本文
平成29年5月12日 市長定例記者会見
会見項目
- 「このまちがだいすき!こども×子育て×まちづくり」フォーラムの開催について
- 龍馬の生まれたまち記念館の新コンテンツ導入について
配布資料
- こども子育てまちづくりフォーラム開催事業 [PDFファイル/465KB]
- 龍馬の生まれたまち記念館の新コンテンツ導入について [PDFファイル/987KB]
会見内容
1. 「このまちがだいすき!こども×子育て×まちづくり」フォーラムの開催について
おはようございます。私から2点お知らせします。
1点目は,まちづくりの一環となる事業です。これまで,まちづくりファンドやこどもファンドといった制度を創設し,市民の皆さんのまちづくり活動に対する支援を進めてまいりました。特にこどもファンドにつきましては,全国に先駆けた,非常に先進的な方向性を持つ取り組みです。そういう中で,今年は7月30日に総合あんしんセンターで,こどもや子育て世代を中心としたまちづくりについてのフォーラムを開催します。
父親の子育てを支援する「NPO法人ファザーリング・ジャパン」代表理事の安藤哲也さんによる基調講演の後,この安藤哲也さん,映画監督の安藤桃子さん,こどもファンドでいつもご指導をいただいている早稲田大学の卯月盛夫先生,まちづくりや地域おこしに長く携わられている「株式会社わらびの」代表の畠中智子さん,そして,高知市出身で島根県隠岐(おき)島前(どうぜん)高校2年生の田部未空さんをパネラーに迎え,パネルディスカッションを行います。午後には100人規模のワークショップも予定しており,子どもさん,そして子育て世代の皆さんから,まちづくりの今後の方向性についてご意見をいただきたいと思います。非常に興味深いフォーラムになると思いますので,ぜひ取材にお越しください。
2. 龍馬の生まれたまち記念館の新コンテンツ導入について
2点目ですが,3月4日から「志国高知 幕末維新博」の第一幕が始まっています。大政奉還150年ということで来場者数は順調に推移しており,このゴールデンウィークも大変多くの方が来場されたとお聞きしています。本市では,龍馬の生まれたまち記念館と自由民権記念館が地域会場になっていますが,龍馬の生まれたまち記念館では,今月末,いろいろな新しいコンテンツを導入する予定です。
資料2の2枚目以降に各コンテンツのイメージを掲載しています。先ず,「バーチャル4面シアター」はバーチャルリアリティと言われている仮想空間に,龍馬の生まれたまちの町並み等が映し出されるシアターをオープンする予定です。ここでは,龍馬の少年時代等のエピソードのストーリーがCGとアニメーションの映像により繰り広げられますが,このストーリーに声優として出演していただく方を公募しましたところ,10人程度の募集に対し全国から約50人の応募があり,最終選考の結果,19人の方に出演していただきました。新コンテンツの一般公開の前には,この声の出演者の方々を招いて内覧会を実施する予定です。
次に「時のトンネル」ですが,人が歩く動きにセンサーが反応し,廊下の床面の映像が変わっていくというものです。「サイネージ写真撮影」は,坂本龍馬やお龍さんなどの衣装を選んでいただき,自分の映像に重ねて写真撮影ができるもので,それをスマートフォンに転送することもできます。また,外国からの観光客の方も増えていますが,外国の方のお名前を,漢字やひらがな等で表記する「Wamoji(和文字)シール」というものが人気を集めているそうですので,これを導入します。
「動くテーブル」につきましては,テーブル上に古地図が映し出されるというものですが,龍馬の生まれたまち記念館がある上町は,1610年頃に城下町が作られて以降,町の区割り自体はあまり変わっていませんので,古地図と合わせるときれいに重なります。変わったのは戦災復興で電車通りが拡張されただけで,城西館の裏手や龍馬の生まれたまち記念館の周辺など,ほとんど変わっていませんので,まち歩き観光にも活かしていただきたいということで,古地図と現在の地図を簡単に見比べることができる設備を導入します。
以上の新コンテンツにつきまして,5月末オープンをめざして,現在,最終調整中です。今のところ日時が確定していませんが,確定次第,すぐにお知らせしたいと思っていますので,どうかよろしくお願いします。
私からは以上です。
質疑応答
(記者)
