本文
平成29年度 市長と語ろう会 議事録(南部健康福祉センター)
日時
平成30年2月8日(木曜日) 18時半~20時半
会場
南部健康福祉センター 体育館
市長あいさつ 概要
皆さん,こんばんは。皆さんには,日頃から地域の安全・安心活動をはじめ,さまざまな活動に支援をいただいていることに,感謝申し上げる。
南海トラフ地震はいつ発生するか。国は予測できないと判断したが,どこかの時点で発生することは間違いない。潮江地区は地盤があまり高くないこともあり,東日本大震災級の地震が起きて津波が発生すると,相当の範囲が浸水する想定になっている。皆さんのご意見をいただき,さまざまな避難対策につなげていきたいと考え,お集まりいただいた。これまで下知地区2か所,江ノ口地区1か所で開催した。この潮江地区もエリアが広いため,本日と合わせて,来週,アスパルこうちでも開催する。私から,南海トラフ地震の被害想定や対策について概要を説明した後,意見交換に入りたい。よろしくお願い申し上げる。
概要説明
(司会)
南海トラフ地震長期浸水エリアにおける避難対策について,市長より説明する。
(市長)
※配布資料をもとに,南海トラフ地震長期浸水エリアにおける避難対策の概要を説明。 -説明については省略-
意見交換
(司会)
意見交換を始める。本日のテーマ「南海トラフ地震長期浸水エリアにおける避難対策について」に関連する意見・提案をお願いする。
(参加者)
潮江南防災連合会のメンバー。本日の会に参加するにあたり,事前に委員会を開いて意見を聞き,地域で共有した。たくさん意見が出てきたので,この場で全てをお話しできないが,大きく二つ,お願いしたいことがある。
一つは六泉寺の市営住宅について。老朽化が進んでおり,以前から建て替えの話が出ている。建て替えの際には,地域の避難場所として有効活用できるようにしてほしい。潮江南地域は津波避難ビルが5か所しかなく,規模も小さい。山に避難場所も作っているが,急傾斜地で実際に避難するのは厳しい。市営住宅の再計画に当たっては建物を高層化し,地域住民が避難できる場所にするとともに,あらかじめ復興住宅として確保しておくような形で計画できないかお願いしている。現在の進捗状況をお聞きする。
もう一つは避難計画について。いろいろ取り組んでいただいているが,潮江南地域は非常に狭い道や側溝などがあり,住宅も古く整備されていないところが多い。先ほどの説明の中に,住宅の耐震工事に対する補助の話があったが,高齢者が多く経済的に困難な状況がある。市の特別な配慮や対策をさらにお願いしたい。また,どのように安全かつ速やかに避難をする計画か。先ほど,長期浸水は67日間という日数が出たが,具体的にどのような対策を講じているのか。地震後の復興に向けた対策の中で,この潮江地区をどのように捉えているのか。高知市の中でも人口が多く,経済的にもいろいろな形で影響を及ぼすことになるので伺いたい。
他にもいろいろあるが,書面にまとめてきたので,後日でも目を通していただきたい。
(市長)
書面は閉会後いただく。改善していけるよう,各担当部局で細かく検討していく。
六泉寺の市営住宅について。浸水エリアにあり,周囲に高いビルが少ない。住民の方々が避難できるよう,一定の高層化について検討を始める必要があると考えている。現在,東石立の市営住宅の建替工事中であり,六泉寺の計画については,後ほど部から説明する。
耐震補強工事について。できるだけ皆さんの負担を減らすよう,国の補助金を元に県市でさらに上積みを行い,現在,20万円程度の負担で工事ができるようにしているが,高齢者の方などから,もっと負担を少なくしてほしいというご意見をいただいている。平成30年度に国の制度が少し変わる。これに伴い,県市の上積みをどのようにしていくか,予算編成の中で検討をしている。特別な対策がどこまで可能か,予算の関係もあるので少し時間をいただくが,県市で協議していきたい。
