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文化財情報 有形文化財 工芸品 石茶臼
指定
高知県指定 有形文化財 工芸品 指定年月日 昭和59年 3月16日
名称
石茶臼
所在地・所有者
高知市吸江[ぎゅうこう]・吸江寺
写真
石茶臼
解説
上臼と下臼の2石からなり、下臼の上に上臼がのる。下臼には作り出した皿部がある。全高25cm、上臼の径19.3cm、高さ12.4cmであり、下臼の高さ4cmである。上臼の下部と下臼の上部に臼の目が8分画に刻まれ、各分画に10溝を持つ。なお、この10溝の間に浅い溝が1本ずつ二個所に存する。石質は硬砂岩で、茶の葉を上臼に入れる供給口径は2.5cmである。上臼には左右に挽き手を入れる穴があり、挽き手を回わし上臼を回転させて葉茶を挽く。挽き手の穴の周辺は重ね角形の文様が彫られている。下臼の抹茶を受ける皿の径は37.5cmで、この部分だけ黒漆が塗ってある。上臼側面に5行にわたって次の如き刻文がある。
施入於
土佐國五台山
吸江菴臼也
貞和五年己丑
十一月廿五日
さらに皿部の外側に右横書に「五台山」と刻まれている。貞和5年は南北朝時代の前期で1349年である。一時この茶臼は、高知市江ノ口にあった寺田寅彦博士の邸宅に父利正が茶人であった関係で保存されていた。南北朝時代、しかも在銘の茶臼として珍重なものである。