桂浜の「とさいぬパーク」について,今年度の施設設置許可申請に対し,市は4月14日付で不許可とされました。しかし,不許可通知を受け取った後も営業行為が続けられており,これは都市公園法に違反する行為で,市有地が不法に占有されている状況ではないかと思います。また,高知地方裁判所から建物の明け渡しを求める動きがあったことに対して,実質的な経営者の方が,昨日メディアの前で「22日の期限までには引き渡す。19日までは営業したい。」という意向を示しました。現在のこのような状況を,市としてどのように認識されているのかお伺いします。
また,都市公園法に違反しているということになれば,市は土地の原状回復を求めていく立場だと思いますが,県内有数の観光地であることを考えた場合に,それが望ましいことなのかどうか,例えば今後の動きによって第三者が建物を取得し,市に対して設置許可を求めるという状況も想定されますが,そういった部分についてどのようにお考えなのかお伺いしたいと思います。
(市長)
これまでの経過につきましては,中澤副市長が商工観光部長の当時から担当していますので,先ず,中澤副市長から説明します。
(中澤副市長)
平成28年11月に「とさいぬパーク」を経営するパークサービス高知の破産手続きが開始されたことを受け,市としても対応しているところです。平成28年度につきましては,聴聞等を実施しながら進めてまいりましたが,年度内に施設設置許可の取り消し等には至りませんでした。
平成29年度につきましても,これまでと同様に施設設置許可申請が提出されましたが,ご質問にありましたように,市の審査基準に基づいて不許可とし,4月14日付で通知をしています。不許可の場合につきましては,都市公園法により,原則として原状回復しなければいけませんので,市としては,土地を原状に返していただくことが当然だという認識を持っています。
そういった中,不許可通知を受け取られた後も営業も続けられていましたので,4月26日に物品等の販売を中止するよう求める通知を出しました。合わせて,翌日には,破産管財人に対しても同様の通知を出しています。ただし,ゴールデンウィークには多くの観光客の皆さんが訪れますので,その間は対応を見合わせていたところですが,ゴールデンウィーク後も営業を続けているのが現状です。
5月8日に,建物の管理処分権限がある破産管財人に対し,原状回復指示に対する弁明の機会を付与する旨の通知を発送しました。弁明書の提出期限を5月29日(※会見後,5月31日に訂正)としており,基本的には原状回復していただく方向で対応が進んでいるところです。
しかし,ご質問にありましたように,観光行政の面でこの施設を壊して良いのか,そこをどう考えるかという思いはありました。やはり,皆さんが観光に行かれての楽しみというと,桂浜の場合でしたら本浜で自然の景色を眺めたり,龍馬像のところへ行って龍馬に触れたり,そういった魅力はありますが,当然,お土産を買ったり,ゆっくり休んだりする場所というものも必要だと思っています。今回焦点になっているこの施設につきましても,そういった役割を果たしてこられましたので,その意味では,建物を取り壊した場合の今後の観光客の方々に対する影響については懸念があります。
ただし,今後,破産管財人がどなたかに施設を売却することになった場合,その方が引き継いで営業できるかということにつきましては,先ほど申し上げたとおり審査基準がありますので,審査基準に基づいて,許可するかどうかの判断をしていく必要があると考えています。
(市長)
法律的にはすでに不許可の決定によって不法占有という形になっていますので,原状回復を求めています。しかし,新聞で詳細に報道されているように破産管財人の動きもありますので,どういう交渉をしていかれるのか市としては立ち入りませんが,その動向を見ながら,もし,どなたかから新たに設置許可申請が提出されれば審査基準に則って審査をしていくという予定です。
(記者)
あくまでも市の立場としては,原則として土地の原状回復を求めていくけれども,状況によっては建物が壊されずに残る余地があるということですか。
(市長)
現状としてそういうことです。その可能性を排除するものではありません。
(記者)
先月,総務省からふるさと納税の返礼品について通知があったと思いますが,資産性の高い返礼品等の見直し等が挙げられており,高知県はサンゴを中止されていますが,高知市は今後どのように対応されるのか,通知自体の受け止めと合せて教えてください。
(市長)