最後の復興の件について。この潮江地区が被害を受けた場合に,速やかに復興できるような計画を,という指摘だと思う。先ほど三重防護で説明をしたように,津波を侵入させないことが最も大事だが,東日本大震災級の地震では,どうしても入ってくる。その浸水の高さをできるだけ抑えることが,次の復興につながっていくと考えている。本日の会場から南の方にかけて,いろいろな産業分野の事業所があり,工場が非常に多い。全ての工場が東日本のように被害を受けると,復興には大変時間がかかり,そこで働く従業員の方々は仕事を探して県外に転出することになる。人口が流出すると簡単には帰ってこない。それは,東日本大震災の大きな教訓の一つである。できるだけ早く産業を復興させるという意味でも,工場の多いこのエリアに津波を入れない,入ってきても,例えば1メートルに抑えるといった対策が必要であり,そういう意識を持って三重防護も組み上げていかなければならないと考えている。
(都市建設部)
六泉寺の市営住宅について答える。市の中でも,おそらく一番大きい住宅団地。昭和41年から48年にかけて,2階建てと3階建て,4階建てという順で建設された。すでに50年近く経っているため,2階建ての住宅については,新たな入居を止めている状態。長期的な市営住宅の再編計画の中では,この10年の間に建て替えを行う予定だが,市長から話があったように,現在,東石立町の市営住宅の建て替えを進めているところであり,もう少し時間がかかる。その次の段階として六泉寺の建て替えを始めていきたいと考えている。現在は2~4階建てと比較的低層であり,建て替えに当たっては一定高層化をしていく形で検討していく。高層化することにより,余剰地が生まれる可能性がある。復興住宅という話も出たが,それ以前に仮設住宅を建てる用地が全く足りていない。そういったことを考慮しながら,全体的にどのような建物にしていくか,皆さんと一緒に検討していきたい。時間はもう少しいただきたいが,建て替えを行うことになれば,高層化した上で,必要な機能はできるだけ備えるよう考えていきたい。
住宅の耐震化について。できるだけ負担を少なくするように,今年度から補助金を引き上げており,耐震方法を工夫することで補助金の範囲内で工事ができる場合もある。もう古いからとあきらめて耐震診断を受けない方も多いが,診断は無料。ぜひ,相談していただきたい。また,簡易シェルターのようなものを設置する費用に対しても補助ができないかという意見を,各方面からいただいている。これについては,防災対策部と研究・検討しているところだが,負担はどうしても出てくる。震災で建物の下敷きになり亡くなるようなことは,避けなければならない。できるだけ負担の少ない,皆さんが使いやすい形の制度設計を考えていきたいと思っている。
(防災対策部)
避難について。命を守るためには,まずは自然地形の高台に逃げることを優先していただき,時間的猶予がなければ,津波避難ビルに避難することが大事だと考えている。現在,市内で311か所のビルを津波避難ビルとして指定しており,そのうち潮江地区は52か所。自主防災組織の皆さんと行政が協働して働きかけてきた結果だが,中には管理者の理解を得られずに指定に至っていない所もある。
潮江地区の具体的な津波避難計画については,潮江・潮江南・潮江東の3小学校区で作成しているところ。本年度は,そのうち潮江小学校区の津波避難計画について,計画どおり機能するかどうか検証を行っている。検証については,避難訓練等で地域の皆さんにアンケート調査を行った結果から,避難時に集中する避難経路の確認や危険箇所の点検等を行っているほか,地域の方々を交えたワークショップを開催し,課題や対策の見直し等について意見をお聞きしている。アンケート調査の結果から,自然地形の高台ではなく,近くの津波避難ビルに避難する傾向が強いことが分かってきた。こういった結果を踏まえ,地域の皆さんとのワークショップを繰り返し行いながら,今後の具体的な対策,行動計画を検討していきたい。
(参加者)
北高見町の住人。20年後には三重防護をはじめ,いろいろな対策により心配がなくなるだろうと思うが,この10年,15年の間が不安。3点伺いたい。
1点目,市長から指摘のあった桟橋地区の工場の関係。塩素や苛性ソーダ等,毒劇物を扱う工場やその関連製品の工場,電気を使用している工場などがある。都市ガスやプロパンガス,石油の貯蔵タンクといったものも港の近辺にはある。聞くところによると,タナスカ辺りから津波が押し寄せた場合,最大で11メートルの高さで桟橋地区に流れ込む。また,香長平野に上がった津波が下田川からタナスカ,潮江の方に押し寄せてくる。そういう中で,各企業は法令に従い,地震や津波に対する十分な対策を取っているだろうか。建造物についても耐震構造になっているのか。また,実際に災害が起こり,工場が破壊されたり津波で浸水を受けたりすることを想定し,市はどのような消防対策を取っているのか伺いたい。
