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市長コラム内和外順 2022年06月号
高知市広報「あかるいまち」より
すえこざさ
今回は、牧野富太郎博士を生涯にわたり、献身的に支えた壽衛(すえ)夫人を紹介します。博士が新種の笹に「すえこざさ」と命名したことでも有名です。
牧野博士は、全国各地に植物の採集旅行に出掛けたり、研究にかなりの金額をつぎ込んでいたため、裕福だった家業も傾きます。大学の給料も研究を支えるほどの額ではなく、常に研究費や生活費に困窮し、大きな借金を抱え、壽衛夫人は結婚当初から金策に苦労をし、いつも質札を入れていたそうです。
牧野博士の自叙伝によると、債権者への対応も壽衛夫人が担っていたようで、ついには家賃も払えず、家財を差し押さえられたりしたこともあったといわれています。
そんな苦労がありながら、生涯にわたり、牧野博士を支えていますので、博士を心から尊敬していたと思います。
壽衛夫人は生活を支えるために商売を始め、博士の膨大な貴重な植物標本などを守るために、火災などの危険のない東京郊外の練馬区東大泉に一軒家を建てており、その跡地が現在の練馬区立牧野記念庭園記念館として一般公開され、博士の偉業を今に伝えています。
牧野博士との間に13人の子どもをもうけながら、博士の研究生活を物心両面で常に支えた壽衛夫人の苦労には頭が下がります。研究成果の恩恵にあずかっている現代の私たちとしては、研究を支えた壽衛夫人に深く感謝いたします。
来春から始まるNHK朝ドラ『らんまん』では、ヒロインの壽衛役に、今をときめく浜辺美波(みなみ)さんが抜てきされました。放映が今から楽しみですね。
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※このページは、高知市広報「あかるいまち」に掲載されている「市長コラム 内和外順」のコーナーを再掲したものです。