ふるさと納税は全国的に見ると少し過熱し過ぎたと言って差し支えないと思いますが,国会で取り上げた関連もあって,総務省から返礼品は寄付額の3割以内に抑えるように,いわゆる高額の返礼品は止めるようにという明確な通知が出ました。3割の考え方について確認したところ,送料などの経費は含まず,品物自体の価格を3割以内に抑えなさいということになっています。現在,本市の返礼品をチェックしているところですが,サンゴにつきましては3割を超えていますので,外さざるを得ないのではないかということで協議しています。
返礼品の中で一番人気があるのは,やはりカツオのタタキです。カツオのタタキは何とか3割に収まりそうな感じですが,なお,それぞれの品目についてチェックを行い,サンゴについては除外する方向で調整をしていきます。
(記者)
通知を受けての対応はそれぞれの自治体のお考えによるところだと思いますが,市長はどのように受け止めておられますか。
(市長)
全国的に見ると,返礼率90パーセント近いところが実際にあり,少し行き過ぎた気配がありましたので,規制が入ること自体は止むを得ないように感じています。ただし,上限を3割にするのか5割なのかいうところは,本来的には地方にも決める権限があるはずなのですが,今回このような通知を総務省が出しましたので,本市としてはそれに従うことにしています。
(記者)
今回の通知で高知市に関わる部分としては,3割を超えてはいけないという部分と宝飾品を贈ってはいけないという二つの部分がありますが,先ほど,サンゴは3割を超えているので外さざるを得ないというお話しがありました。3割を超えているという部分は,例えば10万円の寄付に対してサンゴの返礼品を贈っている場合,15万円に変えれば3割は超えなくなります。高知市はサンゴのブレスレットなどを贈っているので,どちらかというと宝飾品の方に抵触するように思いますが,その辺りの説明をお願いします。
(市長公室長)
おっしゃるとおりです。サンゴにつきましては,3割というより宝飾品ということから外す方向で検討しています。
(記者)
昨日,政府の有識者会議が東京23区内にある大学の定員を増やすことを原則として認めないよう求める中間報告案を大筋で了承しましたが,この点に関する受け止めをお願いします。
(市長)
少子化の時代の中で,大学の経営は厳しくなっています。これまで,各大学では都心から郊外へ,例えば神奈川や埼玉・千葉県などへキャンパスを移す傾向にありましたが,それではなかなか学生が集まりにくくなっていますので,キャンパスを都心に戻そうとしています。元々は都心にキャンパスがある大学が多く,従来は4階建てくらいであった校舎を高層化して都心へ学生を戻そうと,各大学の都心キャンパスは改築ラッシュになっているようです。
やはり,少子化ということが目の前にありますので,大学や学部の新設についてはいろいろな規制があるはずです。ご質問の有識者会議につきましては,おそらくそういう中での動きではないかと思いますが,詳細を把握してないのでコメントは控えます。
(記者)
先月,前の復興大臣だった今村氏が東日本大震災について,「まだ東北の方だったから良かった。もっと首都圏に近かったりすると莫大な被害があった」と発言し,その後発言を撤回して辞任されました。高知市も首都圏から遠い自治体の一つですが,南海トラフ地震が想定され,市民の命を守るために対策を進められているところだと思います。今回の前大臣の発言と辞任の経緯をどのように受け止められたのか,一言お願いします。
(市長)
東日本大震災から6年が経過しました。6年経過したにも関わらず,まだ多くの方が仮設住宅で生活をされていますし,震災で壊れてしまったいろいろなコミュニティが修復できていないということに非常に心を痛めています。よく,大きな災害が起こるとコミュニティが3回壊れると言われています。1回目は着の身着のままで避難所へバラバラに避難するためにご近所との関係が崩れます。2回目は仮設住宅への入居を抽選で決めるため,またバラバラになります。3回目は仮設住宅から災害復興住宅,恒久的な住宅へ移る際にも抽選で決めるため,またコミュニティが壊れます。つまり,これまでずっとまとまってきた集落が分断されるということですので,非常に厳しい状況があるにも関わらず,担当大臣がああいう発言をされるということは極めて遺憾だと感じています。
行政を預かるものとして,被災地の皆さん方のご苦労は,自分自身のことのように辛く感じています。そういう思いを持ちながら,どのような支援ができるかということに,担当大臣はじめ担当省庁は十分に気を配らなければなりません。そういう中でああいう発言があったことは極めて遺憾だと思います。