2点目。北高見町は,避難場所になっている潮江小学校と潮江南小学校のちょうど中間。近くに市営住宅もあるが,住民の多くは,津波が来る方向よりも山へ逃げる。そのための避難路も,市の援助や指導を受けて,何か所か設置されているが,急傾斜地で崩壊や土石流の危険があり,津波が来るまでの間に,どの道が一番安全か確かめた上で避難することにしている。避難路には,市の補助を受けて手すりを付けているが,路面がデコボコであったり,狭くて避難用のリアカーが通れなかったりする状況。避難場所も周辺が孟宗竹で囲まれ,非常に不安が募るような場所もある。町内には津波避難ビルが1棟もない。北高見町の住民に限らず,山へ避難してくる方はたくさんいると思うが,備蓄倉庫がなく,毛布や食料,テントなど,一切ない。せっかく,ある程度広い場所があるので,備蓄倉庫や備蓄品を置いていただきたい。また,かなりの人数が押し寄せて来ると思われるため,筆山のもっと上の方に行けるよう,避難路を整備していただきたい。筆山文化会館は耐震構造になっていないということだが,早急に整備して,潮江地区全体の避難をある程度カバーできるような施設を造っていただきたい。
3点目は,避難場所の確保がどの程度進んでいるのか伺いたい。北高見町は潮江南小学校と潮江小学校の中間にあり,津波避難ビルはない。お寺などの一時避難場所に避難していた後,小学校に避難しても,避難できる場所が確保されているのか。マニュアルはどうなっているのか。そういうことに強い不安を感じている。
(市長)
災害時の消防計画や防災対策の質問については,後ほど部局から説明する。各企業の対応について。企業に対しては,できるだけBCP,それぞれの業務継続計画を立てていただくよう要請している。既に計画を立てているところもあるし,検討中のところもある。工場ではいろいろな設備が稼働しているが,一定の震度を感じると緊急的に停止するような機能を取り入れていると思われる。この場で個別の企業について回答はできないが,そういった技術が進んできている。古い機械の場合,緊急停止しないことも考えられるが,細かい部分まで確認できていない。プロパンガスについては,東日本大震災で家庭用・農業用のプロパンガスが津波で流された際,大気内にガスが放出され,火花がショートして火災が起きたという話がある。しかし,高知県の場合,LPガス協会が,倒れたり外れたりした瞬間に自動的にガスを止める構造のボンベに切り替えている。タナスカの大型の石油タンクについては,県と事業者が協議をしているので,後ほど補足していただく。先ず,消防計画から。
(消防局)
桟橋地区にある工場の毒劇物や特殊な装置等に関する災害対策について。通常,各企業には,消防法に基づき,火災を想定した消防計画を立てていただいている。桟橋地区には,危険物や毒劇物を取り扱う企業が集中している。企業が所有・管理している毒劇物等は把握しており,通常時における保管状況や管理体制等を確認している。しかし,L2クラスの地震が発生した場合は,当然,通常時の管理体制では不十分であり,南海トラフ地震を想定した対策を企業にお願いをしている。今後も,主として火災の部分になるが,指導等行っていきたいと考えている。
(防災対策部)
避難路,避難対策の質問について。高台への避難路をいくつか指定しているが,急傾斜地という部分,また,スペースのあり方の部分については,今後も意見を伺いながら対応していく必要があると認識している。整備については,物理的にスペースが確保できるのか,また,地権者の理解を得られるのかどうかといった,細かな課題が出てくる。そういった点を踏まえて,自主防災組織や住民の皆さんと協議し,できるだけきめ細かな対応を図っていきたいと考えている。
山に避難した後,しばらく滞在しなければならない場合の二次避難場所については,例えば,筆山文化会館を建て替える際に,一定の防災機能を持たせるということも,一つの対応策として今後の検討課題に上がってくるものと考えている。
