本文
文化財情報 有形文化財 工芸品 梵鐘
指定
高知県指定 有形文化財 工芸品 指定年月日 昭和59年 3月16日
名称
梵鐘
所在地・所有者
高知市塩屋崎町・妙国寺
写真
梵鐘
解説
鋳銅製にして総高1m、笠形は重ね餅形に盛り上り、その上に龍頭がつく。龍頭の高さ18.3cm、笠形の高さ4.8cmである。身の高さ77.5cmで、胴の張りは少ない。上帯・下帯ともに無文で、乳[にゅう(ち)]は4段4例、乳の形はラッパに偏平な半球状の頭部をつけた形状をなす。撞座[つぎざ]は8葉蓮弁で、その径7cm、そして龍頭の長軸線上に位置する。駒の爪はやや張り出し、縁の厚さ6cmであり、口径は57.4cmである。各区に銘文がある。ただ各区の銘文は、それぞれ刻した年代を異にし、追刻に重ねて追刻をしている。時代順にそれらの銘文をみてみると、鎌倉後期の1299(正安元)年に東楽寺の梵鐘として鋳造され、鍛治大工は河内の大春日重守であったこと、室町時代の1490(延徳2)年に丹後三重の長寿寺に移ったことが、また、室町末期以後と推定されるが、京都の頂妙寺へ移動し、そして1678(延宝6)年に日純が頂妙寺からもらい受けて高知妙国寺へ移ったことが分かる。
1868(明治元)年になされた追刻にはその年の閏4月の廃仏毀釈の布告によって取り除かれようとした本梵鐘を、妙国寺の住職日住の努力で難をのがれるに至った経緯が記されている。