沖までの海底には地震計が設置されていないので,31年度の国の予算の中で,5年間だったと思いますが,地震計を設置する予算を入れました。それが設置されると,クリーピングという事前の滑り込みが起きた時に,リアルタイムでデータが飛びますから,非常に有効だと思います。

 それと,高知市で最大の南海トラフ地震対策は,国の施工でやると言われている三重防護なので,第1ラインで守って,第2ラインで守って,第3ラインで守る。おそらく,昭和21年のときに(昭和南海地震),1.2メートル陥没(沈降)しています。今回の地震の時には,L1(レベル1。東海地震,東南海地震,南海地震がそれぞれ発生するマグニチュード8.4程度のクラスの地震・津波),L2(レベル2。内閣府「南海トラフの巨大地震モデル検討会」において設定された最大クラスの巨大な地震・津波)を問わず1メートル以上落ち込むと思います。その時に津波を入れないというのが大原則になりますので,三重防護(の整備完了予定)は平成43年までで,あと10年位かかり,いつ来るか分からないので,第1ラインと第2ラインを早く完成させていただきたいということは,県市を挙げて強く要請しています。まずそこからやるということになっています。これは,高知市の人々の命と財産,そして産業を守れるかがかかっています。命と財産だけを守っても,事業所が壊滅すると人がいなくなります。東日本は漁業に伴う加工業が多く,缶詰工場などが全部やられましたので,たぶん(東日本大震災の発生から)5年の間に,人がだいたい2割から4割がいなくなりました。そういうことがないように,ということで,三重防護をやっていただくということで,これがまだ残ります。ただ,市施工の部分はほぼ完了の目途が立っているということです。この進捗をいかに進めていただくかというのが,一番の課題だと思います。

(記者)

 命を守る共生の部分で非常に配慮されているというのは分かるのですけれども,産業振興の面で,れんけいこうちの取組などがありますが,若干,攻めの姿勢が少し見えないのかなと。昨年は,高知市個別のイタドリなどもありましたし,先ほども法人・市民税のご説明がありましたが,高知市として,産業振興はれんけいこうちとして,県全体としてというのはありますが,市としてどういうふうに目指すかというビジョンが少し見えないと思います。今回,どのように感じているのですか。県ではIOTなどいろいろ打ち出していますので,もう少しご説明をいただきたいです。

(市長)

 基本的には高知県の産業振興計画に連動する形で,高知市の産業振興アクションプランを作っていて,全体で30事業位決まっている事業がありますので,そのブラッシュアップが中心になっています。今回の予算は,どうしても新規事業が中心になっていまして,(アクションプランは)継続的なものになっていますので,高知市の場合は,やはり食品加工が,食品工業団地を含め活発に動いているし,非常に伸びているので,これからまた輸出が伸びますので,その部分を手厚く支援をしていこうということになっています。例えば中山間の,高知県民のソウルフードと言って間違いないと思いますが,イタドリがありますけれども,イタドリを全国的に売り込みたいと思って,スーパーマーケットトレードショー(毎年2月に関東で行われる,食品流通業界に最新情報を発信する大規模な商談展示会)などに持ち込んで火を着けたはいいのですが,生産量が追いつきません。今はだいたい,イタドリをかき集めてもたぶん5トン6トンの世界なのですが,今のオーダーは単純に積み上げると10トン,20トンの世界なので,オーダーに追いついていません。イタドリも,山に生えているイタドリは品質がばらつきますので,鏡地域に畑で栽培しているイタドリがあります。それはすごく優れた苗なので,その苗の販売を去年,県下一円に行いました。それを今年も広げていきます。そういうところを繋げていくということが,1つの高知の強みになるのかな,と思います。

 あと,高知市は1つだけになりましたが,酔鯨(酒造)の本社を置いています。酔鯨はこれから輸出に本格的に力を入れていくように聞いています。アメリカの日本食チェーンと手を組んだとも聞いていますので,アメリカに日本酒を出すためには,従前の生産量では足りないので,本当は高知市内で作ってもらいたかったのですが,土佐市に新しい工場を作りました。土佐市で生産する酔鯨は輸出向けに相当振り分けるので,たぶんアメリカで出していくと思いますが,そういうものがまだこれから伸びます。本社は高知市に置いてくれているので,伸びしろがあるということで,積極的に関わっていきたいと思います。尾崎知事もいつも言われていますが,例えばヨーロッパ,アメリカの白ワインの文化は,高知の日本酒の端麗辛口に近いので,もっと売れると思います。あとは,仕組み次第だと思います。

(記者)

 10ページについてですが,財政健全化に向けた財政構造の転換に向けて,投資的経費を抑制することと,新庁舎や消防署所の再編でハード整備に一定の目途がついたと思うのですが,財政の厳しい状況を踏まえて,ビルドからメンテへとありますが,そこを少しご説明をお願いします。

(市長)