また,避難計画については,先ほども申し上げたとおり,それぞれの小学校区での津波避難計画について,潮江地区は今年度から具体的な課題の検証作業に入っているところ。それぞれの地域から,例えば,昔からある塩の道を避難路として整備してはどうかといった,具体的な意見もいただいており,実現の可能性について地域の皆さんと意見交換をしながら,対応していきたいと考えている。
(県 危機管理部)
石油ガス施設の件について。津波が起きた際の火災は,実はよく起きている。東日本大震災でも気仙沼市で非常に大きな火災が起きた。そのずっと以前には,北海道の利尻島でも津波の後に火災が起きた。油が流出して何らかの要因で火が着くことがその原因。タナスカや中ノ島地区に多くの石油・ガス施設があることから,平成25年度以降,高知市と共に,専門家や事業者の皆さんを交えて検討を進めてきた。先ず,その施設が揺れに対してどのような状況になるか検討した。L1の地震では,ほとんど被害がないと思われる。L2,東日本大震災級の揺れでも,本体にはほぼ被害がないと思われ,つなぎ目部分等,一定の被害が出る可能性はあるが,緊急遮断的なことができれば,おそらく大きな油の流出はないというところまで進んできた。では,津波に対してはどうなるか。危機管理的な視点で言うと,津波が来た場合には油は流出すると考えておかないと,安心してしまうことは怖い。現在は,油がもし流出した場合,浦戸湾内でどのような動きをするのかシミュレーションをしている。油が流出しただけならば問題ではない。その油がどういう悪さをするのか,きちんと見極めて対策を立てていくことが必要である。シミュレーションの結果や分析が出てくれば,具体的な対策の検討に入っていけるものと考えている。
(参加者)
避難所のマニュアルは,現在,どのような状況か。
(防災対策部)
避難所の運営マニュアルについて。大規模災害の時には,行政の力だけで全ての避難所を運営することは困難。自助共助の中で,避難所運営はそれぞれの地域の方々にお願いすることを原則としている。現在,指定避難所が168か所あるが,L1の地震で津波が来ない地域の避難所100か所について,平成31年度までの5か年計画で避難所運営マニュアルの作成に取り組んでいる。マニュアルは地域と行政で協議しながら作成しているが,具体的な避難所の運営は,それぞれの地域の皆さんにお願いすることを基本としている。
(参加者)
竹島公園で命山の整備が続いている。3月末で完成ということを聞いたが,完成が近づくにつれ,住民から,地震が来たらあの山は崩れるのではないか,津波で押し流されるのではないか,そういった声を多く聞くようになった。完成すれば,避難場所として指定を受けるのか。もし,避難場所として指定を受けた場合,あの山が安全・安心であることを,市から住民に向けて広報する考えがあるのか伺いたい。
(都市建設部)
竹島公園の整備について。現在,整備を進めており,今年度完成と聞かれているようだが,最終的に整備が終わるのは来年度末になるかと思う。現在,盛土等が完了し,形ができてきたところ。種子の吹き付け等を今年度予算の中で行う。盛土については,平成25年にどのような公園整備を望むのか,ワークショップ形式で皆さんに話し合っていただいた結果できたもの。その際,高さについても協議をしていただき,公園の津波浸水深約3メートルに4メートル程度の余裕を見て,盛土の高さを7メートルとすることを決めた。現在,盛土は7メートル以上あるが,どうしても圧密沈下が起こる。それも考慮した上で,最終的に7メートルの高さを確保するよう整備していく。
盛土なので,地震で全く崩れないかと言うと,ひび割れが起こる等あると思う。この地域については,津波の波力はさほどなく,徐々に浸水してくると予想しており,流されるといったことはないと考えている。ただし,現在,津波避難ビルに指定する基準は,もう少し高くなっており,市として避難場所に位置付けることは,今のところ考えていない。基本的には,筆山等の山へ逃げる。そこまで逃げ切れない方は津波避難ビルへ逃げる。それでも,なお逃げ切れずに波が迫ってきたという場合に,公園の高い山に逃げる。そういった避難の形を想定している。津波ではなく,火災等,一般的な災害の部分では,避難場所として指定できるのではないかと思う。
盛土の上について,皆さんからいろいろ要望をいただいている。ベンチや防災トイレ等,災害時に活用できる設備は整備していきたいと考えている。