(記者)
5月3日で憲法の施行から70年を迎えました。制定以来一度も改正されていない憲法ですが,安倍首相は2020年を新しい憲法が施行される年にしたいと表明されるなど,今後,議論が活発化されることが予想されます。その改憲について,市長のお考えをお聞かせください。
(市長)
憲法施行から70年の節目を迎えますが,戦後,日本がここまで急激に世界に冠たる工業国として発展できたのは,その一番のベースに平和憲法があったことが非常に大きいと思います。国民にも今の憲法は広く支持されていますので,これまで日本の発展を支えてきた基盤はやはり憲法だという認識を持っています。
その上で,東アジア,特に北朝鮮・中国・韓国・日本といった極東の軍事的な緊張の高まりを受けて集団的自衛権の行使が容認されたことについては,多くの憲法学者が違憲だと言われているように,かなり無理があるという認識を持っています。集団的自衛権は国際法の中で認められており,その行使をすることはできるのですが,「戦力を保持しない」という憲法9条2項との整合性には無理がありますので,議論をするべき時期は来ているものと思います。ただし,国民の意見が二分される恐れもありますので,十分な議論を尽くす必要があるだろうと思います。
それから,一般的にはまだあまり知られていませんが,憲法を改正する場合に行う国民投票は,改正する条項をまとめてできるわけではなく,それぞれ条項ごとに投票しなければいけません。国民投票には選挙管理委員会が関わりますが,この70年間経験のないことですので,相当慎重に扱わなければいけません。また,憲法改正だけで国民投票をしても投票率が上がらない可能性がありますので,最近の新聞報道にありますように,国政選挙と同時に行うことが現実的ではないかと思います。2019年夏の参議院選挙での実施が検討されているとの報道もありますが,憲法改正については与党の中でも意見が割れており,いろいろな意見がありますので,なかなか難しいのではないかと思います。
国民投票を行う可能性はありますが,先ほど申し上げましたように条項ごとの投票になりますので,実務的な面では選挙管理委員会がかなり混乱すると思います。例えば,一度に全ての投票用紙を渡すと,記入する用紙を間違えて無効票が多くなることが予想されますので,1枚渡して投票したら戻っていただいてまた投票用紙を渡すということを,改正する条項の数だけ繰り返すという形を取ることになると思います。これまでに経験のないことで,衆参同日選挙でさえ新しい法律の下では例がありませんので,相当に混乱すると思われますが,実務的な課題については今のところ全く議論されていません。いろいろな課題が多くありますので,慎重に,腰を据えた議論が必要だと考えます。
(記者)
学者の方のほとんどが違憲と言われているというのは,自衛隊に関してのことでしょうか。
(市長)
いろいろありますが,集団的自衛権の行使が憲法上できるかどうかについて,いわゆる憲法学者の方々は基本的に憲法を守る立場におられますので,違憲だと言う方が大変多いです。また,憲法9条2項をどうするのかという点について,安倍首相は9条1項・2項を残したまま3項に自衛隊を位置付けると言われていますが,少し無理があるように感じます。石破元大臣が,9条2項を残したまま自衛隊を位置付けようとしても,警察なのか軍なのかという議論に決着が付かないので無理ではないかというコメントを出されていますが,意見として正論ではないかと思います。
(記者)
関連して,安倍首相は戦争放棄などを定めた9条を維持した上で自衛隊の存在を明記するという提案をされていますが,戦力不保持や交戦権といった9条の整合性について大事な議論があると思います。2020年までにという目標を掲げていることについて,期限から逆算すると2年ほどしか議論する時間がないのは短いように思いますが,熟議が望まれる一方で猶予がないという点について,どのように思われますか。
(市長)
首相は2019年夏の参議院選挙を意識して2020年までに国民投票をと言われたものと思いますが,これまで70年間日本を支えてきた根幹の部分ですので,慎重に議論をした上で,国民の皆さんの議論の熟度を高めることが大事だと思います。スケジュールとしては非常にタイトですので,厳しいのではないかと思います。
(記者)
新図書館西敷地について,3月議会でプロポーザルに関わる予算の修正案が出されるなど,議会にも広場にしたいという方向の方が増えてきているように思いますが,そのことへの受け止めをお願いします。