 大事な部分ですが,まずは前段として3ページをご覧いただけたらと思います。非常に厳しい数年前の財政危機の時は2通りあって,起債の残高が非常に大きいということと,一般財源が足りないということがありましたので,ちょうど団塊の世代の退職時期にあたったので,分かりやすく言うと,雇い止めをして,実数を400人減らしました。だいたい公務員の方々の一般給与が600万円前後なので,それで約30億円近い財源を1年間で生み出して,改善を一挙にやりました。起債も抑制してこれまで減らしてきたのですが,図書館の建て替え,それと消防署所の建て替え,南海トラフ地震に伴うハード整備が相当入ったので,例えば起債の残高を見ましても,ここに27年度28年度29年度の起債残高を掲載していて,かなり減らしてきたのですが,今,反転して起債の残高が増えることになってきました。こういう背景があるので,できるだけ投資的事業を平準化するということと,起債の借り換えなどを考えながら,公債費,いわゆる起債の借り入れの支払額を平準化していくということを31年度も積極的にやっていこうということにしております。財政当局が,金融機関と個別に協議をして,そのことと金利の引き下げを含めてご相談をして,一定の了解をいただいているところです。これらが大きなテーマになると思います。

(記者)

 今の質問に付随しまして,新たに財政健全化プランを作成するということですが,そちらの内容につきまして,特に健全化に向けての取組がいくつか列挙されていると思うのですけれども,その中で特に力を入れて,健全化に向けて取り組みたい部分と,プランを作成することに関する意気込みといいますか,思いを教えてください。

(市長)

 国の交付税や地方財政計画と連動していますので,例えば31年度の国全体の地方財政計画の姿は一定整ってきたと思います。そんなに地方にとってひどい状況にはならなかったかと思います。ただし,個別に見ると,交付税は頭打ちで伸びていませんので,それと,市町村の税目,特に市の税目のなかでの柱は固定資産税です。県には固定資産税がありませんので。マッカーサーが入ってきた時に有名な話があるのですが,法人税は都道府県にあるので,市町村が財政危機で倒れそうなので,市町村には固定資産税を付与するということになったらしいです。市町村には固定資産税があって,それが支えてきたのですが,南海トラフ地震の関係もあって,土地の価格が全体的に下がりました。その関係もあって,固定資産税が伸びなくなっているので,そういう意味で苦しい状況があります。それで,国に対しては交付税をしっかり確保するようにということと,交付税はもともと地方がいろいろな政策に応じて自由に使えるお金だったのですが,最近の交付税は使い方が決められているので,その自由度が非常に無くなってきているので,それは国に対しても積極的に,強く求めていきたいと思います。あとは税収の確保ということで,先程もお話が出た産業の振興と税をしっかりと対象としているところを精査しながら,補足していくことが大事になると思います。徴収率は全国的にかなり上がってきました。税の徴収率は景気と連動していて,景気がどちらかと言うと伸びてきているので,徴収率も上がってきているので,その部分でかなり改善されてきました。やはり収入の確保ということは,産業振興を含めてさらに努力がいると思います。

 (財務部長)

 この(平成31年度当初予算案における)117億円という収支不足を,金額としてはお示ししているかと思いますけれども,何としてでもこの収支不足自体は,プランの中で解消できるという形でお示ししなければならないと考えております。前段で市長から話がありましたように,一番大きなものは起債,地方債の毎年の償還の部分と,将来の負担というところになってくるかと思いますので,先程話がありましたように,金融機関に金利の引き下げもお願いを致しましたし,それから,大型施設に投資をして起債の残高が膨らんでいる訳ですけれども,その償還にあたっては,耐用年数に応じて長く,浅く,という形で返していくという仕組みも作りながら,そうしますと単年度単年度の償還時の負担が減ってまいりますので,そこで,単年度収支の改善を図っていく,ということに取り組んでいきたいと考えております。やはり,公債費の部分が収支の改善という意味では大きいと考えております。

(市長)

 参考として言いますと,前回,財政がすごく厳しかった時代の対応策よりも,今回の方が難しいと思います。前回の場合は,雇い止めなどかなり腕力勝負でしたけれども,今回の場合は,もう落とせるところまで落としているからです。全国的にみても,(高知市は)管理的経費は相当絞り込んでいる団体で,絞り込むところが少ないので,今回の財政再建の方が我々にとって難しいです。

(記者)

 社会福祉会館はもう断念したということですか。

(市長)

 いえ,違います。社会福祉会館の構想は断念していません。社会福祉会館自体は,今は社会福祉協議会が県庁前の民間のビルに入っていますので,年間の家賃を含めて相当な経費がかかっているので,その家賃の軽減ということもあるので,社会福祉会館は機能としては持たせたいと思っておりますが,当初言っていた(本庁舎)南別館の跡地に建てるということではなくて,別の手法もあるので,今調整中です。社会福祉会館の機能は,将来的に社会福祉協議会の移転の問題もあるので,やる方向で整理はしていきたいです。

(記者)

 南別館の後に建てるというのは白紙ですか。

(市長)

 白紙というか,そこは見直しをして,別の方法を今考えています。社会福祉会館の機能はどこかで持たせます。まだ調整中で,まだ場所は確定ではないので。

(記者)

 今年度の予算には今は反映していないですね。

(市長)

 今は反映していません。

(記者)

 それこそ,次期市政の課題になるかと。

(市長)

 高知市政は,決して個人でやっているのではないので,市政課題としては続いていきます。近々,一定の方向性は決めます。 

以上

Adobe Reader

PDF形式のファイルをご覧いただく場合には、Adobe社が提供するAdobe Readerが必要です。
Adobe Readerをお持ちでない方は、バナーのリンク先からダウンロードしてください。(無料)