(防災対策部)
先ほど都市建設部が答えたとおり,やはり,自然地形の高台,山へ逃げていただくことが一番良い。山まで距離があるため,市としても津波避難ビルの指定に努力してきたところだが,管理者の理解を得られず,指定に至っていないビルも多い。竹島公園の盛土の部分も高さはあるが,市としては,できるだけ津波避難ビルを増やしていくよう継続して努力していく。どうしても津波避難ビルの指定が進まないようであれば,一定の高さがあり,一定強固な建物であれば,指定の要件を柔軟に対応する選択肢も考えていく必要があると考えている。いずれにしても,津波避難ビルを増やしていく方向で対応していきたい。
避難所については,小学校区ごとに避難所運営マニュアルを作っていくが,現在,168か所ある指定避難所のうち,100か所について優先的に進めている。今後,全て完了するよう,順次取組を進めていく。
(参加者)
百石町市営住宅の住人。昔のことを知っている方に聞くと,この地区は地盤が軟弱で,硬い地盤まで9メートル程度あるという。地震の際に液状化が起こる範囲について,市で調べているか。東日本大震災を経験した方から,液状化になると思うように逃げられない。足元が悪く動けなかったという話も聞いた。この地区の液状化について把握していれば教えていただきたい。
(防災対策部)
液状化について,現在のところ,市として正確に把握したデータは持っていない。液状化のリスクについて,県が全体的に想定したマップがあるが,これはあくまで想定であり,質問のように,この地区でこの程度の液状化が発生するというところまでのデータは,市としてまだ把握していない。把握しようとすれば,ボーリング調査等,一定のコストをかけた対応が必要だと思うが,現在はその予算措置がない。申し訳ないが,ご理解いただきたい。
(市長)
液状化の話しが出たが,百石町の市営住宅は地下に杭を打ち込んでいるので,ボーリングの際に地質を調べている。そのように,市にボーリングデータがある場合は一定判断ができるが,基本的に公共施設のデータしか持っていない。例えば,500メートルメッシュというように,細かく液状化の発生を判断するためのデータを収集していない。しかし,液状化は起こると思っていただいていた方が良い。道路がデコボコになる中を,どのようにして子どもさんや高齢者に逃げていただくか。行政でもその想定をしながら,地域の皆さんと話をしていかなくてはならないと思っている。
(参加者)
竹島町の住人。先ず,このような対話集会をもっとやってほしい。本日は,地震・長期浸水対策がテーマだが,暮らしの問題や子どもたちの問題,市民の要望もたくさんあると思う。もっと市長に出てきていただき,対話集会を進めていただきたいと思う。
地震対策について。県が竹島川の改修をここ数年かけてやってくださり,下流の方が少し残っている状況。筆山,高見山,孕の山,それぞれ避難路を整備していただいたが,その竹島川下流の改修されてない所に橋が2本ある。非常に老朽化しているが,その橋を通らなければ孕の山へ避難できない。川の改修と合わせて,橋の整備を早くやっていただきたい。
(都市建設部)
潮江地区は筆山等,自然地形の高台へ逃げるためには,竹島川などの川を渡る必要があることは認識している。市には1,700以上の橋があり,点検を5年に1回は行うよう,来年度を最終年度として作業を進めている。全体的な点検作業の中で,早く補修工事を行う必要がある場所が分かってきたので,予算措置を行い,安全性を確保していくよう取り組んでいる。質問の竹島川橋と西孕橋の2か所について,特に西孕橋は危険という判定も出ているが,県が改修工事に入っているので,時期を合わせて改修を行いたい。県の工事の日程等が未定であり,そこも含めて県と協議していく。
(参加者)
竹島町にある保育園に勤務している。日頃から,潮江南防災連合会や潮江第一コミュニティ,竹島町町内会をはじめ,議員ほか地域の皆様に支えていただいていることを実感している。園では,緊急地震速報を活用した避難訓練を,毎月行っているが,地域の方が避難誘導をしてくれたり,トランシーバーの扱い方を丁寧に教えてくださったり,あるいは,備蓄品を置いて構わないと声をかけてくれたり,地域の方には本当に感謝している。
