本文
文化財情報 史跡 貞亨元年銘法華経塔(五台山の経塔)
指定
高知県指定 史跡 指定年月日 昭和54年 4月 1日
名称
貞亨元年銘法華経塔(五台山の経塔)
所在地・所有者
高知市五台山
写真
貞亨元年銘法華経塔
解説
法華経塔は、五台山の麓、大島岬の護国神社から竹林寺への旧参道の7~8合目に南面して建っている。石塔は、高さ2.98mで、塔身の正面中央には、「南無妙法蓮華経」という題目を刻している。日蓮宗の題目「南無妙法蓮華経」を刻す塔を題目石塔と呼んでいるが、この法華経塔の如く笠を持ち題目を刻した石塔は、題目式笠塔婆とも呼ばれている。
塔は、銘文によると1684(貞享元)年に畑郡柏島(幡多郡大月町柏島)の法蓮寺の住持日教により建てられたもので、五台山だけでなく、安芸郡甲浦(東洋町)と幡多郡宿毛(宿毛市)市山にも同じ塔を建てている。この塔が建てられたのは、仏の徳に報い、国家の恩に報いるために、法華経を3部書写し、そして土佐の三ヶ所に塔を建立し、人びとが利益に預かることを願い建てられたものである。また、塔建立には多くの人びとの浄財を募り、檀信徒の名を書いたものを法華経とともに地下に埋納している。
さらに、この塔が建てられたのが貞享元年の10月13日であること、それは日蓮宗の開祖、日蓮聖人滅後402年の命日に当たっていることから、日蓮聖人の400遠忌を意識して建てられていることが判明している。また、経典を埋めているところから、経塚ともいえるものである。