また,第二期中心市街地活性化基本計画に載せるためには,業者選定のスケジュールが間に合わないように思いますが,計画ができた後になるのでしょうか。
(市長)
現行の中心市街地活性化基本計画の計画期間は平成29年度末までになっています。計画のほぼ9割を実現できており,未着手は西敷地等一部の事業のみになっています。帯屋町の西方面は活性化してきましたが,東方面,大丸周辺については非常に心配な状況ですので,平成30年度から始まる第二期中心市街地活性化基本計画には,はりまや橋周辺の活性化などに取り組んでいきたいと思っています。
また,ご質問にありましたように,西敷地の事業計画はおそらく平成30年度まで遅れてきますが,西敷地の事業実施も第二期に入る可能性はあります。今のところ,本年度中に計画を策定し国の承認を得たいと思っていますので,大きく遅らせる予定はありませんが,実務的に少し遅れています。
(中澤副市長)
西敷地につきましては,ご質問にありましたとおり3月議会でプロポーザルに関する予算の修正議案が出されるなど,議会でも,市民の皆さんにも大きな関心を持っていただいていると感じています。そういった非常に関心の高い場所について,これから必要な取り組みを行っていくにあたり,基本的には今後プロポーザルをするとして,市としてどういった考え方でそれを進めていくのかということを内部で調整しています。そのことについて,6月議会で議員の皆さんに一度基本的な考え方をお示ししてご意見をいただいた上で,プロポーザルを実施したいと考えています。
そのようなスケジュールで進みますと,第二期中心市街地活性化基本計画は概ね今年中には固めておく必要がありますので,具体的にこういう形で西敷地を整備しますというような形は示せない可能性が高いのではないかと思っています。
ただし,中心市街地活性化基本計画につきましては,新たな要因等が発生した場合には計画の修正を国に申し入れて,一定認めていただいていますので,来年度当初には間に合わなくても,方向・方針が固まれば中心市街地活性化の事業の一つとして修正等行いながら進めていきたいと考えています。
(記者)
そうしますと,ゆっくり議論する一定の時間的余裕があるということでしょうか。
(市長)
余裕があるとは言えません。一定のスピード感を持って進めていきます。
(記者)
桂浜の件で,5月31日を期限として原状回復のための弁明期間を設けるということでしたが,都市公園法によりますと,相手方が弁明をしなかった場合などには措置命令が出せると思います。その措置命令に従わない場合は行政代執行を行うことになるかと思いますが,もし,5月31日までに弁明がなかった,もしくは弁明があったけれども弁明に値しないと判断した場合,いつごろまでに措置命令を出されるのか,いつまでに相手方が応じなければ行政代執行を行うのかといったスケジュールについて,現時点での予定を教えてください。
また,桂浜公園整備基本計画がありますが,桂浜公園の再整備とどう関係してくるのかというところも合せてお願いします。
(中澤副市長)
スケジュールにつきましては,破産管財人がどのような出方をされるのか分かりませんので,5月31日までは待つ必要があるだろうと思っています。それ以降につきましては,仮に,弁明書が提出されても原状回復に至る方向のものではない場合には,当然ながらあまり長く置くことはできませんので,いつということはまだこの場で申し上げることはできませんが,できる限り早く次の段階へ進む必要があると考えています。
また,再整備との関連についてのご質問ですが,基本的に再整備は土産物や飲食店等を充実させようという計画です。それは,現在経営されている方たちだけでやろうということではなく,新しい方も入れながらどんどん活性化していこうという計画になっていますので,「とさいぬパーク」の件が何らかの影響を与えるとは今のところ考えていません。
(記者)
5月から7月の観光客があまり来ない端境期は構わないとして,8月になれば夏休みで多くの方が訪れますし,その後,秋の行楽シーズン,観光のハイシーズンになっていく中で,あの場所に空いたままの建物があるというのは良くないのではないかと思っています。その上で,例えば,夏休みまでに行政代執行を行うといった大まかなスケジュール感はお持ちだと思いますが,その辺りについてご所見をお願いします。
(市長)
