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文化財情報 重要文化財 建造物 土佐神社本殿、幣殿及び拝殿
指定
国指定 重要文化財 建造物 指定年月日 明治37年 8月29日
名称
土佐神社本殿、幣殿及び拝殿
所在地・所有者
高知市一宮・土佐神社
写真
土佐神社(全景)
解説
本殿
一重 入母屋造 柿葺 向拝付 1571(元亀2)年
桁行五間、梁間四間で、勾欄付廻縁をめぐらし、両側面中央の柱筋に脇障子を建て、全面に三間の向拝を付ける。柱はすべて円柱で、柱上に唐様の三つ斗組を置き、中備には蟇股を置く。正面中央の間は桟唐戸で、両脇間は格子戸を建て込み、両端の間は舞良戸とする。各間とも幣軸を付ける。両側面は前端の間、背面は中央の間にそれぞれ両開きの桟唐戸を釣り込み、他はすべて板壁である。内部は入り側一間通りが外陣で、中央の三間に二間を内陣とする。軒は二軒繁たるき、妻は二重虹梁、大瓶束の方式で中央に地方色豊かな大蟇股を置いている。向拝は方柱で、魚や龍の彫刻がほどこされ、また随所に繰形の大きな木鼻を用いているが、彫刻類の彫りが浅く肘木の断面をはみださない点は古めかしく、形も優れている。柱廻り、幣軸、建具は漆塗り、虹梁、頭貫、斗きょう、蟇股、丸桁廻りは極彩色、軒廻りは丹土と胡粉塗りである。軒反りの大きな屋根、繊細な木割り、和様と唐様の混用等から、神社の本殿というより仏寺の本堂といった方がより相応しい建物である。
幣殿・拝殿[へいでん・はいでん]
一重(拝殿二重) 切妻造 柿葺 1571(元亀2)年
本殿前桁行二間、梁間一間が幣殿で、それに続く一間四方の部分が本来の拝殿、更に左右に桁行四間、梁間二間の拝の翼がそれぞれのび、前方には桁行六間、梁間一間の拝の出がのびていて、幣殿・拝殿は十字形の平面である。床は幣殿が一番高く、一段さがって拝殿と翼殿の床が張られ、更に一段さがって拝の出の床が張られている。左右の翼殿の前方と拝の出の左右は軒を支える桁をかけ角柱で支えるが、この部分も一段低くなっている。柱は軒受けのものを除いて大きな円柱で、斗きょうはいずれも舟肘木の簡素なものである。屋根はこけら葺の単層切妻だが、十字に交差した部分が重層の切妻である。本殿とそれに連なる十字形の平面をもつ拝の出が長いものを「入りとんぼ」といい、長宗我部元親が凱旋にちなんで造営したものと伝えられる。すべて素木づくりで簡素な建物だが、吹き放ちで円柱と方柱を組みあわせた豪放なつくりである。
その他の写真
土佐神社本殿
土佐神社幣殿拝殿