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文化財情報 有形民俗文化財 虫送りの鉦

指定

高知市指定 有形民俗文化財 指定年月日 昭和42年 2月 3日

名称

虫送りの鉦

所在地・所有者

高知市円行寺・円行寺公民館

写真

虫送りの鉦の画像
虫送りの鉦

解説

 虫送りは稲作儀礼のひとつで、稲葉が水田を覆うころに行われる虫害を防ぐための祈願祭である。
 県下における虫送りの一般的な形態は鉦[かね]・太鼓・ほら貝のほかに大きなわら草履、紙幟[かみのぼり]などが列をなし、「斎藤別当実盛、稲の虫はひしゃげた」と唱えるものである。斎藤別当実盛は『平家物語』の「実盛」、浄瑠璃「実盛」などに語られる老将であるが、深田で首を掻き切られたその怨霊が害虫となって稲を傷めたとか、履いていた草鞋[わらじ]に虫がわき害虫を生じたとかの伝承がある。
 次第に大草履や幟はみられなくなっていったが、鉦と太鼓との競演の虫送りは昭和初年ごろまで続いていた。
 現存する鉦の外径62cm、口径50.3cm、重さ58.7kg。1880(明治13)年7月に高知市土佐橋西原菊太郎によって鋳造されたものである。現在は公民館に保管されているが、その鉦箱に「本鐘は元下組組合員が虫送り用に購入、当時円行寺には他に数丁ありしが、大東亜戦争に次々と供出、最後に他の古物類と共に供出、併し市の回収員等の来る寸前、誰かが古蓆を覆ひ、其の日の供出を免る。其の後間もなく終戦故に元組合員の諒解により町有財産として保管することとなる」とある。