納得できないのは避難場所について。小学校が指定避難場所になっているが,小学生は緊急地震速報を聞けば,地震が来ると分かって机の下に身を隠し,揺れが収まれば屋上に避難する。中学生も同じ。保育園の子どもたちは,毎月の訓練で緊急地震速報に慣れてはきたが,大きな音がすると泣く。揺れがあったらもっと泣く。じゅうたんをかけたり,保育士が上からかぶさったりして子どもを守る体勢を取るが,そうすると余計に子どもたちの不安が増す。現在,0歳児が11人いる。市の補助金などのおかげで避難車を用意することができたが,その避難車に乗せて,液状化の心配もある中を10分近くかかる場所へ,無事に避難させることができるだろうか。保育園の子どもたちは,誰かに手を貸していただかないと,避難場所までたどり着くことができない。自分で歩くこともできない子どもたちの命を,保育園の耐震補強工事だけで守れるのか。保育園を津波避難ビルのような4階建て以上にすることは困難だろうが,園の外へ出れば,すぐに安全な所に避難できる環境にしていただけないか。自分で自分の身を守ることのできない子どもたちや高齢者のために,具体的な対応を進めていただきたい。
(防災対策部)
行政として努力しているが,まだ,全体的に取組を進めている道筋の途中である。皆さんから意見をいただきながら,きめ細かな対応を進めていきたいと考えている。
災害時に配慮の必要な方,高齢者や障害のある方をはじめとする要支援者の方々をどうするか,これも大きな課題である。基本的には,自助共助の地域の枠組みの中で,一定の手助けをしていただこうと考えているが,それには対象となる方の個人情報も必要になるため,ご本人が地域の方の手助けを必要とするかどうか,同意していただく必要がある。先ず,そういったところから始めている段階だが,要支援者の対応とともに,現実的にはすぐ近くに津波避難ビルがあれば,子どもさんでも短時間のうちに避難できる。これは当然のことだと考えている。今後,園の改築に合わせて,近くに避難ビルを指定していくことは行政の役割と考える。現在のガイドラインの中で取組が進まないようであれば,ガイドラインの基準以下でも,想定する津波に対して十分避難が可能な建物があれば,一定柔軟な対応を視野に検討していく必要があると考えている。あくまでも途中段階であり,意見をいただきながら対応していきたい。
(市長)
潮江地区には,まだまだ津波避難ビルの空白地がある。先ほど話に出た竹島公園の周辺も津波避難ビルがない。また,新田町,仲田町,萩町,この辺りにはマンションはあるものの,管理組合の了解を得られていない。こういう空白地域があるので,いろいろな意見をいただきながら,事業所等への働きかけを,引き続き行っていきたいと思う。
(参加者)
鷹匠町で自主防災活動をしている。この潮江地区では,誰がどう助けるのかといったことなど,いろいろなことを協議されている。自分たちもやりたいと思うが,活動ができる若い者がいないのが悩みである。4点ほど質問したい。
先ず,下水道について。先ほど,ポンプ場の耐震化をしているという話しがあった。東日本大震災では,仙台で下水道の復旧に5年以上かかったという話を聞いた。下知地区の水が引いても,施設が壊れていれば下水道は使えない。そうすると,復旧されるまでの数年間,高知市の住民はトイレ等,生活用水を流せないことになる。復旧までの工期を,どの程度に想定されているのか伺いたい。
2点目は堤防の改修について。資料では,鷹匠町周辺の堤防は改修対象外ということで,黒く塗られていた。唐人町や柳原周辺の堤防は,昔,中洲の砂利を積み上げて簡単に造ったもので,地震の揺れだけで崩れるという話を,地域の高齢者から伝え聞いた。改修しなくても大丈夫なのか疑問である。
3点目。津波のシミュレーションをいくつか見た。第一波,第二波と来る間に,江ノ口川や鏡川から海水が登ってくるが,壊れた堤防や排水口から市街地へ水が流れ込む。20分強で鷹匠町,県民文化ホールの裏辺りまで水が流れて来るシミュレーションを見たことがある。その辺のところを,今後,どのように考慮していくのか聞きたい。
4点目。今,手元に平成24年版の高知市のハザードマップを200部持っており,地域に配る予定。先ほどの説明のスライドに平成27年3月分というものを見かけた。新しいものがあるのならいただきたい。