先ほど申し上げましたように,5月31日まで破産管財人に弁明の機会を付与しています。破産管財人の出方次第で行政代執行が必要かどうか決まりますので,やはりそれを待たなければいけないと思っています。代執行は建物の中を空けるということになりますが,最終的には建物の除却ということも可能性としてあります。どういう流れで進めていくか,フローをいくつか描いています。いつまでに建物を除却するかということは,フローのどちらへ展開するかによりますので,まだ具体的な期限は申し上げられませんが,あれだけの大きな建物を閉めた状態のままにしておくのは印象が良くありませんので,今後の展開を見守っていきたいと思っています。
(記者)
フローを描いているということは,市としては行政代執行を視野に入れて動かれているという認識でよろしいですか。
(市長)
行政代執行には相当の時間も経費も必要になりますし,市の有力な観光地です。それがどうしても必要な場合は行政代執行ということになりますが,今月末までの動きを見た上で最終的に判断したいと思います。
(記者)
ふるさと納税について伺います。制度自体について,地方自治体にとって貴重な財源になっている部分があるかと思いますが,制度のメリットについてのご認識をお聞かせください。
(市長)
本市でも年間3億円を超える納税がありますので,ふるさと納税は地域の活性化や,ふるさとへの還元といった意味で,趣旨としては一定の有効な部分があると考えています。あった,ではなく,あると考えています。東洋町,奈半利町などがその例ですが,地域の活性化や産業の振興につながりましたので,地方分権や地方創生の中では,一つの有効なツールだと考えています。ただし,過熱し過ぎた感じはしますので,総務省としては少し熱を冷まそうということで今の動きがあると認識しています。本来的には3割か5割かといったことは,地方が決めるべきものですが,一旦は従うという方向でいきたいと思っています。
(記者)
一方で,返礼品を通して高知市を知ってもらうなど,その後の観光振興,産業振興につながる部分もあるかと思いますが,それに対して制限がかけられると,返礼品として出せないものが出てくる可能性についてはどのように思われますか。
(市長)
地域振興にはさまざまな方法がありますので,ふるさと納税だけに頼ることはあまり良くないということは感じています。産業振興計画や各市町村のアクションプランといったものがありますので,それらをブラッシュアップしてレベルを高めていくというのが本筋だと思います。ふるさと納税はあくまでもサブルートではないかと感じています。
(記者)
桂浜の話に戻りますが,市長は就任前から観光行政に携わってこられたと思います。その上で,現在の桂浜の状況をどのように見られているか教えてください。
(市長)
私は観光課長を務めていましたので,桂浜に関する過去の経過を一時期調べたことがありました。ペギー葉山さんの「南国土佐を後にして」が流行した当時,桂浜には全国,特に西日本から本当にたくさんの観光客が来られていましたが,実は,あの当時は高知県交通のプライベートビーチでした。現在の桂浜公園の土地は全て高知県交通が所有していましたので,元々はプライベートビーチであったところから桂浜の観光は発展してきています。
市の都市公園としてオープンしたのは昭和40年代後半だったと思いますが,そうすると,都市公園になる前から闘犬センターは営業されていたということになります。闘犬センターはいろいろありましたが,闘犬という一つのツールとして,観光振興に寄与してこられたところは間違いない事実です。闘犬は動物愛護法の中で議論のあるところですが,藩政時代からの歴史があります。明治政府ができた時に闘犬の禁止令を作りましたが,その際,政府の参与だった板垣退助が「土佐では長宗我部時代から闘犬をやっている。歴史的な文化財だ。」と闘犬禁止令を廃止にしました。そうした歴史的なものですので,藩政時代から続く一つの文化財だと考えています。その意味で一定の貢献があったと認識しています。
(記者)
闘犬の話が出ましたが,あの施設はもちろん商業的な施設ではありますが,観光資源である闘犬を長く行ってきた施設でもあります。その施設の設置許可ができなくなっているところですが,高知の闘犬について今後どうしていくお考えでしょうか。
(市長)
現状では,桂浜公園内で闘犬の営業はできなくなっていますが,これからどうしていくかということを今後の課題として考えていかなければならないと思います。
(記者)
闘犬場を市が再整備して,観光ツールとして残そうというお考えはありませんか。
(市長)
それについては考えていません。
(中澤副市長)