(上下水道局)
下水道について。下水道の機能は,大きく雨水の排水と汚水の処理から成り立っている。ポンプ場は主に雨水の排水をする施設。質問の汚水については,市内3か所の水再生センターで処理している。このエリアは潮江水再生センター,鷹匠町などのエリアは下知水再生センターが受け持つ。もう1か所,瀬戸に水再生センターがあるほか,県が設置している,南国市・香美市を含めた流域下水道の処理を行う高須浄化センターがある。下水道の復旧について。東日本大震災では,確かに大きな被害を受け,復旧にも相当の時間を要したと承知している。ポンプ場や下水処理場の構造物を一度取り壊し,根本的に更新する必要がある場合には一定の時間を要するが,高知市においては,5年もの間下水道を使用できない事態は考えていない。業務継続計画をしっかり立てている。長期浸水エリアにおいては,水が取り除かれるまで点検や応急復旧の作業ができないため,一定の時間を要する。その間,トイレ等の生活用水を処理するため,衛生上の問題も考慮し,浸水していないエリアにため池のような簡易的施設を作り,消毒,滅菌処理を行い,きれいな水にして川へ放流するよう計画している。1~2か月間は迷惑をかけるが,数か年にわたって使用できないということはないと考えている。
(都市建設部)
鏡川の唐人町周辺の堤防については県が管理しており,県に確認の上,回答させていただきたい。
(防災対策部)
ハザードマップについて。市民の皆さんに配布しているのは,平成25年版の津波ハザードマップ。特に改訂をしていないため,現在もこのマップでお知らせしている。高知市は降雨量も多いため,洪水に備えた洪水ハザードマップも配布している。これも平成25年頃に作成しているが,仁淀川や物部川など,国の管理する一級河川の洪水想定が変わった関係で,鏡川の洪水想定も変わっており,マップの情報が古くなっている。最新の情報に更新したマップの作成が必要になっている。
(参加者)
それでは,平成24年,25年に作成したマップが最新ということか。
(防災対策部)
お手元のマップが最新のものになる。
(上下水道局)
先ほどの回答に捕捉する。震災後の汚水の処理について,朝倉地区等の長期浸水エリア外でし尿を一定収集し,高速道路等を使用して東部のし尿処理センターへ運び処理することも,応急的な対応として考えている。
(参加者)
百石町市営住宅の住人。市営住宅で保育園の方が避難訓練をしている。実際に避難して来られた場合のことを考えると,子どものアレルギー対策等についても学習しておく必要がある。せっかく避難してきて,非常食でアレルギーを起こし,万一のことがあっては残念だ。そういった勉強会の機会を提供していただければありがたいと思う。
(市長)
いろいろなアレルギーを抱える子どもさんが増えており,場合によっては命に関わることもある。保育園の子どもさんについては,市の保育幼稚園課でも把握はしているが,混乱の中で大勢が避難して来られた時に,そこを確認できるかどうかが問題である。どのような形で注意しておけば良いのか,十分協議していきたいと思う。
(吉岡副市長)
市では「女性の視点による防災対策」として,発災後,避難場所でアトピーをはじめ,いろいろなアレルギーに対応する食事のあり方について資料を作成している。自主防災組織の活動等で活用していただきたい。防災対策部にお問い合わせを。
(参加者)
指定津波避難ビルについて。耐震基準や荷重に対する基準はクリアしていると思うが,実際に避難して廊下などに多くの方が乗った状態で余震が起きた場合,そこまで想定して指定しているか。本当に大丈夫なのか。今後,どのような対策を考えているか,教えていただきたい。
(防災対策部)
津波避難ビルの指定について。高知県ではガイドラインを策定しており,内閣府のガイドラインに準じた形で審査している。高さは4階か3階の屋上以上,強度は鉄筋コンクリート造りか鉄骨鉄筋コンクリート造り,昭和56年以降の新耐震設計基準を満たしていることが基本的な構造要件となっている。災害時,津波避難ビルが本当に耐久性等を保てるのかどうか。最近になり,津波の衝撃や圧力に耐え得るかどうか,再点検を勧める通達も出ている。県下的な取組となり,まずは調査からはじめる必要がある。市としても,今後の課題として取り組んでいきたい。