どのような団体の方がどのような構想を持たれているかといったことが明らかになっていませんので,今の時点でこうしますというお答えはできません。そういったことが具体的に出てきましたら,その時に,場所は桂浜がふさわしいのか,どこがふさわしいのかなど,いろいろなことを総合的に検討したいと思います。
(記者)
再整備の計画案に展示棟というものがありますが,あれは闘犬場を想定したものではありませんか。
(市長)
必ずしもそれだけではありません。他のものが入ってくるかもしれませんし,展示棟ではなく別の形に変わるかもしれません。そこは,具体的に実施設計の段階で考えていきたいと思います。
(記者)
土佐闘犬は,県の天然記念物だと思いますが,県の動きに期待する部分はありますか。
(市長)
例えば軍鶏ですが,国の天然記念物になっている大軍鶏は高知県が原産です。また,軍鶏や地鶏として日本農林規格に認定されている十数種類のうち,数種類は高知県にいると聞いていますので,そういった日本古来の鶏の品種が高知県には大変多くいます。闘鶏の大会なども古くから行われていましたので,闘鶏も闘犬と同様に歴史的な文化財の一つです。
そういったものに,行政は直接関与していませんが,歴史的に重要なものだという認識は持つべきだと思っています。基本的には専門的な業界ですので,行政が直営で運営することは困難ですが,今後どうなっていくかということは気を付けて見ていきたいと思います。
(記者)
憲法についてですが,先ほど,石破元大臣の9条2項を削除する方向の意見が正論ではないかというお話しがありましたが,改憲はするべきだというお考えですか。
(市長)
そこは少し違います。石破元大臣は安倍首相の言われていることに無理があるとコメントされていただけです。
(記者)
市長は護憲派だと認識していますが,立場は変わっていないということでよろしいですか。
(市長)
平和憲法という根幹の部分には,あまり手を付けるべきではないと思っています。しかし,一方で,集団的自衛権の行使に関わる部分については,北朝鮮がいつミサイルを撃つか分からない緊迫した状況にある中,そこを現実の問題としてどうクリアするかという課題があります。憲法を改正しなくても立法でクリアできるという考え方もありますが,憲法学者の方々は,安全保障関連法自体を違憲だと言われています。憲法のどこにどう書き込んで決着を付けるか,技術的にも相当難しいことだと思います。一番大事なのは国民的な議論を深めていくことですので,まだまだ時間が必要だと思います。そういった意味で,2020年というのは無理があるのではないかと思います。
(記者)
そうしますと,行政区の長として2020年までの改憲を否定されるということですか。
(市長)
日本国の総理大臣が言われていることですので,それを制約するようなことはできませんが,行政区の長として意見を述べることはできます。立憲主義ですから,なかなかそのとおりにはならないと思いますが。
(記者)
韓国の国政について,田内千鶴子さんを通じて縁がある全羅南道の知事が首相に就任する見込みということですが,そのことについての受け止めや,今後への期待についてお聞かせください。
(市長)
田内千鶴子さんの生誕100周年を祝う記念式典が開催された際,全羅南道の木浦市を訪問しました。当時の知事は李洛淵(イ・ナギョン)氏の前任の方でしたが,尾崎知事は李知事と何度か会われていると思います。日韓関係は微妙なところにきていますので,韓国としては,知日派を首相に指名して調整を図りたいということだと思いますが,高知と縁のある,親しい間柄の方が首相に指名される予定だということは,良いことではないかと思っています。
(記者)
桂浜の件で,「とさいぬパーク」から市に対して,何日まで営業したいといった申し入れなどはあっているのでしょうか。
(中澤副市長)
ありません。19日まで営業したい意向だということは知っていますが,市としましては,直ちに物品等の販売を中止するように求める通知を4月26日に出していますので,19日まで認めているのではないということで,本日,その通知をあらためて,直接お渡しすることにしています。
(記者)
直接というのはどういう形を取られるのでしょうか。
(中澤副市長)
郵送ではなく,お持ちします。いらっしゃるかどうか分かりませんが,桂浜に行って直接お渡ししようと準備しています。
(市長)
行政用語で言うところの手交です。ご本人になるか,ご本人以外の方になるか,行ってみないと分かりませんが,お渡しすることにしています。